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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2016102152分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

10211950分にNHK札幌からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。

 

北海道足寄町の温泉施設で、2014年10月、男性入浴客が浴槽内で倒れて重体に陥る事故があり、警察が業務上過失傷害の疑いで捜査している。

事故直後の保健所の測定では、温泉に含まれる硫化水素ガス濃度が国の基準を大幅に超えていた。

 

この施設では、以前にも2人が同じ浴槽で倒れて死亡しており、警察は、この2件についても経緯を慎重に調べている。

 

事態を重く見た環境省は、今年9月に再発防止に向けた検討会を設置し、硫化水素を含む温泉の安全対策について、基準を見直す方向で検討している。

 

地元消防や男性の親族の話によると、重体となったのは東京都内の男性(52)。

14年10月8日夜、浴槽内で意識を失っているのが見つかった。

搬送先の病院で、硫化水素ガス中毒の疑いによる脳機能障害と診断され、現在は意識不明で寝たきり状態となっている。

 

事故のあった同じ浴室では、重体となっている男性以外にも、13~14年に3人が救急搬送され、うち2人が亡くなっていた。

搬送先の病院によると、13年に亡くなった64歳の男性は「溺死」、14年に亡くなった38歳の男性は心臓に血が行き渡らなくなる「虚血性心疾患」と診断されていた。

 

病院側は、今年9月、取材に対して「当時は硫化水素ガス中毒を疑わず、血液や尿の分析など、詳しい検査をしなかった。同じ浴室からの搬送が相次いだことを考えると、今思えば、中毒がきっかけという可能性は捨てきれない」と説明。

病院は、2人の診療記録を警察に提出し、警察が硫化水素との関係を慎重に調べている。

 

死亡した男性2人は、血液や尿が保存されていないため、硫化水素が死因と確定するのは困難だが、重体の男性は診断が可能だ。

 

国の基準では、温泉を浴槽に入れる際には、空気に触れさせて硫化水素の含有量を抑えることを求めている。
一方、事故が起きた施設は、浴槽の底から温泉を入れる構造になっていたという。


また、環境省によると、温泉施設の硫化水素の濃度を定期的に測定する国レベルの決まりはなく、換気口をどこに設けるかなどについても細かな基準がないという。

 

15年9月に浴室内の濃度を測定した研究機関によると、浴槽上は国の基準値の最大10倍、洗い場は最大20倍に達した。

 

施設は事故直後から自主休業し、現在は入浴できない。

経営者は朝日新聞の取材に、「国の基準は理解していなかった。認識不足だった」と話している。

 

硫化水素は火山性ガスの主成分の一つで、硫黄臭があり、有毒。

硫化水素を含む温泉の源泉は、全国に440カ所以上ある。

 

出典

温泉施設、過去にも2人死亡 硫化水素と関係か

http://digital.asahi.com/articles/ASJBN5SYNJBNUUPI00H.html?rm=656 

温泉の硫化水素扱い新基準検討

http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20161021/3752741.html

 

 

1021748分に朝日新聞からは、硫化水素濃度を測定していなかった理由等に関する、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

温泉を監督する帯広保健所(道立)が、少なくとも事故の3年前から硫化水素ガス濃度を把握していなかったことがわかった。

 

施設側は取材に対し、1987年に営業許可を得て以来、保健所も施設も濃度を測定していなかったと証言。

事故直後の保健所の測定では基準値を大幅に超えていたが、安全対策の前提となるデータが長年にわたり把握されず、危険が見逃されてきた可能性がある。

 

道の監視要領では、温泉施設には2年に1回、立ち入りによる監視を行う。

監視項目に硫化水素ガスの濃度は含まれていない。

帯広保健所は、取材に「14年の事故を受けて、文書の保管義務がある3年間の資料を調べたが、硫化水素ガスを測定した記録はなかった」と説明する。

 

環境省の基準では、都道府県知事が必要と認めた場合に、温泉施設に濃度を測定させることができる。

どのような場合に測定を命じるかの基準はなく、道は「道内で測定を命じた所は一つもない」としている。

 

一方、硫化水素の濃度が高い温泉を抱える福島県や群馬県などでは、保健所が定期的に測定するなどして、安全確保に努めている。

 

施設の経営者は、取材に、測定器を持っていなかったと説明。

保健所の立ち入り検査でも測定は行われず、指示もなかったという。

 

事故のあった浴室は、浴槽の底から源泉がわき出す構造で、硫化水素ガスが高濃度になるため、安全対策が十分と判断された場合に限り、利用が認められる。

経営者は、浴室の構造についても保健所から不備の指摘はなかったとしている。

 

温泉を管轄する道食品衛生課は、「当時は温泉に関係する法令に強制力がなく、厳しい対応ができなかった」と説明。

環境省は、「基準に照らして問題があれば対応できた」と話し、見解が食い違っている。

 

 

《硫化水素》 

 

空気中に含まれる硫化水素ガス濃度が100~300ppm程度の場合、個人差もあるが、8~48時間で気管支炎や肺炎、肺水腫による窒息死に至る。

700ppm以上だと、数回の呼吸で倒れる「ノックダウン」を起こすとされる。

 

入浴中以外の事故では、2005年12月に泥湯温泉(秋田県湯沢市)で、積雪の空洞にたまったガスを吸って4人が死亡。

15年3月には田沢湖高原温泉(同県仙北市)の源泉付近で作業員3人が死亡している。

 

出典

硫化水素濃度、保健所も施設も把握せず 温泉事故

http://digital.asahi.com/articles/ASJBN5T7FJBNUUPI00J.html?rm=697

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

仙北市の事例については、本ブログでも紹介済。

 

 

(2/2へ続く)

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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