2012年1月24日19時29分にNHK静岡から、また25日付で読売新聞静岡版から写真付で、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
24日午前9時過ぎ、富士市にある化学薬品メーカー、「イハラケミカル工業」の建屋で爆発が起きた。
火災は起きず、爆風で1600m2の鉄骨スレート造りの建屋の屋根や壁が吹き飛ぶ被害が出た。
また当時、この建屋の中で作業をしていた従業員の(57)が顔と両足首に薬品がかかって軽いやけど、子会社の社員(58)が避難中に転倒して軽いけがをして、病院で手当てを受けた。
警察などによると、事故のあった建屋は「第10プラント」と呼ばれ、除草剤の原料を製造中だった。当時、3人で反応缶に過酸化水素水を入れる作業を行っていたという。
この反応缶内の圧力が異常に上昇していたことが別の棟にある制御室で確認されており、現場の作業員に伝えようとしたその直後に爆発が起きたということで、警察が事故の原因を詳しく調べてる。
工場長は夕方、報道各社の取材に応じ「爆発事故により近隣の住民の方をはじめ多くの方に迷惑をかけお詫びします。原因については警察などが調査中で詳しいことは分かりませんが、会社としても事故調査委員会を作り再発防止に努めます」と謝罪した。
また、おととし3月にも廃液をためるタンクが爆発する事故が起きたことについて「前回の事故以降に設備の見直しや安全管理に関する社員教育に力を入れたが、不十分だったと反省している」と述べた。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/3035485752.html
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20120124-OYT8T01198.htm
(2016年3月16日 修正1 ;追記)
見つけるのがかなり遅くなったが、該社HPに2012年4月27日付で事故報告書が掲載されていた。
ポイントのみ転記する。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
「事故の状況」
第 10 プラント内の R-501 反応缶には、実際は前班の作業員によってアミンが仕込まれていたが、前班の作業員が誤って「空」であると引き継いだ。
本件事故時の作業員は、R-511 反応缶に、35%過酸化水素水を滴下するという作業を行う予 定であったが、誤って 35%過酸化水素水を R-501 反応缶へ滴下してしまった。
その結果、本来であれば混合されることのなかったアミンと 35%過酸化水素水が混合することとなり、急激に反応が進行し、R-501 反応缶が爆発した。
「原因」
・高濃度のアミンと 35%過酸化水素水が混合された結果、過酸化水素の分解反応が急激に進行するとともに、発熱を伴うアミンの分解反応も同時に進行し、短時間に多量の気体(酸素) が発生し、本件爆発に至ったと推測される。
・プラント内の設備がマルチ対応であったため、使用しない配管・バルブ等が多かった。
・滴下作業者がバルブを順番通りに開けず、滴下の状況確認も疎かであった。
・作業前の安全衛生教育において、使用する各原料の個別の危険性は説明されていたが、それらが混合した場合の危険性についての説明はされていなかった。
・滴下ラインの増設に際し、社内手続きが実施されない等、ルールが不徹底であった。
また、 班長(又は代行者)の指名が不明確であったため、作業のリーダーとしての自覚が薄く、班員の指導監督が不十分であった。
http://www.iharachem.co.jp/news/pdf/2012_04_27.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。