2019年1月22日19時7分にNHK新潟から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午前7時すぎ、能代市富町の武田さん(男性、94歳)の住宅が燃えていると、隣の家に住む人が消防に通報した。
消防が消火にあたったが、住宅の密集地のため周囲に燃え広がって住宅など5棟が全焼し、火元の住宅の焼け跡から男性2人が遺体で見つかった。
警察によると、消火活動にあたっていた能代消防署の消防隊員、藤田さん(男性、32歳)と佐藤さん(男性、26歳)の2人と連絡がとれなくなっているという。
警察は、遺体で見つかった2人は連絡がとれなくなっている消防隊員とみて、身元の確認を急いでいる。
また消防によると、この火事で武田さんが煙を吸って病院に搬送されたということだが、意識はあり、命に別状はないという。
現場はJR能代駅から北西におよそ400m離れた、住宅などが建ち並ぶ地域で、消防が通報を受けてから完全に火を消し止めるまでに6時間以上かかった。
夕方、記者会見を開いた能代山本広域市町村圏組合消防本部は、連絡がとれなくなっている2人の消防隊員は、火元の住宅のなかに逃げ遅れた人がいないか捜索のために入り、消火活動を行っていたが、その後、行方がわからなくなったことを明らかにし、当時の対応に問題がなかったか検証するとしている。
火災現場の近くに住む50代の女性は、「はじめに煙が見えたときは、火は燃え広がらずに消えるかと思って見ていたが、建物から炎が見えたあとは燃え広がるのが早かった。住宅が密集した狭い場所なので、燃え広がるのが早かったのではないか。消防も奥にある住宅になかなか向かえず、消火に手間取っている感じがした」と話していた。
また、「火元と思われる家の男性が、消防隊員に助けられながら一緒に歩いてくる様子をみた」と話していた。
また70代の女性は、「窓を開けて外を見たら、ものすごい勢いで煙と炎が出ていた。当時、風が強かったので、燃え広がったのかもしれない」と話していた。
また59歳の男性は、「途中で急に火の勢いが強くなり、大きな音がした」と話していた。
出典
『能代火災 2人死亡は消防隊員か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20190122/6010002898.html
1月23日7時6分に秋田魁新報からは、行方不明の署員2人の消火活動当時の様子が下記趣旨でネット配信されていた。
・・・・・
消火中の消防署員の殉職となれば、本県で初めて。
なぜ2人が命を落とす事態になったのか―。
現場に出動したのは63人。
2人は通報から3分後の午前7時11分、いち早く到着した部隊の一員だった。
火が見えず、煙もほとんどなかったことから、40代男性司令と3人1組で火元の店舗兼住宅に入り、逃げ遅れた人がいないか捜索した。
男性司令は7時25分、室内にいた火元の男性を外へ誘導。
2人は室内に残り、延焼を防ぐためホースで放水した。
しかし、7時30分ごろから10分程度の間に、突然、火が燃え広がったという。
別の1部隊は、装備品を投げ捨てて退避。
午前8時前には、立ち上る炎で中に入れない状態に。
無線で現場の消防士全員に安否確認したが、2人からの返答はなかった。
・・・・・・・・・
出典
『屋内で放水中に炎上か 能代火災、不明2署員「責任感強い」』
https://www.sakigake.jp/news/article/20190123AK0001/
1月23日付で秋田魁新報からは、フラッシュオーバーが発生したらしいという下記趣旨の記事が、フラッシュオーバーの図解付きでネット配信されていた。
2遺体が見つかった今回の火災は、短時間で急激に燃え広がった状況から、「フラッシュオーバー」が発生した可能性がある。
専門家は、「火災現場でしばしば起きる危険な現象。予測は難しい」と話す。
フラッシュオーバーは、爆発的な燃焼現象の一種。
可燃物が燃えた際に発生する水素やメタンなど可燃性ガスが屋内に充満し、高熱にさらされて連続して発火することで起こるとされる。
札幌市消防科学研究所によると、天井付近の温度は800~1000℃に達する。
温度や酸素濃度などで状況は異なるが、建物が全焼するような火災で、たびたび生じるという。
能代山本広域市町村圏組合消防本部によると、富町の現場では、当初、煙がほとんどなかったが、その後、10分程度で一気に燃え広がった。
