







(ブログ者コメント)
ブログ者も10年ほど前、撮りためたVHSからDVDに自宅デッキ2台を使ってダビングし始めた。
ただ、半分ほど終えた時点でVHSカセットが取り出せなくなり、無理に取り出そうとするとテープが絡まるというトラブル発生。
デッキを修理してダビング続行すべか考えたが、一度撮ってしまえば、それで安心して、以後、見直したことはほとんどないというこれまでの実績に鑑み、ダビングするのは止めにした。
以降、案の定、もう一度見てみたいと思ったことは一度もない。
そういうこともあり、断捨離の一環として残るVHSカセットは全て廃棄した。
売り出された初期の頃は1本4~5千円もしていたのに、なんと先を見る目がなかったことよ・・・。(笑泣)
以下は今回の報道。
2025年6月7日6時55分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
学校行事を撮影したビデオや郷土の語り部の肉声を録音したカセットなど、記録手段として広く活用されてきた磁気テープが、再生できなくなる危機に直面している。
経年劣化に加えて、再生機器の生産・修理の終了も要因で、青森県内でもDVDにダビングする業者が対応に追われている。
専門家は家庭内の映像にとどまらず、県の歴史を記録した貴重な資料の喪失につながりかねないと懸念する。
「(依頼は)昨年暮れ頃から3~4倍に増えている。(一度に)50本持ってくる人もいる」。
磁気テープの映像をDVDにダビングするサービスを提供する「カメラのキタムラ青森・青葉店」(青森市)の中岡店長のもとには、多くのテープが持ち込まれる。
結婚式やテレビ中継された高校野球の地方大会といった映像が多いという。
全国で約600店舗を展開する同社では、客から預かったテープを高松市の工場で一括してダビングする。
通常1か月弱の納期は、現在2~3か月だ。
磁気テープの耐用年数は20~30年で、依頼急増の背景には、2025年頃を境に再生できなくなるとされる「25年問題」がある。
再生機器の生産や保守を担うメーカーも撤退しており、国内でビデオデッキを唯一販売していた船井電機(大阪府)が16年に生産を終了。
19年には、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が「25年までにデジタル化しなければ、テープは永遠に失われかねない」と警鐘を鳴らした。
25年問題は、地域の歴史や文化に関係する資料の消失といった危機もはらむ。
県立図書館(青森市)は、県にまつわるドキュメンタリー映像などのビデオテープ1389点(23年度末時点)を保管し、視聴用のビデオデッキ2台を設置している。
ただ担当者は、「壊れた時に新しいものを買えるか」と不安をのぞかせる。
25年問題の啓発イベントを開催している国立映画アーカイブ(東京都)の冨田・主任研究員は、「地域の文化や生きた記憶が残らず、(歴史に)空白期間ができてしまう」と危惧する。
その上で、映像や音声のデータを複数の記録媒体で保存する「デジタルファイル化」を訴える。
DVDへダビングしても、将来的にビデオ同様に再生できなくなる可能性があるからで、分散保存が不可欠だという。
冨田主任研究員は保存に向け、「図書館や博物館など地域の機関で話し合うことが大事だ」と、関連施設が連携して対応するべきだと強調する。
◆磁気テープ
カセットやビデオに代表される記録媒体。
特にビデオテープを巡っては、1976年に日本ビクター(現・JVCケンウッド)が発売したVHSと、前年にソニーが出した「ベータマックス」が激しいシェア(占有率)争いを展開した。
VHSが広く普及したが、高画質なDVDの登場で下火となった。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250602-OYT1T50238/
2025年6月5日11時32分にYAHOOニュース(JBpress)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「失敗は成功の母」とは言われるものの、実際には、失敗の危険性の高いことに挑むのは勇気がいる。
特に減点主義が蔓延している日本企業では、あえてリスクを冒さない“無難”志向が強く、それがイノベーションを阻害する要因とも指摘される。
そうした中、グローバルで成功している優良企業の事例を交えながら、失敗を類型化し、失敗を通じて生産性を向上させるためのフレームワークを提供しているのが、『失敗できる組織』(エイミー・C・エドモンドソン著、土方奈美訳/早川書房)だ。
同書の内容の一部を抜粋・再編集し、そのポイントを紹介する。
「ひょっとしたら大丈夫かもしれないが、悪い予感がする」。
誤警報への叱責を恐れることなく、現場の人間が安心して発言できる環境は、どうすれば構築できるか。
トヨタ自動車の事例から考える。
■誤警報を歓迎する
どうすれば、複雑な失敗が起こる前に察知できるだろうか。
多数の要因が過去に例のない特異なかたちで絡み合って生じるという複雑な失敗の性質を考えると、そんな試み自体が無駄に思える。
だが実際にはシンプルで洗練されたやり方がある。
それは誤警報に対する考え方を改めるところから始まる。
トヨタ自動車の工場では、ミスが本格的な失敗に発展する前に作業員がアンドンを引いてチームリーダーに知らせる仕組みがあるというエピソードを思い出してほしい。
チームリーダーとメンバーは、潜在的問題を大小にかかわらず調査し、問題を解決するか、脅威はなかったものと判断する。
アンドンが引かれて生産ラインが停止したケースが12回あったとしよう。
そのうち実際に問題があったのが1回だけだったとしたら、会社は残りの11回の誤警報についてスーパーバイザーの時間を無駄にしたといって怒るだろうか?
まさに、その逆である。
本当のミスではなくアンドンが引かれた場合、それは有益な訓練とみなされる。
誤警報は貴重な学習の機会、どんなミスが起こりうるか、それを減らすために何ができるかを学ぶ場とみなされる。
これは企業文化の話ではない。
実用的アプローチだ。
アンドンが引かれるたびに、長い目でみれば時間を節約し、品質を高める機会が生まれる。
同じようなアプローチが医療現場でも使われている。
緊急対応チーム(RRT)と呼ばれるイノベーションだ。
病室の看護師が患者のちょっとした変化(顔色が悪い、具合が悪そうだ)に気づいたとする。
それは心臓発作のような差し迫った危険の表れかもしれないし、そうではないかもしれない。
そんなとき、数分以内に専門医や看護師を病室に招集し、状況を評価し、必要とあれば治療する仕組みがRRTだ。
RRT導入以前は、看護師は実際に心臓発作が起きたときなど本当の緊急事態しか医師の協力を求めず、それは重篤な状態にある患者を蘇生するためのコードブルー(緊急事態)に直結した。
20年前にオーストラリアで初めて導入されたRRTによって、心臓発作の発生頻度は低下した(73)。
それから10年後、私はマイク・ロベルト、デビッド・エイジャーとともにハーバード大学の学部生ジェイソン・パクの卒業論文を指導した。
優秀賞を受賞したこの論文(74)は、アメリカでいち早くRRTを導入した4つの病院を調査した。
私たちはRRTを曖昧な脅威を増幅させるツールとみなすようになった。
群衆に語りかけるときにはメガホンを使って拡声するように、RRTやアンドンは複雑な失敗の曖昧なシグナルを増幅させる。
増幅は誇張とは違う。
小さな音を聞こえるようにするだけだ。
患者の様子が何かおかしいかもしれないという曖昧な脅威を増幅することが、最終的に心臓発作の減少につながった。
まず看護師(病院のヒエラルキーのなかでは比較的権力の低い最前線の労働者)がたとえば患者の心拍や意識状態の変化など初期の警告サインを報告した場合に無視されるリスクが減った(75)。
RRTがそのような報告を正当なものと位置づけたからだ。
こうして新米看護師でも患者の様子がおかしい、あるいはちょっと具合が悪そうだと思ったら安心して声をあげられるようになった。
みなさんも『オオカミ少年』のイソップ童話をご存じだろう。
羊飼いの少年が「オオカミが来たぞ!」と何度もウソの警告を発する。
ついに本物のオオカミが現れたときには誰も耳を傾けず、結局すべての羊が(バージョンによっては少年も)食べられてしまうという話だ。
世界中の子たちへの教訓は?
