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10月7日5時0分に朝日新聞から、今回事案の背景を推定した、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同社は6日、国交省に38車種、約116万台の大量リコール(回収・無償修理)を届け出た。
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無資格者による検査について日産は、これまでの会見などで「現場の認識不足」が主因との見方を示し、国交省に指摘されるまで、経営陣は問題を把握していなかったとしてきた。
しかし実際は、無資格の「補助検査員」が検査したのに、書類に資格者の「完成検査員」の名前や印章を使うなど、組織的な不正隠しが疑われかねない状況だ。
なぜ無資格者が検査したのか。
日産は否定するが、社内には「検査員の数が足りない、やりくりできないという面があったのでは」(同社関係者)との声がある。
国交省は法令などで、各社が独自の基準で検査資格を与えるよう求めている。
日産で「完成検査員」の資格を取るには、最低3カ月はかかる。
無資格の「補助検査員」は、これに満たない期間の実習でも習熟したとみなされ、検査にあたっていた。
日産の完成検査員は約300人で、補助検査員は約20人。
国内生産が日産よりやや少ない規模のマツダは、登録した正規の検査員が約600人いる。
日産が人手に余裕があったとは言いがたい。
補助検査員には、3カ月や半年といった期限で雇われる期間従業員もいた。
資格を取るのを待つと、雇用期間満了までの期間が短くなってしまうため、無資格の期間従業員を検査にあたらせた可能性もある。
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日産は、長く経営トップを務めたカルロス・ゴーン会長のもと、世界の工場で生産効率を競わせてきた。
世界生産のうち、日本での生産は2割に満たない。
全世界での販売に占める国内販売比率は低下している。
無資格での検査は、国内の法令に反する可能性があるが、輸出向けは問題にならない。
全世界で販売する車をつくる中、比率が下がっている国内向け車での法令順守体制が次第におろそかになった可能性がある。
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出典
『日産の偽装、組織的か 「検査員不足」の指摘 リコール、38車種116万台に』
http://www.asahi.com/articles/DA3S13169713.html?ref=nmail_20171007mo
10月8日4時4分に朝日新聞からは、工場で帳簿管理している有資格者のハンコを補助検査員が借りて押印していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
完成検査は、通常、資格を持つ検査員が項目ごとに車体の機能を確認して、書類に自身の印鑑を押す。
だが日産では、資格のない補助検査員による検査が常態化。
その際、書類には有資格者名の印鑑を押し、正しく検査が行われたかのように偽装していた。
関係者によると、有資格者の印鑑は工場で複数用意され、無資格者はそれを借りて書類に押す仕組みだった。
どの印鑑を誰に貸したかは、各工場が帳簿で管理していたといい、工場内では偽装工作が公然と行われていたとみられる。
こうした行為はほぼ全ての工場で行われ、組織的に偽装を慣行していた疑いが浮上した。
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検査は、本来、国がするべきものだが、大量生産を可能にするため、各社が認定制度を設けて信頼性を担保し、「代行」する仕組み。
国交省は、検査に不備がないか定期的に監査しているが、書類を信頼して行われており、書類自体が偽装された場合、不正を見抜くことは難しいという。
出典
『偽装用印鑑、帳簿管理で貸し出し 日産、組織ぐるみか』
http://digital.asahi.com/articles/ASKB66VT0KB6UTIL07S.html?rm=347
(2017年10月20日 修正1 ;追記)
2017年10月20日付で東洋経済オンライン(読売新聞)から、問題発覚後も4工場で不適切検査を続けていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日産自動車は19日、無資格の社員による完成車両の検査が、9月の問題発覚後も国内4工場で継続していたことが判明し、国内全6工場で生産した国内向けの全車両の出荷を停止したと発表した。
停止期間は2週間以上になる見通し。
日産によると、すでに無資格検査が継続していたことが発覚した日産車体湘南工場(神奈川県平塚市)以外に、追浜工場(同県横須賀市)、栃木工場(栃木県上三川町)、日産自動車九州(福岡県苅田町)の3工場でも続けていたことが、弁護士などの第三者を含む社内調査チームの調査で明らかになった。
無資格の社員が検査をしないよう、再発防止策を取ったにもかかわらず、現場が従っていなかった。
具体的には、今月17日夜、追浜工場で無資格の社員が、ブレーキの利き具合やライトの点灯状況などをチェックする「完成検査」を行っていた。
18日にも、栃木工場、日産自動車九州での不正が続いていたことが判明。
完成検査を国に届け出た本来の場所と異なる場所で行ったケースも見つかった。
日産は9月29日に無資格検査問題を公表。
西川社長は今月2日の記者会見で、「全て認定した検査員が行う体制になった」と説明していた。
その後も不正が続いたことに、西川氏は19日、「まさに不徹底と申し上げるしかない」と述べた。
生産台数に見合った人員を配置しなかったことも影響したとみられる。
日産は再発防止策として、検査の現場には有資格の完成検査員しか立ち入ることができないように「セキュリティーゲート」を設置する。
各工場で適正に検査が行われているかどうかを確認するため、外部の専門機関による監査も実施する。
西川氏は「2週間程度をかけてやろうと思っている」と述べた。
出典
『日産甘さ露呈、経営責任に発展する可能性も 国内出荷を停止…4工場で無資格検査を継続』
http://toyokeizai.net/articles/-/193903
10月19日21時3分に朝日新聞からは、3工場では本来の検査ラインの外側で不適切検査を続けていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月に国から指摘を受けた後も、国内の完成車工場全6工場のうち4工場で、検査に無資格者が関わっていた。
4工場のうち、追浜(神奈川県)、栃木(栃木県)、傘下の日産自動車九州(福岡県)の3工場では、18日まで、ブレーキ性能などを最終確認する完成検査の一部を、規定の「検査ライン」の外側で実施していた。
ライン内では有資格者が検査していたが、外側では資格のない従業員が検査していた。
自動車メーカーは、検査ラインの設計を国交省に届け出て厳格に管理することが求められているが、日産では設計の一部を無断で変更していた。
同社は実態を把握しておらず、第三者を交えた社内調査で発覚したという。
3工場のほか、日産車体湘南工場(神奈川県)でも、ハンドル機能を確認する工程での無資格検査が先日発覚。
日産は、この不正を公表してこなかったが、この日、あわせて発表した。
出典
『日産、全車両の出荷停止 国の不正指摘後も無資格検査』
http://digital.asahi.com/articles/ASKBM5VV8KBMUTIL034.html?rm=376
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。