月日は流れ、あの事故から48年が経過した。
当時の関係者の、おそらくは全員が会社を去り、鬼籍に入った人も、ブログ者が知る限り3人いる。
そのような現状、事故のきっかけとなったバルブ誤操作のいきさつ・・・こんな些細なことから、あのような大事故が起きてしまったと書き残しておくことが、産業安全をテーマにブログを書いているブログ者にとって残された最後の課題ではないのか?
ここ数年、そのようなことを考えるようになっていた。
そして、事故発生50年の節目にあたる再来年あたりにでも本ブログに書いてみるか・・・現在、当該装置を運転している見知らぬ後輩たちにも伝承しておいたほうがよいかもしれないし・・・・。
そのようにも思い始めていた。
そういった状況下、今回の新型コロナ騒動。
外出を自粛しているとはいえ、ブログ者もいつ感染するかわからない。
とすれば、ブログに書くなら、今がその時か・・・。
とまあ、そのような考えに至ったので、節目の年ではないが、ブログ者が記憶している範囲のことを、本ブログに掲載することにした。
(一部、記憶違いがあるかもしれないが)
〇一度で覚えられないようなことならメモしておく、あるいは
先輩の模範作業をただ見ているだけでなく自分で実際に作業
して身体に覚え込ませておけばいいものを、それをしなかっ
た、仕事に対する真摯な姿勢の欠如。
〇どうせ分からなくても、その時は他人に聞けばいいやという
考えの甘さ。
〇あるいはまた、通常作業時の何気ない一言。
〇プライドが邪魔をして、知らないことを知らないと言えない
こと。
〇そして、自分でもなぜそうしたか分からない一瞬の魔。
そういった、日ごろ作業していて遭遇するかもしれない些細な場面が、場合によっては大事故につながることがある。
その一つの事例として知っておいていただければ幸いである。
【第2エチレン装置の運転体制】
コンビナートの装置ゆえ24時間稼働。
4直3交替制をとっていた。
直の編成は、たしか直長1名、直長補佐1名、計器室から遠隔操作するボードマン2名、現場作業全般を見る担当者ならびに見習い者を含めた現場担当者が計8名、それに定員外の新入社員を加えた13名だった。
【ブログ者の経歴】
ブログ者は前年4月の入社後、半年間、研究所で実習教育を受け、10月から工場勤務となった。
工場では、工場勤務に必要な教育を受けた後、第2エチレン装置に配属され、そこでも教育を受けた後、直勤務となった。
直では、先輩社員にくっついて各部門担当者としてのOJT教育を受けた後、一人立ちし、他の部門を経て分解炉部門を担当したばかりだった。
【バルブ誤操作に至る経緯】
当日は16時から24時までの勤務。
前述の失敗100選記載内容から逆算すると、18時半ごろだっただろうか、ブログ者はボードマンから、分解炉チューブのデコーキングのため空気配管のバルブを切り替えるよう、指示を受けた。
※デコーキングとは
分解炉のチューブ内にはコークスが付着する。
そのため定期的に、何カ所かのバルブを切り替えた上でチューブ内に空気を送り、コークスを燃焼除去している。
この空気配管バルブ切り替え操作は過去に1度、先輩につれられて実施したことがあるが、その時は先輩が操作するのを見ていただけで、実際に自分で操作はしなかった。
一人でやるのは初めてで、ちょっと自信がない。
そこで、他の部門を担当していた先輩のIM氏に助成をお願いした。
というのは、この先輩とは何故かウマが合い、なんでもザックバランに話せる間柄だったからだ。
お願いした際にIM氏が放った言葉。
たしか、こんな感じだった。
「ワシも、あまりやったことがないんじゃ」
それに対しブログ者、たしか「またまたー、先輩がやってないことはないでしょう・・・」的なことを言った覚えがある。
今、思えば、この何気ない一言が、全ての始まりだった。
若干、気の弱いところもあったIM氏、先輩のメンツにかけて、それ以上、できないとは言えなかったのかもしれない。
後日、英会話の教材を持っているのに、また別の教材を買わされたりしていたことだし・・・。
その後のやりとりは覚えていないが、結局、2人してバルブ切り替えに行った。
切り替えバルブは、地上5~6m?の配管ラック上にある。
バルブ操作は、またしても自分でやらず、IM氏にお任せだ。
IM氏、1つバルブを開けた後、離れた位置にあった、もう1つのバルブを閉めにかかる。
その際、ブログ者には何か違和感。
以前、別の先輩が操作していたバルブと、なにか違う場所のような気がしたのだ。
そこで、「そのバルブは違うのでは?」的なことを言うと、IM氏からは「これでええんじゃあ」的な、そんな返事が返ってきた。
当該バルブ閉止で一連のバルブ操作を終え、2人してラックを降り、復命のため計器室に戻っていくと、大変なことになっていた。
(次回は7月21日 予定)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。