2020年12月18日16時46分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
いわゆる「エコノミークラス症候群」を発症して亡くなった会社員の男性の遺族が、長時間座ったまま仕事を強いられたのが原因だと主張して労災認定を求めていた裁判で、2審の大阪高等裁判所は「仕事と発症との関連性は認められない」として、1審に続いて訴えを退けました。
7年前、電池メーカーに勤めていた30代の男性が出張先の香港で「エコノミークラス症候群」と呼ばれる肺塞栓症(はいそくせんしょう)を発症して亡くなったことをめぐり、男性の遺族は、長時間座ったままの仕事を強いられたことが原因だと主張して裁判を起こし、労災と認めるよう求めていました。
エコノミークラス症候群は、一般の労災の認定基準では過労死の対象の病気に含まれていませんが、公務員の労災にあたる公務災害では対象になっていて、裁判所の判断が注目されていました。
18日の2審の判決で大阪高等裁判所の志田原信三 裁判長は、「日本の疫学調査ではビジネスマンや事務職員にエコノミークラス症候群が多発しているという報告はなく、労働と発症との関連性を示すデータもない。公務災害で認定対象の病気に含まれていることをもって男性の発症も仕事が原因だとは認められない」と判断し、1審に続いて訴えを退けました。
【遺族側“不合理な判決”】
判決のあとの会見で、亡くなった男性の母親は、「息子は何日も徹夜をしていた。出張がなかったら亡くなっていないと思う。今回の2審では裁判所にわかってもらえると思っていた。悔しくて、残念です」と話していました。
また、原告代理人の李暎浩弁護士は、「労災の認定対象の病気ではないという壁がものすごく高く、医学的に仕事との関係を立証しなければ、労災として認められない。公務員だったら認められたはずで、判決の結果は不合理だ」と話していました。
【厚生労働省は】
18日の判決について、厚生労働省は、「コメントは差し控える」としています。
【官民で労災扱いに差】
過労死の認定基準で厚生労働省は、認定対象とする病気に「脳梗塞」や「心筋梗塞」など、8つを指定しています。
死因がこのいずれかの病気だった場合は、発症前1か月間の時間外労働が100時間に達するなどしていれば、業務と発症に関連性があるとして、原則、労災に認定されます。
しかし、一般に「エコノミークラス症候群」と呼ばれ、長時間、同じ姿勢を続けるうちに足にできた血の塊、「血栓」が肺の血管に達して詰まる病気、「肺塞栓症」は認定対象の病気に含まれていません。
このため労災と認定されるには、業務によって発症したことを個別に証明しなければなりません。
一方、公務員の労災にあたる公務災害の認定基準では平成7年に「エコノミークラス症候群」を認定対象の病気に加えています。
今回の裁判で原告側は、民間と公務員とで差があるのはおかしく、労災認定でも長時間労働との関連性の高い病気として扱うべきだと訴えていました。
労災認定で「エコノミークラス症候群」を対象の病気に加えるべきかどうかをめぐっては、厚生労働省によりますと、ことし7月に開かれた有識者による検討会で労災の認定基準全般の見直しが議論され、検討が続いているということです。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20201218/2000038795.html
12月17日5時0分に読売新聞からは、時間外労働時間が過労死ラインを超えていたと遺族側は訴えていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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男性が死亡したのは2013年1月。
大手電池メーカー(本社・東京)で勤めており、出張先だった香港の宿泊ホテルの一室で亡くなっているのを発見された。
出張では、関西空港から約3時間かけて飛行機で渡った中国・上海や、香港に計6日間滞在。
移動には鉄道やタクシーを利用し、会議などに参加したほか、宿泊ホテルで深夜にパソコンで操作するなどした。
男性の肺や下肢には血栓(血の塊)が見つかり、死因は肺塞栓症と診断された。
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控訴審で遺族側は、深夜のパソコンの記録などから宿泊ホテルで長時間にわたって椅子に座って仕事をしていたと主張。
出張中だけでなく、死亡前2か月の時間外労働は計約245時間に及んでおり、国の過労死ラインも超えていたと訴えた。
一方、国側は「パソコンの記録は起動と終了の時間に過ぎず、長時間労働もエコノミークラス症候群発症の要因には挙げられない」と、控訴棄却を求めている。
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https://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20201216-OYTNT50114/
また、7月31日17時58分にYAHOOニュース(mBS NEWS)からは、仕事上のストレスとプレッシャーもかかっていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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【行くからには成果を残さないといけない】
男性は出張先の中国や香港で、新規取引先の開拓を求められていた。
出張前に記されたノートには「行くからには成果を残さないといけない」などと記されていて、大きなプレッシャーがかかっていることがわかる。
さらに、医師が注目したのは出張中に男性が妻と交わしたメールだ。
【出張初日のメールより】
「今日の打合わせは中国語で全く何言ってるか分かりません
でした。仕事はつらそうだけど、頑張るね。」
出張初日は前向きな言葉もみえた男性。
しかし、次の日…
【出張2日目のメールより】
「今日は最悪。少しメールしたいな。」
言葉が通じないことに、より強いストレスを感じたと綴られている。
【“わさびだけの寿司”を食べさせられ…】
このメールの翌日、会食の場で、“ある動画”が撮影された。
撮っているのは、香港で働く男性の上司だ。
男性が食べさせられているのは、わさびだけの寿司。
【会食で撮影された動画の内容】
(上司)
「わさびを、いっちゃってください。どういう反応をするか、これでおもろいかどうかで、明日からの対応は変わりますからね。」
(男性)
「ゴホゴホッ…(※わさびだけの寿司を食べて咳き込む)」
(上司)
「落ち着いたら感想を一言お願いします。」
この日、ホテルに帰った後、妻にメールを送っている。
【出張3日目のメールより】
「体調はプレッシャーと不安で慢性的な寝不足の毎日ですが、何とかやってるので心配しないで下さいね。出張来てからもずっと肩凝ってるし。体調不良まではいかないけど、しんどいね。特に精神的に。」
そして3日後、死亡しているのが見つかった。
「わさびたっぷりのお寿司を食べた時の反応によっては、明日からの対応が変わるかもしれないと。
これは業務上の評価に結びつくような言葉と受け止められても仕方がないと思います。
職務上、被災者が大変大きなストレスを感じたという風に評価できるのではないかと思います。」
(遺族の代理人 李暎浩弁護士)
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https://news.yahoo.co.jp/articles/ea585c702969b6388aad1161376d9a93e758036f?page=1
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。