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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2011年12月29日20時6分に、朝日新聞(時事通信)から下記趣旨の記事がネット配信されていた。

東京電力は29日、福島第1原発1号機のタービン建屋地下で、1991年10月30日に冷却用海水が配管から大量に漏れ、非常用ディーゼル発電機2台のうち1台の基礎部が冠水した事故があったことを明らかにした。

同日中に原子炉を停止し、事故を国に報告。
外部電源は正常で、非常用発電機も起動可能な状態を維持していたという。

建屋地下の床下に埋設していた海水配管が腐食して穴が開いたのが原因だったため、東電は配管を建屋内部に移設して点検しやすくする措置を取った。

当時、非常用発電機は耐震性を重視して岩盤上の地下階に設置する考え方だったため、津波などの浸水を想定して高い場所に移す方法は検討されなかったという。
 

出典URL■■■


ちなみに本件に関しては、2011年10月29日付の高知新聞紙面に、関連記事が掲載されていた。
それは、元東電社員の木村氏が6年前に福島の季刊紙に「もし原発に津波が来たら」というタイトルで、以下のような寄稿文を寄せていたというものだった。

今年4月、福島第1原発そばの自宅から知人のいる土佐清水市に移住した木村さん(47)によると、1991年10月30日、1号機のタービン建屋の配管から冷却用の海水が漏れ、地下にある非常用ディーゼル発電機が動作不能となった。

原子炉は手動停止。海水を掃きだす下請け作業員が総動員され、現場は大混乱になった。
「こんな海水漏洩で電源が喪失するなら、津波が来たら運転中の原子炉はメルトダウンに至る可能性がかなり高いのでは?」 木村さんが疑問をぶつけた上司は、「津波と原発のシビアアクシデントを関連づけるのはタブーだ」と答えたという。

木村さんは福島第1原発の炉心設計技術者として長年勤務し、2001年に離職。
スマトラ島に大津波が襲った後の2005年、福島の季刊紙に「もし原発に津波が来たら」と題して投稿し、「冷却用海水ポンプや非常用電源の機能の喪失により、福島県内の原子炉が一斉に炉心溶融を起こす」と警告、注目を集めた。

木村さんは、「91年の事故は、電源喪失こそ重大なのに配管漏れを問題にし、津波と切り離す。マスコミには『海水が漏れ、放射能漏れはなし』と短く発表。そうしたトリックを続けてきた中に起きた今回の事故であり、いわば人災」と東電と国を批判している。




(ブログ者コメント)

□非常用発電機が運転可能な状態だったかどうか、東電と木村氏の言い分が180°違っているが、どちらが正かは不明。

□それにしても、東電はなぜ今ごろになって、この事故を明らかにしたのだろう?
タイミングから考えると、政府事故調の中間報告書に、何か記載されていたのかもしれない。
「耐震性を重視して岩盤上の地下階に設置する考え方だったため」という東電側の説明にも、なにかそういったニオイが感じられる。

□それはともかく、今になって思うから、なんであの時・・・となるのだが、当時は、そんな大津波が来よう筈もなく、仮定の話に何十億、何百億円も投資することはできない、といった考えが主流だったのだろう。

□1991年といえば、今から20年前。ブログ者は、すでに東京湾岸の化学工場で安全業務に従事していた。
そして仕事柄、津波の危険性についても認識してはいたが、当時は、そんな大規模な津波対策をやっている会社は同業他社のどこにもなく、わが社だけが対策をとるなど、問題提起しても全く通らない雰囲気だった。

□最近、1000年スパンで考えると大地震時の津波で鎌倉市のほとんどが水没する、という研究結果が発表された。
マスコミでも大きく取り上げられていたが、急ぎ鎌倉から引っ越そうという動きは、まだないようだ。
当分、そんなことは起きないだろうと、皆が思っているからだろう。

□福島原発も、やはり今の鎌倉と同じような感覚だったのだろう。
違うことといえば、万に一つ、実際に大津波に遭遇した場合、及ぼす影響が話しにならないぐらいに大きい、ということだった。
「リスク」=「災害の発生頻度」×「災害が実際に起きた場合の影響度」
原発は、この「影響度」という点で、一般住宅あるいは東京湾岸の工場とは、比べ物にならないぐらいの大きさを持っていた。

□惜しむらくは、1991年のこのトラブル、あるいはその後に何回かあったと報道されている、津波想定見直しの機会に、経営者がこの点に注目していたら・・・。
死んだ子の歳を数えても仕方がないことは分かっているが、それでも、ついつい、そう思ってしまう。
まこと、断腸の思いをしている人が、何人もいることだろう。



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魚田慎二
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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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