もとは「ウソをついてはいけません」だったのかもしれないが、多くの人は「確信が持てるまでは発言するな」という意味だと解釈しているようだ。
悪い予感がしたから声をあげたものの、結局なんでもなかった。
そんな状況に陥って周囲から白い目で見られるのは誰だって嫌だ。
誤警報になったら困るからと、懸念があっても口にしなかった経験はみなさんにもあるだろう。
周囲に笑われるかもしれない、見識不足だと思われそうだと考えたのだろう。
他の人が指摘するのを待っているほうが楽だ。
(引用文献)
こうした一般的な傾向を克服するため、RRTのベストプラクティスには看護師が声をあげるのが妥当か判断するために参照する、初期警告サインのリストの作成が含まれている。
このリストがあることで、看護師は曖昧な直感をもとに声をあげやすくなった。
それが業務手順に従った行動になるからだ。
RRTが患者のベッドに到着したら、本当に患者の容態が悪化しているのか熟練した目で評価できる。
これは単に警戒心を持つというだけではない。
従業員に微弱なシグナルを増幅したり評価したりする権限(アンドンやRRT)を付与するというのは、彼らに全力で業務に取り組むよう促すことに他ならない。
自らの仕事が本質的に不確実なものであることを受け入れ、自らの目と耳と頭脳を信じるよう促すのだ。
優れたRRTシステムは、死亡事故を防ぐことにつながるなら診断に費やす時間は価値ある投資だという姿勢を強く示すために、インクルージョン(包摂性、全員をチームの一員として受け入れること)を重視する。
これから起ころうとしている問題を事前に察知すれば、解決や実害の回避につながりやすい。
スタンフォード大学の調査では、RRTが導入されて以降、コードブルー(心停止に陥った患者を救うための困難な医療行為で、失敗に終わることが多い)は71%減少していた(76)。
また、リスク調整後の死亡率も16%低下していた(*)。
興味深いことに他の研究では、RRTの導入によるパフォーマンス改善は見られなかった。
なぜ、このような差が生じたのだろうか。
*医療業界では研究に参加するグループの品質パフォーマンスを比較する際に、患者の容態の深刻さを考慮してリスク調整を行う。
RRTプログラムを導入すると発表するだけでは不十分だ。
それをどのようなものとして提示するかが重要なのだ。
RRTが招集されるたびに死の脅威に直面する患者が発見されるものと病院スタッフが期待すれば、誤警報が発せられるたびにみんなうんざりして、プログラムはしりすぼみになっていくだろう。
一方、誤警報がチームの技能を向上させるための有効な訓練と位置づけられれば、トヨタと同じように誰もが誤警報はムダではなく価値あるものと感じるだろう(77)。
マイク・ロベルトは名著『なぜ危機に気づけなかったのか:組織を救うリーダーの問題発見力』(英治出版)のなかで、RRTのもたらすマインドセットの変化を「消火活動から煙探知へ」と表現する(78)。
これを、どうすればあなたのチーム、あるいは家族に応用できるだろうか。
誰かが懸念を表明したら、それが最終的に妥当であったか否かにかかわらず、感謝を表明する姿勢を身につけるだけでいい。
確信がなくても声をあげるというささやかなリスクをとった人に感謝をすれば、そういう行動が助長され、それはときに重大な事故を回避するのに役立つだろう。
(引用文献)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b97ce7f116097a996abf27f03838c16c00fb23dd
2025年5月13日20時54分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
総務省は13日、SNS(交流サイト)などで拡散する偽・誤情報に関する実態調査の結果を公表した。
過去にあった偽・誤情報を例に挙げ15歳以上の男女2820人を対象に調べたところ、およそ半数が「正しい情報」と誤認していたことが判明。
さらに4人に1人が何らかの手段で偽・誤情報を拡散していた。
例に挙げたのは、日本ファクトチェックセンターの検証で偽・誤情報と確認した15項目。
昔からある「イワシやクジラの大量漂着は地震の前触れ」や、能登半島地震後にX(ツイッター)で拡散した「隆起の影響で消波ブロックが海岸の障害となった」が含まれる。
これらの情報が一つでも「正しい」「おそらく正しい」と回答した人は計47・7%。
情報を直接、第三者に話したり、SNSに書き込んだりして拡散した人は25・5%に及んだ。
情報を拡散した理由(複数回答)は「情報が驚きの内容だった」(27・1%)が最も多い。
「情報が興味深い」(20・9%)、「他の人にとって有益だと思った」(20・2%)など、情報に価値があると感じて拡散したという回答も多かった。
では、情報の真偽をどのように判断しているのだろうか。
10代では、発信元や情報源が公的機関や専門家であることを基準にする人が多い一方で、60代では自身の考えや信念と一致することなどを判断材料とする人が目立った。
テレビや新聞などで誤った情報だと報じられていたり、SNSや動画共有サービスのコメント欄の指摘を見たりして偽・誤情報だと気づいたという人も多かった。
https://mainichi.jp/articles/20250513/k00/00m/040/254000c
(ブログ者コメント)
少数の意見を多数意見に見せかける情報操作については、過去にも本ブログで紹介している。
2021年2月11日掲載
『2021年2月4日報道 ネットの炎上は、ごく少数の人が、人によっては複数のアカウントから批判や誹謗中傷を何回も書き込むことで始まり、それをマスメディアが取り上げることで大炎上する』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11392/
以下は今回の情報。
2025年5月5日5時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事が複数枚の解析グラフ付きでネット配信されていた。
国が政策案について一般から意見を募るパブリックコメント(パブコメ)で、1万件以上の意見が寄せられたものが昨年度、現行制度で最多の10案件に上ったことが読売新聞のデータ分析でわかった。
文言・文章が同一の意見が大量にあり、いずれもSNS上に意見の「例文」を示して提出を呼びかける投稿が拡散していた。
専門家は「特定の意見が多数を占めるかのように誤解され、行政への不信を招く恐れがある」と指摘する。
パブコメは、国の行政運営の公正さや透明性の向上を図るため、政策案などを公表して広く一般から意見を募り、政策決定に活用するのが目的。
2006年度に改正行政手続法に基づく現行制度の運用が始まった。
郵送のほか、政府のオンラインシステム「e―Gov 」(イーガブ)でも提出できる。
名前や住所などの記入は任意で、提出件数に制限はない。
読売新聞は、e―Govに4月20日時点で掲載されていたパブコメのうち、06~24年度に行われた計約3万4000案件(重複を除く)を分析。
1000件以上の意見が寄せられたのは、15年度以降で少なくとも計145案件確認された。
1万件以上は29案件あり、うち24年度は最多の10案件に上った。
10案件は、東京電力福島第一原発事故に伴う除染作業で発生した「除染土」の再利用、新型インフルエンザ等対策政府行動計画、マイナ保険証の関連など。
除染土のパブコメには過去最多の20万7850件の意見が集まった。
だが、実施した環境省が精査したところ、意見の96%(19万9573件)は、残りの4%(8277件)のいずれかと全く同一の文章だった。
「反対」「汚染土県外使用禁止」とだけ書かれた意見はそれぞれ約1万件あった。
残りの9案件も「同一文言が相当数あった」(厚生労働省)、「同一文言や語尾だけ変えたものが大量にあった」(総務省)という。
読売新聞が10案件についてX(旧ツイッター)の投稿を調べたところ、いずれも「参考例文」「コピペOK!」などと意見の例文を示した投稿が確認された。
除染土のパブコメでは公募期間中(1月17日~2月15日)、「(除染土を)発生場所で保管すべき」などの例文を示し、大量に意見を出すよう呼びかける投稿が拡散。
これらの例文と同一の意見が実際にパブコメに提出されていた。
制度を所管する総務省によると、パブコメの意見は内容が考慮され、多寡は判断材料とならない。
同一意見が大量に送られることについて、関係省庁からは「行政事務の適正な執行の妨げになる。制度のあり方自体に影響を及ぼしかねない」(浅尾環境相)との声も上がる。
川上和久・麗沢大教授(政治心理学)は「パブコメで特定の意見を多く見せかけることは、社会の分断を招きかねない。趣旨を理解して制度を利用すべきだ」と指摘している。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250504-OYT1T50090/
■20万件を超えた意見、精査に1か月半
「こんな意見数は見たことがない」。
環境省の担当者は驚きを隠さない。
東京電力福島第一原発事故に伴う除染作業で発生した「除染土」の再利用に向け、同省が1~2月に実施したパブコメは20万7850件もの意見を集めた。
担当部署では、職員約10人がかりで意見を1件ずつ精査した。
深夜や土日も作業に追われること1か月半。
意見の96%は、残り4%のいずれかと一字一句同じだった。
意見の「数」が独り歩きする事態も起きている。
東京都三鷹市議会は3月27日、「放射性物質の拡散の危険性がある」として除染土の再利用の中止・撤回を求める意見書を賛成多数で可決した。
