2024年8月18日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正4として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/14067/
(2024年12月30日 修正4 ;追記)
2024年12月23日21時23分に毎日新聞からは、JR九州は事業から撤退すると発表した、船体はアルミであり補修のための溶接が難しく、今後の亀裂リスクも払拭できなかったためなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR九州の古宮社長は23日、8月から運休中のQBの運航再開を断念し、同社が1991年に開設した日韓航路から撤退すると発表した。
浸水を招いた船体の亀裂を防ぐ対策が難しく、安全を担保できないと判断。
この日開かれた臨時取締役会で全員一致で決議した。
JR九州とJR九州高速船は、浸水隠しが発覚した8月以降、軽合金(アルミ)でできた船体の恒久的な安全対策を検証。
11月にJR九州の第三者委員会から調査報告書を受け取った後も船首部分の溶接方法を変えて再開する意向を示していた。
しかし、アルミ溶接は技術的に難しく、安全対策をしても亀裂が発生するリスクを完全に拭い去ることができなかったという。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20241223/k00/00m/040/229000c
12月23日14時30分に毎日新聞からは、今回の問題発覚後、第三者委員会はハード面ソフト面での荒波対策を求めていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
便数や所要時間とは違う付加価値でLCCに対抗しようと、JR九州は17年、QBの建造を決めた。
アルミ合金で軽量化した三胴船で、JR九州の豪華寝台列車も手がけた工業デザイナーがデザインを担当した。
近未来の乗り物を連想させる、とがった真っ赤な外観が特徴。
JR九州は鉄道の活性化で車両のデザインや接客にこだわった観光列車を走らせる実績を重ねており、こうした手法を船旅に応用した形だ。
・・・
24年の問題発覚後、JR九州が設置した第三者委員会は報告書で、荒波の対馬海峡で高速運航する上で船体が「波の影響を受けやすい」と指摘し、船体補強の抜本的対策や、気象に関する運航基準の見直しなどを提言した。
船は8月から運休し、JR九州側は修理を検討したが、船の軽量化ととがった形状のため船首付近は特殊な溶接が施されていて、技術的に難しいことが判明した。
新時代の日韓航路を切り開くためのQBだが、投資の失敗となった形だ。
https://mainichi.jp/articles/20241220/k00/00m/040/122000c
12月23日18時10分にYAHOOニュース(鉄道コム)からは、クイーンビートルはオーストラリア製だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
クイーンビートルは、オーストラリア製のもの。
「トリマラン」という構造を採用した大型の船舶で、ジェットフォイルよりも定員増が図られていました。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/92079d04e18653999b0a8f1b61c2a6f9b68e9d32
ちょっと前、2024年7月5日16時19分にYAHOOニュース(rkb毎日)からは、今回の損傷は前回修理の溶接の影響で接合部強度が弱くなっていたことが原因など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR九州高速船は、運休していた博多と韓国・釜山を結ぶ高速船「クイーンビートル」について、修理が終了し、7月11日(木)から運航を再開すると発表しました。
クイーンビートルは5月30日、博多から釜山への運航中に浸水が発生。
その後、乗客を乗せずに博多港に戻り、緊急点検を行ったところ、船首部分に溶接が割れている部分が確認されていました。
JR九州高速船によりますと、今回の船体の損傷は、前回の修理(2023年6月)で、船体に外板を取り付けるための溶接を行った際に、溶接の熱による影響で接合部の強度が弱くなったことが原因だったとしています。
今回の修理では溶接方法を変えて熱影響に配慮し、修理を終えたということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/30162fa8aabea85875a3ec8fc7d3d58a207ce8bb
2024年11月27日9時54分に読売新聞からは、亀裂はスロット溶接した跡から生じていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
クイーンビートルは豪州造船大手「オースタル」が建造したアルミ合金製。
会見に同席したJR九州高速船の大羽社長は、これまでに発生した船体の亀裂は全て船首の右舷に集中していることを明らかにした。
右舷と左舷の外板は溶接方法が異なり、右舷外板は複数の穴で外側から溶接する「スロット溶接」という手法が取られていた。
しかし、亀裂は全て溶接の跡から生じており、JR九州は溶接方法に問題があったと判断。
オースタルから右舷外板を取り寄せた上で、新たに「連続溶接」の手法に切り替えて接合強度の向上を図るとした。
アルミ合金の溶接技術の専門家確保を進めているとしたが、ハード対策の完了には相当の時間がかかるとみている。
また、波高や風向きに応じた運航方法、運航ダイヤの見直しも行うとした。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20241127-OYTNT50013/
2024年12月28日10時10分に読売新聞からは、第三者委員会報告書格付け委員会はアルミ船にした理由が報告書に書かれていない点に疑義ありと指摘したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
不祥事を起こした企業の第三者委員会の報告書を評価する「第三者委員会報告書格付け委員会」(委員長・久保利英明弁護士、9人)は27日、「JR九州高速船」(福岡市)のクイーンビートルが浸水を隠し3か月以上運航を続けた問題の調査報告書の検証結果を発表した。
A~Fの5段階評価(Eはなし)で、2人が不合格の「F」、残り7人は「D」とし、「総じて低い評価だった」とした。
船導入の経営判断が解明されていない、などの批判も多かった。
格付け委は、ガバナンス(企業統治)や法令順守などに詳しい有志の弁護士らが、企業の第三者委の報告書から検証が必要と判断したものについて、格付けしてきた。
今回は交通機関で影響が大きいなどとして、JR九州高速船の親会社・JR九州が設置した第三者委の報告書を格付けした。
委員4人は27日、東京都内で記者会見した。
久保利委員長は「一番大事なのは、なぜこんな船を選んだのかだが、報告書に書いていない。60億円もかけて誰が選んだのか」と指摘。
「アルミでダメージに弱く、溶接が難しい船だったわけだが、正しい事実認識と合理的な判断がなされていたのか、(報告書が)『経営判断だから』とタッチしないのは、報告書として意味があるのだろうか」と述べた。
海事関係に詳しい野村修也・中央大法科大学院教授は、「(以前運航していた)水面から浮くジェットフォイルから、(アルミで)リスクの高い高速船にする時には、それなりの調査研究、経営判断があってしかるべきだが、(報告書からは)何が行われていたのかわからない」と話した。
また、ガバナンスに詳しい八田進二・青山学院大名誉教授は、「代用船のない1隻態勢で運航してきた根本的な原因について、会社の裁量の中での経営判断事項として調査対象にしていないが、この点こそが真因究明の根本」と指摘し、「第三者委の独立性に疑問が残る」とした。
一方、JR九州の第三者委の委員長を務めた尾崎恒康弁護士は、格付け委の検証結果について「コメントは差し控える」とし、JR九州は「第三者委の報告書を真摯 に受け止め今後につなげていく」とした。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241228-OYT1T50031/
(ブログ者コメント)
ネットで調べたところ、アルミ合金製の船の建造会社は日本にもあり、船も結構、就航している。
クイーンビートル事例は、アルミ合金製の船だから亀裂が入ったということではなく、荒波を考慮した強度計算が不足していたとか、前回修理時の溶接方法が不適切だったとか、そういったことが問題だったのかもしれない。
2024年9月26日8時10分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉・房総半島沖で7月、東海汽船(東京)の運航するジェット船「セブンアイランド愛」(乗客乗員121人、約280総トン)が漂流した事故で、用途の異なるホース1本が誤って使われていたことがわかった。
このホースの損傷による油漏れが不具合の直接原因だった。
国土交通省は25日、東海汽船に対し、海上運送法に基づく警告を出した。
