2016年9月21日21時38分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
防水材などに硬化剤として使われる化学物質のMOCA(モカ)を取り扱う化学工場の労働者5人にぼうこうがんが発症したことが分かり、厚労省は21日、日本化学工業協会など業界4団体に、健康被害の防止対策徹底を求めた。
MOCAを扱う事業所でぼうこうがん発症が確認されたのは初めてで、厚労省は調査に乗り出した。
昨年12月にオルト−トルイジンを取り扱う福井県の化学工場の労働者にぼうこうがんの発症が相次いだことが判明。
厚労省は、この物質を扱う全国の事業所を調査したところ、退職者6人を含む7人がぼうこうがんを発症した事業所があった。
7人中4人は「オルト」を扱ったことがなく、5人がMOCAを扱う作業をしていたため、ぼうこうがんとの関係が判明した。
発症は30代が1人、40代が2人、60代が4人。
事業所では、約200人が働いているという。
MOCAは、厚労省の特定化学物質障害予防規則の適用対象で、排気装置の設置や暴露防止措置、特殊健康診断の実施などが義務づけられている。
国際がん研究機関(IARC)が2010年に、発がん性がある物質と指摘している。
厚労省によると、MOCAを製造や使用で取り扱っている事業所は全国で178あり、特殊健康診断の受診者は2024人という。
出典
『化学工場 ぼうこうがん5人発症 MOCAが関連か』
http://mainichi.jp/articles/20160922/k00/00m/040/107000c
9月21日23時11分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
発がん性物質「オルト・トルイジン」を扱う工場の従業員らが膀胱がんを発症した問題で、厚労省は21日、別の発がん性物質も発症に関連した可能性があると発表した。
オルト・トルイジンを扱うM社(東京)の福井県の工場で従業員らが膀胱がんを発症したことを受け、厚労省は、オルト・トルイジンを扱う全国の事業場を調査。
別の企業の事業場(従業員約200人)でも、従業員1人と退職者6人の計7人の男性が膀胱がんを発症したことを確認した。
うち少なくとも4人はオルト・トルイジンを扱う部署での勤務経験がなく、発症の原因を調べていた。
この事業場には、2003年まで「MOCA(モカ)」という別の発がん性物質を扱う工場があり、オルト・トルイジンを扱っていない4人のうち、3人が10年前後勤務していた。
オルト・トルイジンを扱っていた2人も、この工場に勤めていた。
MOCAは、主に建築建材を作る際の硬化剤の原料として使われ、粉状になる。
工場内の空気中濃度が高かったことを示す記録が残っており、厚労省の担当者は、「従業員は吸引したとみなされる」としている。
ただ、発症した7人のうち2人は、どちらの物質も扱ったことがない可能性があるという。
厚労省は、MOCAと発症との因果関係を詳しく調べる。
MOCAを扱う事業場には特殊健康診断が義務づけられていて、昨年は全国178事業場で約2000人が受診した。
これらの事業場で膀胱がん発症の事例がないかも調べる。
出典
『工場で膀胱がん発症、別の化学物質も原因か 厚労省調査』
http://www.asahi.com/articles/ASJ9P64W3J9PULFA036.html
(ブログ者コメント)
オルトトルイジンによる発症事例は、下記記事参照。
2015年12月18日報道 福井市の工場でオルト-トルイジンなどを取り扱っていた従業員ら5人が膀胱がんを発症、手袋等着用だったが素手で触ったことなどもあった由
(第1報)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5508/
(第2報)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5767/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。