2012年7月4日2時37分にmsn産経ニュース三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午前9時ごろ、伊賀市のアルミニウム粉末製造販売「Ⅿ社」の三重工場で「爆発した。出火し、黒い煙が上がっている」と、近くの住民が119番した。
20~40代の作業中の従業員2人と隣接する自転車物流センターのアルバイト従業員2人の男性4人が腕のやけどなど軽傷を負い、病院に搬送された。
消防によると、工場内の溶解炉が爆発し、一時、火災も発生。
工場の従業員2人が、爆風で飛んできた破片が当たり、やけどを負うなどした。
爆発の際、有毒ガスが漏れたとみられ,物流センターのアルバイト男性2人は「のどが痛い」などと訴え、耳が聞こえにくくなるなどの症状も出た。
消防隊員らは,溶解炉近くでガスの発生をおさえるため,乾燥した砂をかけるなどした。
警察などによると、工場はアルミニウムの地金を溶かしアルミ粉末を生産。
溶解炉のアルミの粉塵を集めるバグフィルター周辺の損傷が激しく、粉塵が水と反応し水素ガスが発生し爆発したとみている。
爆発で、隣接する物流センターの壁面がはがれ落ち、周辺の3工場で窓ガラスが割れるなどの被害が出た。
また、爆発時に轟音が周囲に響き渡り、現場は一時は騒然となった。
約500m離れた花之木小学校では、授業中の児童たちが一時、机の下に避難。校長は「ドーンという大きな音がして、地震かと思った。子供たちは担任の指示をよく聞いて行動してくれ、被害がなくてよかった」と驚いた様子で語った。
Ⅿ社は大阪府堺市に本社があり、三重工場の従業員は29人。昭和58年に「上野工場」として現在の工場を建設した。
現場は名阪国道・大内インターから西約1kmの工場団地の一角。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120704/mie12070402370000-n1.htm
一方、7月4日付で毎日新聞三重版からは、爆発時の作業状況や粉じん爆発の可能性に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察などによると、爆発当時、工場内には社員ら17人がいた。
けがをした男性が、製造ラインにたまったアルミ粉末を空気で排出するスイッチを押した直後に爆発したという。
製造ラインの後半部にあり、粉末を集める「バグフィルター設備」の建屋(平屋約100m2)の損傷が最も激しく、他の製造ラインの建屋7棟(100m2)が大破したほか、別の9棟も壊れた。
同工場は83年に稼働し、敷地面積は約4万m2。
取材に対し、同社の社長は「バグフィルターの一つ前の工程で、静電気によって発火し、粉じん爆発した可能性がある」と話した。
出典URL
http://mainichi.jp/area/mie/news/20120704ddlk24040326000c.html
ただ、7月5日付の伊勢新聞からは、上記報道と違い、社長が静電気説を否定したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
社長は爆発の原因について、「静電気ではないと思う」とし、十二年前に同工場で発生した爆発とは原因が異なる可能性について言及。
施設内に水が入り込んだ可能性についても、「水蒸気爆発を防ぐために以前から改良を施していたため、水が入り込むとは考えにくい」との考えを示した。
その上で、「早急に原因を究明して施設を見直し、爆発を防ぐ仕組みを整えたい」と話した。
また、警察は同日、消防や県警科捜研と共同で実況見分を実施。同工場の職員から説明を受けて、爆発の原因や被害状況を調べた。
アルミ粉を製造するラインの後半に位置し、爆発による損傷の激しい集じん施設を中心に調べたという。
出典URL
http://www.isenp.co.jp/news/20120705/news07.htm
(ブログ者コメント)
□アルミニウムの粉が粉じん爆発を起こした事例は数多い。
水素爆発の可能性も報道されているが、「水が入り込むとは考えにくい」状況からすると、粉じん爆発だったのかもしれない。
□もし粉じん爆発だったとすれば、以下の点が気になるところだ。
①バグフィルターに導電性ろ布を使用していたか?
②粉じん爆発を起こしやすいアルミニウムの粉を、なぜ空気で排出していたのか?空気で排出しても安全だと評価した理由は?
□とまあ、上記2点は、最初の爆発に関する考察。
バグフィルター設備のある建屋以外の建屋もかなり損傷を受けているらしい点からすると、最初の爆発で生じた爆風で周囲のアルミ粉が舞いあがるなどして、二次、三次の粉じん爆発が起きた可能性も考えられる。
(2014年7月4日 修正1 ;追記)
2014年3月15日付で伊勢新聞から、社長らが書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月14日22時5分にmsn産経ニュースwestからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
県警捜査一課と伊賀署は14日、業務上過失傷害容疑で、同社社長(46)や工場長(45)ら4人を書類送検した。4人とも容疑を認めている。
送検容疑は、製造したアルミ粉末を集めるための集じん機内に粉末が機械に詰まるのを防ぐ清掃装置を導入した際、安全な手順を確立しないまま従業員に作業させ、爆発で作業員男性(45)ら4人に重軽傷を負わせた疑い。
県警によると、事故は、溶けた高温のアルミを風で飛ばして粉末にする工程で発生。
アルミ粉を集める集じん機内部に余分なアルミ粉が付着するのを防ぐ装置「パルスエアー」の電源を入れた直後に爆発した。
県警によると、同社は事故の約2カ月前から同装置を使い始めたが、安全な手順は策定していなかった。
県警は、作業員が誤った手順で同装置を起動させ、可燃物のアルミニウム粉末が集じん機内で舞い上がり、静電気などが着火源になって爆発したとみている。
この爆発で、同工場から半径約1km圏内の家屋や事業所でガラスが割れたり壁が壊れ、約1億8千万円の被害があった。
出典URL
http://www.isenp.co.jp/news/20140315/news01.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140314/waf14031422070018-n1.htm
2014年7月3日21時2分にNHK津から、4人が不起訴になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7月4日付の朝日新聞三重全県版(聞蔵)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
業務上過失傷害の疑いで書類送検された社長ら4人について、検察は、過失を証明する十分な証拠が集まらなかったとして、全員を不起訴にした。
検察は、処分理由について「どうすれば爆発を避けられたのかについて、証拠が不十分だった」とコメントした。
Ⅿ社は事故について、「近隣の方々や関係者に深くおわびするとともに再発防止策の徹底に取り組みます」というコメントを出した。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/tsu/3075720681.html?t=1404422508227
Keyword ; dust explosion , accident
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。