2019年10月20日付で毎日新聞から、避難所が雨漏りしたり水に浸かったり収容能力以上の人が押し寄せたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12日に上陸した台風19号の影響で河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、一時は全国で23万人が避難所に身を寄せた。
だが、水が入り込んで使えなくなったり、想定を超える住民が逃げ込んで満員となったりする避難所もあった。
同様のトラブルは過去の災害でも起きており、課題が改めて浮き彫りになった形だ。
【浸水の中、夜間の移動】
「室内の階段が水浸しになっている」
台風が接近していた12日夜、宮城県丸森町の避難所「丸森まちづくりセンター」に身を寄せていた菊地さん(女性、74歳)は別の避難者から教えられた。
だが、職員から情報はない。
午後9時ごろ、突然「隣の町役場に移動してください」と告げられた。
町によると、水が入り込んだのはセンター(2階建て)の屋上につながるドア。
屋上にたまった大量の雨水が隙間(すきま)から漏れ、ドアに近い屋内の階段を伝って施設内に入ってきたという。
当時いた避難者75人は全員、マイクロバスで町役場へ移った。
外は約10センチ浸水しており、激しい雨が降る中での移動だった。
菊地さんは町役場での避難生活について「数十人が一つの部屋に詰め込まれた。部屋のサイズと人数が合っていないと感じた」と振り返る。
他の避難者のくしゃみやいびきの音が響いて寝付けなかったという。
屋上に雨水がたまったのは、雨どいにハトの巣のわらが詰まったことが原因だった。
町は、16日にセンターの避難所機能を再開した。
避難していた女性(80)は「避難先として準備が不十分」と憤る。
町は「屋根からの浸水は想定外。普段から点検したい」と釈明した。
【会議室などに460人 】
多摩川沿いにある東京都狛江市。
市が川沿いの地区に避難勧告を出したのは12日午後4時半だが、雨風が本格化する前の午前中から多くの人が避難し、満員となる避難所もあった。
中央公民館は午前9時前に避難所として開設されたものの、午後2時半の時点で200人超の満員に。
収容しきれなくなり、市は急いで同じ敷地内にある市役所の議会棟やロビー、会議室を開放し、460人が身を寄せた。
狛江第二中学校の避難所も1000人ほどが集まって満員となり、新たに来た住民は別の避難所に移ったという。
市内の被害は少なかったものの、午後7時ごろに開かれた避難所もあり、ツイッター上では「遅い」と批判する声も上がった。
市の担当者は「想定より多くの人が来られた。早めの避難所開設などを含めて検討したい」と話した。
長野市の避難所では寒さ対策に追われている。
市では15日以降、最低気温が10度を下回る日がほとんど。
千曲川の堤防が決壊した13日、約600人が避難した北部スポーツ・レクリエーションパークでは避難者から「寒い」という声が相次ぎ、市がストーブ数台を設置した。
この施設は高台にあり、避難者が寝泊まりする屋内運動場は天井が高く、窓も大きい。
同市の避難所となっている豊野西小学校の体育館もヒーターを入り口に置いている。
18日にはボランティアが温かいコーヒーやラーメンを振る舞った。
【豪雨で「パンク」再び 自治体、主に地震想定】
過去の災害でも避難所の不足や定員超過が問題となった。
昨年7月の西日本豪雨で地区の3割が浸水した岡山県倉敷市真備(まび)町。
同月下旬まで、市が指定した避難所22カ所のうち4カ所しか開設されなかったため、一部の避難所に避難者が殺到してパンク状態になった。
大半の避難所を開設できなかったのは、ほとんどが浸水想定区域にあったためだ。
避難所に入りきれなかった人たちは隣接する自治体の避難所へ逃げ込んだ。
土砂災害警戒区域にある高台の公園に行く人もいたが、土砂崩れの危険があるためバスで別の避難所へ運ばれた。
市はこうした事態を受け、浸水を免れた学校を新たに避難所に指定。
廊下や教室を利用して多くの住民が避難できるようにした。
今年7月に九州南部を襲った大雨で、鹿児島市は全市民約59万人を対象に避難指示を出した。
市は順次、避難所を開設したものの、特定の避難所に人が集まり、別の避難所への移動を余儀なくされる人もいた。
災害対策基本法によると、避難所の指定は市町村の責務だ。
設置場所は「災害による影響が比較的少ない」など一定の要件があるものの、市町村に委ねられている。
避難所は地震を想定したものが多く、今後も浸水などで避難所が使えなくなり、住民全員分の避難先が確保されないケースが考えられる。
居住自治体外への避難も選択肢とする必要がありそうだ。