意見書には、「多くの国民が放射能汚染土の再利用に不安を持ち、拡散はすべきではないと感じていることを示している」としてパブコメの意見数も引用され、3月末、政府に送られた。
■SNSで呼びかけ、追い込み
読売新聞が政府のオンラインシステム「e―Gov 」にあるパブコメを分析した結果、大半の案件が「意見数100件未満」で、1万件以上もの意見が寄せられるのは極めて異例だ。
大量の同一意見はSNSでの「呼びかけ」に応じて提出されているとみられる。
除染土のパブコメでは、X(旧ツイッター)の複数アカウントが「再利用と自然災害による環境汚染の懸念」などと反対や懸念を示す例文を紹介。
締め切りが近づくと、例文を再掲示したり、提出意見の総数を示したりして「追い込み」をかける投稿も現れた。
除染土のパブコメに次ぐ約19万5000件の意見が集まった新型インフルエンザ等対策政府行動計画のパブコメでも、SNS上での呼びかけが相次いだ。
■「制度の趣旨が十分周知されていない」
「政府の横暴を止めるには、国民意見数の力だ!」。
広島県呉市の男性(69)は昨年5月、こんなメッセージとともに意見の例文を載せたリンク先をXに投稿。
読売新聞の取材に「政府のパブコメは形だけだ。反対意見がたくさんあると見せることは、国民への宣伝材料になる」と主張する。
川上和久・麗沢大教授(政治心理学)は「『数』より『内容』が重視されるパブコメ制度の趣旨が十分周知されていないため、世論誘導に利用されてしまっている」と指摘する。
■デジタル庁「数が考慮の対象となる制度ではありません」
パブコメ制度を揺るがす事態に、国も動き出している。
デジタル庁は3月、e―Govにあるパブコメの意見入力フォームに「同一内容の意見が多数提出された場合でも、数が考慮の対象となる制度ではありません」との注意書きを加えた。
制度を所管する総務省は、同庁と連携し、多数の意見をAI(人工知能)で分類するシステムの導入も検討している。
制度化に携わった常岡孝好・学習院大教授(行政法)は「意見が多く寄せられること自体は好ましいが、自分の言葉で意見を述べることが重要だ」と指摘。
「行政側も重要な意見には真剣に向き合い、原案を修正する必要がある」と訴える。
■インフルエンサーが曲解
パブコメの内容に関連した誤情報が拡散し、意見が殺到したものもある。
国土交通省は昨年4~5月、国の土地利用政策の変更に関するパブコメを実施。
所有者不明の土地の発生を防ぐため、国内に土地を所有しながら海外に住む日本人や外国人に対し、国内の連絡先の提出を求める内容だった。
しかし、公募期間中に「外国人の土地購入が容易になる」との誤情報がXに拡散。
締め切り前日には「外国人土地取得問題から国をまもる決意で送ろう!」とパブコメへの応募を呼びかける投稿が行われ、再投稿は4400回、閲覧数は45万回に上った。
国交省によると、意見の提出は締め切り前の2日間に集中。
意見数は3万8330件に上り、同一意見も2割程度あった。
同省の担当者は「インフルエンサーが曲解して意見提出を呼びかけ、事実関係を確認しないまま反応した人が多かった」と分析する。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250505-OYT1T50012/
2025年4月6日5時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中国の新興企業ディープシークが1月に公開した生成AI(人工知能)について、マルウェア(悪意あるプログラム)や火炎瓶の作成など、犯罪に悪用可能な情報を回答することが日米のセキュリティー会社の分析でわかった。
悪用防止機能が不十分なまま公開されたとみられる。
専門家は「開発企業は安全対策に注力すべきだ」と訴える。
問題のAIはディープシークの「R1」。
セキュリティー会社「三井物産セキュアディレクション」(東京)の上級マルウェア解析技術者・吉川氏が悪用リスクを検証するため、不正な回答を引き出す指示文を入力したところ、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)のソースコード(設計図)が出力された。
回答には「悪意のある目的には使用しないでください」とのメッセージが付いていた。
チャットGPTなど他の生成AIにも同じ指示文を入力したが、回答を拒否されたという。
吉川氏は「悪用リスクが高いAIが増えると、犯罪への流用につながる恐れがある。業界全体で対策を強化する必要がある」と指摘する。
米セキュリティー会社「パロアルトネットワークス」の調査チームも、不正な回答を引き出せることを確認したと読売新聞の取材に明らかにした。
ログイン時の入力情報を盗み取るプログラムや火炎瓶の製造法などで、「指示文に専門的な知識は必要なく、回答の内容はすぐに実行可能なものだった」という。
同チームは「市場投入を急いだため、安全対策の実装に力を入れていなかった可能性が高い」とみる。
ディープシークのAIを巡っては、チャットGPTに匹敵する性能や安価な利用料金が注目されているが、個人情報を含むデータが中国国内のサーバーに保存されるため、日本の自治体や企業では業務利用を禁じる動きが広がっている。
桜美林大の平和博教授(メディア論)は、「ディープシークのAIを利用する際は、性能面やコスト面だけでなく、安全面も十分考慮する必要がある」と話す。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250405-OYT1T50147/
2025年3月9日9時17分にYAHOOニュース(PRESIDENT Online)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
(ブログ者コメント)
中国政府にデーターを抜き取られる恐れがあるから・・・ということは知っていたが、それ以外に、こんな懸念もあったとは・・・。
以下は元記事。
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中国発の動画アプリTikTokを警戒する国が増えている。
成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「TikTokをきっかけとする暴力事件や未成年の死亡事故などが起きており、制限されるだけの理由はある。運営会社が危険な動画を放置し続けるのであれば、こうした動きは加速する一方だろう」という――。
■アルバニア首相「近所の悪党」
世界中でTikTokに対する禁止、制限措置が進んでいる。
アメリカで今年1月、TikTok禁止法が施行され、1日だけだが利用できなくなったことは記憶に新しい。
トランプ氏による大統領令によって75日間の猶予を与えられたが、4月には再び禁止となる見込みだ。
オーストラリアでは24年11月、16歳未満のSNS利用を禁止する世界初の法案が可決された。
TikTokのほかX(旧Twitter)やInstagramなどが対象で、法案が成立した1年後に施行されるという。
南東ヨーロッパのバルカン半島に位置するアルバニアでは2024年11月、14歳の男子学生がSNSで言い合いになり、同級生に刺殺される事件が起きた。
事件後、同級生がSnapchatで犯行時の写真を共有し、同国では全国的な抗議行動に発展。
一部の青少年はTikTokに「殺人を支持する」という内容の動画を投稿していた。
同国のラマ首相は24年12月、2025年からTikTokを全面的に禁止すると表明。
「TikTokが若者の間で暴力を助長している」、「TikTokは近所の悪党であり、この悪党を近所から1年間追い出すつもりだ」と、禁止の理由を語っている。
■TikTokで「過激化」するメカニズム
TikTokで起きたと見られる暴力事件は、それだけではない。
25年2月、オーストリア南部の路上でシリア国籍の男が通行人をナイフで次々に襲い、14歳の少年を殺害、そのほか5人が重軽傷を負う事件が起きた。
難民申請中の男はTikTokでイスラム教に関する動画を見始め、急速に過激化し、犯行に及んだと見られている。
男は過激化組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っており、「(犯行中に)警察に撃たれることを望んでいた」とも供述している。
TikTokは、AIでユーザーが好みそうな動画をレコメンドするサービスだ。
デマを好む人にはデマを、陰謀論を好む人には陰謀論を多く表示させることで、いわゆる「エコーチェンバー現象」が働き、ユーザーはそれだけが真実という思いを強くすることになる。
オーストリアの事件の場合も、イスラム教に関する過激な動画を見続けることで、行動が過激化した可能性が高い。
アルバニアの事件も同様に、暴力的なコンテンツを見続けることで行動が過激化し、事件に発展した可能性は否定できない。
■ウソがどんどん拡散されていく弊害
TikTokでは、多くの誤情報が拡散されていることが分かっている。
米格付け機関ニュースガードによると、TikTokで流れる動画のうち約2割に虚偽や誤情報が混じっている可能性があるという。
国内でも、NHKの調査によると2024年6月時点で誤情報を含む動画の再生回数は、合わせて少なくとも3億回以上になるという。
TikTokのキーワード検索やおすすめに出てきた10万回以上再生されている動画のうち、誤情報を含む100万回以上再生されている動画は93件で、1件で960万回以上再生されている動画まであった。
SNSでは、画像の加工が当たり前となっており、極端に痩せた写真が多く投稿されている。
未成年がこのような画像や動画を見続けることで、摂食障害に陥るリスクが指摘されている。
TikTokでは、ダイエットに関心が高い未成年に対して過度なダイエット情報を表示し続ける仕組みがある。
