10月13日17時48分にNHK首都圏NEWS WEBからは、2年前に火災危険に関する警鐘論文が発表されていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
火災を起こしたタイプの送電線のケーブルを巡っては、条件によっては想定以上に劣化が進むとして、計画的に交換する必要性を指摘するリポートが、2年前に公表されていた。
このリポートは、茨城県日立市にある送電線のケーブルの販売などを行っている「ジェイ・パワーシステムズ」の技術者が、おととし7月、専門誌に投稿した。
この中では、今回のものと同じ銅線の周囲に絶縁用の油をしみ込ませた紙を巻きつけたタイプのケーブルについて、「劣化は非常に緩やかだと考えられてきた」と指摘している。
ところが、およそ30年間使われたケーブルの内部を調べたところ、絶縁用の紙が部分的に焼け焦げて炭化しているのが見つかったという。
こうした焼け焦げは、絶縁用の紙に寄った「しわ」の周囲で見られたため、リポートでは、しわの部分で絶縁の性能が落ち、放電が起きていたと考えられるとしている。
そして、放電によって紙が炭化して絶縁の性能がさらに落ちるという繰り返しで、局所的に紙が破損し、絶縁が失われることが推定されるとしている。
その上で、条件によっては想定よりも劣化が進む可能性がある一方、従来の点検方法では必ずしも劣化を把握できるとはいえないとして、X線を使った調査を組み合わせるとともに、計画的な交換も必要だと結論づけている。
出典
『2年前にケーブル劣化警鐘論文』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20161013/3506101.html
10月13日17時48分にNHKさいたまからは、実際に行った消火方法に関する、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12日、埼玉県新座市で起きた火災は、火が出たのが電気が流れる送電線のケーブルが通る地下の施設だったため、消防隊員は、地下の酸素を減らすために薬剤を泡状にしたり、ドライアイスを投入したりするなど、効果的な消火方法を模索しながら活動を進めた。
消火活動にあたった新座消防署によると、12日午後3時ごろ、通報を受けて現場に駆けつけた消防隊員は、感電のおそれもあるとして、水による消火活動はせず、延焼しないよう周辺に放水しながら、東電の社員の到着を待った。
そして午後3時26分、到着した東電の社員に送電線ケーブルの電気の遮断を要請し、本格的な消火活動を開始したのは、その20分後だった。
消防が最初に行った消火活動は、薬剤を泡状にして消火する方法。
これは、地下の空間を泡で埋め尽くすことで酸素を減らし、火を消し止めようという作戦だった。
しかし、消防によると火はなかなか消えず、東電が別の消火方法として提案した、ドライアイスを地下の空間に投入することを決めた。
これは、二酸化炭素の濃度を高めて酸素を減らすとともに、地下の空間を冷やすことが目的で、消防隊員は、東電が用意したドライアイス450kgを、別の出入り口から地下の施設に投げ入れた。
その後、煙や炎の勢いは徐々に弱まり、消防隊員が地下施設の様子を実際に確認できたのは、発生から4時間余りたった午後7時すぎだった。
その時点で火はほぼ消し止められたものの、地下施設内の温度は300℃に達していたため、隊員が中に入れる温度に下げるため、放水を続けたという。
消火活動の指揮にあたった新座消防署の竹内署長は、「地下施設での火災は初めての経験だった。しかし、地下施設の火災を想定した訓練を東電とともにほぼ毎年実施していたので、その経験が生きたと思う。一方で、効果が出なかった消火方法もあったので、なぜなのか検証し、今後に生かしたい」と話している。
出典
『東電火災 効果的な消火を模索』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/saitama/1106014541.html?t=1476390160925
10月13日23時25分に毎日新聞からは、出火したのと同タイプのOFケーブルで敷設後35年以上のものがまだ1000kmあるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10月14日7時20分に産経新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
東京電力は、13日、出火したものと同じタイプのケーブルのうち、敷設から35年以上が経過したものが約7割に上ることを明らかにした。
最も古いもので、敷設から60年近くたっていたものもあった。
東電は14日までに、管内の同種ケーブルの緊急点検を完了させるとしている。
東電によると、出火したのは「OFケーブル」と呼ばれるタイプで、直径約13cm。
電気が通る銅製の「導体」があり、その内側に絶縁のための油が流れるパイプがある。
導体の周りにはパイプからしみ出た油を含んだ紙が何重にも巻かれ、漏電を防ぐ構造になっている。
OFケーブルは1971年から使い始め、高度経済成長期に電力を大量に消費するようになった都心部で、特に普及したという。
同種の高電圧ケーブルは、東電管内で17ルート・約1400kmにわたって地下に敷設され、このうち約7割にあたる約1000kmが、敷設から35年以上が経過しているという。
中には、敷設から57年経過したケーブルもあり、同社は、経年劣化による漏電の可能性もあるとみて解明を急いでいる。
一方、現在主流となっている新型の「CVケーブル」は、内部に油を通す仕組みではなく、導体の周りも燃えにくいポリエチレン製の素材で覆っている。
東電管内では、約7000kmで使用。
このうち、35年以上経過したものは、全体の1割未満の約500kmだった。
OFケーブルは、年1回の目視点検のほか、油漏れがないか調べる点検を、年2回実施。
耐用年数は決まっておらず、劣化が見つかったケーブルから、CVケーブルへ交換する。
交換には、送電の一時停止が必要で、迂回ルートがないいと作業できない。
CVケーブルへの交換が進まない理由について、東電の担当者は、「都心の地下は高速道路や地下鉄、水道管などが過密しており、残された空間が少ない。環境条件の問題で、お金の問題ではない」と説明。
難燃性の防火シートで覆うことで、防災対策を進めていた。
火災のあった現場のケーブルについても、東電は2021年度までに送電ケーブルの束の周りを防火シートで覆う計画だったが、現時点では6系統のうち1系統しか覆われていなかったことも新たに判明した。
東電は、「発火したケーブルにシートが巻いてあれば、延焼は防げた可能性がある」と説明した。
出典
『火災で都内停電 35年経過ケーブル1000キロ』
http://mainichi.jp/articles/20161014/k00/00m/040/126000c
『東電、火災のケーブル35年間の旧式のまま 都心のインフラ老朽化どう防ぐ』
http://www.sankei.com/affairs/news/161014/afr1610140005-n1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。