国交省と東海汽船によると、損傷したのは本来船内に用いるオレンジ色の油圧ホースで、2021年末の整備の際、黒色の水中用油圧ホースと取り違えて左舷側の油圧系統に使用した。
誤ったホースは10センチ以上長く、無理に曲げて収納した結果、損傷が起きた。
さらに、左舷側の油圧低下を知らせる警報が作動した直後、機関操作を担当する乗組員が、右舷側ガスタービンを操作マニュアルに反して緊急停止。
右タービンの起動装置は、異常の起きた左舷側の油圧系統で操作する仕組みのため再起動ができなくなり、船は左右両側で推進力を失った。
マニュアルに従って左舷側タービンだけを停止していれば右タービンで航行を継続できたとみられ、国交省は同社の乗組員に対する教育が不十分だったと指摘。
東海汽船は「再発防止に取り組む」とコメントした。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240925-OYT1T50167/
9月25日付で東海汽船のHPには、ホースは部品番号で管理されていた、乗組員が警報作動時にガスタービン停止操作を誤ったなど、下記趣旨のお知らせが掲載されていた。
2024年7月24日に発生しました「セブンアイランド愛」の不具合について、本日、国土交通省関東運輸局より輸送の安全確保等に関する警告書を受けました。
原因及び再発防止策の詳細については以下の通りです。
<原因及び再発防止策>
① 油圧ホース損傷
損傷原因を調査する中で、損傷個所の油圧ホースが本来の物とは異なる物が誤って取り付けられていたことが確認されました。
ホースは部品番号で管理されておりましたが、交換の際に取り違いがあったと確認しております。
その後、弊社の他のジェットフォイルについても緊急点検を行い、同様の取り違いが発生していないことは確認しております。
再発防止策として、取り違い防止のため部品番号のみではなく、ホースの寸法等の規格リストにおいても確認する体制としております。
② 乗組員の操作誤り
乗組員は、左舷油圧低下警報が発報した際、誤って右舷ガスタービンを停止しました。
異常のあった左舷の油圧ラインに右舷ガスタービンスターターがあるため、操作を誤ったことにより右舷ガスタービンの再起動が不可となり、左舷ガスタービンの推進力がなかったことから自力航行不能となりました。
再発防止策として、全乗組員へ向け緊急時の操作に関する再教育を行っております。
https://www.tokaikisen.co.jp/news/589416/
(ブログ者コメント)
詳細不明だが、違う部品番号のホースを持ってきて交換したということかもしれない。
2022年5月1日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/12444/
(2023年3月4日 修正2 ;追記)
2023年2月23日18時23分にYAHOOニュース(HTB)からは、事故2日前の救命訓練時にハッチの蓋が完全に閉まらないまま出航していた、事故の2日前、前日および当日に出航を止めるようアドバイスしていた観光船関係者がいたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
これは、事故の2日前に救命訓練が行われた時の写真です。
一見、ハッチのふたは閉まっているように見えますが、当時訓練に参加した観光船の関係者がカメラの前で初めて証言しました。
知床の観光船関係者:
「開いているのがね、これくらいは開いていたかな。ハッチのふたがね。
こうやって閉まるものが、多少これぐらい浮いていた」。
・・・
ハッチの不具合を、事故の2日前に行われた救命訓練の時に、豊田船長も認識していた可能性があると観光船の関係者がカメラの前で初めて証言しました。
知床の観光船関係者:
「ハッチからえい航に使うロープを出したんだけれど。豊田君が閉めようと思ったんだけど閉めにくそうにして、結局閉まらなかったんだ」。
この時も、ハッチのふたが完全に閉まらない状態で訓練を続行し、船を出航させていたといいます。
知床の観光船関係者:
「あれ(ハッチの留め具は)4点止めなんだけれど、前後ろってあるんだけれど、前の2点が留め金がガクガクして…」。
知床で観光船を運航する同業者も、ハッチのフタがしっかり閉まっていれば波の影響は受けにくいと話します。
知床ネイチャークルーズ・長谷川さん:
「(Q.波で開いてしまうことは?)ない、ない。聞いたことはないな。
通常、開けたままで走るのは世界中いない」。
関係者によると、運航管理者だった「知床遊覧船」の桂田社長は、船のメンテナンスなどほぼ全てのことを豊田船長1人に任せていたと言います。
知床の観光船関係者:
「そんなこと(ハッチ)が原因だとしたら、なぜそこをちゃんと閉めなかったのか。
豊田君も何もかも任せられていたから、そこまで気が回らなかったのかな。
21日から(事故当日の)23日の出るまでの間、スケジュールがギュッと詰まって忙しかったんだよね」。
他社に先駆けて、知床遊覧船が4月23日から運航するのを知っていた男性は、週間の天気予報などから23日は出航をやめるよう、数回、豊田船長にアドバイスしていたということです。
知床の観光船関係者:
「えい航訓練の21日の時も言ったけどね、俺はね『23日はおまえダメだぞ』と。
22日の航路確認の時も『やっぱりダメだな23日』と話して。
当日も最後のとどめと思って言った。『きょうはダメだぞ』って。
『あー、はい』って、どうしてダメなのかなという感じの返事だった。
なんで聞かないで…。
(桂田社長に)『行け』って言われたから行ったのかな」。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d389eeb8945da113b26215d3b42255d42f29a9fe
(2023年3月24日 修正3 ;追記)
2023年3月23日17時0分に朝日新聞からは、条件付き運航という社長の説明だったが、当時の受付け担当者は何も聞いていなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
桂田社長は事故4日後の昨年4月27日に開いた記者会見で、事故当日の午前8時、カズワンの豊田船長(故人)と打ち合わせて条件付き運航を決めたと説明していた。
この説明について、違和感を覚えたというのが、同社の従業員として事故当日に乗客の受け付けをしていた50代の男性だ。
男性は取材に対し、条件付き運航が決まった場合、豊田船長から指示を受けて、受け付け段階で乗客に説明するのが自らの役割だったと説明。
その上で、事故当日は豊田船長から指示はなかったと証言した。
また、男性は前のシーズン、条件付き運航の指示が出ると、事務所の入り口前に「条件付き運航」との貼り紙を出していたが、この貼り紙も事故当日は出さなかったという。
https://www.asahi.com/articles/ASR3R3GV8R3RIIPE001.html
3月23日19時32分にYAHOOニュース(北海道文化放送)からは、訓練時にハッチが閉まらなかった場面では船長は閉まりにくいからあきらめたという感じだった、普通は閉まらなければ客を乗せて走ることは絶対ない、船長は社長からメンテナンスは自分でやれと言われていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会が公表した報告書によりますと、船はハッチのふたが十分に閉まっていない状態で運航し、海水が流入したことで沈没した可能性が高いとしています。
「ロープを出してえい航訓練に行ったときには、ハッチのふたは閉まっていなかったんだよね」
こう語るのは、同業他社の関係者です。
事故を起こす2日前の訓練で、KAZU1のハッチのふたが閉まっていないのを目撃していました。
同業他社の関係者:
「ここがブリッジ、船首にハッチがあり、留め具があって、前の2つが閉められなかった。
この2つがダメだった。
(豊田船長は)閉めにくいからあきらめたなという感じだったね」
ハッチのふたが閉まらないまま訓練は続行。
その後、直したかどうかは分からないといいます。
同業他社の関係者:
「当然、営業日の2022年4月23日は必ず閉めたもんだと思っていたからね。
(普通、ハッチのふたが閉まらないまま)お客さんを乗せて走ることは絶対ないよ。
なぜかというと、出航前に必ず点検するから」
さらに男性は、エンジンオイルを長期間、取り換えていないなど、ずさんな安全管理をたびたび目撃し、船長に何度も注意していたといいます。
同業他社の関係者:
「(船のメンテナンスを)『専門業者に頼め』と豊田船長によく言っていたんだ。
そしたら『自分でやれって言われるんだ』って。
桂田社長から言われるんだ。
『業者に頼んでください』って言ったら、『そんなの自分で直せ』って。
エンジンのメンテナンスもしていないし、ペンキを塗っただけだからね。
だから、起こるべくして起こった事故なんだ」
一方、国側のチェック機能にも疑念が生じています。
事故の3日前のJCIによる船舶検査では、ハッチのふたの作動状況を確認していませんでした。
そして、国交省は2021年、2度の事故を起こした知床遊覧船に対し、改善報告書の文案を作って提出させるなどの指導をしていました。
運輸行政の専門家は…
関西大学 社会安全学部 安部 誠治教授:
「強い父親と子どもの関係。
事業を行う中小事業者が運輸局に頼るという関係が日本の運輸行政の中に残っているのではないか」
