2024年3月28日19時0分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都府亀岡市の桂川(保津川)で観光客向け川下り舟が転覆し、船頭2人が死亡した事故は、28日で発生から1年となった。
昨夏から運航が再開し、にぎわいを取り戻しつつある中、今月から乗船料が大きく値上げされた。
背景にあるのが、事故を教訓とした安全対策の推進と、400年以上の歴史と伝統を後世につなぐためのコンテンツ力の強化。
双方の両立を模索する保津川下りは、今、大きな転換期の中にある。
今月中旬、亀岡市の乗船場には国内外から多くの観光客が集まっていた。
話題になっていたのは、乗船料の大幅値上げだ。
運営する保津川遊船企業組合は1日から大人の乗船料を1500円値上げし6千円に改定。
小学生以下も4500円となった。
千円を超える値上げは過去に例がないという。
「値上げはしてほしくないが、安全対策のためなら理解でき、むしろ安心して舟に乗ることができる」。
乗船を待っていた岡山県の70代男性は、こう受け止めた。
値上げの背景の一つには、転覆事故を機に生まれた再発防止への強い意識がある。
昨年3月の事故以降、組合は約4カ月間運航を休止。
その間、専門家らとともに事故原因の究明や再発防止策の検討を重ねた。
組合に助言などを行った水難学会理事の斎藤秀俊・長岡技術科学大教授は、指導した船頭らについて「言葉では分かっていたが、訓練などを通して改めて客を安全に運ぶということを再認識した様子だった」と振り返る。
■安全徹底で厳しい制約
昨年7月の運航再開にあたり、組合は自らに厳しい基準を課した。
事故当日の状況を踏まえ、出航できる川の水位の基準を従来の85センチ未満から65センチ未満に引き下げたほか、客の救命胴衣を腰巻き型から自動膨張型などに変更。
こうした器具の装着や説明にかかる時間も増やすなどした。
出航水位の見直しなどにより、運航数の減少は避けられない状況にある。
組合によると、その数は事故前の年間約1万2千本から同8千~9千本となる見込みで、今回の値上げで収益減をカバーするねらいもある。
組合の豊田代表理事は、「事故を起こしたという反省の上に立ち、安全対策を軸に事業モデルを変えていかないといけない」と説明する。
■伝統を守るための投資
ただ、値上げにはもう一つの側面がある。
それは、約400年前から続く保津川下りのコンテンツ力の強化だ。
コロナ禍の収束で外国人客が増えており、多言語で保津峡内の名所を紹介する音声ガイドの導入や、リクライニングシート付きの新型船の開発なども進める。
レジャーが多様化していく中、組合はこうした未来への投資が「不可欠」と判断。
豊田代表理事は、「伝統を残していくことが亡くなった2人の名前を残すことにもつながる。反省とともに伝統の継承者として安全運航を徹底していく」と力を込めた。
観光マーケティングに詳しい立教大観光学部の東徹教授(観光学)は、「低単価で運航を続けると安全面よりも集客が優先され、無理な運航につながる。安全を最優先にかじを切った中、採算性を確保するためには(値上げは)当然だ」と指摘。
値上げによる安定的な人材確保も可能になるとして、「(値上げが)将来的なコンテンツ力の強化にもつながる」との見方を示した。
https://www.sankei.com/article/20240328-ARJRRM3ZMJKLRMUIEXSFSJ4FE4/
(ブログ者コメント)
当該事故については本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。