しかも、その中には医療的に問題があったり、健康に害悪を与える可能性がある情報が多く混じっており、問題を悪化させているのだ。
■「失神チャレンジ」「頭蓋骨破壊チャレンジ」
24年末、沖縄県浦添市から「SNS動画『スーパーマンチャレンジ』に関する注意喚起」が出された。
中高生がTikTokで流行しているスーパーマンを真似たチャレンジをして、けがをしていることへの警告だ。
TikTokでは、チャレンジ系動画が人気コンテンツとなっており、中には筋トレの一種である「プランクチャレンジ」などの平和なものがある一方で、危険行為を行うチャレンジも少なくない状態だ。
過去には、自らベルトなどで首を絞めて失神し、意識を取り戻すまでを動画に撮影して投稿する「失神チャレンジ」、市販薬ベナドリルを過剰摂取して幻覚を楽しむ「ベナドリルチャレンジ」、ジャンプして着地する前に足を払って転倒させる「頭蓋骨破壊チャレンジ」などの危険チャレンジが流行し、入院、骨折だけでなく、死亡事故も報じられている。
■YouTubeに比べて「野放し」状態
YouTubeでも、洗剤入りジェルボールをかじる「タイドポッドチャレンジ」や、身体に可燃性の液体をかけ火を付ける「ファイアーチャレンジ」などの危険チャレンジが流行し、問題視された結果、そのような動画は削除され、ガイドラインも変更された。
その結果、YouTubeではこのような危険系チャレンジ動画はほぼ見つからない状態だ。
ところがTikTokでは、危険チャレンジが世界的に流行しても、ほぼ対処されていない。
死亡事故などが出て報道などで問題視されて初めて非表示になるなど、対応が後手後手なのだ。
暴力および危険行為は利用規約で禁止されているが、削除・非表示などの対応が十分とは言えない。
■ショート動画を見るのは「最も無駄な時間」
・・・
■中国の運営会社に「浄化」させる方法
アメリカでTikTok禁止法が施行されたのは、国家安全保障上の問題があるとされるためだ。
中国のサービスのため、国家情報法によりユーザーの情報が中国共産党に収集・提供されていると考えられている。
TikTokは10代を中心に、2021年時点で月間アクティブユーザー数が10億人を突破するなど、世界中で高い人気を誇っている。
一方で、誤情報が拡散されたり、暴力や危険行為を加速させたりする上、中毒性が高い点も問題視されている。
TikTokではペアレンタルコントロール機能が用意されており、1日の利用時間の制限や不適切なコンテンツの制限などができるようになっている。
問題は、ペアレンタルコントロール機能の利用率が決して高くないことだ。
楽しく中毒性の高いTikTokであえて保護者に制限してもらいたいと考える10代は多くない。
YouTubeでは危険チャレンジ動画などは規制対象となり、ペアレンタルコントロール機能を使わずとも見ないで済むようになった。
同様に、TikTokでも問題ある動画自体を禁止することはできないのか。
そのような対処がされなければ、他のさまざまな問題と相まってサービス禁止・制限の流れに歯止めはかからない。
ただし、日本は表現の自由を重んじる国であり、国としてSNSの規制に乗り出すとは考えづらい。
また、中国などのように国で一律に規制することが必ずしもいいとも思えない。
まずはユーザー側が声を上げていくことで、運営会社であるバイトダンス(字節跳動)を動かせる可能性があるかもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e09c7c944904324ba29c0cc4011596245aae555d
2025年3月6日9時21分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道は5日、道と道内全市町村、六つの広域連合の計186団体で、外部とのメールの送受信ができなくなる障害が発生したと発表した。
障害は継続しており、復旧まで、3日程度かかる可能性があるという。
共同で利用しているメール送受信用のサーバーが、インターネット上で迷惑メールの発信源と誤認されたことが原因とみられている。
発表によると、障害は4日午後5時半頃から発生した。
詳細は調査中だが、迷惑メール対策に取り組む国際団体が作成し公開している悪質なサーバーの一覧(ブラックリスト)に、道などが使う共同サーバー名が登録されたとみられる。
そのため、一部の迷惑メール対策ソフトが、共同サーバーとの通信を拒否しているという。
共同サーバーから大量の迷惑メールが外部に送られた形跡はないため、道は復旧に向け、国際団体側にブラックリストからの削除を求めている。
また道は、申請などで自治体側に急いで連絡をとる必要がある場合、電話で担当部署に問い合わせるよう、広く呼びかけている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250306-OYT1T50067/
2025年1月28日6時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都府亀岡市は27日、市内のプロパンガス会社から道路占用料などを過大に徴収していたと発表した。
市職員が地下に埋設されているガス管の口径の単位を誤認するミスがあったという。
市土木管理課によると、過大に徴収していたのは2021~24年度分の道路占用料と法定外公共物占用料で、総額71万1200円。
道路占用料は道路法が適用される道路、法定外公共物占用料は「里道」などの地下にかかる。
一般的にガス業界では口径の単位にミリを使うといい、会社から市への申請書類には「42・7」と単位なしの数字が書かれた。
実際の口径は42・7ミリだが、市職員は42・7センチと誤って解釈したという。
埋設したガス管の老朽更新の手続きで市役所を訪れた工事業者が「ちょっと高すぎませんか?」と疑問を呈してミスが判明。
市側は還付加算金を加えた総額81万4447円を返還する。
占用料の請求は毎年4月に行うことになっており、同様のミスがないかも調べる方針だ
https://www.asahi.com/articles/AST1W3T4MT1WPLZB00FM.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
キーワード;ヒューマンエラー
2024年12月4日7時22分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道議会の爆破を予告するメールが11月30日に届いていたにもかかわらず、道議会事務局が、予告当日の2日午後まで把握していなかったことが、事務局への取材でわかった。
不審物は確認されず、3日の道議会本会議は予定通り開かれた。
事務局によると、爆破予告は11月30日午後3時半頃、道議会ホームページの問い合わせフォームを通じて届き、「明後日、北海道議会を爆破する」と記されていた。
しかし、30、1日は土日で事務局職員が出勤していなかったため、把握したのは予告当日の2日午後1時半頃だった。
事務局は議事堂の巡回を強化し、道警など関係機関と連絡のうえ、議長にも報告したが、自民党・道民会議の安住幹事長によると、爆破予告について事務局から通知があったのは、すでに本会議が終了した後だったという。
安住幹事長は「危機管理上、大きな問題だ。事務局に改善をしっかり求めた」と述べた。
事務局は「問い合わせフォームを毎朝確認し、速やかな連絡の実施を検討する」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241204-OYT1T50048/
12月3日18時7分に北海道テレビからは、本会議の最中に気付いたため見回るだけで避難は呼びかけず議長への報告も本会議終了後だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
道議会事務局によりますと、先月30日に「あさって道議会を爆破する」というメールが届きました。
職員がメールに気づいたのは予告当日の2日午後2時ごろでした。
その後の見回りで不審物は見つからず、本会議の最中だったこともあり、事務局から避難の呼び掛けはなかったということです。
議長への報告は本会議終了後の午後4時半すぎで、議員らはメール確認や連絡の遅れを改善するよう求めています。
事務局は「今回の件を反省し危機管理を徹底していく」としています。
https://www.htb.co.jp/news/archives_29159.html
2024年10月29日12時24分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トランプ前米大統領やロシアのプーチン大統領ら世界の要人の居場所が、警護官が使っているフィットネスアプリ「ストラバ」を通じて特定できると、AP通信が仏紙ル・モンドの報道として伝えた。
ストラバは、ジョギングやサイクリングの位置情報を家族や友人と共有することができる。
ル・モンドによると、トランプ氏やプーチン氏らの警護官がこのアプリで公開アカウントを持っているという。
同紙はストラバを通じてフランスのマクロン大統領の警護官の動きを追跡し、マクロン氏が2021年、秘密裏にノルマンディー地方の海辺のリゾート地オンフルールで週末を過ごしたことを突き止めた。
また、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が昨年11月にサンフランシスコ近郊で会談した際、非公表のバイデン氏の宿泊先を割り出し、バイデン氏がジョギングに出かけたことも分かったという。
ル・モンドの報道についてフランス政府は「影響は非常に軽微で、大統領の安全に何ら影響を与えるものではない」とコメントした。
