2017年11月23日21時31分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三菱マテリアルは23日、子会社の三菱電線工業と三菱伸銅が自動車や航空機向けなどに出荷した素材製品の検査データを書き換えていたと発表した。
出荷先は、三菱電線が航空・宇宙、産業機器、自動車など229社、三菱伸銅が自動車や電子機器向けなど29社。
いずれも「現時点で法令違反や安全性に疑義が生じる事案は確認されていない」というが、納入先と安全確認を早急に進めるとしている。
三菱電線の納入先には防衛省も含まれ、自衛隊の航空機や艦船にも不適合品が使われていた。
三菱電線が検査データを改ざんしていたのは、ゴムを素材とするパッキンやガスケットで、自動車エンジンなどの油や水漏れ対策に用いる部品。
寸法や材料の特性が納入先の要求や社内基準に合っていないのに、範囲内に収まるようデータを書き換えていた。
不正があったのは、和歌山県有田市の箕島製作所で製造し、2015年4月~17年10月に出荷した約2.7億個で、全出荷量の2割に当たる。
同社は今年2月に社内監査で不正を把握したが、10月23日に停止するまで不適合品の出荷を続けており、取引先への対応が厳しく問われそうだ。
三菱伸銅は、福島県会津若松市の若松製作所で製造した自動車部品や電子機器向けのコイル状の銅製品で導電率などのデータを書き換えていた。
不正があったのは、16年10月~17年10月に出荷した879トンで、全出荷量の0.6%に当たる。
同社は今年10月10日から社内調査を行い16日に不正を確認、18日に不適合品の出荷を停止した。
三菱マテリアルは、同じく子会社の三菱アルミニウムでも「不適合品の出荷があったが、すべての納入先との間で安全性の確認は終了している」と発表したが、詳細は明らかにしなかった。
いずれも24日に記者会見をするとしている。
三菱電線と三菱伸銅は、社外の弁護士らによる調査委員会を設け、原因究明を行ったうえで再発防止策を策定するという。
国内の素材メーカーをめぐっては、神戸製鋼所が10月、アルミ・銅製品などで検査データを改ざんしていたことが発覚。
納入先が自動車・航空機メーカーなど525社に及び、日本工業規格(JIS)違反など法令違反も見つかった。
今回、三菱マテリアルの子会社でも同様の検査データ改ざんが見つかったことで、日本の素材メーカーに対する不信が高まるのは避けられそうにない。
出典
『三菱マテリアル 子会社が素材製品の検査データ改ざん』
https://mainichi.jp/articles/20171124/k00/00m/020/036000c
11月23日2時1分に日本経済新聞電子版からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三菱マテリアル子会社の三菱電線工業が航空機向けの部材などで品質データを改ざんしていたことが、22日、分かった。
顧客と契約した品質基準に満たない製品を出荷していた。
データ改ざんがあったのは、配管を密封して内部を保護する「Oリング」と呼ばれる樹脂製の部材。
航空機などの工業製品向けにパッキン材として使われている。
この部材の取引先は数100社にのぼる可能性もある。
不正は長期間にわたって続いているとみられ、全容解明には時間がかかりそうだ。
三菱マテリアルは非鉄大手。
銅やセメント、超硬工具、電子材料、アルミなど、幅広い事業を手掛ける複合経営を標榜している。
10月に発覚した神戸製鋼所のアルミ・銅製部材のデータ改ざんを受け、グループ各社で品質に関する社内調査を進める中で発覚した。
出典
『樹脂部材でデータ改ざん 三菱マテ子会社 航空機向け』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23833140T21C17A1CC1000/?n_cid=NMAIL007
11月25日4時43分にNHK NEWS WEBからは、会社の記者会見が開かれたという、下記趣旨でネット配信されていた。
三菱マテリアルは24日、記者会見を開き、子会社が最初に不正を把握したのはことし2月だったにもかかわらず、その後も先月までおよそ8か月にわたって出荷を続けていたことを明らかにした。
これについて会社側は、製品の数が多くデータを改ざんした製品を特定するのに時間がかかったためだと説明している。
また、改ざんの背景や始まった時期、組織ぐるみだったかどうかなど、不正の具体的な原因や経緯については調査中だとして、ほとんど明らかにしなかった。
会社は、弁護士を含む調査委員会で詳しい調査を進め、年内をめどに公表するとしているが、メーカーとしての信頼性が厳しく問われることになりそうだ。
出典
『三菱マテリアル 不正の原因や経緯「調査中」 年内めどに公表へ』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171125/k10011234881000.html
11月24日21時40分に産経新聞からは、下記趣旨の解説的記事がネット配信されていた。
「グループ全体で法令順守(コンプライアンス)や内部統制管理に手を尽くしてきたが、それでも問題が起きた。今は申し訳ないとしかいえない」
子会社で起きた検査データの改竄問題に対し、三菱マテリアルの竹内社長は24日の記者会見でこう語った。
事業拡大とともに組織が「つぎはぎ」になる中で、ガバナンス(企業統治)改革も同時に進めようとしたが、全うできなかった現実に悔しさを隠せない様子だった。
三菱マテリアルは明治4(1871)年に始まった炭鉱事業が源流。
昭和25年の集中排除法で鉱業、セメント事業が分社化されたが、平成2年に、それらが再統合されるのに際して現在の社名となった。
その後は、グループ力の強化を図るため、事業の切り離し、取り込みを繰り返してきた。
非鉄金属は市況の変動や為替相場の動向などで、業績が大きくぶれることが経営課題。
これを事業規模の拡大と多角化の両面の戦略で安定させるのが狙いだった。
改竄がわかった三菱伸銅、三菱電線工業ともに、かつては上場企業だったが、約10年前に連結子会社化された。
しかし、多岐にわたる事業体を通じて、経営トップが適切なガバナンスを浸透させるのは容易ではない。
神戸製鋼所で起きたデータ改竄問題を厳しく批判してきたある大手メーカーの会長でさえ、「自分の会社の海外の孫会社あたりで不正が発覚し、明日、自分が謝罪する可能性もある」と漏らす。
「それぐらいの緊張感を持って、常にグループ会社のコンプライアンスの検査や監査をすることが必要だ」とも話し、かじ取りの難しさを指摘する。
三菱マテリアルも、事業拡大でガバナンスの難易度が増すのに伴って、子会社や製造拠点に対して高い水準の取り組みを求めてきた。
三菱電線の村田社長は会見で、「連結子会社になった後は、それ以前よりもコンプライアンスなどは厳しくなった」と弁明し、さまざまな施策を打ってきたことを強調する。
ただ、こうした取り組みや多様な制度があっても、コンプライアンス問題が生じるのが現実だ。
竹内氏は「ガバナンス強化の手を緩めることはない」と会見で言及したが、信頼回復につなげる取り組みを明確にすることはできておらず、大きな課題が積み残しになっている形だ。
出典
『つぎはぎ組織が死角生む 統合繰り返し、企業統治追いつかず』
http://www.sankei.com/affairs/news/171124/afr1711240046-n1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。