2012年10月31日21時44分に朝日新聞から図解付きで、同日23時18分にmsn産経ニュースから、同日22時38分に日テレNEWS24から、11月2日10時3分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
31日午後2時55分ごろ、金沢市の「Aホテル金沢駅前」で、清掃会社「H社」の従業員の女性(63)が、突然動き出した業務用エレベーターのかごと上部の枠にはさまれ、約45分後に救出されたが、病院で死亡が確認された。
警察は、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
エレベーターは17人乗りで、最大積載量1150kg。「シンドラーエレベータ」製だった。
警察によると、女性は同僚女性(63)と、4階から地下1階に下りるためエレベーターを待っていた。
扉が開いたので乗り込もうとしたら、急にかごが上昇し、つまずいて上半身だけがかご内に転倒。そのまま上昇を続けたかごとエレベーター入り口上部の枠に体を挟まれた。
かごは、女性の上半身が中に入ったまま約210cm上昇し、体がはさまれたところで止まったという。
女性は「痛い、痛い」と声を上げ、足をばたつかせていた。同僚女性は足を引っ張ったが、びくともしないため、清掃会社のリーダーに連絡、ホテルを通じて、119番した。
消防によると、救助隊員は通報4分後に到着したが、女性は呼び掛けに応じなくなっていた。エレベーターのメンテナンス業者と一緒に機械室に入り、手動でかごを下げて事故発生から約45分後に救助したが、すでに心肺停止状態だったという。
女性は、この日午前9時から業務を始め、事故時は、帰宅するため地下1階の従業員用の部屋に戻るところだったという。
シンドラー社は、保守点検を「日本エレベーター工業」(金沢市)に委託。最後に点検した10月15、16両日に異常はなかったという。
シンドラー社が、今年2月7日に年一度のメーカー点検をした際も問題はなかったという。
ただ、2月に金沢市に検査報告をした際、扉が開いた状態で動くのを制御する安全装置が設置されておらず、装置をつけるよう指導を受けていた。
ホテルは地上14階、地下2階。1998年4月の営業開始に合わせて新築され、エレベーターは同年1月に設置された。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/1031/OSK201210310076.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121031/dst12103123200023-n1.htm
http://news24.jp/articles/2012/10/31/07216881.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121102-OYT1T00300.htm
10月31日20時28分にNHK金沢からは、動いているエレベーターに気付かずに乗り込もうとしていた、といった趣旨の記事がネット配信されていた。
女性はエレベーターに乗り込もうとしていたが、エレベーターの扉が開いたまま上に動いているのに気付かずエレベーターの中に倒れ込んだ状態になり、そのまま上半身を上に動いたエレベーターの床と4階の扉の枠の間に、およそ50分にわたって挟まれていたという。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/3023147761.html?t=1351717927653
11月2日0時11分にmsn産経ニュースから、「繰り返された悲劇 重なる18年の高校生圧死事故」というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。また、同日14時45分に読売新聞から、同日13時03分に毎日新聞から、同主旨の記事がネット配信されていた。
扉が開いたまま上昇、かごと乗降口に大きな段差…。Aホテルの女性従業員死亡事故は、06年の東京都港区の高校生圧死事故と重なる。
製造元も同じシンドラーエレベータ社。
港区の事故を教訓に、国交省が安全基準を高めるなどしていたが、事故は繰り返された。
港区のケースでは、事故前に段差や目的の階に停止しないなどの不具合が頻発。国交省の昇降機等事故対策委員会(当時)は、「不具合の原因究明で事故が防止できた可能性は否定できない」と指摘していた。
港区の事故は、エレベーターの昇降を制御するブレーキの異常が直接の原因とされたが、Aホテルの事故機も同種のブレーキだったという。
問題のブレーキは、作動する際に内部のコイルが動く構造で、摩耗が進むと正常に作動しなくなる恐れがある。
国交省の事故調査報告書によると、06年の事故は今回の事故同様、扉が開いたままかごが上昇して起きた。ブレーキのコイルがショートし、ブレーキが半分かかった状態で運転が続き、パッドが摩耗。ブレーキの利きが不十分だったことが原因とされる。
06年の事故を受け、国交省では再発防止策として、定期検査でのブレーキの状態の確認方法を改善するよう同社などに指導していた。
