2023年9月22日18時17分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今月8日の記録的大雨から22日で2週間。
浸水した住宅は千葉県茂原市でおよそ2000棟に達し、現在も増えています。
その一方で、住宅や商業施設で「止水板」を設置していち早い復旧につながった事例が相次いでいたことがわかってきました。
千葉県茂原市の八千代地区に住む吉田さん(83)は、記録的な大雨で氾濫した一宮川の近くに自宅があり、4年前の大雨では自宅が床上まで水に浸かり、車庫にあった車2台も水没しました。
この教訓から、自宅の門や車庫、裏口の3か所に水の侵入を食い止める止水板を購入し、今月8日、雨が強まった午前10時ごろに家族と設置を済ませました。
その後、川の水位はぐんぐん上昇し、家の門のすぐ近くで最大80センチほど浸水しましたが、止水板によって敷地内の浸水は最大でも30センチほどに抑えられ、床上は浸水せずにすみました。
4年前は2週間ほど2階で暮らし、元の生活に戻るまで5か月ほどかかりましたが、今回はすぐにふだんどおりの暮らしができたということです。
吉田さんは、「4年前は1階の畳をすべて替えるなど大変だったので、今回も川の水位が上がってきた時にはどうなることかと心配していました。床上まで水が来ず、設置してよかったと思います」と話していました。
吉田さんの住宅に設置された防犯カメラには、一宮川の水位が上昇する様子や一帯が浸水する一部始終が記録されていました。
午前11時前には川沿いの道路に水があふれ出し始め、正午前には道路の大半は冠水し、すねほどまでつかりながら人が歩いている様子が分かります。
午後1時前に雨はいったん弱まったものの、車庫の前まで完全に水に覆われました。
このあと浸水のスピードが速くなり、午後2時ごろまでの1時間で40センチほど急上昇し、成人が太ももほどまで水につかりながら歩いているのがわかります。
その後も水位は上昇を続け、ピークとなった午後4時ごろには、道路からは1メートル20センチ、住宅周辺では80センチほど浸水しました。
一方、別の場所に設置されたカメラの映像では、止水板の効果で住宅の敷地内は午後1時ごろまで冠水しておらず、その後も浸水するスピードは遅く、水位も低いことが確認できます。
4年前を教訓に、止水板を設置することで被害を防ぎ、速やかに営業を再開した商業施設もありました。
茂原市高師のショッピングモールは、4年前の大雨の際に床上50センチ以上浸水してエスカレーターも被害を受け、被害額は2億円以上にのぼり、10日ほどの休業を余儀なくされたといいます。
このため、よくとし、およそ3500万円をかけて高さ60センチほどの止水板を100枚ほど購入しました。
今月8日の大雨の際には朝から準備を始め、午後1時に閉店した際には設置を終えました。
その結果、床上への浸水を免れ、大半の店舗で翌日から営業できたということです。
「茂原ショッピングプラザアスモ」を運営する茂原商業開発の秋葉取締役は、「設置費用は高額でしたが、店舗の中を守って通常通り営業ができています。利用者に迷惑をかけずにすみよかったです」と話していました。
大雨による冠水や浸水の被害が相次ぐなか、関東の自治体のなかには、個人や企業が止水板を設置する場合に補助するところもあります。
このうち東京・品川区は、昭和57年や60年の大雨で目黒川があふれるなどして浸水被害が発生したことから、昭和62年度から止水板の設置費用を補助する取り組みを行っています。
平成2年度には、補助の割合を4分の3まで、金額も最大100万円に引き上げました。
品川区によりますと、これまでの助成件数は個人と企業あわせて170件ほどで、工事費は個人では50万円程度、企業では200万円程度かかるケースが多いということです。
止水板の設置に対する補助は、東京では板橋区、足立区、三鷹市などで行われていて、千葉県でも千葉市のほか今年度から柏市でも始まるなど広がりをみせています。
茂原市では、昨年度、補助金の導入が検討されましたが、まだ実施には至っていません。
茂原市はNHKの取材に対し、「今後、補助を実施している他の自治体の状況を調査・研究し、検討していきたい」としています。
浸水を防ぐため止水板を設置する対策について、水害対策に詳しい東京大学大学院の松尾一郎客員教授は、「今回被災した地域は土地が平たんで、浸水が頻繁に起きている。こうした地域ではすぐに設置できる止水板は個人の対策として有用な取り組みだと思う。ただ、川の流れが速い地域では家ごと流される可能性もあるので、止水板に頼りすぎることなく、自宅や企業の状況を考慮しながら活用してほしい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230922/1000097471.html
9月11日付でNHK首都圏からは、茂原市の中心街は4つの川が合流して勾配も緩やか、また地下からのガス採取で地盤沈下しているため氾濫が起きやすい、今回は降雨時間に満潮が重なってしまった、学校や老人ホームでも事前の対策が功を奏していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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茂原市の中心部がある地域は、「一宮川」の4つの支流、三途川、豊田川、阿久川、鶴枝川が合流し、さらに勾配が緩やかになるため、氾濫が起きやすくなっています。
平成に入ってからは、4回にわたって氾濫しています。
▼ 平成元年の「台風12号」
▼ 平成8年の「台風17号」
▼ 平成25年の「台風26号」