運航会社が国に頼る「もたれ合い」の関係がチェックの甘さにつながったのではないかと指摘します。
安部 誠治教授:
「運輸局が事業者を支援するというのは悪いことではないが、自立を促すような支援・指導をしないといけない。
規制する側と規制を受ける側という関係がないと、安全管理で隙間が生まれる」
国の検討委員会がまとめた再発防止策には、抜き打ちの監査を導入するなど、監督の強化が挙げられました。
実効性を高めるため、国と事業者の緊張感ある関係性が求められます。
未曽有の事故から2023年4月23日で1年。
運航会社の主張と、海上保安庁の捜査はどうなっているのでしょうか。
知床遊覧船の桂田社長は2022年6月、事業許可の取り消しの際、陳述書で「事故の責任を事業者にだけ押しつけ、監督官庁に対する世論からの批判が高まるのを回避する目的でなされた見せしめ的なもの」だと主張し、不服を述べています。
一方、海上保安庁は業務上過失致死の疑いで調べを進めています。
当日に悪天候が予想される中で出航をした際に"事故を予見できていたのかどうか"が捜査のポイントになります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bbecbba7436e47cb862ce5aaaade24dd573b33ab
(2023年9月8日 修正4 :追記)
2023年9月7日12時13分にYAHOOニュース(北海道放送)からは、最終報告書が公表されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。内容は既報と同じ。
国の運輸安全委員会が最終報告書をまとめました。
報告書によりますと、沈没事故の直接的な原因は、悪天候が見込まれた中で、船の甲板にあるハッチのふたが確実に閉まっていない状態で出航し、ハッチから大量の海水が流れ込んだこととされています。
さらに、出航後も運航中止などの判断を下さず、避難せずに航行を続けたことが事故の一因と結論付けました。
また、事故の背景には、船に関する知識や経験のない社長が安全統括管理者を務めるなど、会社の安全管理体制の不備があり、影響は重大だったとしています。
そのほかにも、国が行う検査の実効性に問題があったことを指摘し、検査体制の強化などの再発防止策も掲げています。
この事故をめぐっては、海上保安庁が業務上過失致死の疑いで捜査を続けています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/80c09a8b4b76693d0c8762852c4a4716a57b738d
9月7日22時33分に毎日新聞からは、調査官は「引き返すことを想定した出航は危険」だと業界に警鐘を鳴らしたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
報告書は、こうしたハード面の欠陥に加え、運航会社「知床遊覧船」のずさんな管理などソフト面からの要因分析にも重きを置いた。
着目したのは、「風速8メートル以上、波高1メートル以上」になる可能性がある場合は出航中止にするとした同社の運航基準だ。
桂田社長(60)は事故後の記者会見で、海が荒れるようなら引き返す「条件付き運航」だったと主張し、事故で死亡した豊田船長(当時54歳)も同様の考えだったとみられる。
しかし、出航時点で強風・波浪注意報が出ていたことを踏まえ、報告書は「基準を超える悪天候となることは明らかで出航してはならなかった」と指摘。
森調査官は「引き返すことを想定した出航は、航行中に高度な判断を伴うため危険だ」として、実施しないように業界に警鐘を鳴らした。
【「知識と経験不足」船長らの資質指摘】
そもそも、桂田社長や豊田船長には24人の乗客の命を預かる資質があったのか。
・・・
【国側のチェック体制実効性も指摘】
ずさんな安全管理体制が見直される機会はなかったのか。
報告書は、運航会社の実態を見抜けなかった国側の監査や検査の実効性に問題があったとし、「セーフティーネットが機能しなかった」と指摘した。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20230907/k00/00m/040/366000c
(2023年12月25日 修正5 ;追記)
2023年12月21日19時24分にYAHOOニュース(北海道放送)からは、カズワンが事故の前年に起こしていた2件の事故の調査報告書が公表された、5月には椅子破損で3人軽傷、6月には浅瀬乗り上げなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会は、沈没の前の年に起きた2件の船舶事故の調査報告書を公表しました。
報告書によりますと、「KAZUⅠ」は沈没する1年前の21年5月、知床沖を航行中に定置網のロープに接触してスピードが急に落ち、その衝撃で船内の椅子の取り付け部分が壊れ、乗客3人が軽傷を負う事故を起こしました。
報告書では、この事故の1か月前の定期検査で、JCI=日本小型船舶検査機構から、椅子や柵の固定が不十分として改善の指示を受けていたにも関わらず、運航会社は事故当日までに是正措置をとらず、船舶検査証書の交付を受けないまま、船を出港させたと指摘。
さらに、「KAZUⅠ」はこの約1か月後にも浅瀬に乗り上げる事故を起こしていて、いずれの事故も操縦していたのは沈没事故とは別の船長でしたが、船長の経験の浅さが事故につながった可能性も指摘しています。
今回の報告書で、2件の事故と沈没事故との関連性についての言及はありませんが、後に大事故を起こす運航会社の安全管理に対する意識の低さが浮き彫りになりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0f60372ba6cff89e47403e21cfc48b64879b4c5
12月21日16時40分にYAHOOニュース(HTB)からは、5月の事故では椅子が外れた、6月の事故では運行時間を短くしようと基準航路より陸側に寄って座礁したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「KAZU I」は、おととし5月と6月にも相次いで事故を起こしていて、原因調査を行ってきた国の運輸安全委員会が21日に報告書を公表しました。
このうち、おととし5月の事故では、航行中に船が定置網のロープに接触してスピードが急激に落ちた際に客室のイスが外れ、座っていた乗客3人が軽傷を負いました。
また、おととし6月には、遊覧時間を確保するために運航する時間を短くしようと、基準の航路よりも陸側に寄ったことで、浅瀬で座礁しました。
この事故によるけが人はいませんでした。
これらの事故では、去年4月の沈没事故当時とは別の2人の船長が乗船していましたが、報告書では、いずれの事故についても、原因や背景として、船長が正確な地形を把握していないなど、経験不足を指摘しました。
去年4月の「KAZU I」の沈没事故については、ことし9月に報告書が公表されていますが、この事故についても、死亡した船長の経験不足が指摘されていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1dc2a1e07198067d3395d21f366ca107425480af
2020年11月27日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正6として掲載します。
第1報(1/2、2/2)は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11211/
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11210/
(2023年1月26日 修正6 ;追記)
2023年1月19日10時0分に毎日新聞からは、GPSの岩礁表示を見落としたなどと記された運輸安全委の調査報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会は19日、事故原因についての調査報告書を公表した。
報告書によると、船長は航行中、近くにある島について教員が子どもたちに説明しているのを聞き、その島の東側を見てもらおうと航路を変更。
瀬戸大橋の橋脚の間を通過しようとした。
船の位置が確認できる「GPSプロッター」の画面には橋脚間に岩礁があることが表示されていたものの、見落としたという。
また、岩礁は満潮時に水没する「干出岩」だったため、目視で見つけることもできなかった。
船長は、これまでも現場周辺海域を航行していたことから、岩礁の位置などを把握できていると思い込み、法令で定められた出航前の水路調査をしていなかった。
さらに、国に届け出た安全管理規定では、危険な場所を示す「避険線」が記入された海図が船内に備え付けられていることになっていたが、それもなかった。
T海上タクシーは安全統括管理者による従業員への定期的な安全教育も実施していなかったといい、運輸安全委は報告書で「安全管理規定および関係法令の理解が十分ではなかった」と指摘した。
事故を巡っては高松区検が21年3月、船長を業務上過失往来危険と業務上過失傷害の罪で高松簡裁に略式起訴。
高松簡裁は罰金40万円の略式命令を出した。
https://mainichi.jp/articles/20230119/k00/00m/040/009000c