シンドラー社は、「ブレーキが同型だが、摩耗状況などの点検は適切に行われていたと考えている」としている。
全国では、他にも同種が約80台存在。シンドラー社の代表取締役は、「一般に利用されているものもある」と明かした。
80台の中には段差などの不具合が数件報告され、シンドラー社は18、19年に改善。ブレーキについては港区の事故を受け、制御不能となるのを避けるため摩耗状態を監視するセンサーを設置していた。Aホテルの事故機にも付けていた。
代表は、「安全基準を満たしていた」と強調したが、シンドラー社はこの80台を含め、1日から保守管理する約5500台の緊急点検に乗り出した。
一方、再び起きた事故は安全基準の問題も露呈させた。
港区の事故を契機に、扉が開いたまま動くとセンサーが感知して系統の異なるブレーキが働くように改善された。
ただ、こうした補助ブレーキの義務化は09年9月28日以降に着工した建物のエレベーターに限られ、それ以前は対象外。Aホテルの事故機にも設置されていなかった。
日本エレベーター協会によると、全国では約70万台のエレベーターが稼働。うち9割程度が補助ブレーキを付けていないとみられる。
補助ブレーキは後付けも可能だが、数百万円の費用を要する場合もあり、普及が進んでいない。
国交省は今年4月から改修に要する費用の3分の1の補助(上限)に乗り出した。その矢先の事故。
同省は事故原因の究明を急ぐとともに、補助ブレーキの普及に力を入れる。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121102/crm12110200120000-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121102-OYT1T00859.htm
http://mainichi.jp/select/news/20121102k0000e040206000c.html
2012年11月6日21時1分に毎日新聞から、国交省が安全装置の二重化促進に関する通知を出したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今回の事故を受け、国交省は6日、安全装置の二重化促進をエレベーター所有・管理者に勧めるよう、全国の自治体やマンション管理などの関係団体に文書で通知した。
国交省は、06年の事故の後、部品の摩耗が進行してブレーキが利かなくなったためとして建築基準法施行令を改正。09年9月から、扉が開いたままかごが動き出しても自動的に停止する補助ブレーキの設置などを義務付けた。
改正前に設置されたエレベーターは全国に約70万台あるとされるが、大半は今も安全装置の二重化は行われていないとみられる。
国交省幹部は、「安全装置が二重化されていれば今回の事故を防げたのではないか。再び犠牲者を出したことは極めて問題」と語り、事故調査と安全装置設置を進める考えを示した。
また、国交省は二重化済みのエレベーターのマーク表示の周知を図ることも自治体などに通知した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20121107k0000m040092000c.html
2012年11月1日22時10分と11月6日22時2分にmsn産経ニュースから、消費者庁も調査を始めたという記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
消費者庁は1日、現場に消費者安全調査委員会(消費者事故調;身近に起きる消費者事故の原因を究明する目的で10月に発足)のメンバーら職員3人を派遣し、国交省や金沢市の職員らとともに調査を始めた。
平成06年、今回と同じシンドラーエレベータ製のエレベーターで起きた高校生圧死事故が消費者事故調発足のきっかけになっただけに、消費者庁は「しっかり調べたい」としている。
消費者庁に事故の一報が入ったのは10月31日夕。
当初、庁内では、「亡くなった女性が勤務中で、労災にあたる可能性が高い」などの理由から職員の現地派遣に慎重論もあったが、同日夜には同型機のエレベーターが全国に多数あることが判明。
「今後、一般消費者も同じような事故に巻き込まれる可能性がある」(消費者庁幹部)として、職員の派遣を決めた。
事故調は11月6日、第2回会合を開き、平成18年に港区で起きたシンドラー社製エレベーター死亡事故など計5件の調査を決めた。事故調が調査対象を選定したのは初めて。
このほかに選定されたのは、いずれも同区で起きた、パロマ工業製ガス湯沸かし器による2人死傷事故(17年)と商業施設のエスカレーターで発生した転落死事故(21年)。
残り2件は、「調査に支障をきたす」との理由から公表されなかった。
公表された3件については、国交省や経産省が過去に行った調査内容を評価し、ほか2件は事故調が自ら調べる。
シンドラー社の事故については、今回の死亡事故の情報も収集。一方、事故調の畑村洋太郎委員長は18年の事故後、同社側の調査に関わっていたため、選定には加わらず、今後の調査にも参加しないという。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121101/dst12110122110016-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121106/dst12110622030021-n1.htm