https://www.sankei.com/article/20241029-KOJ4IX5UMFC5BCKB3T6O4TJFDE/
(ブログ者コメント)
産業安全と直接の関係はない情報だが、思いもしなかったところに不具合があった・・・そんな事例として紹介する。
2024年10月16日8時0分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「強盗だ!」ではなく、「Go to a door(ドアに向かえ)!」だったのか-。
金品を奪おうと民家に忍び込み、住人にけがをさせたとして、住居侵入や強盗致傷罪に問われたオーストラリア国籍の男の公判が、東京地裁で開かれている。
被害者に発したとされる「脅し文句」について、被告側は「英語を聞き間違えたものだ」として無罪を主張。
空耳〟が争点となるのは極めて異例で、裁判員の判断が注目される。
■あの名物コーナー
「『空耳』をテーマにした番組を、知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか」
今月2日、弁護人が冒頭陳述でこう述べると、裁判員や裁判官の顔に、小さく笑みが浮かんだように見えた。
番組とは、テレビ朝日系列でかつて放送されていた深夜番組「タモリ倶楽部」の名物コーナー「空耳アワー」。
洋楽の歌詞が、なぜか、まったく別の意味の日本語に聞こえる-。
そんなテーマで視聴者が投稿した曲を聴き、その妙を楽しむ趣向で、根強い人気があった。
弁護人がわざわざ言及したのは、豪州国籍のマシュー被告(32)の行為が強盗だったのかどうか、カギを握るのは「空耳」だと主張しているからだ。
起訴状や検察側の冒頭陳述によると、事件は令和5年6月23日午後11時半ごろに発生。
被告は東京都新宿区にある2階建て一軒家の2階ベランダに侵入し、住人の70代男性と鉢合わせてもみあいになり負傷させ、そのまま逃走したとされる。
■「パルクールしながら帰宅中」
だが弁護側の冒頭陳述などによると、その夜の出来事はこうなる。
被告は近場で酒を飲んだ帰り道、建物の階段を上ったり壁を蹴って飛んだりするフランス発の都市型スポーツ「パルクール」をしながら、住宅街の建物と建物の間を抜けるように進んでいた。
男性宅の脇を通ったとき、「かすかにガソリンのような匂いがした」ため、火災の危険を住民に知らせようと思い、男性宅の2階によじ登った。ベランダには灯油のタンクがあった。
2階の室内から明かりが漏れ、テレビの音も聞こえたため、中に人がいると確信。
火災の危険を伝えようと、ベランダに落ちていた小型スコップを手に、窓を開けようとしたり、手でたたいたりした。
すると、不審に思った男性が、ベランダに出てきた。
■「火災から逃がそうと」
検察、弁護側双方の食い違いが最高潮に達するのは、ここからだ。
検察側は、男性と鉢合わせた被告は「強盗だ!」「金はどこだ!」と、強盗事件で使われる典型的なフレーズを発した、と主張。
男性も証人尋問でその旨を証言し、聞こえた言葉は「日本語で、英語ではなかった」と振り返った。
一方、弁護側は、被告は4年3月に来日しており、「強盗」という日本語すら知らなかったと主張。
「強盗だ!」は「Go to a door(ゴー ツー ア ドア)!」、「金はどこだ?」は「Can you walk(キャン ユー ウォーク)?」だったと訴えた。
火災の危険から逃れさせるために「ドアに向かえ」と叫び、逃げられるかを確かめるために「歩けるか?」と尋ねた、という流れだ。
■「a」と「the」の違い
ただ、弁護側の主張には疑念も残る。
通常、「ドアに向かえ」と英語で言う場合、「一般的なドア」ではなく、「特定のドア」に向かうことを指す。
文法的に言えば、ドアに付く冠詞は「a」ではなく「the」だ。
弁護側は、その点も踏まえて被告に質問。
被告は「ドアの場所を把握しておらず、一般論としてドアの方へ行って、という意味だった」と説明した。
口にしたのは、あくまで「強盗だ」に聞こえる可能性があった「Go to 『a』 door」だった、との主張だ。
今月10日の被告人質問でも、〝空耳〟は主要なテーマとなった。
「何と言ったんですか」。
検察側が通訳を介して改めて被告に問いかけると、被告は英語で「Go to a door」と文言を再現。
ただ、記者が聞いた限り、その発音は日本語の「強盗だ」にそっくり、と言い切れるものでもなかった。
検察側は、被告が日本語を勉強しており、勤務先でも同僚と日本語を使っていたことを明らかにしたほか、当日の行動について「火災の危険を知らせたいなら、玄関のドアベルを鳴らすべきだったのでは」と追及。
被告は「当時は緊急事態だと思い、男性を助けることしか頭になかった。感謝してくれると思った」などと弁解した。
翌11日の論告で検察側は、男性が聞き違いをしたとは考えられないとして懲役6年を求刑。
これに対し弁護側は、被告は火災の危険を伝えるために男性宅に立ち入っただけで、「金品を強取する目的もなく、男性のけがと被告の行為との因果関係も不明だ」として無罪を主張した。
判決は18日に言い渡される。
https://www.sankei.com/article/20241016-K3KQC66G7BPGJDZOU5Y3TN7MEA/
10月18日17時32分に産経新聞からは、裁判長は被告の説明は信用できないと指摘したものの被害者が誤認識した可能性も否定できないとして強盗致傷罪は認めなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
裁判員裁判の判決公判が18日、東京地裁で開かれた。
島戸純裁判長は「金品を奪う意思があったと認めるには合理的疑いが残る」として強盗致傷罪の成立を認めず、傷害と住居侵入の罪で懲役2年(求刑同6年)の判決を言い渡した。
島戸裁判長は「Go to a door!」と発言したなどとする被告の説明は「信用できない」と指摘。
一方、相手が強盗だという先入観を持った男性が何らかの発言を誤まって認識した可能性も否定できないとした。
https://www.sankei.com/article/20241018-OAZKJRDUPNMYJM2CTQPJCQY6AQ/
(ブログ者コメント)
この情報で思い出したのが、1992年に米国ルイジアナ州で起きた日本人留学生射殺事件だ。
あの時は、ハロウイン仮装した留学生が訪問先を間違え、強盗と間違えた住人から「フリーズ(動くな)」と言われたのに、それを「プリーズ(どうぞ)」と聞き間違えて射殺された。
今回の状況も、仮に被告側の言い分が正だったとすれば、似ていると言えば似ているが、灯油の臭いだけで火災の危険性を感じ、それを知らせるため見知らぬ民家のベランダに上ったという説明には、裁判長の指摘どおり無理を感じる。
もしかして弁護人はルイジアナ州の事例を念頭に置いて弁護シナリオを構築した?・・・という気もチラっとした。
2024年9月30日6時45分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省四国運輸局は、10年前から実施していた外国人観光客数の統計調査を今年度から中止することを決めた。
調査を依頼していた施設の一部が「見た目」で判断するなど、正確性に疑義が生じたためという。
調査は、四国4県の観光地や施設計60か所(1県あたり15か所)に、観光客数とそのうちの外国人の報告を求める形で実施。
2023年度の外国人観光客は24か所で前年度比6倍超の52万9000人と公表していた。
この調査について、同局の河野局長は今月20日の定例記者会見で、中止を表明。
理由の一つとして、一部の施設が、外国人客かどうかを肌の色などの「見た目」で判断していたことを挙げた。
同局が集計方法を各施設に委ねていたためで、読売新聞の取材でも、複数の施設が「話している言語」などに加えて肌の色などの「見た目」で外国人客と判断していたと答えた。
宿泊関係の団体では、旅館業法に基づいてパスポートの提示を求めて正確に集計していたが、ある観光地の担当者は取材に「ツアー客は添乗員に確認しているが、個人客は見た目で判断していた」と説明。
判断がつかないため、回答していない施設もあった。
また、調査対象の施設は年度によって異なっていたこともあり、河野局長は「正確性を欠き、統計調査として成立しない」と述べた。
調査は同局独自で、国の統計などへの影響はないという。
外国人客数の調査では、日本政府観光局の訪日外国人旅行者数や観光庁のインバウンド消費動向調査は、入国審査時にパスポートを確認したり、調査員が直接尋ねたりしている。
また、各自治体でも調査員が直接尋ねる形で実施している。
四国運輸局は、過去の調査結果はホームページに掲載したままにしている。
担当者は「今後取り扱いを検討する」としている。
大東文化大の渡辺雅之特任教授(多文化共生教育)は、「見た目だけで外国人だと判断することは、調査として不正確であるだけでなく、思い込みや偏見による決めつけで相手を傷つける『マイクロアグレッション』に該当する。悪意がなくても差別につながりかねない」と指摘している。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240930-OYT1T50026/
2024年7月5日6時44分に読売新聞から下記趣旨の記事が、当該ポスターの写真付きでネット配信されていた。
秋田県がクマの注意喚起用に作成したポスターのイラストについて、3日の県議会予算特別委員会総括審査で、委員から「かわいすぎて、怖さが伝わらないのではないか」との指摘があった。
ポスターは、「クマに注意」の文字の横に、茂みから愛くるしい顔をのぞかせるクマが描かれている。
3万5000枚を印刷し、県や自治体など関係機関に配布されているという。
