2018年10月17日5時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
油圧機器大手「KYB」(東京)は16日、同社と子会社の「カヤバシステムマシナリー」(同)が製造した免震・制振装置に検査データの改ざんがあり、国交省の基準や顧客の性能基準に合わない製品を出荷していたと発表した。
不適合品は、疑いがあるものも含めると、マンションや病院、庁舎など47都道府県の建物、計986件で使われているという。
国交省によると、震度7程度の地震でも倒壊の恐れはなく、安全性に問題はないとみられるが、揺れが大きくなったり加速度が増加する可能性がある。
同省はKYBに対し、免震・制振装置を速やかに交換し、改ざんの原因究明と再発防止策を報告するよう求めた。
改ざんの疑いがあるのは、地震の揺れを抑える「免震用オイルダンパー」と「制振用オイルダンパー」。
建築基準法による耐震性をクリアした建物に備える装置で、2000年3月から18年9月までに製造された。
KYBによると、出荷前の検査で国交省の基準や顧客の性能基準に合わない値が出ても、基準値内に収まるよう書き換えて検査記録を提出し、製品を出荷していた。
410件で改ざんが確認され、その他の576件で疑いがあり、合計すると2社の出荷総数の7割を占める。
検査データが改ざんされた製品は、橋でも2件、使われていたという。
改ざんは工場の検査員が口頭で引き継ぎ、少なくとも8人が関与。
基準を満たしていない製品を分解して組み立て、検査し直すのに5時間程度かかることなどが、改ざんの理由という。
社内のどの範囲まで改ざんを把握していたかは、弁護士らによる外部調査委員会が調べる。
今回の問題は、カヤバシステムマシナリーの従業員が8月上旬に指摘し、KYBが9月中旬から社内調査をして判明。
会見した中島社長は、不適合な物件や不明な場合は取り換えるとし、「再発防止策に努めたい」と述べた。
KYBは東証1部上場。
車体の振動を吸収するショックアブソーバーは、世界の車の約2割で搭載されている。
改ざんが見つかった免震・制振装置は、現在は子会社のカヤバシステムマシナリーが製造販売しており、業界では大手。
不適合品か判明していないが、東京スカイツリーや六本木ヒルズ森タワー、大阪府庁、通天閣でも使用されている。
出典
『免震・制振、986件不正疑い KYB、データ改ざん』
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13726677.html?rm=150
10月19日6時58分にNHK首都圏からは、平成15年の改竄開始以降、後任の検査員7人も改竄していた、チェック担当者は改竄後のデータで確認していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
社内には検査結果を確認する担当者がいたにもかかわらず、チェック機能が働かずに、長年にわたって改ざんが続けられていたことがわかった。
KYBとその子会社は、地震の揺れを抑えるダンパーの検査結果を改ざんしていたことを明らかにし、改ざんが確認されたかその疑いがあるダンパーは、全国で1000件近くの物件に設置されている。
KYBによると、ダンパーの検査担当者は1人しか配置されておらず、検査結果が国の基準などを満たさなかった場合、データを書き換えて適合するように装っていた。
社内調査に対して、平成15年の時点で検査を担当していた従業員が「自分が不正を始めた」と話していて、これ以降の検査担当者7人も、全員、改ざんを行っていたという。
一方、社内には検査結果を確かめる別の担当者もいたが、改ざん後のデータが書かれた記録用紙で確認していたため、チェック機能が働かずに、長年にわたって改ざんが続けられていた。
KYBは、不正が行われた背景についてさらに調査を進めるとともに、19日午後にも、交換の対象となるダンパーが使われた物件のうち、不特定多数の人が出入りし所有者などの了解が得られた建築物について、名前を公表することにしている。
出典
『ダンパー検査チェック機能働かず』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20181019/0020191.html
10月19日15時45分に産経新聞からは、対応完了まではかなりの年数がかかるだろうという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
KYB側は、改竄の疑いがあるものも含め、計1万本以上の製品を交換する方向で対応を急いでいる。
ただ、生産能力が追いつかず、完了は最短でも平成32年9月になる見通し。
さらに、大規模な工事を強いられ、所有者や住民らとの交渉が難航することも予想され、長期化が懸念される。
今回、データが改竄されたのは、免震ダンパーと制振ダンパー。
免震ダンパーは、地下空間の基礎部分にボルトで外付けされているケースが多く、建物全体を持ち上げる必要はない。
このため、比較的、交換は容易とみられる。
一方、制振ダンパーは、地上階の壁の内部やフロアの壁に外付けされるケースが多い。
交換には、壁をはがす作業が必要になり、フロア全体を閉鎖する工事も想定される。
一時的な退去や転居を求められ、所有者や住民らとの調整が難航するケースが出てくるとみられる。
さらに、交換対象の装置が1万本以上に及ぶため生産能力が追いつかず、交換は少なくとも32年9月ごろまでかかる見通しだという。
27年に表面化した東洋ゴム工業の免震装置ゴムのデータ改竄では、154棟に出荷していた。
交換工事が完了したのは、約3年が経過した9月末時点で、98棟にとどまっている。
今回のKYBによる改竄は、疑いも含めると、東洋ゴム工業の6倍を超え、問題の長期化は避けられない。
東京理科大の高橋治教授(建築構造)は、「東京五輪・パラリンピック関連工事で建設業界の人手が足りない中、交換工事を行う施工業者を確保できるかといった問題もある」と指摘している。
出典
『KYB装置交換、大規模工事の恐れ 東洋ゴムの6倍、専門家「東京五輪で人手不足の中、業者の確保課題」』
https://www.sankei.com/affairs/news/181019/afr1810190024-n1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。