2017年10月26日に掲載した第2報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7707/
(2017年11月23日 修正4 ;追記)
2017年11月17日18時21分にNHK NEWS WEBから、日産の社内報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日産の西川社長は17日、国交省を訪れ、国に義務づけられた出荷前の検査を資格がない従業員にさせていた問題について、社内調査の報告書を提出した。
報告書によると、不正は京都を除く国内の5つの工場で行われ、栃木県の工場では1979年から始まっていた可能性があるとしている。
工場では、適正に検査が行われていたように見せるため、検査を証明する書類に正規の検査員のはんこを押す不正が常態化し、はんこの貸し出しを管理する帳簿も作成していたという。
また、資格を取得するための試験では、問題と答えを一緒に配布したり、答案を提出したあと、間違いを訂正させて再提出させたりする不正があったとしている。
さらに、国交省の立ち入り検査などに対し、不正の発覚を逃れるため、資格のない従業員に正規の検査員であることを示すバッジをつけさせて検査をさせていたほか、ことし9月の立ち入り検査では従業員が事実と異なる説明を行い、資料の一部を修正したり削除したりしていたという。
そのうえで、不正の背景として検査員の数が不足していたことなどを挙げたうえで、本社が現場の検査の実情を把握しておらず、車の安全性をチェックする検査への意識が低かったとして、役員の責任は極めて重いと結論づけた。
一方、再発防止策として、検査場所に資格を持った検査員以外は、入れないようにするため、来年3月までに顔認証を導入するほか、検査員の数を増やすなどとしている。
出典
『日産 検査不正で報告書公表「信頼を裏切る結果」社長謝罪』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171117/k10011227181000.html
11月18日1時31分に毎日新聞からは、下記趣旨の識者の見方が記事としてネット配信されていた。
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日産自動車の無資格検査問題の背景や再発防止策の実効性について、企業倫理や企業統治に詳しい明治大学商学部の出見世(でみせ)信之教授に聞いた。
問題の背景として、コスト削減圧力の影響は無視できない。
1999年にルノー出身のカルロス・ゴーン最高執行責任者(現会長)が掲げた再建計画「日産リバイバルプラン」では、利益追求の不徹底が業績不振の一因とされた。
そこから利益を最優先する意識が強まり、最低限の人員で生産性や業績をあげるため、自動化が進んで作業の負担が減ってきた完成検査よりも、他の業務に人を割り振るようになったのではないか。
かつての日産は、取締役の中に生産管理部長や工場長を兼務する人がいたが、99年の改革で取締役を37人から10人に減らしてからは、生産管理や品質管理は一段下の執行役員が担うことになった。
このことからも、技術や品質よりも利益や財務を重視しているように見える。
経営と現場との距離がある中で現場に数字だけを示し、必達目標として守らせた。
取締役会は、統治機能としては財務に偏っており、不十分だ。
再教育や工程の見直しなど再発防止策は一定の評価ができるが、経営層や現場に「コスト」として意識されると、再び同じことが繰り返される危険が残る。
まず変えるべきは経営者の意識だ。
出典
『日産無資格検査 販売店や下請け企業に打撃』
https://mainichi.jp/articles/20171118/k00/00m/020/093000c
(ブログ者コメント)
出見世教授の話しは安全管理にも通じるところがあるように感じたので紹介する。
ただ品質と異なり、安全は、かけたマンアワーがそのまま成果につながるとは限らない点が悩ましい。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。