質問に対して、伊藤・生活環境部長は「確かにご指摘の通り」といい、「深刻な被害に遭うということがなかなか伝わりにくいように感じる。今後考えていきたい」と述べた。
出席した佐竹知事は「恐怖を感じるような映像を(素材に)使うべきだ」と話していた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240704-OYT1T50062/
(ブログ者コメント)
ポスターを見ると、笹の間からプーさんみたいな可愛らしいクマが顔を見せている。
あれでは、怖さが伝わらないどころか、こういったクマに会いたいと思う子供が出てくるかもしれない。
ポスター作製段階で、そのような指摘も出ていたと思うのだが・・・。
2024年6月6日17時1分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
メールアドレスを入力する際、ドメイン(@から後ろの部分)を間違えてしまったが、エラーにはならず、なぜか送信できてしまったー。
こんな事案が教育現場で発生し、結果的に生徒の個人情報が流出した。
実は、ドメインは誤りではなく、著名なドメインに近い文字列の「ドッペルゲンガー・ドメイン」。
不正な情報収集を狙って何者かが意図的に設定したものとみられ、専門家は対応の必要性を訴える。
【油断した】
滋賀県教育委員会は5月31日、県立湖南農業高(草津市)の2~3年の生徒計140人について、氏名など個人情報が流出したと発表した。
一部生徒は自宅の住所や保護者の氏名、携帯電話の番号なども漏れたという。
同校教諭が自宅に情報を持ち帰って作業するため、教頭の許可を得て、校内から自身の個人アドレス宛てにメールを送信。
このとき、本来は「gmail」とするべきドメインを、「gmeil」と打ち間違えた。
メールが届かなかったため確認したところミスに気付き、誤送信先に連絡を取ろうと試みたが、反応はなかったという。
県教委によると、教諭は個人情報の送信時に必要なパスワード保護の設定もしていなかった。
学校側の聞き取りに対し、「自分に送るので油断していた」などと説明したという。
【「sftbank」や「iclud」も】
ドッペルゲンガーとは自分にそっくりの分身を指す言葉で、ドッペルゲンガー・ドメインはGメールやアマゾン、iクラウドなど、有名なドメインに酷似したドメインを指す。
県教委はドッペルゲンガー・ドメイン事案として、「gmeil」のほか「gmai」など、打ち間違いやすいドメインを複数登録し、校内ネットワークから送信を不可にするなどの対応を取った。
ドッペルゲンガー・ドメインを巡っては、大阪教育大が令和5年7月、職員が大学の電子メールの自動転送設定をした際に、「gmail」とすべきところを「gmeil」と誤入力したことにより、約4500件のメールが流出したと発表。
うち1800件近くに学校関係者の個人情報が含まれていた。
転送設定を行ったのは平成30年4月で、職員にエラーメールが届いた令和5年2月まで約5年にわたり、ドッペルゲンガー・ドメインへの流出が続いていた。
他にも同種被害は確認されており、法政大は一昨年、「sftbank」や「iclud」など、ドッペルゲンガー・ドメインの疑いが強いドメイン30個の送信を停止した。
【「待ち構え型」の情報収集】
サイバーセキュリティーに詳しい横浜国立大の吉岡克成教授は、ドッペルゲンガー・ドメインについて、「入力ミスを想定して誤送信された情報を集める『待ち構え型』の手法」と指摘。
効率が悪いとの見方もある一方、ドメインは個人でも購入が可能なため、多くの利用者がいる有名ドメインに似せたものを獲得することで「一定の成果が得られている可能性はある」とする。
未然防止策では、Gメールにおけるグーグルなど、サービスの提供者側が先回りしてドッペルゲンガー・ドメインを取得しておくといった取り組みもあるというが、「全ての誤入力パターンをカバーすることは難しい」。
今後に向け、「僅かに組み合わせが異なる新手のドメインが出現してくる可能性は十分にある。情報を取り扱う個人や組織は、そうした認識に立って警戒度を上げる必要がある」としている。
https://www.sankei.com/article/20240606-TX5LW66IGVBZHNW7DTSTTXSPNM/
2024年5月12日5時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中国政府と取引関係にあるIT企業(本社・上海)が、X(旧ツイッター)のアカウントを通じて、世論工作を仕掛けるシステムを開発した疑いがあることがわかった。
このシステムを紹介する営業用資料とみられる文書がインターネットに流出していた。
日本の情報機関も入手して本物とみて分析を進めており、中国の対外世論工作との関連を詳しく調べている。
ネットに流出した文書は約20ページで、上海に拠点を置く「安洵信息技術有限公司」のものとみられる。
2月中旬、同社の別の内部資料とされる約580ファイルとともに、IT技術者らがネット上で情報を共有するサービス「ギットハブ」に公開された。
読売新聞が入手した文書には、表紙に中国語で<ツイッター世論誘導統制システム 製品紹介資料>という題名と、2022年の第1版であることが書かれている。
システムの目的は中国国外の世論を監視し、工作を仕掛けることとし、冒頭には<好ましくない反動的な世論を検知するニーズに応えるためにシステムを構築した><社会の安定には、公安機関が世論をコントロールすることが極めて重要>などと示している。
文書などによると、このシステムを使って他人のXのアカウントに不正URLを送信し、クリックさせることでアカウントを乗っ取ることができる。
その結果、本来は外部から閲覧できないダイレクトメッセージを盗み見たり、中国当局の意に沿った意見を勝手に投稿したりすることが可能になる。
日本政府関係者によると、近年、他人に乗っ取られたとみられるXのアカウントが、中国語や日本語で中国の反体制派を批判するケースが相次いでいる。
こうしたシステムが使われている可能性がある。
同社のホームページ(現在は閉鎖)によると、同社は2010年に設立され、北京や四川、江蘇、浙江省に拠点がある。
スパイの摘発などを行う国家安全省にIT製品を納入する業者に選定されたほか、国全体の治安維持にあたる公安省や、地方警察の公安当局を「パートナー」として紹介。
各機関から贈られた感謝状も掲載していた。
流出した約580ファイルには同社の契約台帳も含まれ、利用者の多くが地方都市の公安当局だった。
通信アプリ「テレグラム」向けの工作システムとみられる製品を地方の公安当局に販売した記録も残されていた。
読売新聞は同社に電話やメールで問い合わせたが、11日夜までに回答はない。
同社の動向を20年から注視している台湾のサイバーセキュリティー企業「TeamT5」チーフアナリストのチャールズ・リー氏は、資料に記載されている工作の手口などから「本物の流出文書と確信している」との見方を示した。
さらに「中国が世論工作のために西側諸国のSNSを利用する意志と能力を持っていることを示す初の証拠だ」と指摘した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240511-OYT1T50118/
2024年4月22日7時0分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中小企業でホームページ(HP)を乗っ取られる被害が全国的に多発している。
大阪商工会議所の調査では、7割弱のHPに危険性が認められた。
万一乗っ取られれば、個人情報が抜き取られたり、取引先のネットワークをウイルス感染させて損害賠償を求められたりと、企業の存続が脅かされてしまう。
官民一体となって国内のサイバー環境を強固にしなければ、有事の際に脆弱(ぜいじゃく)な中小企業のHPが攻撃され、日本経済の屋台骨が揺らぎかねない。
昨年8月、鹿児島県内で「鹿児島餃子の王将」を展開する鹿児島王将(鹿児島市)のHPが突然、弁護士事務所の名で「業績悪化のため破産手続きを始めた」などと改竄(かいざん)され、HPを乗っ取られるリスクが広く知られるようになった。
同社はすぐ改竄に気づき、取引先に「破産は事実無根」と連絡したため大きな実害はなく、自社HPを通じてコンピューターウイルスがばらまかれた形跡もなかった。
稲盛社長は、「思いもしなかった被害でしたが、サイバーセキュリティーのいい勉強になりました」と打ち明ける。
こうした事態を受け、会員に多くの中小企業を抱える大商は昨年、無料ソフト「WordPress(ワードプレス)」で作成されたHPを対象に、立命館大と全国調査に乗り出した。
ワードプレスは、専門知識がなくても手軽にHPを作成できることから、国内シェア約8割を誇る。
その半面、利用者の多さからサイバー攻撃の標的になりやすく、特にワードプレスのバージョンが古かったり、HP編集者のパスワードが簡単で推測されやすかったりすると、改竄されるリスクは飛躍的に高まるという。
多くの中小企業は「大金をはたいて外部業者にHP作成を依頼するより、ワードプレスなら無料で作成できる」と喜んだのではないか。
だが、セキュリティー強化の手間を惜しむと、不正アクセスされてしまう。
こうした状況を打破しようと立ち上がったのが、全国515の商議所で最もサイバーセキュリティー対策に力を入れていると評される大商だ。
情報専門の部署を置く商議所は全国に4~5カ所しかなく、中でも大商はかつて所内に巨大コンピューターを設置していたほど手厚い。
今回の調査結果をひもとくと、66%のサイトに「改竄や不正プログラムが埋め込まれる危険性」が認められた。
