2017年10月31日17時59分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京ガスは31日、ガス栓を交換する工事の際に必要なガス漏れ検査を作業員が省略したことで、実際に火災が起きていたと発表した。
経産省は同日、東京ガスに厳重注意処分を出すとともに、同じガス栓の交換工事をした約16万件について、不正がなかったかを調べるよう指示した。
東京ガスは昨年12月以降、空気穴があるタイプのガス栓約45万件について、空気穴のないタイプに付け替える工事をしてきた。
このうち、東京都練馬区内で今年10月12日、交換工事をした日にガス漏れが原因とみられる火事が起き、ガスコンロなどが焼けた。
調査の結果、工事を請け負ったグループ販売店「東京ガスライフバルTAKEUCHI」(練馬区)の作業員がガス漏れ検査を省略し、検査をしたかのように記録用紙を書き換えていたことが分かった。
その後の調査で、この作業員が「検査がしにくい」といった理由で、記録用紙を書き換えたり別の検査結果を転用したりして、86件で検査を省いていたことが分かった。
さらに、別の作業員2人が実施したガス漏れ検査2件についても、記録用紙を転用していたことが判明したという。
経産省は、不正のあった計88件について1週間以内に巡回して安全を確認することや、交換工事済みの16万件について不正がなかったかを3週間以内に報告すること、原因究明・再発防止策を1カ月以内にまとめることなどを求めた。
出典
『ガス栓交換で検査省略し火災 東京ガス、16万件調査へ』
http://www.asahi.com/articles/ASKB05RCTKB0ULFA02T.html
10月31日23時17分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
50代の男性社員がガス栓を交換した顧客宅で、ガス漏れが原因の火災が起きた。
必要な検査を怠った可能性があり、火災との因果関係を調べる。
別の現場の記録を転用して報告書を作成していた。
経産省は31日、東京ガスを文書で厳重注意するとともに、他の委託先業者が行った分も含む同種作業の約16万件について、不正の有無を調べることなどを指示した。
作業員は、他に約90件の作業についても、報告書を作成する際、別の現場の検査記録を転用するなどしていた。
作業は、悪条件が重なると微量のガスが漏れる恐れがある栓を交換するもの。
栓は1991年9月~2004年1月、一部の顧客宅に導入された。
東京ガスライフバルTAKEUCHIは、練馬、板橋の両区、埼玉県の和光、朝霞の両市で工事を請け負っている。
出典
『東京ガス 検査省略?ガス漏れ火災 16万件確認へ』
https://mainichi.jp/articles/20171101/k00/00m/040/143000c
10月31日21時17分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
東京ガスは、家庭のガスコンロ下の収納スペースに設置された一部のガス栓について、ガス漏れの恐れがあるとして交換作業を進めている。
今年10月、東京都練馬区の集合住宅での交換作業の後、ガス漏れによる火災が発生し、社内で調査していた。
出典
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171031-OYT1T50114.html?from=ycont_top_txt
10月31日付で東京ガスHPには下記趣旨の記事が掲載されていた。
1.不正の内容等について
弊社の保安規程では、ガス栓を交換する際のガス漏れ検査では、
a.作業後に「圧力保持による気密試験」を行うか、
b.作業後に「ガス検知器による漏えい検査」を行い、
作業結果を確認することを求めております。
このたび、東京ガスライフバル練馬・板橋北と同法人の東京ガスライフバル南板橋の作業員が、これまでに行った同ガス栓の交換作業5,626件について、作業報告書に貼付されている気密試験結果記録用紙の実施日時や測定データ、測定器ID等を照合し、同じ記録用紙が使用されていないか確認するとともに事情聴取を行い、東京ガスライフバル練馬・板橋北の作業員3名が、以下の通り規程に反する不正を行っていることが判明いたしました。
作業員は、a.「圧力保持による気密試験」を省略し、気密試験の結果記録用紙を別途、印刷して作業報告書に貼付し、結果記録用紙の実施時刻を手書きで直し偽装する不正を60件おこなっておりました。
なお、b.「ガス検知器による漏えい検査」は実施したと証言しておりますが、作業結果の記録は残っておりません。
また、作業員が担当した残りの件名に当たる650件については、a.「圧力保持による気密試験」の作業報告書を手書きで直しておりませんが、本人の証言から、その中の約30件は、ガス配管を自前で作成し試験したかのように見せかけていたことが判明しております。
なお、上記の710件につきましては、お客さま宅を訪問し、圧力保持による気密試験等を実施し、安全性を調査しており、調査済みの564件では、ガス漏れは確認されておりません。
(2)作業報告書に他の記録用紙を転用した作業員 2名
a.「圧力保持による気密試験」の結果記録用紙の印刷が薄い等の理由で破棄した件名2件について、同記録用紙を他の件名で複数枚印刷して、当該の作業報告書に貼付しておりました。
なお、当該の2 件については、お客さま宅を訪問し、圧力保持による気密試験等を実施し、安全性を調査しており、ガス漏れは確認されておりません。
2.推定される原因について
原因については現時点では明確になっておりませんが、以下の通り推定しています。
なお、今後、調査を踏まえ明確な原因を究明してまいります。
(1)ガス漏れ検査の重要性の理解と作業マニュアル遵守のための取組不足
お客さま宅で具体的に作業方法を指導しておりましたが、定期的にマニュアルを読みあわせるなど、ガス漏れ検査の重要性や方法について確認する機会が十分ではありませんでした。
また、弊社からの委託先へマニュアル遵守の要請をしておりましたが、十分に伝わっておりませんでした。
(2)作業の管理不足
委託先内で、サンプリングでの作業品質調査や管理者の同行による作業状況調査を、定期的に行うなど、作業管理の取り組みが十分ではありませんでした。
(3)作業報告書の管理不足
弊社が作成した作業報告書が不正防止に十分に配慮した設計となっておらず、また、作業報告書をチェックする際も偽装などの不正発見を意識しておりませんでした。
4.当面の再発防止策
今後の調査結果を踏まえ、原因の究明と抜本的な再発防止策を策定してまいりますが、同様の事態を発生させないために、当面の再発防止策として、既にお客さまとお約束している件名を除き、「空気抜き孔付機器接続ガス栓」の交換作業を一旦停止いたします。
また、グループ内でこのたびの事例を共有し、保安規程やコンプライアンスを遵守した基本作業を行うよう徹底してまいります。
出典
『「空気抜き孔付き機器接続ガス栓」の自主的な交換作業における不正な作業ならびに経済産業省からの指導について』
http://www.tokyo-gas.co.jp/important/20171031-03.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。