2024年7月22日21時19分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午前3時35分頃、愛知県蒲郡市の東海道新幹線上り線で、線路のメンテナンスなどをしていた保守用車両2台が衝突し、いずれも脱線した。
この事故で、同線の浜松―名古屋間は22日の終日、上下線とも運転を見合わせた。
運休は上下線で計328本に上り、約25万人に影響が出る見込み。
23日は始発から一部の列車で運休や遅れが発生する可能性があるという。
22日夜、東京都内で記者会見したJR東海の川越施設部長は、「夏休みに入ったところで、始発からご迷惑をかけたことに深くおわび申し上げます」と謝罪。
復旧作業が遅れたことについては、「保守用車両の損傷が激しく、脱線に伴う線路設備の整備にも時間がかかった」と釈明した。
JR東海によると、保守用車両は21日の終電後、豊橋―三河安城間で線路上のバラスト(砕石)を固める作業を行った。
作業後に停車していたところに、名古屋市から愛知県豊橋市の保守基地に向けて時速約40キロで走行していた別の保守用車両が衝突し、2台とも脱線した。
この事故で男性作業員2人が首の骨を折るなどのけがを負った。
今回の事故を受け、国土交通省は22日、JR東海に対し、再発防止のための措置を講じた上で報告するよう指導した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240722-OYT1T50166/
7月22日23時51分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、作業を終えた作業車が線路上に停まっていたところに回送中の作業車が40キロほどで突っ込んだ、ブレーキ操作したが利かなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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立ち往生したのはひと繋ぎの列車ではなく、2つの保守用の車両でした。
2つの保守車両はセットで動くこともあるといいます。
まず、砕石を積んだ車両が先を走ってどんどん線路にまいていきます。
新たな石を追加しないと、振動による摩耗で小さくなっていくからです。
後ろに続く、もう1つの保守用の車両の役目は、砕石を突き固めてレールのゆがみを補正すること。
ただ今回、この2種類の車両は一緒に作業していたわけではないとみられます。
JR東海によると、実際に作業していたのは砕石を突き固める車両だけでした。
作業を終えて線路に止まっていたところ、豊橋の保守基地に戻っていた回送中の車両が衝突。
何らかの原因でブレーキが利かなかったということです。
衝突した車両の運転士ら2人が負傷し、1人は首の骨を折る重傷でした。
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復旧に時間がかかった理由について、JR東海は…。
JR東海の会見 :
「40キロほどのスピードでぶつかっておりまして(車両を)切り離すのに慎重を期して、まず時間を要した。
衝突した結果、油等も漏れていたので、その処置も行わなければいけなかった。
搬送台車という車をつけて運搬するのですが、もう一度脱線すると大変なことになりますので、その辺りも慎重に慎重にということをやっていて、予想より時間を要してしまった」
事故の原因については調査中としています。
JR東海の会見 :
「(現場は)新幹線の中では比較的急な下り勾配になります。
勾配が起因したかどうかについては断定はできておりません。
それと運転者が居眠りだとかよそ見だとかということもなくて。
それぞれ係員2人おりますけれど、別々話を聞いても、きちんとブレーキ操作していたということですので。今
のところ、そちらの手順誤りみたいなことはない。
何らかの原因により減速ができなかったと思われます。
詳細については現在調査中です」
https://news.yahoo.co.jp/articles/f46a317a6dd3effbd1501d172c47f85c10d66cbd
7月22日19時24分に朝日新聞からは、新幹線にはATCなどが備えられているが保守用車は複数台が近接して作業する場面も多いなど、下記趣旨の記事が複数枚の写真付きでネット配信されていた。
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なぜ復旧作業は長引いたのか。
JR東海によると、事故を起こした保守用車両は2台とも脱線し、自力走行できない状態となった。
このため、線路に戻しただけでは動かせず、いったん運搬用の台車を使い、別の車両で牽引(けんいん)する作業が必要となった。
これによって事故車の撤去作業に時間がかかり、復旧作業が長期化しているという。
東海道新幹線の線路は一般的な在来線と同様に、盛り土の上にバラスト(砕石)を敷き詰める構造。