具体的には、HP編集者のユーザー情報やログインページがインターネット上で誰でも閲覧できるようになっていた。
こうした不注意な編集者の場合、ユーザー名は「Staff」「Kanri」、パスワードは「Password」など推測されやすい安易な言葉を使っているケースも多く、「HPを乗っ取られる危険性が非常に高い」(大商経営情報センターの登坂氏)という。
攻撃者がHPを改竄する意図について、同センターの古川次長は、「閲覧者に気づかれないよう巧みに攻撃者のサイトに誘導した上、架空の商品を売ってお金をだまし取ったり、閲覧者の個人認証情報(アカウント)を盗んで勝手に買い物をしたりする犯罪が増えている」と分析する。
さらに、乗っ取られたHP開設者は被害者で終わらず、「取引先がお金をだまし取られたり、個人情報を抜き取られたりした場合は、損害賠償を請求される加害者にもなり得る」と打ち明ける。
その上、攻撃者から「HPを元に戻してほしければ、〝身代金〟を支払え」と求められる恐れもある。
大商の鳥井会頭(サントリーホールディングス副会長)は、記者会見でこう力を込めた。
「政府高官から『万一の有事の際、まず最初に狙われるのはサイバー空間』とうかがった。
中小企業にとっても、サイバー攻撃は経営の大きなリスクファクターなので、セキュリティーの重要性を啓発したい」
中小企業のセキュリティー意識向上の動きが大阪から広がれば、大商のプレゼンス(存在感)も一層高まるはずだ。
https://www.sankei.com/article/20240422-5XFEH6UHNRKLFCL3E5UEZAL4BI/
2024年4月20日10時31分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
スマホを使っていて、イラッと感じること、ありませんか。
「×マークが小さくて、消そうとしたら、意図せず広告に触れてしまった」
「×マークを押そうとしたら、急に広告が動き、誤って広告サイトに飛んでしまった」
ウェブでの不快なことを聞いたある調査では、「広告を誤って押してしまったり、押しそうになった」と答えた人が、最も多いという結果でした。
実は、これ、「ダークパターン」と呼ばれ、世界で問題になっています。
【押す気はないのに、広告を…】
マーケティングのリサーチ会社「クロス・マーケティング」が、20代から60代の1100人に、ウェブサイトやアプリを利用している際に感じる不快なことを、複数回答でたずねました。
すると、最も多かったのは『広告が表示され、押す気はないのに誤って押してしまった(押しそうになった)』で、29.5%、およそ3割にのぼりました。
続いて、『初期状態でメルマガを「受け取る」になっていて、いちいち外す必要があった』が、25.3%。
『サービスを解約しようと思っても、解約ページが見つけにくい』が、24.9%。
このほか、『急に不快な画像や苦手な画像の広告が表示された』、『人前で、音が出る広告を間違って押してしまった』など、広告に関するものが上位を占めました。
また、インターネット広告に関する別の調査でも、不快に感じるものとして『消せない広告、閉じにくい広告』が最も多く、およそ半数の人が挙げ、『画面全体に表示される』『別画面やポップアップで自動的に表示される』も、およそ4割が挙げていました(マイボイスコム調べ)。
【それって、ダークパターン?】
「広告を誤って押してしまったのは、ダークパターンに誘導されたからかもしれません」
そう話すのは、ウェブデザインに詳しい、仲野佑希さんです。
「ダークパターン」とは、消費者が気付かないうちに不利な判断に誘導するデザインで、今、世界で問題になっています。
仲野さんによると、より巧妙なダークパターンを使う広告のデザインが増えていて、特に、以下のようなものがよく見られるといいます。
1: 操作ミスを誘うもの
広告を消すための×マークが小さかったり、ウェブサイトの「次ページに進む」ボタンのすぐ近くに広告が置かれていたりして、操作ミスで広告を押してしまうものです。
また、ページを開いてすぐには広告が表示されず、画面をスクロールしようとしたタイミングで急に画面中央に現れて誤って押してしまうものも、意図的にデザインされている可能性があります。
2: デザインを偽装したもの
ウェブサイトやアプリのデザインを偽装することで、誤って押してしまうものです。
例えば、SNSのメッセージ一覧に、新着メッセージに似たデザインの広告を掲載すると、ユーザーが勘違いして押してしまうことがあります。
3: 誤って触ってしまうもの
広告の中に、「髪の毛」や「汚れ」のようなデザインを入れ込むことで、ユーザーがスマホの画面に付着していると思い、誤って触ってしまうものもあります。
4: ×マークが見つかりづらいもの
「広告を誤って押してしまう」だけではなく、「広告をなかなか閉じることができない」というダークパターンもあります。
たとえば、×マークの色が背景の色と同じため、なかなか見つけることができないといったものがあります。
消費者庁はダークパターンについて、「悪質なケースに関しては取り締まりを強化している」とする一方、「定義が固まっておらず、包括的に規制することは難しい」としています。
仲野さんは、上記のような事例は、一部のプラットフォームでは規制の動きがあるものの、多くの広告で使われているのが現状だと指摘しています。
【ダークパターンに誘導されないためには】
では、こうしたダークパターンを使った広告を誤って押してしまわないためには、どうすればいいのでしょうか。
仲野さんは、次のような心構えを持ってほしいと話します。
1: 事前にダークパターンの種類を知っておく
上記のような、よく使われているダークパターンの種類を知っておくことで、どういったデザインに注意すべきか認識することができ、身を守ることにつながります。
2: ウェブサイトのコンテンツはすべて広告かも知れないと疑う
広告は、巧みにウェブサイトに溶け込むようにデザインされていることが多いので、すべてのコンテンツが広告ではないかと疑ってかかる姿勢が大切です。
3: 簡単にタップしない
タップすると、知らず知らずのうちに別のサイトに飛んでしまったり、意図しないファイルをダウンロードしてしまったりする可能性もあります。
ウェブサイトを利用している際、タップしようと思った場合は、ひと呼吸、置くことが大切です。
私たちがウェブサイトやアプリを無料で利用できるのは広告があるからだとも言えます。
ですが、意図しないうちに広告サイトに飛ばすような悪意ある「ダークパターン」からは、しっかりと、身を守ることが必要です。
ダークパターンについて、引き続き情報発信をしていきます。
皆さんの経験をぜひ、お寄せ下さい。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240420/k10014422421000.html
2024年4月16日19時28分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「口コミ人気No.1」。
自社サイトでこうした広告を掲げる会社に対し、消費者庁が景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、相次いで行政処分を出している。
リサーチ会社の調査結果を基にした広告だが、その調査方法に〝欠陥〟が確認されたためだ。
ただ、処分されるのは広告を出した会社だけで、リサーチ会社は対象外。
消費者庁はリサーチ会社の実態調査を始めたが、専門家は「野放し状態」として、法整備の必要性を指摘している。
【ずさんな調査】
「アフターフォロー満足度No.1」
消費者庁は3月、自社サイトで4つのNo.1を並べていた大阪市内の太陽光発電設備の工事業者に再発防止などの措置命令を出した。
関係者によると、広告の根拠とするアンケートは、この会社の依頼に応じて東京都内のリサーチ会社が実施していたが、複数の問題点があった。
アンケートの対象者はリサーチ会社が運営するサイトの会員で、実際に商品やサービスを利用していなくても回答できた。
設問の中で10社のサイトとリンクしていたが、いずれも依頼主の会社を一番上に表示。
さらに、回答者には現金や電子マネーに交換できるポイントが付与された。
ポイント目当てに、内容にかかわらず一番上に表示された会社を選択した回答者がいた可能性は否めない。
消費者庁などによると、2~3月、No.1広告を巡り、景表法違反で計11社に行政処分を出したが、うち9社は同じリサーチ会社が請け負い、調査結果が1位にならなければ金を返還するとの内容で契約していたケースもあったという。
景表法に詳しい森大輔弁護士(東京弁護士会)は、「あたかも実際の利用者にアンケートを実施したかのような表記は消費者を誤認させる。依頼主を一番上に置くのも結果を恣意(しい)的に誘導している疑いがあり、公平な調査とはいえない」と批判する。
リサーチ会社の担当者は「誤解を与える調査だった」と認め、すでにこうした調査をやめたとしている。
【業界内部からも批判】
マーケティング・リサーチの人材育成や研究に取り組む一般社団法人「日本マーケティング・リサーチ協会」(東京)によると、No.1広告は約7年前から増えてきたというが、小林事務局長は「1位の根拠を示すほどの調査には膨大な予算がかかり、事実上不可能」と問題視する。
同協会は「結論ありきで非公正な調査」と非難する声明を出すとともに、広告を掲出する企業に対しても、消費者がアンケートの詳細を把握できるよう、調査内容の開示を求めている。
一連の事態を受け、消費者庁の新井ゆたか長官は3月下旬の会見で、No.1広告の実態調査を行う意向を表明。
広告主やリサーチ会社への聞き取りのほか、消費者へのアンケートも実施して、今秋にも結果を公表するとしている。
