(1/2から続く)
【崩落の前兆】
7月9日20時45分にNHK静岡からは、崩落の数時間前に茶色に濁った大量の水が土石流と同じルートで流れていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
複数の住民が当日、「異変」を感じていました。
土石流が起きた7月3日の午前8時20分ごろに撮影された動画では、茶色に濁った大量の泥水が、山の方向から流れ下っていました。
撮影した女性は、「これほど茶色く濁った水が大量に、すごい勢いで流れてくるのを見たのは初めてでした。」と話しています。
女性は、その後も自宅にいましたが、午前11時20分。
先ほどと同じ場所を、濁流が周囲の住宅を巻き込みながら押し寄せてきました。
女性は、この直後、家族とともに避難してなんとか無事でしたが、自宅は流されてしまったということです。
ほかにも、土石流直前の異変について、「川に、石がゴロゴロ転がって・・」、「あの坂道でこれまでに泥水が流れているのを見たことはなかったので」などと住民たちが証言しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20210709/3030012348.html
7月8日20時11分にNHK静岡からは、盛り土した業者は過去にも熱海市内の別の2ケ所でトラブルを起こしていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
取材を進めると、盛り土を造成した業者は、同じころに熱海市内の別の2か所で行った工事でトラブルを起こしていたという証言が相次ぎました。
盛り土から山を隔てて、南西に約1キロの場所では、同じ業者が、平成20年から翌年にかけて、古い建物を解体し土地を分譲するための工事を行っていたといいます。
当時の町内会の資料には、工事の際にコンクリートの破片が飛んで住民の車に傷がついたり、工事車両が敷地に無断で入ってくるなどの苦情がつづられています。
その後、工事は中断されて分譲は行われず、今は草木が生い茂っています。
さらに、盛り土から南に約6キロの上多賀地区の住民や市議会議員によりますと、この業者が平成19年から22年にかけて斜面の一画で行った造成工事の現場から、土砂が隣接する寺の敷地や道路に流出するようになったということです。
当時の写真には、墓地の通路一面に泥水が流れ、直径50センチほどの岩が転がっている様子が映っています。
この問題は熱海市議会でも取り上げられ、市は、950万円の予算をかけて、土の流れを止める擁壁を造成地と寺の間に設けました。
ここでも工事は中断され、何も作られなかったということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20210708/3030012309.html
7月9日1時26分に日本経済新聞からは、業者は盛り土工事時に5回指導を受けたが対策しないまま土地を売却したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
行政側の対応にも住民から疑問の声が上がっている。
県や市は造成に関わった事業者を少なくとも5回指導していたが、工事完了までに、より強く是正を求める命令は出していなかった。
一連の経緯について行政の検証が求められる。
県によると、土石流の起点周辺の土地を神奈川県小田原市の不動産会社(清算)が取得したのは2006年9月。
同社は07年3月、約0.9ヘクタールに約3万6千立方メートルの建設残土を使って盛り土を造成するという内容を熱海市に届け出た。
県の土採取等規制条例では、1ヘクタール未満の土砂の盛り土や掘削の規制権限は市にあった。
しかし、市からの連絡を受けた県が07年4月に現地調査したところ、盛り土の面積が条例で規定する1ヘクタールを超えていたことが判明。
開発の中止と森林の復旧を文書で指導したところ、盛り土の面積を減らしたことを08年8月に確認した。
09年にも防災措置と盛り土の面積の計算について、市による指導があったという。
10年8月には土砂への産業廃棄物の混入が発覚し、県が撤去するよう指導。
さらに土砂中に木くずの混入も確認され、市は同9月に工事中止を求めた。
だが同社が従わなかったため、翌10月に土砂搬入の中止を指導したところ、同社は土地を11年2月に売却。
抜本的な対策は取られないままだった。
県条例には、盛られた土砂の崩壊や流出によって災害が発生する恐れがある場合、防止措置を取るよう事業者に命令できる規定がある。
しかし、現場で造成が進められた07~10年の間に命令は出されなかった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE082MO0Y1A700C2000000/?n_cid=NMAIL007_20210709_A&unlock=1
(ブログ者コメント)
盛り土したのは、どのような業者だったのだろうか?
