2017年11月30日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7804/
(2018年4月4日 修正1 ;追記)
2018年2月20日19時59分に日本経済新聞からは、三菱電線の例では品質保証部門の立場が弱かったことが不正の一因だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三菱マテリアルは20日、製品データで不正のあった三菱電線工業の最終調査報告書を公表した。
報告書は、不正のあった製品事業や品質保証部門の社内での立場が弱く、十分な投資がなされなかったことが背景にあると指摘している。
三菱電線工業の主力は電線事業ではない。
2016年に同業のフジクラに譲渡しており、現在の主力事業は不正があった「シール材」だ。
航空機などに使い、油や水の漏れを防ぐ。
しかし、この事業はかつて傍流事業だったことが、不正が起きた原因となった。
三菱電線でシール材は赤字が続き、報告書によれば、同事業を「お荷物」と表現する関係者もいたという。
その結果、十分な設備投資が行われず、優秀な人材も少なかった。
シール材を生産する箕島製作所(和歌山県有田市)での品質保証部門の立場の弱さも問題だった。
同製作所では、技術開発部の発言力が一番強く、製造部がそれに続く。
品質保証部は、決められた納期に決められた量を納入するというプレッシャーに耐えきれず、検査結果の書き換えなどに手を染めることとなったと指摘している。
品質保証部では人員も不足し、他の部への依存が強かったという。
そもそも、設計書で参照されている規格を正確に理解できる人材も少なかった。
箕島製作所の閉鎖性も、不正が長期化する遠因となった。
現地採用が多く、他工場との人事交流も乏しかった。
他の事業所から「村社会」と評されることもあったという。
様々な要因が不正の引き金となっていた。
出典
『三菱マテが不正で報告書、三菱電線の品質部門弱く』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27151000Q8A220C1X13000/
2018年3月29日付で毎日新聞からは、ダイヤメットや三菱アルミでは能力を上回る受注で現場にプレッシャーがかかっていたこと等が不正の背景にあったなど、、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三菱マテリアルは28日、子会社で発覚した品質データ改ざん問題の最終報告書を発表した。
報告書によると、自動車部品などを製造する子会社のダイヤメット(新潟市)では、77年ごろから、顧客に求められた仕様を外れていても品質管理課長の判断で製品を出荷できる「検査特採」と呼ばれる社内制度に基づき、品質データを改ざんしていた。
2016年に一度は不正が発覚し、再発防止策が取られたが、その後、新たな不正が発生。
その際に当時の安竹社長(今年2月に辞任)は、改ざんを示す資料の隠蔽を指示。
18年1月まで約40年間不正が続いた。
アルミ製品製造の子会社「三菱アルミニウム」(東京)では、少なくとも90年代後半には不正が行われ、データを改ざんするための事実上のマニュアルも存在していた。
グループ内の子会社が不正品を出荷した取引先は、2月の発表時点から77社拡大し、延べ841社となった。
報告書は、これらの不正の背景として、能力を上回る受注によって現場に納期のプレッシャーがかかっていたことや、適合品を作る能力の低さ、品質検査の人員不足などを挙げた。
その上で、親会社の三菱マテリアルの管理体制について「対応にスピード感に欠けるところがあった」と断じた。
出典
『三菱マテリアル 40年間データ改ざんか 子会社前社長、資料隠蔽指示』
https://mainichi.jp/articles/20180329/ddm/002/020/044000c
3月29日付で毎日新聞からは、ダイヤメット事例に関するやや詳しい記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
最終報告書は、不正に手を染めた子会社が事態を改善できず、新たな不正を繰り返す実態を浮き彫りにした。
報告書によると、ダイヤメットで一連の不正発覚のきっかけになったのが、同社社員による2015年2月の三菱マテリアルへの内部通報だった。
社員相談室に「製品の製造場所について、事実と異なる表示がされている」との情報が寄せられた。
三菱マテリアルは、ダイヤメット社長に事情を聴くなどの対応を取ったが、同年7月、16年3月にも「改善しない」との通報が寄せられた。
このため、三菱マテリアルが調査したところ、通報の指摘通り不正表示が発覚。
このことから、16年9月に社内調査委員会を設置して本格調査に乗り出したところ、製品の品質について検査の未実施やデータ改ざんなどの不正が明らかになった。
ダイヤメットは、調査と並行して再発防止に乗り出したものの、その間にも新たな不正が発生。
しかし、この報告を受けたダイヤメットの安竹社長(当時)は、隠蔽するよう指示した。
同社は一時債務超過になるなど経営状態が悪く、報告すれば三菱マテリアルから支援を受けられなくなる恐れがあった。
安竹社長は「顧客に報告した場合は対応に追われ、ライン停止などの迷惑をかける」と判断し、今年1月まで不正な製品の出荷を続けていた。
出典
『三菱マテリアル データ改ざん 不正体質、改善は不透明』
https://mainichi.jp/articles/20180329/ddm/008/020/038000c
4月3日11時35分にNHK新潟からは、ダイヤメット前社長が顧問に就任したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「ダイヤメット」が、検査データの改ざんを隠ぺいするよう指示していた前の社長を今月1日付で顧問に就任させていたと2日にホームページ上で発表したが、3日午前、顧問就任の部分を削除したうえで発表文を再び掲載した。
経営トップとして組織的な不正の隠ぺいを主導した人物に顧問として助言を求める今回の異例の人事は、取引先など各方面に波紋を呼びそうだ。
親会社の「三菱マテリアル」は、「ダイヤメットから事前に相談を受けて、親会社として顧問の就任を了承した。過去の経緯をよく知っている安竹前社長に業務の引き継ぎなどを支援してもらいたい」と述べている。
出典
『改ざん隠ぺい指示の前社長顧問に』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20180403/1030002635.html
(ブログ者コメント)
品質部門の社内での立場が弱く人員も不足していたことが不正の背景にあったと指摘されている件、少し前に一斉発覚した環境データ改ざん問題に通じるところがある。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。