2012年11月1日19時14分にNHK富山から、11月2日21時9分にNHK広島から、同じメーカーのエレベーターを点検が終わるまでは使用中止にしたところがある、という記事がネット配信されていた。(詳細内容の紹介は省略)
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/toyama/3063170371.html
http://www.nhk.or.jp/lnews/hiroshima/4003213051.html?t=1351893133126
(2012年11月21日 修正1 追記;)
2012年11月21日15時10分に読売新聞から、当該エレベーターは事故前から段差や異音がみられていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故で、ホテルに出入りする複数の業者が20日、読売新聞の取材に対し、「事故機で(かごと床の乗り場に)数cmの段差が生じていたり、異音が生じたりしていた」と証言した。
出入り業者の男性は警察の聴取にも話しているといい、警察は現場検証などを行い、慎重に調べている。
男性によると、これまで何度も事故機の段差を目撃しており、6月初旬には、乗り降りする際に、段差が3cmほど生じていることに気づいたと説明。「事故後、ほかの業者から10cm以上の段差が生じていたと聞いた」とも話した。
今年6月下旬~7月上旬には、事故機に乗って上昇していた際、4~5階付近で、「これまで聞いたことのないギギーという金属と金属がこすれ合う低い音を聞いた」とし、男性は、メンテナンス業者の日本エレベーター工業に連絡したところ、解消されたという。
また、別の業者の男性も「数年前からつまずくような数cmの段差が生じていた」と話した。
国土交通大臣が認定する性能評価機関「日本建築設備・昇降機センター」の釜池認定評価部副部長は、「数cmの段差が生じるのは、故障と故障でない場合の両方がある。建築基準法では、7.5cmの段差までは問題ないが、一般的なメーカーは段差を直すことが多い」としている。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121120-OYT1T01444.htm
(2012年12月1日 修正2 ;追記)
2012年11月30日10時22分に読売新聞から、当日、これまで聞いたことのない音や揺れがあったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ホテルに出入りする業者の複数の従業員が、「事故当日、事故機でこれまで聞いたことがない音や揺れがあった」と県警捜査本部の聴取に証言していることが29日、わかった。
10月31日の事故発生から約1か月。専門家からは故障の可能性を指摘する声もあり、事故機を動かしての検証を始めた県警は、慎重に事故との関連性を調べている。
女性従業員は読売新聞の取材に応じ、事故当日の午前9時頃、事故機に乗った際、「ガタンガタンとこれまで聞いたことがない音がした」と語った。同僚女性も乗っていたといい、「怖い。今日のエレベーターはおかしいね」と互いに言葉を交わしたと振り返った。別の女性は、「上昇中にかごが横に揺れ、ガタガタという音がした」と語った。
一方で、異常は感じなかったとの声も。
事故直前、事故機を利用した40歳代女性従業員は、「同僚から異音を言われたが、私は特に異音や揺れは気づかなかった」と証言。同じ頃、11階から9階に降りたという女性従業員も異常を否定した。
こうした情報を県警も把握しており、捜査幹部は「事故原因との関連は不明」とした。
国土交通大臣が認定する性能評価機関「日本建築設備・昇降機センター」の釜池認定評価部副部長は、「個人的な感覚の違いはあるが、事故機を継続して利用する者が通常と違う音がしたと言うなら、故障の可能性がある」と指摘する。
捜査関係者によると、県警は29日、事故機に電源を入れ、かごの扉を開けず、途中階にも停止させずに3~12階を何度も昇降させ、構造に異常がないか調べた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121130-OYT1T00264.htm
(2012年12月26日 修正3 追記)
2012年12月20日15時7分に読売新聞からブレーキ部分の図解付きで、同型エレベーター緊急点検結果6台にブレーキ調整不良があったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省は19日、全国にある事故機と同型のエレベーター84台を対象に緊急点検を行った結果、6台のブレーキ部品が適切に調整されていなかったと発表した。
このうち2台は、ブレーキの異常を感知するセンサーの回線が取り外された状態になっていた。
国交省は、点検方法に問題はなかったか、同社から事情を聞く方針。
