17日午前9時50分ごろ、大分県津久見市の保戸島沖で海に潜ってブイ撤去工事の作業をしていた潜水士3人が意識不明になり、その後、全員の死亡が確認された。
3人の空気ボンベ(12~14ℓ)の残量はいずれもゼロで、海保が原因を調べている。
海保によると、亡くなったのは潜水業Sさん(45)と会社員YOさん(31)、会社員YUさん(37)。
18日に司法解剖した結果、YOさんは急性窒息死、他の2人は肺に水が入っていて水死だった。 タンクの空気がなくなり、口からマスクを外した可能性がある。
現場一帯は、音でおびき寄せた魚を餌付けして育てる「海洋牧場」で、大分県がブイなどを管理している。3人は老朽化した音響給餌ブイの撤去作業の最中だった。
海保によると、作業船で現場に着いた3人は17日午前9時30分ごろ、ブイとチェーンで結ばれているコンクリートブロック(75トン)を撤去するため、空気ボンベを背負って海に入った。
水深57mの海底付近に下り、SさんとYUさんはクレーンから下ろしたワイヤとブロックをつなぐ作業にあたり、YOさんは有線電話で海上との連絡係を担ったという。
9時47分ごろ、YOさんから作業船に「1個目の(金具)取り付け完了」「ワイヤを沈めて」と連絡があり、この時点で作業は順調だった。だが数秒後に作業ストップの指示があり、約3分後にSさん、その5分後にはYUさんが浮上。ともにあおむけで意識がなかった。YOさんは約1時間後、海中に沈んでいるのが見つかった。
県によると、3人の前に別の1人が潜った際、海底は穏やかで視界も良かったという。
水深5~6m地点には、急浮上した際に起こる減圧障害を防止するための空気タンクが3人分用意してあったが、使われた形跡はなかった。
YOさんとYUさんが勤めていた測量会社によると、水深57mでの作業はYOさんとSさんは何度も経験していたが、YUさんは初めてだったという。
工事を発注した大分県などによると、空気の残量が少なくなった場合は、作業を中断し別の潜水士と交代することになっており、死亡した3人を含めて潜水士は計10人確保していたという。
潜水士のとりまとめ役だった男性(61)は取材に対し、「ボンベは各自が準備し、全部で25本あった。残りが4分の1になったら浮上するよう指示していた」と話した。
また19日には、工事を行っていた業者の責任者などが、県庁で会見をした。
海中での作業について現場で具体的な指示を出していた潜水士のIさんが「およそ60mの深さで作業が出来るのは20分がぎりぎりくらいだ」と述べ、「ボンベの空気圧が一定にまで減れば作業を中断して浮上することを決めて3人に指示を出した」と述べ、作業手順や安全管理に問題はなかったという認識を示した。
また、死亡した3人のボンベは空になっていたが、ボンベはいずれも潜水士が準備し,潜る前に十分な空気が入っていたことを確認していたということで、Iさんは事故の原因については「全くわからない」と答えた。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0317/SEB201203170011.html
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120318/oit12031820230001-n1.htm
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120319k0000m040067000c.html
(ブログ者コメント)
3人のうち1人の空気ボンベが空になるならあり得ることだが、複数、それも3人のボンベがほぼ同時に空になるとは・・・。
関係者は想像だにできなかっただろう。
ブログ者には、タイムキーパーがいて、その人が時間を間違えた程度のことしか思い浮かばない。
(2012年3月26日 修正1 ;追記)
2012年3月20日付で朝日新聞西部版(聞蔵)から、当時のやや詳しい状況が、下記趣旨でネット配信されていた。
意識不明の状態で海面に浮かんだ2人の浮力調整装置の空気袋が大きく膨らんでいたことがわかった。
急浮上を避け、空気を抜きながら使うのが一般的で、海保は、海底付近でトラブルが起きてボンベの空気がなくなり、意識不明になって浮上した可能性が高いとみている。
深い水深から空気調整せず一気に浮上したため、水圧が減って袋の空気が膨張したとみられるという。
指示係のYOさんが、普段は携帯しているダイビングコンピュータを持っていなかったこともわかった。
これは安全な浮上速度や体内窒素量を知らせる機器で、携帯は法的義務ではないが、各自で持つのが基本という。
海保は事故との関連を調べる方針。
(2013年3月18日 修正2 ;追記)
2013年3月17日13時35分にNHK大分から、いまだ原因につながる手掛かりはないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、津久見市の保戸島沖で海に潜って作業をしていた潜水士3人が死亡した事故から17日で1年になる。
いまのところ事故の原因に直接つながるような手がかりはなく、海保が捜査を続けている。
海保は、工事を大分県から請け負った津久見市の建設会社や、死亡した潜水士の手配をした佐伯市の会社の事務所を捜索するなどして、事故の原因について捜査しているが、3人がおよそ60mと、ふだんあまり工事が行われない深い海底で作業をしていて、事故を目撃した人がいなかったことなどから、これまでに事故の原因に直接つながるような手がかりは得られていない。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/5073121961.html?t=1363561250221
(2013年10月22日 修正3 ;追記)
2013年10月18日12時20分にNHK大分から、また10月20日付で朝日新聞大分全県版(聞蔵)から、未だ原因不明だが放置したままだと危険なため県は工事を再開するという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故を受けて、県は、事故原因を明らかにし、再発防止策をまとめることを優先させるとして、1年半余りにわたって工事を中断していたが、事故の原因はまだ明らかになっておらず、大分海保が捜査を続けている。
県は、ブイを含めた人工魚礁の設備の耐用年数が過ぎており、ブイを係留するチェーンなどが切れて船と衝突する危険があることから、早急に撤去する必要があるとして、今月中にも工事を再開する方針を決めた。
県漁協からも要望が出ていた
県は、海に潜って作業する際には、船の上からホースで潜水士に空気を送り、作業中に呼吸できなくなるのを防ぐほか、潜水士の頭に小型のビデオカメラをつけ、船の上でも作業のようすがわかるようにするなどの安全対策を講じるとしている。
県は、「労基署にも作業の安全対策について確認や助言してもらい、万全な方法で臨む」としている。
県では、天候をみながら作業を再開させることにしているが、亡くなった潜水士の父親は、「家族としては事故の原因がわかるまで工事を再開してほしくない」と話している。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/oita/5075374491.html?t=1382134740195
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。