▼ 4年前の令和元年の豪雨
4年前は、およそ1760ヘクタールが浸水して7人が犠牲となりました。
記録的な大雨で、茂原市には、10日午前10時までに、住民から床上浸水105件、床下浸水43件の情報が寄せられ、その後も件数は増えているということです。
情報が寄せられた場所と、4年前の大雨で浸水した場所を比較すると、一宮川や支流の周辺などで重なる部分が多く、広い範囲で床上や床下の浸水が起きていたとみられることが分かります。
赤い丸が床上浸水、青い丸が床下浸水について住民から情報が寄せられた場所です。
紫色のエリアが4年前の大雨で浸水した地域です。
4年前は、市内のあわせて約3700棟で床上や床下浸水が発生していて、市では、前回と同じ程度の浸水被害が出ている可能性もあるとみて、各地に職員を派遣して被害の実態を調べています。
過去の教訓をいかした早め早めの対応が功を奏し、被害を最小限にとどめることができた小学校があります。
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茂原市早野にある有料老人ホーム「時の村 早野館」は、今回は早めに、午前中から2階へ避難させる対応をとりました。
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茂原市に住む八代さんは、1階に置く家具のほとんどをスチール製の棚やプラスチックのケースなど、水で洗える材質のものに替えました。
今回、冷蔵庫や洗濯機は水につかって壊れてしまいましたが、再び使うことができる家財道具は、前回の被災時より多くなったということです。
東京大学大学院の松尾一郎客員教授は、茂原市で浸水被害が相次いだことについて、次のように述べています。
「もともと一宮川は川の勾配が緩いうえ、地下からガスを採取することで地盤沈下しており、水害が起きやすい地形だ。
そこに広い範囲で300ミリから400ミリという記録的な大雨になった。
さらに、雨が降った時間帯が満潮に重なっていたことも一因だ。」
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https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/015/75/
9月16日11時30分にYAHOOニュース(毎日新聞)からは、水害対策として一部区間だけをかさ上げすると、工事していない下流域に被害が以降するので、中流域を優先して工事するのは難しいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市内では度々、水害が発生していた。
13年の水害後にも堤防を一部拡幅する改修工事が施されたが、工事が完了する前に襲った19年の台風21号の影響で被害が広がった。
その後始まった県の特別緊急事業では、川の水が流れる道筋の拡幅や堤防整備、調節池の増設などを実施し、現在も進行中だ。
中下流域の整備は24年度末までの完成を目指している。
19年と同規模の降雨量でも流域の家屋や主要施設の浸水ゼロを目標にしており、29年度までに実現したいとしている。
具体的には、市内にある第2調節池は元々の70万立方メートルの貯水機能に加え、新たに40万立方メートルの増設を進めており、同市の市街地付近を流れる4キロの区間は、護岸ののり面を整備して流れる水量が増えても対応できるようにしていく。
これらを既に暫定供用している部分もあり、同事務所は今回の大雨でも「一定の効果があった」としている。
一方で、県としては急ピッチで工事を進めることができない理由がある。
同事務所は、「一部区間だけをかさ上げすると、工事をしていない下流域に被害が移行してしまう。河川全体を管理する立場として(中流域を優先して工事をするのは)難しい」と説明する。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/76964a25d57c7eca59e86e461f3b218358067d88
9月29日22時31分に産経新聞からは、護岸工事中の仮設堤防5カ所で業者が土嚢を勝手に撤去していたため高さ不足になっていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県は29日、護岸工事を進めている茂原市内の一宮川の仮設堤防で、必要な高さを確保していない場所が5カ所あったと発表した。
このうち4カ所では、増水した水が川からあふれ出すのを防ぐ土嚢(どのう)を、護岸工事の受注業者が県に報告せずに撤去していた。
県は来月中にも有識者でつくる第三者委員会を設置し、高さ不足が台風13号の接近に伴う大雨による浸水被害に影響を与えたかなどを検証する。
高さ不足の5カ所は、県が茂原市内の一宮川の約4キロの区間で進めている護岸工事に含まれる。
工事を受注したのは大手ゼネコン清水建設などの共同企業体で、工事契約上は仮設堤防では大型の土嚢を設置するなどして一定の高さを確保することになっていた。
大雨被害から2日後の今月10日、茂原市から県に対し仮設堤防の状況を調べるよう申し入れがあり、県が調査したところ、1カ所で仮設堤防の高さが120センチ足りないことが判明。
業者は県に対し「護岸のひび割れを補修するために土嚢を解体したが、その後に土嚢を再び設置するのを忘れていた」と説明したという。
その後の調査で、茂原市内の他の4カ所でも仮設堤防で必要な高さが確保されていなかったことが判明。
うち3カ所では、業者が工事を進める上で支障となるとの理由から、県に報告せずに土嚢を撤去していた。