1月19日12時25分にYAHOOニュース(瀬戸内海放送)からは、GPSを拡大表示して確認しなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故の直前に船内で教員が児童に対して岩黒島の東側の建物の話をしていたため、船長はその景色を見せようと、急きょルートを変更したということです。
そして、「船長がルートを変更する時にGPSを拡大表示して航路を確認しなかった」ことと、「年に数回この海域を航行していたため出港前に水路調査をしていなかった」ことが事故の原因だとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bfe4d6048ab24822944eacbdac695a4416bc80e5
1月19日11時52分にYAHOOニュース(岡山放送)からは、目視で他の船がいないことは確認していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省の運輸安全委員会が1月19日に公表した事故調査報告書によると、小型船の船長は事故直前、当初予定していた航行ルートからは見えない島の景色を児童に見せようと、急遽ルートを変更。
目視で他の船がいないのを確認し、航行に支障はないと考えていましたが、水面下にあった岩の存在に気付かず乗り上げたことが事故の原因と結論付けられました。
報告書では、今後の再発防止策として、海図などによる航行前の水路調査や水域の状況を計測し表示するGPSプロッターの適切な活用などを船長に要請しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/06e47f05d05af6790844ad2c32a6383aefeace37
(ブログ者コメント)
報告書2/34ページには、GPS画面には岩礁の存在が小さいながら表示されていたと記されている。
船長が、オソワイ・・・と称する最低水面からの高さ約200cm の干出岩の存在に気付かなかったのは、進路確認の目的でGPSプロッター画面を一瞬見たとき、画面を300m縮尺スケールの状態から拡大表示して確認することはせず、同干出岩の画面表示が小さかったこと、及び本事故発生当時は同干出岩が水面下にあり目視できない状態であったことによるものと考えられる。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2023/MA2023-1-3_2020tk0012.pdf
2023年1月18日19時28分にYAHOOニュース(テレビ新潟)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
18日朝、柏崎市で新潟海上保安部の巡視船「えちご」が浅瀬で座礁する事故がありました。
乗員にケガはありませんでしたが、新潟海上保安部は「ヒューマンエラーの可能性が高い」と説明し、詳しい原因を調べています。
波に揺られ、海上に止まったまま動かない大型船。
1月18日は、海での事故などを通報する番号、「118番の日」・・・。
海の安全を見守る巡視船に何があったのでしょうか。
新潟海上保安部によりますと、18日午前6時34分、巡視船「えちご」から「浅瀬に乗り上げた」と連絡がありました。
<記者リポート> :
「巡視船は4時間以上、あちらの場所に止まったままになっています。このあたりの風は非常に強く、波も高くなっています」
現場は柏崎市の沖合、椎谷鼻灯台から北西およそ1.1キロ付近。
灯台の灯りが消えていたため、確認のため近づいていたということです。
33人の乗員にケガはありませんでした。
<上空からリポート> :
「船の脇の海面には油のようなものが浮かんでいます」
船の周囲に漂う油・・・船の底に損傷があり、浸水も確認されています。
新潟海上保安部は別の巡視船などを現場に派遣し、状況を詳しく調べていますが、「えちご」は自力で航行ができない状態で、船の引き上げやえい航などは19日以降になる見通しです。
<近くに住む人は> :
「あの大型のね、海保の船がね。このへんで座礁するというのは信じられない」
「あんな事故があっては困る・・・何してんだかと思って」
<海上保安庁 石井長官> :
「海の安全を守るべき海上保安庁の巡視船がこのような事故を起こしたことは誠に遺憾。きわめて重大な事故と重く受け止めています」
事故を受け、海上保安庁のトップが謝罪・・・.
そして、新潟海上保安部も会見を開き、謝罪しました。
<新潟海上保安部 小野部長> :
「ご迷惑ご心配をおかけしていることに深くお詫び申し上げます」
新潟海上保安部は当時の状況について、天候は雨、風は南西に11メートル、視界は10キロメートルと説明しています。
「えちご」はヘリコプターを搭載できる巡視船で、総トン数は3100トン。
長さ105.4メートル、幅14.5メートルで、新潟海上保安部に所属する船の中で最も大型の巡視船です。
航行中であれば10メートル程度の風の影響は受けないものの、灯台の確認のため、止まっていたことで風に流された可能性があるとみています。
また、エンジンのトラブルなどは報告されておらず、原因については「ヒューマンエラーの可能性が高い」と説明しました。
<新潟海上保安部 小野部長> :
「浅瀬に近づく必要がある場合、どこに浅瀬があるのか、水深がどの程度か、巡視船がどこにいるのか、といったものを確認することが必要になってくる。そのへんを怠っていたのではないか、一般論ですが考えられる」
気象台によりますと、柏崎市には当時、波浪注意報や濃霧注意報が発表されていました。
新潟海上保安部を管轄する第9管区海上保安本部は「海難対策本部」を設置。
「業務上過失往来危険」の疑いも視野に、乗員から当時の状況を聞き取るなど、事故の原因を詳しく調べています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0253208de6117c606c2d053d170786befa7c3b72
1月18日11時55分に産経新聞からは、船の深さは約8m、新潟港を出港してパトロール中だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同保安部によると、同灯台の光が消えていたことから近づいて確認しようとして、浅瀬に乗り上げたという。
「えちご」は総トン数3100トンで、長さ約105メートル、幅約15メートル、深さ約8メートル。
同保安部は、巡視船など3隻を現場に向かわせているほか、海難事故などに対応する機動救難士をヘリコプターから「えちご」船上に降下させ、船底の状況などを調べる予定。
同保安部によると、巡視船は新潟市の新潟港を出港してパトロール中だった。
当時、天候は雨で、風速は約11メートル。肉眼で見通すことができる距離は約10キロだったという。
https://www.sankei.com/article/20230118-TYLL5KMEMVKLHCKT46TKTFAGZI/
1月18日19時36分に朝日新聞からは、付近の水深は2~4mだという下記趣旨の記事が、多数の写真付きでネット配信されていた。
9管によると、えちごは当時パトロール中で、灯台が消えているのを見つけ、近づいて確認に当たっていた。
付近の水深は2~4メートルという。
浸水して油が海上に漏れているものの、現状では沈没の恐れはないという。
https://www.asahi.com/articles/ASR1L342QR1LUTIL002.html
1月19日18時41分にYAHOOニュース(新潟放送)からは、柏崎沖では過去にも大型船がたびたび座礁しているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟海上保安部所属の巡視船「えちご」が座礁した柏崎沖では、過去にも貨物船などが度々座礁していました。
いずれも冬の強風が原因とみられています。
【写真を見る】「過去にも同じ海域でたびたび座礁が…」巡視船えちご座礁の柏崎沖
【記者リポート】:
「あちらが柏崎港です。船は柏崎港による時に強風にあおられて、座礁したということです」
2007年12月、柏崎港の近くで1550トンのカンボジア船籍の貨物船が座礁した際の映像です。
当時は15メートルほどの風が吹いていて予想以上にスピートが落ちず、浅瀬に乗り上げたということです。
また、2009年11月には「えちご」の座礁現場からすぐそばの柏崎市宮川(みやがわ)の浅瀬にカンボジア船籍の貨物船が乗り上げる事故がありました。
新潟港を出て神戸港に向かう途中で、現場では当時、風速17メートルの強風が吹いていたということです。
新潟海上保安部によりますと、2007年以降、柏崎沖では他にも2件の座礁事故があり、いずれも冬の強風にあおられ浅瀬に乗り上げたとみられています。
今回「えちご」が座礁した際は11メートルのやや強い風が吹いていました。
Q風であおられて意図しない操舵になった可能性は?
【新潟海上保安部 小野部長】
「その可能性はあります」
Q風に持っていかれて?
【新潟海上保安部 小野部長】
「そうですね」
Q海保としての現場の海域についての認識は?
【新潟海上保安部 小野部長】
「あの海域を知らないわけではない。注意というのは常にありました」
事故を防ぐことはできなかったのでしょうか?
