2022年4月5日6時31分にYAHOOニュース(東洋経済オンライン)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月16日に発生した地震により東北新幹線が被災し、「やまびこ223号」のE6系7両とH5系10両の17両編成のうち、13号車を除く16両が脱線した。
地震による新幹線の脱線は今回が4回目。
営業列車としては2回目となる。
今回は、時速150kmで走行中の22時34分に1度目の地震(M6.1)の揺れを検知して、22時35分に非常停止した直後、22時36分に発生した2度目の地震(M7.4)による突き上げにより脱線したという。
つまり、現状の地震対策は機能していると考えられ、けが人が3人出たものの、車両が横転することもなく、被害を最小限に食い止めることに成功したのではないだろうか。
脱線の復旧作業は3月20日から始まった。
車両を1両ずつ切り離して復旧させ、その後白石蔵王駅に収容する計画で、全車が復線するためには2週間程度かかると見られている。
3月20~28日までに1~4・8~12・14~17号車を脱線復旧機材(ジャッキ)により復旧させ、29日からはクレーンを使用して5~7号車を復旧。
全車両が白石蔵王駅に収容されるのは4月2日を見込んでいる。
ここでは、この脱線復旧機材に注目したい。
【脱線復旧機材の仕組み】
脱線復旧機材は司機工(ドイツ・ヘーゲンシャイト社製)、伊岳商事(ドイツ・ルーカス社製)やユニバーサル機器が扱っている。
基本的な構造は同じで、車体を持ち上げるための油圧ジャッキと、油圧ジャッキを横方向に移動させるためのレールと油圧ピストン(またはモーター)からなる横送り機構と、動力源となる油圧ポンプやコントローラー等で構成している。
持ち運びを容易にするため、ジャッキ本体やレールにはアルミ合金やジュラルミンなどの軽合金を採用して軽量化している。
ユニバーサル機器のKU-ULR-40JⅢA型の重量を例に挙げると、ジュラルミン製のジャッキ本体が27kg、台座となるキャリッジが9kg、ジャッキ用電動油圧ポンプが67kg、ジュラルミン製の横送り用レールが46kg(従動側)/53kg(駆動側)となっている。
脱線復旧機材のメリットは、軽量かつコンパクトであることだ。
そのため、現場への持ち運びをスピーディーに行うことができる。
架線などの構造物を撤去せずに復旧作業を行うことができるほか、橋梁上やトンネル内など作業空間が制限される場所でも使用することができる。
そのため、小規模の脱線復旧作業に向いている。
【東日本大震災でも活躍】
この脱線復旧機材は、2011年の東日本大震災で脱線した東北新幹線E2系の回送列車の復旧作業で活躍した。
この脱線復旧機材はヘーゲンシャイト社製で、脱線現場付近にある新幹線総合車両センターに配備していたものだ。
今回の脱線復旧の様子を公開したJR東日本の写真にも、さまざまなサイズのヘーゲンシャイト社製ジャッキや、台車をジャッキアップさせて横送りする様子が写っている。
近年は各事業者の非常時訓練で脱線復旧機材を使用し、その様子が報道公開されることも多くなっており、脱線復旧機材を見る機会も増えている。
JR東海は2020年に総合事故対応訓練で新型の脱線復旧機材を公開した。
従来は台車をジャッキアップして浮かせた後、横送り用のジャッキに架け替えていた。
新型では車体をジャッキアップしてそのまま横送りを行い、その際に新開発の台車回転補正治具を併用して、従来のほぼ半分の30分~1時間程度で載線が可能となったという。
台車回転補正治具は現場の社員が考案したということで、今後はそれぞれの事業者で独自の進化が見られるようになるのかもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d18e1bdbfe42900f667d54d8da4f58b452493778
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
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