山陽や東北などコンクリート板に直接線路を敷く「スラブ構造」の新幹線と比べ、乗り心地が快適となる半面、バラストの突き固めなどの保線作業が必要となる。
新幹線の保守作業は終電後の午前0時から、始発前の午前6時までの間に行われる。
ある新幹線技術者は、「基地からの保守用車の出し入れや、始発前の安全確認に必要となる時間を除けば、実質的に作業できるのは数時間が限度」と話す。
作業の遅れは始発の遅れに直結するため、現場はかなり慌ただしい雰囲気だという。
新幹線の営業列車は追突を防ぐため、先行列車との距離に応じて自動ブレーキがかかる自動列車制御装置(ATC)など手厚い安全システムを備えている。
一方、保守用車は複数台が近接して作業する場面も多く、運転士らの注意力に頼ることも多いという。
東海道新幹線では1993年と2015年にも、保守用車同士の追突、脱線事故でダイヤが混乱する事故が発生。
JR東海は再発防止策として、保守用車同士の接近警報装置の改良などを続けてきた。
https://www.asahi.com/articles/ASS7Q2H86S7QUTIL01RM.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
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復旧作業が完了したのは発生から18時間半後です。
時間を要した理由について、JR東海は下記の3点をあげています。
・ぶつかった車両を切り離すのにまず時間がかかった。
・衝突での油もれの処置や損傷した枕木の交換も必要だった。
・保守用車両の運搬も時速10kmを想定していたものの半分の時速5kmでしか動かせていない。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/2f633d29677c4c449ddc4bd3a7454237e672e34e
7月26日10時41分にYAHOOニュース(共同通信)からは、追突された作業車に乗っていた2人もけがしていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は26日、負傷した作業員が4人になったと明らかにした。
当初は2人としていたが、追突された車両に乗っていた2人も24日に医療機関を受診し、首や腰を捻挫していることが判明したという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e21b772042867e5abe341e2a2cc9fcc67027fa50
(2024年8月8日 修正1 ;追記)
2024年8月5日15時29分にYAHOOニュース(テレビ静岡)からは、ブレーキ力の確認を、メーカー想定の最大圧力で行っていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は8月5日、衝突した保守用車について、軌道モーターカーに牽引された6両の砕石運搬散布車のうち、少なくとも3両はブレーキ力が大きく低下した状態で走行していたと発表しました。
一方、軌道モーターカーのブレーキ力に異常はなかったということです。
また、残る3両の砕石運搬散布車は衝突の影響で破損していたため、ブレーキ力の確認が出来ていません。
JR東海によると、ブレーキ力が適正であるか確認するための指標が、本来ならば使用停止とすべき値となっていたものの、メーカーが想定する確認方法を採っていなかったことなどから、この点を認識できていませんでした。
具体的にはブレーキシリンダーのストローク量を確認する際、メーカーが最大圧力でブレーキをかけた状態で行うことを想定していた一方、JR東海は最大圧力でブレーキをかけていなかったということです。
このため、今後は適正かつ適切な方法で確認するよう社内教育を徹底する方針です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/41058f45d039ab6db950b186778a38fea7702030
8月5日16時42分にYAHOOニュース(静岡放送)からは、衝突した車は9両編成で、うち6両が動力のない砕石運搬車だった、現場は東海道新幹線の中で最も下り坂が急な区間だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海によりますと、停車していた車両にぶつかった車両は9両編成で、3両が動力車、6両が動力のない砕石運搬車でした。
事故があったのは東海道新幹線の管内で最も下り坂が急な区間で、時速46キロで坂を下っていたところ、砕石運搬車のブレーキに異常があったことから十分に減速できず、衝突したということです。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/f2ec8b7fce41bc5e21cd73fc87461c4965c0d111