第9管区海上保安本部は人為的なミスが原因の可能性があるとして、業務上過失往来危険の疑いで捜査しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/31730cda1489c553ff6bd96fdc9d638f1b3148ad
1月19日21時19分にYAHOOニュース(テレビ新潟)からは、船はスピードが落ちていると舵を切っても急には曲がれないなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
なぜ今回、座礁したのか・・・専門家に聞きました。
水の事故に詳しい、水難学会の会長で長岡技術科学大学大学院の斎藤秀俊教授です。
新潟海上保安部の巡視船「えちご」が座礁した浅瀬は特殊な地形だと指摘します。
【長岡技術科学大学大学院 斎藤秀俊教授】
「椎谷鼻って鼻が出ていて、沖の方に岩礁が伸びるような構造になっているんですね。
そうすると、その沖がどこまで浅いところが続いているかというのがよく分からない場所だというのがひとつ。
それからもうひとつが、当時、陸地の方に吹き寄せられるような風が吹いていたということですよね」
新潟海上保安部によると、事故当時、風は南西に11メートル。
椎谷鼻灯台の灯りが消えていたため巡視船が確認のため、近づいていたということです。
斎藤教授は、船のスピードが落ちているときや止まっているときの操縦はより難しいと指摘します。
【長岡技術科学大学大学院 斎藤秀俊教授】
「船ってスピードが落ちていると、かじを切ってもすぐに曲がらないんですよ。
例えば目の前に浅瀬があった、しまったと思ったときに十分なスピードを出していると、かじを切ったときすぐ切れるんですけど、速力が出ていないとかじを切ってもすぐ曲がれないんですね」
再発を防ぐために、より多くの乗員が連携してチェックするなど基本に立ち返ってほしいといいます。
【長岡技術科学大学大学院 斎藤秀俊教授】
「ひとりが気がつかなくても、ほかの保安官が見張りをしながら気がついて注意をしていくという。
そういった連携というところで、 浅瀬を発見、回避するということができたかどうかというところが 今回検証が必要なのかなと思います」
https://news.yahoo.co.jp/articles/11940e027a82ae8307df40b23f9f6a173d5c9927
(ブログ者コメント)
1月10日の海自護衛艦に続き、今度は海保の巡視船が座礁。
これも一種、事故は続く時には続く・・・という一例か?
(2023年3月12日 修正1 ;追記)
2023年3月10日21時17分にNHK新潟からは、航海長が指揮場所を離れる際に部下に適切な指示をしていなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
新潟海上保安部を管轄する第9管区海上保安本部は人為的なミスによる可能性が高いとみていて、これまで乗組員に話を聞くなどして捜査を進めてきました。
捜査関係者によりますと、その後の調べで、当時の責任者である50代の航海長が、新潟海上保安部に連絡するため操船を指揮する場所を離れる際に部下に適切な指示をせず、船を座礁させたことが分かったということです。
このため海上保安本部は、航海長を来週中にも業務上過失往来危険の疑いで書類送検する方針を固めたということです。
巡視船「えちご」は現在、船底などに受けた損傷の修理に向けて、京都府舞鶴市のドックで調査が進められています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20230310/1030024514.html
2023年6月21日19時24分にYAHOOニュース(テレビ新潟)からは、航海長がこれまでの経験から現場海域を安全だと思い込み水深などの確認をしなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
第九管区海上保安本部が会見を開き、調査結果を明らかにしました。
・・・
現場の水深は2メートルから4メートルで、「えちご」の船底から水面までの距離は5メートルでした。
第九管区海上保安本部と共同で調査した海上保安庁は事故の原因について…
〈海上保安庁 長谷川監察官〉 :
「操船指揮者である航海長が接近する海域を安全だと思い込み、基本的事項である水深、および自船の位置の確認を行わなかった」
当時の責任者だった航海長が、これまでの経験から現場の海域を安全だと判断して、水深などの確認をしなかったということです。
また、乗組員どうしの情報の共有や連携が不足していたことなども原因にあげられています。
海上保安庁は今回の事故について、「回避できた事故でヒューマンエラーの範疇に入る」と述べました。
また、再発防止策としては、巡視船艇ごとにある安全運航マニュアルの徹底や点検、新たに当直ごとの訓練を行うなどとしています。
・・・
巡視船「えちご」は現在、京都府舞鶴市で修理が行われていて、今後の修理費用などに約20億円が見込まれています。
また、復旧までに1年前後かかる予定です。
当時の航海長は6月12日、新潟区検が業務上過失往来危険の罪で略式起訴していますが、第九管区海上保安本部は関係者の処分について検討中としています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c96fe176abdd216293f38b9cedfbb67cc64d6e3e
6月21日20時33分にYAHOOニュース(新潟放送)からは、航海長は陸から1kmまでは安全に近づけると思い込んでいた、陸地に近づく際に必要な航海士との情報共有も行っていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
第9管区海上保安本部は、6月21日午後に「事故調査報告書」を発表しました。
「調査報告書」によりますと、当時の航海長はこれまでの経験をもとに、陸からおよそ1キロの距離までは安全に近づけると誤って思い込んでいたため、本来するべきだった水深や船の位置の確認をしていなかったということです。
また、陸地に近づく際に必要な、航海士との情報共有も行っていませんでした。
【海上保安庁 長谷川監察官】 :
「一人の思い込みなどにより、ミスをカバーするために機能すべきチームが機能しなかったということで、安全運航上必要な情報が航海当直者間で共有されずに、連携が不足していたことになります」
第9管区海上保安本部は、安全運航マニュアルを徹底し、そのマニュアルが活用されているかを船長が点検する制度を新たに設けて、再発防止に努めるとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6a995dc7a4362b77472b1a738c3093c1ac5224f0
(2024年4月26日 修正3 ;追記)
2024年4月25日11時7分に読売新聞からは、当直だった部下2人は岸に近づく必要はないと考えていたが、航海長への報告が何回か聞き流されたことがあったため意思疎通しなかったなどとする運輸安全委員会の事故報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は25日午前、事故調査報告書を公表し、上下関係のある乗組員間のコミュニケーションが不足し、情報の共有を行わなかった点を事故の一因として指摘した。
報告書では、航海長は状況報告に意識が向き、水深などを計器で確認していなかったと指摘。
当直要員だった航海士補2人(同23、21歳)は、灯台の明かりが消えているのは明らかで、岸に近づく必要はないと考えていたが、航海長と十分に意思疎通しないまま事故に至ったと言及した。
事故後の聞き取りに、2人は「航海長への報告が聞き流されたことが何度かあり、必要最低限の会話になっていた」と説明。
航海長も、「年齢が離れていることもあり、普段から2人との意思疎通に苦手意識を感じていた」と話したという。
海上保安庁は昨年6月、事故の再発防止策をまとめ、乗組員が互いにチームとして情報共有や提案を行う「ブリッジ・チーム・マネジメント(BTM)」の訓練を全巡視船艇の当直班ごとに導入。
航海長らのBTM能力を評価する仕組みも新設した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240425-OYT1T50046/
4月26日付で毎日新聞からは、浅い海域に近づくと警報が作動する設定をしていなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船は電子海図を備え、水深が浅い海域に近づくと警報が作動する機能があったが、その設定をしていなかった。
https://mainichi.jp/articles/20240426/ddl/k15/040/053000c
※以下は事故報告書の抜粋。
船長は浅い海域警報が作動しない設定になっていることを知らなかったとも記されている。
P5/10
航海長は、過去の椎谷鼻沖でのしょう戒業務の経験から、距岸約 0.55Mまでは安全に接近できる海域と考えていた。
