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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20188241641分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がイメージ図付きでネット配信されていた。

 

JR西日本が新幹線のトンネル内に、通常業務では線路内に立ち入らない車両検査の社員を座らせ、最高時速300kmを間近で体感させる研修をしていることが、同社や関係者への取材で判明した。

 

同社は、ボルト締め付けの確認などの重要性を学んでもらう目的だと説明するが、労働組合や専門家には、効果を疑問視する声がある。

 

 

【社員「怖かった」】

 

JR西によると、トンネル内には上りと下りの線路の間に、幅約1m、深さ約1mの中央通路がある。

 

研修は、通路に数人がうずくまり、頭上の間近を通過する新幹線2~3本の風圧を体感する。

 

2015年に福岡県のトンネル内であった部品落下事故を受けて、車両検査を担う博多総合車両所と同広島支所が16年2月に始めた。

 

今年7月末現在、小倉~博多間と広島~新岩国間で計24回実施し、車両検査の担当者約190人が体感した。

 

50代のベテラン男性社員によると、研修は「300km/h近接体感研修」と呼ばれる。

怖いと聞いていたため、上司に「行きたくない」と申し出たが、「順番なので」と認められなかった。

 

当日は2班に分かれて順にトンネルに入り、ヘルメットと防護眼鏡を着けて通路内に座り、新幹線が近づくと頭を下げた。

 

男性社員は上下3本をやり過ごしたが「風圧がものすごく、ドンと押さえつけられるようで怖かった。研修に何の意味があるのか」と言う。

 

グループごとに議論し、感想を書いて研修は終了。

別の日に研修を受けた同僚も「怖い」と話していたという。

 

研修のきっかけとなった事故は、15年8月8日に発生。

国の運輸安全委員会の報告書によると、新幹線2両目下部のアルミ合金製の板(幅71cm、高さ62.5cm)が落下して側壁や車体側面に当たり、衝撃で3両目の乗客が負傷した。

 

ボルトの締め付けが不十分だった可能性が高く、検査時の確認不徹底も一因とされた。

 

男性社員は、「ボルトが緩かったらどうなるか、トンネル内で速度を体感せずとも理解できる。社員を危険にさらすのは問題だ」と訴え、別の社員も「見せしめのようだ」と憤る。

 

JR西日本労働組合(JR西労、組合員約700人)は昨年5月以降、中止を申し入れているが、会社は応じていない。

同様の研修は、JR東海が15年度まで約5年間、一部社員を対象に実施していた。

 

JR西は、「中央通路での待機は、線路内に通常業務で立ち入る機会のある社員は経験している。車両関係の社員にも経験する機会を与え、作業の重要性を学んでもらうことが目的。安全には十分配慮している」と説明する。

 

 

【方法として問題】

 

中村隆宏・関西大教授(ヒューマンエラー論)の話

 

労災防止のため、疑似的に危険を体感させる安全教育は一般にあるが、トンネル内はリスクがゼロでなく、研修方法として問題がある。

 

インパクトがある経験で人間は変わるという前提かもしれないが、そんなに簡単にヒューマンエラーはなくならない。

 

トンネル内で体感することと検査の重要性を実感することは、ステップが離れすぎている。

間を埋める教育がないと意味がない。

 

出典

『JR西 新幹線300キロ体感 トンネル内で座らせ研修』

https://mainichi.jp/articles/20180824/k00/00e/040/305000c 

 

 

825日付で東京新聞からは識者のコメントが、下記趣旨でネット配信されていた。

 

<甲南大の熊沢誠名誉教授(労使関係論)の話> 

 

走行中の新幹線を間近で体感させるという研修は労務管理の良識に反しており、研修の域を超えている。


社員に恐怖感や閉塞感を与えるもので、ハラスメントに近く、今すぐやめるべきだ。

 

列車の整備について学ぶためなら、列車が停止した状態の方が適切であり、走行中の列車であるべき技術的な合理性はない。

 

出典

JR西、時速300キロ風圧研修 新幹線トンネル内 至近距離

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018082502000163.html 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

〇この研修方法については賛否分かれるところかもしれないが、座学でいくら部品取り付けの重要性を教えても、そこには限界があるのではないかとブログ者は感じている。

 

というのは、一般論として、教育を受けて頭では理解しても、どこかに他人事という気が潜んでいる・・・そんな気がしているからだ。

 

しばしば聞くのは、過去に事故を起こした人は、その危険性を肌で感じているので、二度と同じ事故は起こさない、ということ。

 

そういう観点から考えると、頭上を新幹線が通る際の恐怖感が頭に残り、車両検査時の確実な作業につながる・・・そのような考え方もあってしかるべしだと考える。

 

ただ、気になるのは、JR西が「安全には十分配慮している」という、その内容、ならびにJR東海が同じような研修を行い、その後は止めているという経緯だ。

 

そのあたりも、毎日新聞には取材してほしかった。

その内容次第では、ブログ者の考えも変わるかもしれない。

 

〇2015年の事例は下記参照。

201588日 福岡県のトンネルで山陽新幹線のカバーが脱落し架線接触で緊急停止、カバー衝突で乗客軽傷、カバーのボルトは走行試験担当者が素手で締めただけだった』

(第1報)

http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5124/

(第2報)

http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6078/

 

 

 

 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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