(1/2から続く)
10月27日10時53分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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完成検査の資格について、スバルは社内の規定で、知識や実務訓練の状況を踏まえ、筆記試験も受けさせた上で与えると定めている。
自動車整備士の資格を持っているかどうかなどを考慮し、認定までに2~6カ月の期間をかけている。
正規の完成検査員は約250人。
検査に必要な人数は約160人といい、スバルは、人手が不足している状況ではないとしている。
出典
『検査員の印章流用し書類偽装 スバル、無資格の数人関与』
http://www.asahi.com/articles/ASKBW2JLGKBWULFA004.html
10月27日22時23分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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スバルは国交省に提出した同社の規定で「認定を受けた検査員が検査すること」と定める一方、社内の業務規定では「検査員が認定を受けるには現場経験の期間が必要」とし、認定前の検査を認めていた。
日産の問題を受けた社内調査の結果、3日に「全く矛盾した規定になっていた」(大崎・品質保証本部長)ことが判明。
吉永社長は「(無資格検査を)やったんだろうといわれれば、その通り。反省するしかない」と話した。
出典
『「規定の不備。正しいと思ってやった」スバルの吉永泰之社長、悪意否定』
http://www.sankei.com/affairs/news/171027/afr1710270044-n1.html
10月27日22時9分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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27日夕に東京都内の本社で会見したスバルの吉永社長は厳しい表情を浮かべた。
社内の業務規定そのものが無資格検査を誘発しやすい内容になっていたにもかかわらず、「まずいという認識のないままでいた」という。
規定では、完成検査員になるために現場で経験を積むことを義務づけている。
このため、現場管理者が認定した無資格者を完成検査に従事させることがあった。
スバルの大崎執行役員品質保証本部長は、「係長、班長はこの仕組みの中で育っており、違和感を持つことはなかった」と述べた。
一方、問題の背景には、完成検査に関する国の制度の曖昧さもありそうだ。
資格取得の基準は各社バラバラで、吉永社長は「(スバルは資格取得の)ハードルを高くしすぎているのかもしれない」と述べている。
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出典
『スバル、日産の無資格検査 背景に業界の曖昧ルール』
http://www.sankei.com/economy/news/171027/ecn1710270050-n1.html
(ブログ者コメント)
東洋経済の報道によれば、国交省への届出内容は下記。
「社内試験に合格した完成検査員が完成検査を行う」
一方、社内業務規定の内容は下記だと報じられている。
「監督者の監視下では、知識と技能を100%身につけたと判断された従業員であれば、完成検査の業務に従事できる」
仮に、社内規定どおりの内容で国交省に届け出ていたら、あるいは変更可否の打診をしていたら、国交省はどう判断しただろうか?
というのは、違う省庁とはいえ、消防法では、有資格者が立ち会っていれば無資格者でも危険物を取り扱えることになっているからだ。(それゆえ、ガソリンスタンドでは無資格者でも働けている)
消防法 第十三条
3 製造所、貯蔵所及び取扱所においては、危険物取扱者(危険物取扱者免状の交付を受けている者をいう。以下同じ。)以外の者は、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者が立ち会わなければ、危険物を取り扱つてはならない。
スバルの社内規定は消防法規定より格段に厳しく、この程度の内容なら「岩盤規制にメスを入れる規制緩和」の対象になったような気もするのだが・・・。
(2017年12月24日 修正1 ;追記)
2017年12月19日19時38分に日本経済新聞から、国交省に報告書が提出されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
スバルは19日、国交省に社内調査の報告書を提出した。
社内外の監査時に無資格者を意図的に検査ラインから外し、見つからないようにしていた新たな不正が調査で判明した。
同日、記者会見した吉永社長は「企業体質を全面刷新する」と述べた。
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スバルは、検査員の資格を取る訓練のために、一定期間はラインに入って補助的な検査業務に当たる規定があった。
これを拡大解釈し、資格を持たない従業員が1人で検査する例もあったという。
あわせて、有資格者が印鑑を無資格者に貸し出し、押印していた。
これらは1980年代に始まった可能性があり、90年代に定着したもようだ。
不正の原因について報告書は、「現場における過度な技量重視の風土」をあげた。
資格がなくても、必要な技術があれば検査しても問題が無い、という認識が定着していた。
報告書は、「裏返しとして、ルール軽視の姿勢が認められる」と指摘した。
「ルールの合理性に対する懐疑」も原因とした。
検査を担当する従業員に資格取得の要件が実態に合っていないとの認識があり、「ルールを守らないことを正当化する口実になった」としている。
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出典
『スバル、法令順守意識薄く 不正検査で報告書提出』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24823800Z11C17A2EA2000/
12月20日付で東洋経済からは、下記趣旨の解説記事がネット配信されていた。
報告書の中身は、本当にスバルの問題を語るものだったのか。
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登用前検査員でも行える「補助業務」の拡大解釈により、「100%習熟度」があると判断された者は、単独で完成検査を実施できるようになっていた。
日産自動車同様、「見極め」という、明文化されていない独自の運用がなされていた。
これが年月を経て習慣化するほど、完成検査が政府から委託された重要な検査工程であるという自覚が薄くなっていった。
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しかし、なぜこうした悪しき習慣が始まったのか、不正のきっかけは何だったのか、肝心な疑問の答えはわからずじまいだ。
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出典
『スバルの検査不正、報告書提出でも残る疑問 隠蔽行為も発覚、「昭和な会社」は
変われるか』
http://toyokeizai.net/articles/-/202045
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。