この型のエレベーターは、巻き上げ機やブレーキが、金沢市のホテルのほか、2006年6月に東京都で都立高校2年の男子生徒が死亡した事故とも同型であることから、国交省が設置者に優先的に点検するよう求めていた。
発表によると、問題の6台は、群馬県で1台、埼玉県で3台、東京都で2台。いずれもブレーキドラムを挟み込んで、エレベーターの巻き上げ機を止めるブレーキアームのスプリング(ばね)の調整が不適切だった。
ばねの長さは調節可能だが、シンドラー社が定める規定値よりも短く設定されていた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121219-OYT1T01849.htm
また、12月19日19時6分にNHK金沢からも、やや詳しい状況が下記趣旨でネット配信されていた。
国交省によると、点検の結果、ブレーキパッドがすり減り、利きが悪くなる異常はなかったものの、あわせて6台で、ブレーキのばねが、基準より強く締められていたという。強く締めすぎると、ブレーキパッドが早くすり減るおそれがあるという。
さらに6台のうち2台で、すり減り具合を監視するセンサーが、作動しない状態のまま放置されていたという。
6台は、すでに改修されているという。
シンドラーエレベータは、「指摘を受けたことは真摯に受け止める」と話している。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/3024301301.html?t=1355950658528
(2013年2月9日 修正4 ;追記)
2013年2月8日23時28分に毎日新聞から、同日21時27分に朝日新聞から、それぞれブレーキ構造の図解付きで、また2月8日16時42分に共同通信から、2月1日19時08分にNHK金沢から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省の事故調査部会は8日、保守管理上の不備を指摘する中間報告をまとめた。
報告によると、かごを動かす際にブレーキを緩める「ソレノイド」という部品の性能が低下していたため、常にブレーキが作動した状態になっていた。
また、かごを巻き上げる装置(巻き上げ機)のブレーキは、点検する作業員への指導が不徹底で、力を調節するスプリングの長さが65mmしかなく、取扱説明書で定めていた69〜71mmの規格より短かった。
このためブレーキが強くかかり、ブレーキパッドが激しく摩耗した。
事故の直前まではエレベーターの利用者が多く、ブレーキドラムが摩擦熱で膨張したため、摩耗した状態でもブレーキがかかっていたが、その後、ドラムが冷えて縮むとパッドとの間に0.5〜0.6mmの隙間ができ、ブレーキが利かなくなっていた。
ブレーキパッドは昨年2月の定期検査時、右側が6mm、左は6.9mmあったが、事故後に測るとそれぞれ5mmと6mmだった。
一方、2006年に東京都港区であった事故後、金沢の事故機に摩耗検知のセンサーを取り付けたが、事故当時、センサーは緊急停止装置を動かす安全回路に接続されていなかった。
中間報告は、スプリングが規格外だった理由やセンサーが接続されていなかった経緯には触れていない。
この事故をめぐっては、国の事故調査部会とは別に、警察がエレベーターを動かすなど現場検証をして、事故の原因を調べている。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20130209k0000m040051000c.html
http://www.asahi.com/national/update/0208/TKY201302080353.html
http://www.47news.jp/CN/201302/CN2013020801001598.html
http://www.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/3025227271.html?t=1359755279634
(2013年3月16日 修正5 ;追記)
2013年3月15日16時48分に共同通信から、国交省は事故機と同じ型に安全装置の設置を求めるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年10月に起きたシンドラーエレベータ製エレベーターによる死亡事故を受け、国交省は15日、事故機と同じ構造の巻き上げ型557台の所有者に、扉が開いたままかごが動くのを防ぐ安全装置の設置を求める再発防止策を発表した。
装置の取り付けを急ぐため、所管する自治体は所有者に、設置時期を盛り込んだ改修計画を提出するよう指導。応じなかったり、計画通りに改修しなかったりした場合は、建築基準法に基づき使用禁止命令を出すことを検討する。
改修までの間は、1カ月おきにブレーキの不具合の原因となる部品の損傷や油の付着を点検するよう所有者に要請。
出典URL
http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013031501001636.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。