気になり、ネットで調べたところ、真偽不明だが、当時の社長名や顔写真以外、小田原でもフダ付きの業者だったとか、行政に対し「同和」の名刺にモノを言わせていた、といった情報が散見された。
また、現在の土地所有者も問題のある人物だという情報もあった。
(2021年7月19日 修正1 ;追記)
2021年7月16日15時32分に毎日新聞からは、盛り土内部にダムのように水がたまり満水状態になって崩落したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県は16日までに、土石流の起点付近にあった盛り土が満水状態で崩落したと分析した。
土石流が流れ下った逢初(あいぞめ)川の北側には、並行するように鳴沢川が流れている。
県は、盛り土よりも標高の高い鳴沢川流域の地下水も盛り土に流入した可能性があるとみている。
盛り土崩壊の仕組みを調べている県によると、盛り土に直接降った雨に加えて、上流から地表を流れてきた雨水、地下水も流入。
盛り土に適切な排水設備を設けていなかったため、ダムのように内部に水がたまり、満水状態になって崩壊したと推定している。
今回、盛り土の締め固めが不十分だったため、隙間(すきま)が多く、水を吸収しやすかったことも、盛り土内部の地下水位を上昇させた要因とみる。
県が公表したデータや分析結果を見た研究者からも、「盛り土は上部まで満水状態になって、いったん崩れると流動化しやすい状態だったという県の推定の確度はかなり高い」と連絡があった。
研究者は理由を「盛り土の上部まで満水状態でなければ、盛り土の下部が崩れ落ちても、上部は流動化しないで上流の河川内に残ったはずだ。レーザー光の照射による地形データの計測結果を見ると、崩壊した盛り土は河川内にあまり残っていない」と説明したという。
https://mainichi.jp/articles/20210716/k00/00m/040/131000c
7月16日7時27分に読売新聞からは、内部にたまった水が下部から噴き出して崩れ、連鎖的に崩落したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
難波喬司・静岡県副知事は15日、臨時の記者会見を開き、盛り土に排水設備が設置されていなかった場合、盛り土がダムのように満水状態となり、たまった水が下部から噴き出して崩れ、連鎖的に崩落したとみられると説明した。
県は、土石流で流れ出た土砂の総量は5万5500立方メートルで、その大半が盛り土だったとしている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210716-OYT1T50058/
7月16日付で毎日新聞東京版からは、泥水に近い状態の土石流が高速で流れ下ったなど、記趣旨の記事がネット配信されていた。
流れた盛り土の土砂が通常より多く水分を含んでいるため被害を拡大させた可能性があることが、静岡大の北村晃寿(あきひさ)教授(58)=地質学=の調査で判明した。
北村教授が15日に静岡市の県庁で記者会見を開き、明らかにした。
北村教授は、土石流が流れ出た海岸付近と、海岸から1キロほど手前の道路で、土石流災害が発生した3日と9日に堆積(たいせき)物から土砂を採取した。
土砂の含水率は31・0~36・2%で、泥水に近い状態だった。
一般的な土石流の場合、土砂の含水率は10~25%程度で、40%以上は泥水にあたるという。
北村教授は、土石流の起点から海岸までの流路が直線的だったことや、流路の勾配の平均値が11・3度と高かった点も、土石流の速度を上げた要因になったとみる。
「泥水に近い土石流が高速で流下した。(住民が)土石流に気づいたときは、すでに避難するのに遅かったのではないか」と指摘した。
https://mainichi.jp/articles/20210716/ddm/041/040/044000c
7月17日付で毎日新聞東京版からは、3日で過去最高の雨量だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本気象協会は、土石流が起きた静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区の積算雨量を分析し、街中の観測地点よりも多かった実態を明らかにした。
降り始めの1日から土石流の発生3時間半前の3日午前7時までの約2日半で、過去の3日分の最高(416ミリ)を更新。
この3日間では552・8ミリと、7月1カ月間の平均雨量の2・3倍に上り、発生直前に1時間で40ミリの大雨も降った。
