2013年6月11日22時33分に朝日新聞から、6月12日1時39分に読売新聞から、6月12日12時12分と6月13日20時39分と6月14日8時27分にNHK長崎から、また6月12日付の長崎新聞と6月13日付の朝日新聞長崎版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午後5時半ごろ、長崎県雲仙市の旅館「H」から、「風呂で2人が倒れている」と119番通報があった。
警察などによると、源泉からひいた湯を一時的にためる屋外にあるタンクの中に男性従業員2人が倒れており、病院に運ばれたが、Yさん(59)の死亡が確認された。
もう一人のSさん(35)も、一時、意識が回復したが、その後、死亡した。
警察などによると、タンクは横3m、奥行き1.6m、高さ2m。天井に直径60cmの入り口があり、ふたを開けて中に入る仕組み。
2人は、同日午後3時ごろからタンクに入り、沈殿した硫黄分を含んだ汚泥を取り除く清掃作業をしていたといい、タンク内は空だった。
別の従業員が2人のうめき声を聞き、開いたふたからタンクの中を覗くと、はしごの下付近でYさんが仰向けに倒れ、Sさんが覆いかぶさるようにもがいていたという。
この従業員が電動ノコギリでタンクの側面を切断し、救急隊とともに救出した。
2人は、マスクは着けていなかった。
中に風を送り込んで換気するための扇風機もそばに置いてあったが、事故後、2人が倒れているのを見つけた男性従業員が換気が必要だと思い、置いたものだという。
消防が、救出を終えた午後6時すぎにタンク内のガス濃度を測ったところ、硫化水素が4ppm、一酸化炭素が6ppmだった。
作業に問題はない濃度だが、空気が入って薄まった可能性があるという。
警察では、12日、遺体の司法解剖を行い、その結果、死因は硫化水素中毒の疑いがあることがわかった。
警察では死因の特定を進めるとともに、事故の原因や作業の安全管理の体制について調べている。
「H」を経営する会社によると、タンクは約1年2か月前に設置。
Yさんが『中を洗浄しようか』と提案し、この日が初の清掃だった。
旅館の別のタンクは、水を流して水圧で汚れを落としており、旅館の上司はSさんに、同じやり方で清掃するよう指示した。
だが、タンク内に入らないように注意はしなかったという。
同社側の幹部は、「どうしてタンク内に倒れていたのか分からない。水圧で落ちない汚れを落とそうとしたのではないか」、「清掃の手順について設置業者から説明はなく、作業マニュアルもなかった」と語った。
タンクを製造した設備会社によると、タンクの中では、温泉成分による有毒ガスの発生や酸欠のおそれがあるため、注意事項として、作業の際は換気扇などで換気することや、外に監視員を配置することを呼びかけているという。
同旅館は、雲仙市役所から南東に約13km離れた雲仙温泉街の一角にあり、有数の高級旅館として知られ、広大な敷地に客室が点在している。
この日は休業で、客はいなかったという。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0611/SEB201306110019.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130611-OYT1T01171.htm
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2013/06/12085827010608.shtml
http://www.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035233631.html?t=1371073649577
http://www.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035271291.html?t=1371156121448
http://www.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035288261.html?t=1371243760818
(2013年6月19日 修正1 ;追記)
2013年6月14日付で朝日新聞長崎版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
労安法に基づく酸欠則では、硫化水素が発生する場所で作業をする際は、酸素濃度の測定や換気をして、外部に監視人を置くことを事業者に義務づけている。
タンクの製造元も、温泉成分でタンク内に有毒ガスがたまる恐れがあるとして、換気などを求めていた。
だが、警察や旅館側の説明によると、現場のタンクに換気設備はなく、濃度測定や外部からの監視もしていなかった。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。