また、本事故当時、椎谷鼻西北西方沖で漂泊していたときは、潮流等も強くなかったので、椎谷鼻沿岸でも潮流等の影響はほとんど受けないだろうと考えていた。
p6/10
船長は、本船が水深の浅い海域に接近した場合でも、ECDISの警報が作動しない設定となっていたことを知らなかった。
https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2024/MA2024-4-4_2023sd0002.pdf
2023年1月10日19時17分にNHK NEWS WEBから下記趣旨の記事が、現場写真や航跡解説図付きでネット配信されていた。
10日正午すぎ、海上自衛隊の護衛艦が山口県沖の瀬戸内海を航行中にスクリューが故障して自力で航行できない状態となり、その場で停泊を続けています。
海底の岩などに接触したとみられ、海上自衛隊や海上保安庁が詳しい状況を確認しています。
海上自衛隊によりますと、10日午後0時10分ごろ、護衛艦「いなづま」が山口県の周防大島沖の瀬戸内海を航行していたところ、身動きができない状態となりました。
その後、船体の後部にあるスクリューが故障しているのが確認できたということです。
海上保安庁によりますと、護衛艦から「船体に大きな振動があった」と通報があったということで、スクリューが海底の岩などに接触したとみられるということです。
けが人はいませんでしたが、周囲に油が漏れ、夕方までにほぼ回収されたということです。
護衛艦は自力で航行できない状態のため、その場でいかりをおろして停泊を続けていて、海上自衛隊が護衛艦をえい航するための船を現場に派遣しましたが、動かせるのは早くても11日の夜明け以降になる見通しだということです。
「いなづま」は広島県呉基地の第4護衛隊に所属していて、広島県内の造船所で定期検査を受けたあと、10日、周辺の海域で試験運転を行っていたということで、海上自衛隊は今後、事故調査委員会を立ち上げて詳しく調査することにしています。
【流れ出た油を吸着する作業か】
10日午後3時半ごろ、NHKが上空から撮影した山口県周防大島沖の映像では、海上自衛隊の護衛艦1隻が、いかりをおろして海上に停泊している様子が見え、周辺には海上保安庁などの船が複数、航行していました。
護衛艦後方のデッキには20人ほどが集まり、海に向けて白いシートのような物を投げ入れていて、流れ出た油を吸着する作業を進めているとみられます。
また、護衛艦の後方の海上にはボートが出て、手作業でシートを回収している様子が見えます。
【護衛艦の航跡は】
船舶の位置情報などを公開している民間のホームページ「マリントラフィック」によりますと、海上自衛隊の護衛艦「いなづま」は、10日午前7時40分ごろ、造船所がある広島県の因島を出発し、午前9時ごろには愛媛県今治市の沖合を通過したとみられます。
その後、瀬戸内海を南西に進み、正午前に山口県の平郡島と愛媛県伊方町の間の海域で反転したあと、現場の海域に向かったとみられます。
発生時間の午後0時10分ごろには、護衛艦は時速およそ58キロで航行していたと記録されています。
【現場は潮流が速く浅瀬が比較的多い海域】
海上保安庁によりますと、現場は山口県周防大島町の沖家室島の沖合です。
この海域は潮流が速く、浅瀬が比較的多いところで、付近には船舶に対し、岩礁や浅瀬などの障害物を知らせるための灯標が設置されていました。
また、護衛艦が乗り上げた現場は一般の船舶が航行する航路から南に2キロほど離れていたということです。
護衛艦のスクリューが海底の岩などに接触したとみられ、海上保安庁は巡視船艇を派遣し、原因を調べるとともに、周辺に漏れ出た少量の油を希釈する作業を行っているということです。
【 “えい航のめど立たず”海上保安部】
現場の海域を管轄する広島海上保安部によりますと、身動きができなくなった海上自衛隊の護衛艦「いなづま」は、広島県尾道市の因島にある造船大手「ジャパンマリンユナイテッド」の造船所で整備を行っていたということで、10日午前7時45分に試運転のために出発し、現場付近で折り返して呉地方総監部に戻る予定だったということです。
護衛艦に乗っていた乗組員など190人にけが人はいないということです。
護衛艦からはタービン油がおよそ900平方メートルにわたって海に漏れ出しましたが、吸着マットなどを使い、10日夕方までにほぼ回収されたということです。
海上保安庁と海上自衛隊が護衛艦の損傷部分の確認を進めていて、現場には護衛艦をえい航する海上自衛隊の船が到着しているということですが、いつ移動できるか具体的なめどは立っていないということです。
【漁協「被害などの情報は入っていない」】
・・・
【海自の護衛艦 これまでの自力航行できなくなる事故など】
海上自衛隊の護衛艦は、これまでにも浅瀬に乗り上げるなどして、自力で航行できなくなる事故などが起きています。
このうち2005年4月には、沖縄県の沖合を航行していた護衛艦が浅瀬に乗り上げて動けなくなり、当時の艦長が注意を怠ったとして戒告の処分を受けました。
また、10年前の2013年1月には、青森県の沖合を航行していた護衛艦のスクリューが定置網に絡まって、およそ10時間にわたり動けなくなり、海上保安部が当時の航海長を業務上過失往来危険の疑いで書類送検しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230110/k10013945571000.html
1月10日23時40分に読売新聞からは、現場周辺の海図には水深7mの浅瀬も記されており浅瀬を示す「灯標」も設置されている、波はほとんどなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午後0時半頃、山口県・周防大島の南の沖合で、海上自衛隊の護衛艦「いなづま」から「船体に大きな振動があった」と、無線で広島海上保安部に通報があった。
船体後部のスクリューが破損しており、浅瀬に接触した可能性がある。
約170人の乗員にけがはなかった。
同艦は自力で航行できない状態で、海自と海上保安庁が原因を調べている。
防衛省海上幕僚監部などによると、同艦は同0時10分頃、現場付近を航行中に乗員が大きな振動を感じたため、いかりを下ろして停泊した。
二つあるスクリューのプロペラに損傷が確認されたほか、船体後方から約30メートル四方に油が漏れ出していたため、乗員が吸着マットで除去した。
護衛艦は、海図をもとに前方の水深や暗礁の有無などを確認し、安全な航路を選んで航行する。
現場の周辺は、他の船も行き交うが、浅瀬や岩礁が多く、海図上では水深約7メートルの浅瀬も確認されているという。
事故当時の天候は晴れで、波もほとんどなかった。
海上には衝突するような目標は確認できなかったという。
広島海上保安部によると、現場近くには、浅瀬があることを示す「灯標」が設置されていた。
同部は、浅瀬に誤って接触した可能性があるとみている。
柳井海上保安署は、業務上過失往来危険容疑で乗員から事情を聞く。
「いなづま」は、広島県尾道市にある造船大手「ジャパンマリンユナイテッド」の因島事業所のドックで年次検査を受けており、この日は同島から出航し、瀬戸内海でエンジンの状態を確認する試験運転をしていた。
見張りなどは通常の態勢がとられていたという。
同艦は、全長約150メートル、幅約17メートル、水面から船底までの最も深い部分は10・9メートルで、2000年3月に就役した。
海自と海保は、複数の艦艇や巡視船を現場に派遣し、事故調査と船体の損傷状況を確認している。
同艦は自力での航行ができない状態で、えい航も検討する。
「いなづま」艦長の相沢2佐は10日、「海上保安庁の調査に全面的に協力し、事案の原因の究明に努める」とするコメントを出した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230110-OYT1T50207/
1月11日17時48分にYAHOOニュース(テレビ山口)からは、結構浅いため地元の漁師はあまり近寄らない場所だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
現場付近は、地元では「センガイ瀬」と呼ばれ、岩や浅瀬があるため、地元の漁業関係者は、あまり近寄らないといいます。
地元の漁師:
「島と島との間に灯台がたってるよね、岩があるけ。センガイはけっこう浅いよね。あんまり寄らんけどね」
https://news.yahoo.co.jp/articles/079123c2d3cf4d637fde702564546e4a3fd5e07d
1月12日11時32分にYAHOOニュース(中国新聞)からは、海のプロとしてありえない事故ではなかろうか、疑問だらけだという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ブログ者の抱いた疑問が全て書かれている。
海上自衛隊の艦船うんぬんというより、海のプロとしてありえない事故ではなかろうか。
・・・・
最大の問題点はなぜ、危ない浅瀬を通ったのかだ。
いなづまは前日まで広島県尾道市因島のドックで定期点検を受けていた。