https://mainichi.jp/articles/20210717/ddm/041/040/063000c
(2021年8月6日 修正2 ;追記)
2021年8月4日19時21分にNHK静岡からは、12年前にも雨の影響で土砂が逢初川に流出し海まで達していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12年前にも雨の影響で土砂が川に流出して流れ下り、漁港周辺の海に到達し、県と市が対応を協議していたことがわかりました。
県や市は、盛り土の危険性をどの程度認識していたのかなど、当時の対応の検証を進めています。
県によりますと、盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産業者は、平成21年3月から土砂の搬入を始めました。
ところが、同じ年の台風による雨で土砂が逢初川に流出して流れ下り、伊豆山漁港の周辺の海に到達し、この年の10月には県と市が盛り土について対応を協議していたことが県などへの取材でわかりました。
当時、不動産業者は谷に土砂を置いたままにして流出を防ぐ対策をとっておらず、県や市が土砂の表面を固めるなどの対策を行うよう指導していたことがわかっています。
県や市は盛り土の危険性をどの程度認識していたのかや、その後の対応などについて検証を進めています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20210804/3030012746.html
(2021年8月13日 修正3 ;追記)
2021年8月12日20時7分に毎日新聞からは、盛り土には固化剤が投入されていたため少量の雨では崩れず、そのため災害が大きくなったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県は12日、土石流の起点付近などで実施した土壌調査で逢初(あいぞめ)川の中下流部にたまった土砂から土壌汚染対策法の基準を超えるフッ素を検出したと明らかにした。
難波喬司副知事は記者会見で、「フッ素を含む固化剤の投入で盛り土が安定化して少量の雨で崩れず、今回、全体が崩落したと推定され、災害を大きくした可能性がある」と指摘した。
土壌調査は土石流の起点付近の盛り土や元々の地盤で5カ所、逢初川の中下流部にたまった土砂で4カ所の計9カ所から土を採取して、26の特定有害物質を調べた。
フッ素とその化合物は、土壌汚染対策法の基準(1リットル当たり0・8ミリグラム)を超える1リットル当たり1・4~1・6ミリグラムを検出した。
https://mainichi.jp/articles/20210812/k00/00m/040/286000c
8月13日付で静岡新聞からは、表面が崩れないよう固化材を混ぜた可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
記者会見した難波喬司副知事は、不適切な工法の盛り土を安定化させるためにフッ素を含んだ固化剤が使われた可能性があるとの見解を示した。
フッ素を含む土砂は、市内の仮置き場で流出防止策を講じて一時保管した上で、最終処分場に運ぶ。
崩れ残った盛り土とみられる部分からも一定濃度のフッ素が検出された。
土砂の強度を高める固化剤に含まれていたとみられるが、盛り土は届け出の3倍を超える高さに積み上げられていた疑いがあり、固化剤だけで盛り土を安全な状態に強化できないという。
難波副知事は、「表面が崩れないように固化剤を混ぜたのではないか」と推測。
盛り土崩落のメカニズムの究明過程で固化剤の影響を検討する方針を示した。
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/944494.html
8月13日11時0分にNHK静岡からは、フッ素を含んだ土砂ゆえ県内の処分場では最終処分が難しくなったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県によりますと、住民や搬出作業にあたる人の健康には影響はない水準だということです。
一方で、国の指針では、基準値を超えるフッ素を含んだ土砂は、流出を防ぐ対策などがとられた処分場で最終処分することが求められていて、県内の処分場では最終処分が難しくなったため、県が対応を検討することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20210813/3030012857.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。