【法改正の検討を】
ネットショッピングの存在感が増す中、消費者を誤解させるようなうたい文句は後を絶たない。
そんな中で「結論ありきの調査」が横行する背景には、法の抜け穴がある。
景表法の処分対象となるのは、商品の製造・販売事業者など。
No.1広告の場合、広告で自社製品を売ろうとする会社は、措置命令を出されたり課徴金を課されたりするが、リサーチ会社はその対象外だ。
森弁護士は、「野放しにされてきたため、今回のような景表法違反事例が多発した可能性がある。リサーチ会社に対しても何らかの行政処分を行えるよう、法改正を検討するべきではないか」としている。
https://www.sankei.com/article/20240416-XXTK2WAGCNIIXFIVANEKHCSJGI/
2024年3月26日5時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
デジタル空間の情報との向き合い方を調べるため、読売新聞が日米韓3か国を対象にアンケート調査を実施した結果、米韓に比べ、日本は情報の事実確認をしない人が多く、ネットの仕組みに関する知識も乏しいことがわかった。
日本人が偽情報にだまされやすい傾向にある実態が浮かんだ。
調査は昨年12月、国際大の山口真一准教授(経済学)とともに、3か国の計3000人(15~69歳)を対象に共同で実施した。
情報に接した際、「1次ソース(情報源)を調べる」と回答した人は、米国73%、韓国57%に対し、日本は41%だった。
「情報がいつ発信されたかを確認する」と答えた人も、米国74%、韓国73%だったが、日本は54%にとどまった。
デジタル空間の構造や弊害を表す用語の認知率も調査。
正確さより関心を集めることを重視する「アテンション・エコノミー」など三つの用語を知っている人は、平均で日本は5%のみ。
米国33%、韓国40%と大きな差がついた。
3か国でそれぞれ広がった各15件の偽情報について、「正しい」「わからない」「誤り」の三択で回答を求めたところ、「誤り」と見抜くことができた割合は、米国40%、韓国33%に対し、日本は最低の27%だった。
回答者のメディア利用状況なども聞いた結果、偽情報にだまされる傾向が表れたのは「SNSを信頼している人」、「ニュースを受動的に受け取る人」だった。
一方、だまされにくかったのは「新聞を読む人」、「複数メディアから多様な情報を取得している人」だった。
新聞を読む人は、そうでない人と比べ、偽情報に気付く確率が5%高かった。
宍戸常寿・東大教授(憲法学)の話:
「日本は偽情報への耐性が弱く、深刻な状況にあることが裏付けられた。
早急にリテラシーを高める取り組みが求められる」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240325-OYT1T50293/
以下は、上記の続き記事。
日本、米国、韓国の3か国調査を読売新聞と共同して行った国際大の山口真一准教授が、日本のデジタル空間の現状を分析した。
◇
国際比較調査で、日本の弱点が明らかになった。
情報やニュースにどう接しているかをみると、日本は受け取った情報を別のソースで確認する検証行動をすることが少ない。
デジタル空間を特徴付ける「アテンション・エコノミー」などの概念を理解している割合も低かった。
偽情報を示して真偽を判断する設問では、日本は「正しい」と信じていたのが37%、「わからない」が35%だった。
自ら情報を確かめず、受動的に漫然と過ごしている層が多いと解釈せざるを得ない。
日本は中立で信頼できるマスメディアから受動的に情報を得る時代が長く続き、その意識のまま玉石混交のデジタル空間で情報を摂取するようになったことが一因と考えられる。
米韓では「情報は何らかの意図を持って発信される」と考える傾向がある。
日本より、政治的な分断が進んでいるからだろう。
日本でも今後は生成AI(人工知能)の発展で、偽情報が選挙に影響を与える可能性があり、混乱を招きかねない。
傾向が判明したことで、対策を講じる際、どこに力点を置けば良いか見えてきた。
それは、デジタル空間の成り立ちについての教育の充実だ。
ファクトチェックの強化や、AIが作ったコンテンツの表示義務化なども欠かせない。
AIが社会に与える影響に関しては、韓国は肯定的な人が多かった。
IT産業で発展してきた国だからだ。
米国では肯定派と否定派が拮抗している。
現実にAIで職を失う事例がすでに起きている一方、生産性が向上していることもあり、評価が二分したのではないか。
これに対して日本は、「どちらともいえない」が44%を占めた。
AIに関する法律の議論も欧米に比べて進んでおらず、現実の「遅れ」が評価に反映したといえる。
メディア別の信頼度を調べると、日本で新聞やテレビなど伝統的メディアは、丁寧に取材して真偽を見分けて報道しているため、信用されていた。
ただ、どのような取材をしているか知らない人も少なくなく、それが一部の情報消費者の不信感にもつながっている。
丹念に取材している様子を伝えることが、信頼を保つ一助になるのではないか。
それが、ひいてはデジタル空間の健全化へとつながっていくだろう。
◇
1986年生まれ。
専門は計量経済学。
著書に「ソーシャルメディア解体全書」などがある。
デジタル空間を健全化する総務省の有識者会議の委員を務める。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240325-OYT1T50296/
2024年3月25日5時2分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
能登半島地震を巡り、SNS上に投稿された偽情報の多くは、海外の10か国以上から発信されていた。
偽情報でインプレッション(閲覧数)を稼ぎ、広告収益を得るためだ。
第6部では、従来の法規制やルール、倫理観では健全性が確保できなくなったデジタル空間の現実を取材し、その対策を探る。
パキスタンの首都イスラマバードから車で3時間余り離れた地方都市サルゴダ。
緑の多いのどかな町の一角に男性(39)のレンガ造りの自宅はある。
1月1日。
自宅にいた男性がいつものようにスマホでX(旧ツイッター)の投稿を眺めていると、現地語で<日本><地震>という言葉が目に入った。
黒々とした濁流が船や車をのみ込んでいく動画もあった。
「日本で大変なことが起きている」と思った。
同時に濁流の動画を添付した投稿の閲覧数に目を奪われた。
数十万回に上るものもある。
「金もうけのチャンスだ」――。
すぐに同じ濁流の動画を投稿した。
ネットで見つけた倒壊家屋や土砂崩れの画像も拡散した。
能登地震に関係があるか?
それはどうでもよかった。
◇
男性は大学卒業後、18年間、公務員を務めた。
親族約10人で暮らし、生活は安定していたが、医師を目指す長男(16)のため、さらに稼ぐ必要があった。
昨年10月、新たなビジネスを起こして一獲千金を狙うため、公務員をやめた。
<これからはXで生計が立てられるようになる>
Xオーナーのイーロン・マスク氏がそう語る記事を読んだのは、その頃だ。
Xは昨夏、
〈1〉500人以上にフォローされている
〈2〉過去3か月間の投稿が500万回以上閲覧されている
などの条件を満たす利用者に、広告収益の分配を始めた。
早速、アカウントを開設し、1日5回の礼拝や食事の時間を除く6~7時間を投稿に費やすようになった。
当初は閲覧数が伸び悩んだ。
だが、機械翻訳を駆使して能登地震に関わる投稿を始めると、すぐに360万回に達した。
日本の1日あたりのX利用者は4000万人以上とされる。
「友人から世界2位のXの市場と聞き、日本向けの発信を強めた」。
やがて、収益を受け取る権利を得た。
地震から1か月がたった2月1日。
初めてXからお金が送られてきた。
Xの決済システムはパキスタンでは使えないため、他国の銀行口座に振り込んでもらった。
手にしたのは37ドル(約5600円)。
パキスタンの平均年収は1600ドル程度だ。
「もっと欲しい」と思った。
男性が拡散した濁流の動画は、2011年の東日本大震災時に撮影されたものだった。
記者がそう追及すると、「そんなことは知らない。私はインプレッションが欲しかっただけだ」と言い切った。
「日本に申し訳ないことをしたと思う。しかし、これからも投稿を続け、お金をもうけたい」
◇
「インプ稼ぎ」――。
Xの仕様変更により、こう呼ばれる収益目的の投稿が増えている。
発信する情報が真実か否かは度外視され、偽情報が量産される要因になっている。
読売新聞はXで、能登地震に関する偽情報を投稿していたアカウントのうち108件を収集した。
63件のプロフィル欄には13か国の居住地が記されており、途上国(パキスタンやナイジェリア、バングラデシュなど5か国)からの投稿が7割を占めた。
架空の救助要請や、被災者を装うなりすましも確認した。
能登地震の偽情報を調査した東京大の澁谷 遊野 准教授(社会情報学)は、「途上国の貧困層にとって、Xからの収益はうまくいけば一家を養う金額になる。簡単に始められるため、インプ稼ぎの意欲が高まっているのではないか」と指摘する。
能登地震は、外国から大量の偽情報が送られた初の大規模災害と言われる。
正確な情報よりも、人々の関心を集めることを重視する「アテンション・エコノミー」の弊害が加速している。
真剣な対応が求められる。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240324-OYT1T50108/


















その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。