2015年10月8日19時20分にNHK岐阜から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
縦横に交わる交差点。網の目のようにいくつも点在している。
場所は岐阜県西部の西濃地域。木曽三川の流域に水田や畑が広がる田園地帯だ。
岐阜県では、こうした田園地帯にある見通しのよい交差点で、日中、車どうしが出会い頭に衝突する事故がたびたび起きている。場所がら、「田園型事故」とも呼ばれている。
なぜ、衝突してしまうのか?
事故には、共通する要因があった。
※(ブログ者注) 斜め太字は、活字の記事にはなっていないが、映像中で語られていた内容。
今年6月にも、交差点で車同士が出合い頭に衝突、一人が死亡した。
警察の調べでは、双方の車は減速しないまま、交差点に進入したとみられている。
なぜ、こうした見通しのよい交差点で、日中、出合い頭の事故が多発するのか?
事故の状況などを調査し、原因を分析する交通事故分析官。
その原因の一つに、人の視野があった。
「事故の運転者に聞くと、『衝突する直前まで相手の存在にすら気が付かなかった』、『衝突して初めて気づいた』というようなことを言っている。」
※(ブログ者注) 『 』内は、グラフィックが画面に映った状態での解説。
『直線に交わる見通しのよい交差点に、左側から、同じような速度で車が近づいてくる。
その際、相手の車は常に斜め45°の角度で進み続ける。
すると、近づいてくる車は、止まっているように錯覚してしまい、その結果、衝突する。
人の目は、主に視野の中心付近でモノの形や色を認識する。
その範囲は、左右35°程度の、ごく狭い範囲に限られる。
しかし、中心付近を離れた35°から100°までの周辺視野では、動きや明るさに変化のないものは認識し難いという特性がある。
このため、周辺視野で自分と同じような速度で交差点に向かってくる車をとらえた場合、交差点に近づいても、相手が止まっているように錯覚し、気付くのが遅れて事故につながる。』
警察OBのノブタさんは、交通事故分析官を務めていた当時、交差点付近に鉢植えの木を一定間隔で並べる実験をした。
「車がプランターを通過すると、木の陰で(車が)出たり入ったりする。
フラッシュ現象といって、一番わかりやすいのが、列車が鉄橋を通る時に消えたり出たりするように見える現象。
同様、樹木があることによって運転手に刺激になり、周辺視野をアシストできる。
物がある場所では見通しが悪いから、運転者は確認する。見通しが悪いと、怖いから見ようとする。何もないところでは、よく見えているという意識があり、その意識の中で周辺視野という見えない部分があるのが、本人には分からない。分からないまま進むから、事故になる。」
こうした実験を岐阜市郊外の交差点で2年間試みた結果、昼間に起きた出合い頭の事故は、それ以前の2年間に比べ、10件が1件と、大きく減った。
実験以降、養老町に新たに作られた道路には、交差点付近に街路樹が等間隔で設置されるようになった。
しかし、これも新しい道路で、歩道が設けられた道路に限られ、水田や畑を整然と縦横に区切る交差点は、数の多さもあり、大半は対策が難しいのが現状だ。
では、こうした交差点にさしかかった場合、どのような点に気をつければよいのか?
岐阜県警の河野分析官は、「相手の存在に気付くことが事故の防止になるので、特に見通しのよい道路を進行している時は、意識して左右を確認することを心がけるのが大切。相手を発見すれば自然と速度も落ちてくるし、それに伴い、一時停止や徐行もできる。」と話す。
広く、見通しのよい田園地帯。周囲に何もないからこそ、周りに配慮しながら運転する。
田園型事故を起こさないためには、ドライバー一人一人の注意が必要だ。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/3085546331.html?t=1444336778148
(ブログ者コメント)
○ブログ者が住んでいる町にも、田んぼのド真ん中の、遮る物など何もない交差点なのに信号機がついている場所がある。
それを見て、これまでは、なんと無駄なことを・・・と思っていたが、この記事を読んで理解できた。
○この田園型交通事故は、関係者の間では、よく知られた事故パターンらしく、ネットで調べると、多くの記事が見つかった。
そのうち、栃木県警HPに掲載されていた『いわゆる「田園型事故」の防止』というタイトルの記事が、今回のNHKの報道とよく似た内容だったので、紹介する。
http://www.pref.tochigi.lg.jp/keisatu/jikobousi/denen.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。