県の県土整備部の担当者は29日に県庁で記者会見を開き、「仮設堤防とはいえ、契約通りに施工されていない事態が発生したことについて、県民におわび申し上げます」と陳謝した。
https://www.sankei.com/article/20230929-I7TXGSB34NKATA4MFNXZS2GVMA/
9月29日17時16分にNHK首都圏からは、護岸工事に土を利用するため土嚢を解体したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
茂原市を流れる「一宮川」では、度重なる水害を受けて、千葉県がおよそ4キロの区間で堤防や護岸の改修工事を進めていて、工事が終わるまで、堤防が低い部分などに大型の土のうを設置することになっていました。
しかし、茂原市から「土のうが一部設置されていなかったり高さが足りなかったりした場所がある」という指摘で千葉県が調べたところ、不備があわせて5か所見つかりました。
このうち、「明光橋」の下流付近では、高さ1メートル20センチの土のう6袋が、去年12月から撤去された状態になっていたということです。
この周辺では広い範囲で浸水していました。
施工業者が、護岸工事に土を利用しようと土のうを解体したあと、再び設置するのを怠っていたことが原因で、すでに土のうは本来の形で設置されているということです。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230929/1000097667.html
(2023年10月7日 修正1 ;追記)
2023年9月30日16時8分に毎日新聞からは、土嚢の中身を抜いた後、元に戻さず遮水シートを密閉していた、台風接近7日前に県が土嚢設置状況を確認したが気付かなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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調査の結果、川幅を広げる県の特別緊急事業の施工業者が、工事の便宜上、一度、土のうの中身を抜いた後、元に戻さず空のまま遮水シートを密封していたことが判明。
このため、2・5メートルの護岸の高さが、計画より1・2メートル足りない状態になっていた。
さらに、別の4カ所でも、計約125メートルにわたり、必要な土のうの高さが足りない部分が見つかった。
この状態は最長で半年前から続き、最大で80センチ不足していた部分もあった。
県は、台風13号が接近する前の7日に、仮設の土のうが置かれているか、現場を目視で点検したが、不備に気付かなかったという。
担当者は「土のうの中身が空になっていたり、必要な高さがなかったりしたのは想像していなかった」と釈明した上で、「問題があったと考える」と謝罪した。
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https://mainichi.jp/articles/20230930/k00/00m/040/069000c
2023年11月27日17時40分にNHK千葉からは、市の推計によると土嚢未設置により八千代地区の浸水深さは64cm増えたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
土のうが設置されていなかった八千代地区の1か所について、市は、大雨の日に付近で計測された一宮川の水位などをもとに、流れ込んだ水の量などを推計しました。
それによりますと、午前10時から午後8時までの間に、土のうが設置されていなかった部分から流れ込んだ水の量は16万7400立方メートルあまりで、これにより八千代地区では平均でおよそ64センチ、浸水の深さが増したとしています。
この地区では282世帯からり災証明が提出されていて、27日記者会見した茂原市の田中豊彦市長は、「土のうが十分に設置されていれば床上浸水は防げたのではないか」としたうえで、「あまりにもずさんすぎる工事だ。県は繰り返し浸水被害を受けてきた現場の状況が分かっていない。きちんと検証し管理してほしい」と話しています。
この問題については県も第三者委員会を設置し、川の氾濫への影響などについて検証を進めています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20231127/1080022279.html
(2024年7月7日 修正3 ;追記)
2024年7月6日8時15分にNHK千葉からは、土嚢未設置の影響は少なかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
当時、工事中の堤防の代わりとなる土のうの一部が十分に設置されておらず、千葉県が有識者会議でその影響などを検証していました。
5日の会議で結果が公表され、それによりますと当時、川の防災対策の基準の1.7倍以上もの大雨が降り、川の水位が上昇して堤防を越えたほか、雨水の排水も追いつかずに内水氾濫が起きて浸水が大きく広がったと結論づけました。
そのうえで、地形などを踏まえシミュレーションした結果、土のうが十分に設置されていたとしてもあふれた水の量は1割程度しか変わらず、影響は少なかったとする分析結果をまとめました。
座長の東京大学生産技術研究所の加藤孝明教授は「今後、流域全体で川に流れ込む水の量を減らす対策を考える必要がある」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20240706/1080023546.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。