試験運転で乗組員とドック関係者の計190人を乗せ、伊予灘を南西に進んだ後に、現場付近で折り返して呉に戻る予定だったという。
試験運転は通常、最大速度を出して操作性を確認する。
事故当時はエンジン関連の試験中だった。
しかし、現場は岩礁が多い「センガイ瀬」と呼ばれる海域であり、漁業者から見れば巨大船が通ることなど考えにくい場所のようだ。
しかも付近には浅瀬を示す灯標が設置され、晴れていて目視は十分可能だった。
そもそもチャート(海図)を見ていれば、通るべき海域でないことはすぐ分かったはずだ。
ルートの選択ミスなのか、目指すルートから外れたのか。
チャートや見張り、ソナーによる確認を手順通りしていたのか。
艦内の意思疎通に問題はなかったのか。通常と違って民間人が乗っていたことは、事故に影響していないのか。
さまざまな疑問が湧いてくる。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/76a8fcbf9711700cd4adc563201e1b2e1a3ba520
(2023年5月12日 修正1 ;追記)
2023年5月9日15時38分にNHK山口からは、艦長が航路変更の指示を出した際に幹部は海図を確認しなかった、前方に障害物ありという情報が艦橋には伝えられたが幹部には伝わっていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海上自衛隊は、9日、内部の事故調査委員会の調査結果を公表しました。
それによりますと、艦長は、試験が予定より早く進んだため、計画していた航路を変更する指示を出した際に、安全面の検討を行わなかったうえ、時速およそ55キロの最大速度で航行したとして、指揮監督が不適切だったとしています。
また、艦橋で航行を指揮する幹部は、航路変更の指示が出た際に、針路上にある障害物を海図などで確認しなかったうえ、周囲の警戒を行う指揮所に航路変更することを伝えないなど、知識や安全意識が不十分だったとしています。
さらに、指揮所から艦橋に対し、前方に障害物があることが複数回連絡されていたものの、幹部には伝わっておらず、艦内のコミュニケーションが図れていなかったとしています。
これらが事故の要因になったとしたうえで、再発防止策として、艦長の教育訓練を再検討するほか、航行を行う際の安全調査を充実させ、安全に関する情報が幹部に確実に伝わるよう連絡手段を追加するなどとしています。
今回の事故で、護衛艦の修理にかかる費用はおよそ40億円で、修理が完了するまで数年かかる見込みだということで、海上自衛隊は調査結果を踏まえ、関係者の処分を検討するとしています。
今回の事故では、海上保安庁が業務上過失往来危険の疑いで捜査を行っています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20230509/4060016958.html
(2023年5月19日 修正2 ;追記)
2023年5月17日18時8分にYAHOOニュース(中国新聞)からは、1等航海士の男性が20日以上欠勤したまま行方不明になっているので懲戒免職になったという、という、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海上自衛隊呉地方総監部(呉市)は17日、正当な理由なく欠勤したとして、護衛艦いなづまの1等海士男性(23)を懲戒免職処分にしたと発表した。
同総監部によると、1等海士は1月22日、課業開始時刻になっても出勤せず、正当な理由なく20日以上欠勤した。
家族は警察に捜索願を出した。
現在も連絡が取れず、行方不明のままという。
海自呉基地(呉市)を母港とするいなづまは、1月10日に山口県周防大島町沖で浅瀬に乗り上げて自力航行できなくなる事故を起こしている。
同総監部は、事故との関連は不明で「本人に確認できていないので欠勤の理由は分からない」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/848bc00e5e35166eed8c9cf1ea53e604db889956
(ブログ者コメント)
ネットで調べてみると、1等航海士は実質上の運航責任者らしい。
ということは、これまで報じられた「幹部」は、この人だったのかもしれない。
2024年11月28日10時19分にYAHOOニュース(中国新聞)からは、調査報告書が公表された、艦長は性能試験を早く終わらせて訓練の時間を作ろうと予定海域からの変更を指示したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省の運輸安全委員会は28日、事故の調査報告書を公表した。
当時の艦長らが海図で周辺の地形を確認せずに航行し、水面下の岩に気付かなかったことが事故の原因と指摘した。
報告書によると、呉基地(広島県呉市)を母港とするいなづまは当時、定期検査に伴う修理後の性能試験中だった。
艦長が試験を早く終わらせて乗員の訓練の時間をつくろうと、当初予定した海域からの変更を指示。
艦長と操艦する砲術長は海図で航路上の地形を確認せず約30キロノットで広島湾方面に航行中、浅瀬に乗り上げた。
運輸安全委は、航行の安全性について事前に検討していなかったと考えられると指摘した。
柳井海上保安署は同11月に艦長と砲術長、水雷長の3人を業務上過失往来危険容疑で書類送検し、柳井区検が同12月に3人を略式起訴。
柳井簡裁は今年1月、艦長に罰金50万円、砲術長と水雷長にいずれも罰金40万円の略式命令を出した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4bb805715d2f7fa28f62c1c91481bcb681f3319d
(ブログ者コメント)
性能試験を早く遅らせて・・・というくだり、報告書には以下のように記されている。
艦長は、11時00分ごろ、性能試験が予定より早く進んでおり、 基地への入港が航海計画より相当早まりそうな状況であったので、狭 い諸島水道を経由して基地に向かうよりも、時間は掛かるが、より広 いクダコ水道を経由する方が、時間調整ができると考え、航海長にク ダコ水道を経由するコースに変更する旨指示した。
また報告書には、航海長から水雷長に指示した内容が、そのままには水雷長から砲術長に伝わらなかったとも記されている。(2ページ)
https://jtsb.mlit.go.jp/ship/rep-acci/2024/MA2024-11-7_2023hs0004.pdf
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2022年12月26日7時3分にYAHOOニュース(現代ビジネス)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
※冒頭は講談社の編集者から装丁デザイナーへの業務依頼内容などにつき
転載省略。
・・・
(装幀依頼書を取り出す)。
「本のイメージは、こんな感じです。
ゲラもお渡ししますが、少しだけ概要を説明させてください。
2008年に千葉県犬吠埼(いぬぼうさき)から350キロメートルほど離れた海上で「第58寿和丸(すわまる)」という全長40メートルぐらいの中型の漁船が突然転覆・沈没し、乗組員のうち17名が死亡・行方不明となる大きな事故がありました。
ところが、『なぜ沈んだのか』がほとんど解明されておらず、いまも謎のままなんです」
「? どういうことでしょう?」
「はい。まず、事故当日の海況ですが、多少の波はあったものの、警戒が必要なほどではありませんでした。
そのため、船が転覆する寸前まで、乗船者のほとんどが休息中で、のんびりベッドで休んでいたりしたんです。
つまり、まったく深刻な状況ではなかったわけです。
しかも、(海上の碇泊では)もっとも安全とされているパラシュートのようなアンカー(錨)を使って碇泊していた。
そもそも、数キロ離れたところには、一緒に漁に出ていた僚船もいました。
それなのになぜか、この第58寿和丸だけが、突然転覆して沈んでしまったんです」
「たしかに不思議ですね。
でも、なんで事故前の詳しい状況がそこまでわかっているんですか?」
「実は、3人だけ生存・帰還された方がいます。
彼らの証言では、『それまで静かだった船が突然二度の衝撃を受け、あっという間に大きく傾いた』と。
その後、わずか1~2分で船は転覆し、そのはずみで甲板に逃げていた彼らも船から投げ出されます。
この人たちは、船から漏れ出たと思われる重油で黒く染まった海を必死になって漂いながらも、なんとか助かることができました。
この「黒く染まった海」というのが実は大きなポイントです。
なぜかというと、事故後に国土交通省の運輸安全委員会が公表した「事故調査報告書」では、「転覆・沈没の原因は大きな波の可能性が高い」、そして「船から漏れ出たとされる油の量は一斗缶1缶程度(よって、船が損傷した可能性は低い)」とされているからです。
一斗缶程度の少量の油が広大な海に流れたところで、周辺の海が黒く染まるわけがない。
