







2015年3月19日22時16分に中日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三重県桑名市のごみ固形燃料(RDF)発電所で2003年8月に起きた爆発死傷事故をめぐり、事業主体の県と管理運営を担当した富士電機(東京)が互いに損害賠償を求めていた訴訟の判決で、津地裁は19日、富士電機に19億600万円、県に7億8300万円の賠償を命じた。
坪井裁判長は、「事故の被害拡大は双方の債務不履行によって生じた」と指摘。
富士電機側は設計者として換気や防災設備が不十分だった点、県側は消防への出動要請をすぐに実行しなかった点などを挙げた。
その上で、富士電機側により重い過失割合を認めた。
判決によると、爆発は貯蔵槽に積まれたRDFが外気や結露の影響で温度が上昇し、発火に至ったことなどが原因で起きた。
富士電機側は、RDFの品質自体に問題があったと県の製造責任を追及したが、判決では「爆発事故以前に起きた火災では品質不良による影響が認められるが、爆発の時点では改善されていた」と退けた。
事故では、消火活動中だった桑名市消防本部の消防士2人が死亡し、発電所の作業員ら5人が重傷を負った。
06年に県と富士電機が責任の所在をめぐって互いに提訴していた。
出典URL
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015031990221640.html
3月20日付で伊勢新聞からも、詳細な記事が下記趣旨でネット配信されていた。
桑名市多度町の三重ごみ固形燃料(RDF)発電所で平成14~15年にかけて連続的に発生し、消防士ら7人が死傷した火災や爆発事故で、過失責任をめぐり、事業主体の県と、運営管理を受託した富士電機とが、事故処理費合計約54億円の負担を求めて互いを訴えた訴訟の判決が、19日、津地裁であった。
坪井裁判長は双方の過失を認め、企業側に約19億600万円、県側に約7億8300万円の支払いを命じた。
爆発事故は、平成15年8月14日と19日に発電所貯蔵槽で発生。
14日は、その前月下旬から発熱・発火していたRDFの排出作業をしていた作業員四人が爆風でやけどを負い、19日は、屋根の上で消火作業中の消防士2人が死亡、作業員1人が重傷を負った。
また、発電所稼働当初の同14年12月には、貯蔵槽内部での火災も発生していた。
坪井裁判長は判決理由で、企業側の過失として、
○貯蔵槽設備の不備についての調査や施設の改造等が不十分だった点
○再発防止策が実効的なものとなっておらず、再発防止策が順守されてなかった点
○外部倉庫に長期保管されていたRDFを貯蔵槽に投入した点
○貯蔵槽内の異常発生措置が遅れた点
などを指摘した。
また、県側にも、
○RDFの保管機能が不十分な保管設備の設置
○企業からの消防署への出動要請の拒否
○外部から見学時に企業に消火活動をさせなかった点
などについて、企業庁の注意・保護義務違反などの過失があったとした。
双方の訴状などによると、県側はRDF施設の整備事業計画で、「『富士電機が裁量と責任で設計する』と規定しているにもかかわらず、防災や臭気、換気、防湿の対策に不備があった」と主張。
温度の異常上昇などに対する適切な処理を怠った点や、発熱発火の原因とも言われるRDFの保管が不適切だった点などを指摘し、約22億5000万円の支払いを求めた。
企業側は、「県がRDF発電所に関する設計・施工契約と運転維持管理契約を守らなかったことが事故を招いた」と主張。
爆発直前の火災を「予見不可能だった」とする一方、爆発については「火事以降の原因究明や安全対策が十分でなかった」と認め、県との応分を合わせた約31億4000万円の支払いを求めていた。
関連して、地方公務員災害補償基金が被害者補償として、約2300万円の支払いを富士電機に求めた損害賠償訴訟判決もあり、坪井裁判長は基金側の訴えを全面的に認め、企業側に約2300万円の支払いを命じた。
判決を受け、鈴木知事は、「今後の対応については、判決内容を確認のうえ、十分に精査・検討、対処したいと考えている」とコメントした。
富士電機担当者は、「判決内容を精査しており、現段階ではコメントを控える。控訴については期限までには決定したい」とした。
出典URL
http://www.isenp.co.jp/news/20150320/news01.htm
(ブログ者コメント)
事故の概要は、失敗知識データベースに、以下のように記されている。
2003年8月14日発生分
設置以来何度かトラブルを繰り返していたRDF燃料発電設備のRDF貯蔵槽の、大量のRDFが発熱した。放水などで対応している時に最初の爆発が起こった。
消火が進まず、次に打つ対策の工事をしている時、最初の爆発から5日後に2回目の爆発が起こり消防士2名が亡くなった。
完全に鎮火するまで、最初の爆発から47日を要した。
RDFそのものの不安定さと、無知あるいは未知による管理の悪さが原因と考えられる。
http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CC0300010.html
事故前後の状況は、下記資料(6ページ)参照。
http://www.fdma.go.jp/html/new/pdf/1512_anzen_1.pdf
事故の最終報告書(111ページ)は、下記参照。
http://www.pref.mie.lg.jp/D1KIGYO/rdf/houkoku.pdf
(2023年6月2日 修正1 ;追記)
2023年5月30日17時1分にNHK三重からは、安全意識の欠如が原因で事故が起きたとする県の報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運用開始直後から爆発事故などのトラブルが相次ぎ、4年前に運用を終えた三重県桑名市のごみ固形燃料発電所について、県は「事故は安全性を重視する意識の欠如が原因で発生した」などとする報告を公表しました。
桑名市多度町にあったRDFという可燃ゴミからできる固形燃料を使った発電所は、三重県企業庁が平成14年に運用を開始しましたが、翌年に爆発事故を起こし、消防職員2人が死亡するなどトラブルが相次ぎ、4年前に運用を終えました。
県は、事故や事業そのものについての報告をとりまとめ、30日、ホームページ上で公表しました。
このなかで、爆発事故の半年ほど前に火災があり、施設の危険性や設備の不備が明らかになったにもかかわらず、再発防止策を示していなかったなどと指摘したうえで、「事故は安全性を重視する意識の欠如が原因で発生した」と結論づけました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20230530/3070010550.html
(ブログ者コメント)
当該報告書を見てみようと探してみたが、見つからなかった。
(2023年6月11日 修正2 ;追記)
読者の方からコメントとして報告書概要版のURLを教えていただいた。
有難いことです。
当該資料の中で事故の本質に触れていると感じた箇所を紹介します。
第5章 事業の総括
この爆発事故は、様々な場面において、安全性を重視する意識の欠如が 原因で発生したものでした。
・・・
最も問題があったのは、第1次火災事故後の対応でした。
第1次火災事故後の原因調査の実施、再発防止策の実行、設備改修及びRDF搬入量調整等は、安全性を確保するための重要事項であったにも関わらず、その優先順位を相対的に低下させてしまったことは、施設の設置者としての重大な判断の誤りでした。
また、第1次火災事故の際に、発火が確認されたにも関わらず、「異常発熱が認められた」と公表するに止めていたことなど、企業庁が情報開示に積極的でなかったことで、RDFの性状や適正な保管についての注意喚起を遅らせ、発熱・発火のメカニズム解明の契機とすることができなかったことは大きな反省点です。
・・・


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。