防災システム研究所の山村武彦所長は「今回はメディアや気象庁が危機感を強調したこともあり、避難者が多く、自治体の想定が甘かった。行政は地震を想定して避難所の数を決める傾向があり、浸水を想定した避難所をもっと確保しなければならない」と指摘する。その上で「マンションの上階に住む人らは避難せずに家にいた方が安全な場合もある。家ごとのリスクが異なることについて自治体は周知に努めるべきだ」と話している。
https://mainichi.jp/articles/20191020/ddm/003/040/057000c
10月15日20時55分にNHK NEWS WEBからも、神奈川県葉山町でも避難所に収容能力以上の人が訪れたなど、同趣旨の記事がネット配信されていた。
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町によりますと避難所の一つ「葉山町福祉文化会館」では80畳の和室を避難スペースとして確保していました。
しかし、12日午前8時半の開設以降およそ2時間の間に60人以上が避難してスペースがなくなったため、新たに避難者を受け入れることができなくなったということです。
町では、会館の入り口に避難者を受け入れられない旨を書いた紙を貼るとともに、近くの中学校など別の避難所を利用するよう防災無線やホームページなどで呼びかけました。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191015/k10012132921000.html
10月18日9時52分に埼玉新聞からは、幸手市では避難所2か所の鍵が見つからず開所できなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風19号の影響で利根川が氾濫危険水位を超え避難勧告を出した埼玉県幸手市で、鍵がなく避難場所2カ所を開設できなかったことが17日、市への取材で分かった。
市は13日午前1時、災害対策本部を設置し、その後に避難勧告を発表。
小中学校など市内19カ所を避難場所に指定したが、幸手看護専門学校(同市香日向)と日本保健医療大学(同市幸手)の2カ所で鍵が見つからず、施設を開けられなかった。
市危機管理防災課によると、施設の鍵は所管部署が管理することになっていた。
小中学校や体育施設などは市教委が開錠。
県立幸手桜高校は高校職員と連絡が取れ、開放できた。
開けることができなかった2カ所は非常時に備えて市が鍵を所有していたが、管理場所が分からなかった。
関係者とも連絡が取れず、施設を開けることができなかった。
看護学校は日頃、市民も使用する図書館と体育館を開放したが、洪水に対応する2階以上の施設を開けられなかった。
2カ所とも職員が避難に訪れた市民を別の避難場所に誘導するなどした。
鍵はその後、契約管財課と危機管理防災課でそれぞれ見つかった。
市は当初、大雨による浸水被害を警戒し、利根川の氾濫は想定していなかった。
避難場所の開設手順について、職員間で認識していたものの、マニュアルはなかったという。
市危機管理防災課は「幸手で初の避難勧告だった。2カ所は通常、市が管理していない場所。避難場所として中に入るノウハウがなかった。今後、プロセスの見直しや連絡体制の充実を図りたい」としている。
https://this.kiji.is/557729165753271393?c=39546741839462401
10月18日7時2分にNHK NEWS WEBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
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専門学校の入る建物では1階にある市の図書館などを代わりの避難場所として開放しましたが、市によりますと、訪れた人の中には浸水への不安を訴え別の場所に移った人もいたということです。
2つの鍵はいずれも2日後に15日見つかったということで、幸手市では「市役所内で鍵の保管場所がバラバラで混乱してしまった。今後は鍵を1か所にまとめ、マニュアルも整備して再発防止に努めたい」としています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saitama/20191018/1100006903.html
(ブログ者コメント)
上記以外、想定外?の出来事としては、避難所に来たホームレスの人の処遇も問題になった。(既報)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。