本部の聴取に、退避した部隊の署員は、「前後が見えないほど濃い煙が地面まで下り、熱気が強まった」と話したという。
消防関係者によると、フラッシュオーバーは消防士にとって基礎的な知識。
発生前には、煙が黄色を帯びてきたり、火の気がない所から煙が出たりする兆候があるという。
「退避は基本的に自己判断だが、暗い屋内では煙に気付きにくく、兆候に気付かない場合もある」と、県央部の消防士。
後方から活動を見る人を配置するなどの対策は欠かせないとする。
東京理科大学火災科学研究所の松原美之センター長も、死角で兆候が出る可能性もあるとして、「全体の状況を見極める役割が大切」と話す。
フラッシュオーバーと比較されるバックドラフトは、密閉空間で物が燃えている最中にドアを開けるなどした際、酸素不足で弱まっていた火勢が一気に強まり、爆発的に燃焼する現象。
出典
『フラッシュオーバー発生か、専門家「予測は困難」 能代火災』
https://www.sakigake.jp/news/article/20190123AK0025/
1月25日6時58分に秋田魁新報からは、3隊が一緒に消火活動していたなど下記趣旨の記事が、現場の見取り図付きでネット配信されていた。
不明になっている消防署員2人の隊を含む計3隊が、火元の男性(94)方のボイラー室周辺で合流し、消火に当たっていたことが24日、消防への取材で分かった。
なぜ2人だけが退避できなかったのか、能代山本広域市町村圏組合消防本部は、出動した隊員からの聞き取りや無線記録の分析などを進めている。
火元となった男性の店舗兼住宅では、藤田さんと佐藤さんの隊を含む2隊が市道に面した車庫から、残る1隊は西側から、それぞれ進入。
ボイラー室周辺が燃えていたことから、3隊が一緒に消火に当たった。
互いに会話も交わし、無線を所持した佐藤さんから放水を始めたとの連絡もあったという。
消防本部は24日、「外部の客観的な検証を確保する必要がある」として、調査委員会を設置した。
県や秋田市消防本部の協力を得て、当時の状況を調べている。
また、署員の惨事ストレスに対応する専門チームの派遣を総務省消防庁に依頼。
火災対応を優先するため、文化財防火デーに合わせて市内各地で予定されていた25日の防火訓練を中止とした。
・・・・・
警察によると、ボイラー室は、男性の店舗兼住宅から類焼した薬局の裏手にあり、ブロックで囲われ、煙突と屋根があった。
薪を燃やして給湯器具内の水を温め、配管を通じて風呂場や台所に配湯する仕組み。
男性が日常的に使っており、火災前日の21日夕に薪を燃やした。
当日は燃やしていなかったという。
出典
『ボイラー室周辺で放水 能代火災、不明2署員含む3隊活動』
https://www.sakigake.jp/news/article/20190125AK0002/
1月26日付で秋田魁新報からは、遺体の身元が特定されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
能代署は25日、火元の焼け跡から見つかった2遺体は、消防士長の藤田さん(32)と消防副士長の佐藤さんだったと発表した。
また、死亡した2人が消火中、何らかの原因でホースの水が出なくなった可能性があることが判明。
消防は、2人が退避できなかったことと関連があるかを調べている。
消防によると、22日の活動開始後、屋内での放水時に通常1回出す「放水開始」の合図が、無線を所持していた佐藤さんから午前7時23分と7時半すぎの2回記録されていた。
水圧不足やホースが折れ曲がるといった原因で水が十分に出ない場合、複数回出すことがあるという。
火元とみられるボイラー室の周辺では7時25分ごろ、藤田さんと佐藤さんの隊を含む計3隊が合流。
その後、10~15分の間に急速に燃え広がった。
他の2隊は2人を見失ったが、濃い煙で視界が遮られたため、屋外に退避。
マスクを着け直して再び中に入ろうとした隊員が、炎の走る瞬間を目撃したという。
出典
『消火活動中、水出ず? 2遺体は消防署員と判明 能代火事』
https://www.sakigake.jp/news/article/20190126AK0002/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。