8月5日20時37分に朝日新聞からは、車両を導入した2010年から誤った方法でブレーキ装置を点検していた、運搬車30両のうち、ほかの5両でもブレーキ力不足だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は5日、ブレーキ装置の点検方法を誤っており、一部の車両のブレーキがほぼ利かない状態だったと発表した。
点検方法の誤りは、車両を導入した2010年から続いていたという。
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運転士がブレーキを操作すると、ブレーキシリンダー内に空気が送り込まれ、車輪に制動力が伝わる仕組み。
作業前の点検でシリンダーの可動部を確認していたが、ブレーキの強さや目盛りの判定位置を誤っていたため、装置の摩耗が進み、ブレーキを掛ける力が低下していたという。
同社には運搬車が計30両あるが、ほか5両でもブレーキ力不足を確認。
事故車を含め、約3分の1に問題があった。
同社は正しい点検方法をマニュアル化し、再発を防ぐとしている。
https://www.asahi.com/articles/ASS853PTYS85UTIL004M.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
8月5日20時45分に毎日新聞からは、誤った方法で点検していたためブレーキ部品の磨耗に気が付かなかった、点検時、メーカー想定より低い圧力をかけていた、普段と違い、この日は作業前にブレーキ力確認作業を省略していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は5日、追突した保守用車両のブレーキ部品の一部が摩耗し、使用停止すべき状態に達していたことが事故原因だと明らかにした。
点検時にメーカーの想定と異なる誤った方法でブレーキ力を確認していたため、不具合に気付かなかったという。
JR東海によると、追突したのは線路下に敷き詰める砂利を運ぶ「砕石運搬散布車」(6両)。
ブレーキ力を点検する際、メーカーが想定するよりも低い圧力をかけて点検を行っていたため、ブレーキ力の低下に気付かなかったという。
また、普段は作業前にブレーキ力の数値の確認をしているが、この日は作業員が確認作業を省略していたという。
事故後にこの車両を調べたところ、車輪にブレーキをかける制輪子の摩耗が進んでおり、使用停止すべき状態だった。
このため、急勾配で非常ブレーキがきかず、停車していた別の保守用車両に衝突したという。
https://mainichi.jp/articles/20240805/k00/00m/040/267000c
8月5日付で同社HPには、ブレーキシリンダーのストローク調整判定方法についてメーカーに確認していなかったなど、下記趣旨のニュースリリースが掲載されていた。(ストローク検査などの図解付き)
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2.原 因
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砕石運搬散布車のブレーキ力が大きく低下した状態で走行していたのは、ブレーキ力が適正か否かを確認するための指標となるブレーキシリンダーのストローク量(以下、ストローク量という。)が、本来ならば使用停止すべき値となっていた(※2)にもかかわらず、使用前にそのことを認識できなかったためです【別紙2】。
その理由は、以下のとおりです。
(1)ストローク量を確認する際、最大圧力でブレーキをかけた状態で行うという保守用車メーカー想定の確認方法を採っていなかったこと【別紙3】。
(2)ストローク量の調整要否の判定について、当社から保守用車メーカーに対して判定方法の確認を行わず、両者の認識が異なり、結果的に誤った方法で判定していたこと【別紙4】。
その結果、使用停止とすべき砕石運搬散布車を「使用可能」と誤った判断をするに至りました。
なお、本来は当該保守用車の作業者が夜間作業の前にストローク量の確認を行うべきところ、7月20日の作業者は、確認を行ったものの、7月21日の作業者は前日のストローク量をふまえ、確認を省略していました(※3)。
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https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000043732.pdf
(ブログ者コメント)
〇メーカーから装置を購入した際は、メーカーの取説に従って自社の運転・保守マニュアルを作成すると思うのだが、なぜ、メーカーが想定した方法で点検しなかったのだろうか?
〇新幹線本体の整備マニュアルはしっかりしているが、付帯設備関係のマニュアルはそうでもなかった・・・といったことはなかったのだろうか?
なにせ、そういった事故が結構起きているようなので・・・。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。