つまり、この報告書は生還者の証言をほとんど採用しておらず、二度にわたる船の衝撃も『波によるものだった』、大きな波が船に流れこんで船がバランスを崩して転覆、沈んだという、そんなことあるのかな、みたいなことを主張しているわけです。
一方、生還者や関係者の方は、船が“何か”にぶつかって破損して沈没、船倉にあった燃料タンクから大量に重油が漏れ出たのではないかと考えている。
だとしたら、”何か”ってナニ? という話です。
つまりですね、船が沈没した原因も謎なんですが、運輸安全委員会がなんでそんな報告書を出したのかも謎めいているんです。
ちなみに、沈没した海域は深さ5000メートル以上の深海なので、今日までいっさい現物の船に関する現場の調査は行われていません。」
「なるほど。それで、この装幀依頼書に「ミステリーの要素」と書いてあるわけですね」
「はい。この事件の不思議・謎めいた感じを表紙で表すことができないかと考え、ノンフィクションではありますが、ミステリーのようなイメージの表紙をお願いしたいのです。
ミステリーといっても、推理小説とは違いますけど、すべて実話だけに、独特の迫力があります。
著者は、ある証言や出来事をきっかけに、ぶつかって船を沈めた”何か”、つまり「真犯人」を特定できないかと取材を重ねていきます。
そして、その物語と並行する形で、生還された方々の苦しみや、残されたご遺族たちの今も癒されない思い、そして船会社の社長の孤独な闘いなど、事故に関わった人々のドラマも展開していきます。」
「わかりました。私のほうでもゲラを読んで、それからラフのイメージを何点か出してみますね」
「ありがとうございます。それではよろしくお願いいたします」
・・・
以降、装丁に関する詳細打ち合わせなど(転載省略)。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bfd742d58b566245f365e38e9bae799e49c2be3d
同じ日、12月26日8時1分にYAHOOニュース(東洋経済オンライン)からは、更に詳細な下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道・知床半島沿岸を行く観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」の沈没事故から8カ月になる。
乗員2人と旅客18人が死亡し、旅客6人の行方は今もわかっていない。
痛ましい観光船の事故に関し、国の運輸安全委員会は12月15日、事故原因をほぼ特定できたとして「経過報告」を公表した。
迅速で的確な調査といえるが、実は沈没事故に関する過去の調査には、たくさんの「?」がついたままのものがある。
17人もの死者・行方不明者を出した2008年の漁船沈没がそれだ。
これをめぐっては、運輸安全委員会の隠蔽体質を問う訴訟も東京地裁で続いている。
・・・
運輸安全委員会の事故調査は、犠牲者の数や船の種類によって“ランク付け”とも“格差”とも受け取れる状態になっていることをご存じだろうか。
運輸安全委員会事務局組織規則をひもとくと、第9条には次のように記されている。
国のいう「重大な船舶事故等」とは、何を指すのかという定義付けだ。
第九条 国土交通省組織令第二百四十三条の八第一号の国土交通省令で定める重大な船舶事故等は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 旅客のうちに、死亡者若しくは行方不明者又は二人以上の重傷者を生じたもの
二 五人以上の死亡者又は行方不明者が発生したもの
三 国際航海(一国の港と他の国の港との間の航海をいう。)に従事する船舶(総トン数五百トン未満の物の運送をする事業の用に供する船舶及び全ての漁船を除く。)に係る船舶事故であって、当該船舶が全損となったもの又は死亡者若しくは行方不明者が発生したもの
(四以降、略)
死者・行方不明者に着目してこれらの条文を読むと、旅客の場合、死者・行方不明者が1人でも生じるか、または2人以上の重傷者が出ると、重大な船舶事故に該当する(第一項)。
日本と外国を結ぶような国際航路の場合も、死者・行方不明者が1人でも出ると、「重大」になる。
ただし、国際的に運用されていても、漁船の場合は該当しない。
問題は漁船である。
法律を読み慣れた方は、すぐにピンと来るだろう。
漁船が該当するのは「第二項」しかないが、「五人以上の死亡者又は行方不明者」が出ないと、漁船の場合は「重大」にはならないと読み取れる。
人命に軽重はないはずなのに、なぜこんな“格差”が明文化されているのだろうか。
ほとんどの人は記憶していないと思われるが、2008年6月に千葉県の犬吠埼沖で起きた漁船「第58寿和丸」の転覆・沈没事故と比較してみたい。
【「原則1年」を大幅に超過、内容も疑問符だらけ】
事故が起きたのは、ちょうどお昼時だった。
安全で安定性も高いパラシュート・アンカーを使って洋上で碇泊中、突然の2度の衝撃を受け、たった1~2分で転覆。
1時間ほどで沈没した。
乗組員20人のうち、17人が死亡・行方不明。
3人が助かったのは、奇跡といってよかった。
この事故について、運輸安全委員会は法の求める「原則1年」という期限を大幅に超過し、最終の調査報告を出すまでに、なんと3年近くを費やしている。
国会で明らかになったところによると、調査費用は200万円足らず。
船体引き揚げに巨費を投じたKAZU Ⅰのケースとは大きな差がある。
しかも、第58寿和丸報告書の内容は疑問符だらけだったという。
生存者の証言と報告書の描く状況がまったくといっていいほど一致しないうえ、現場海域を真っ黒に染めていた大量の油について、合理的な回答も示せていないというのだ。
船主や生存者たちは、今現在も、
「調査結果にはまったく納得できない」
「原因は波とされたが、あの状況下で波によって転覆し、あんな短時間で沈没するはずがない」
といった疑念を持ち続けている。
「漁師だから軽く見られ、まともな調査をしてもらえなかったのではないか」という声もある。
ただし、この事故を記憶している人はほとんどいないと思う。
発生直後は大きなニュースになったとしても、そもそも漁船の事故は、すぐに報道の量が減っていく。
事故原因についても、「原因は波」と国が結論付けてしまえば、それに疑問を投げかけるメディアはない。
【生存者の証言と報告書は完全に矛盾】
そんな中、第58寿和丸の事故に注目し、3年以上の年月をかけて地道に取材し続けてきたジャーナリストがいる。
東京在住の伊澤理江氏だ。
生存者や船主はもちろん、運輸安全委員会の関係者、船舶や気象などの専門家・研究者を丹念に訪ね歩いた執念の取材は、先ごろ、調査報道ノンフィクション『黒い海 船は突然、深海に消えた』(講談社)として刊行された。
その取材の過程で、伊澤氏は運輸安全委員会の事故調査という“迷路”に翻弄されることになる。
第58寿和丸の事故は2008年6月に発生し、調査報告書は2011年4月に公表された。
先述したように3年近くもの年月を要したうえ、東日本大震災の直後とあって、まったくといっていいほどニュースにならなかった。
伊澤氏によると、報告書の最大の矛盾は「大量の油」である。
事故後、現場海域には生存者や僚船の乗組員らが「真っ黒だった」と表現するほどの油が浮遊していた。
第58寿和丸から漏れ出た燃料のA重油である。
生存者は油の海を泳ぎ、全身が真っ黒になった。
誰かを引っ張り上げようとすると、ヌルヌルで滑って手をつかめない。
伊澤氏は次のように言う。
「生存者らは、ドロドロの油の海を泳いで、命からがら助かりました。
ところが、運輸安全委員会が出した結論は、漏れた油は約15~23リットルだったというのです。
一斗缶1個分です。
そんな少量では、『真っ黒い油の海』は出現しません。
そもそも、1~2分で転覆し、沈没した場合、証言にあるような大量の油は流出しません。
船体が損傷しない限りは」
「真っ黒な油の海。
生存者らが口をそろえる、その状況は、運輸安全委員会の報告書と完全に矛盾しています。
しかも、報告書の言うとおりの量だと、生存者が体験した状況は、どうしてもつくり出せません。
油防除で日本屈指の専門家は『運輸安全委員会の報告書は「kl」の「k」がミスで抜けてるんじゃないの?』とまで言っています。
それほど不合理な報告書なのです」
・・・
伊澤氏は「何らかの外力とは何だったか」を徹底追究していく。
千葉県沖の太平洋に氷山はない。
種々の状況からクジラなどの海洋生物の可能性はほぼゼロ……。
各分野の専門家らへの取材を続け、可能性を1つずつ潰していく。
そうしたプロセスを経てたどり着いた結論は、波による転覆事故ではなく、“事件の可能性がある”というものだった。
・・・
【叡智を集めたはずの結論でも間違いはある】
第58寿和丸の報告書をめぐる情報公開は、現在、非開示を不当として、伊澤氏側が国(運輸安全委員会)を相手取って開示するよう東京地裁に訴えている。
提訴は昨年7月。
国側は依然として、「真っ黒に塗った公文書でOKなのだ」という方針を崩さず、そのまま押し切ろうとしているが、裁判長は国側に再三、非開示の根拠を具体的に示すよう求めており、文書のタイトルすら秘密にしようとする運輸安全委員会の姿勢は、さすがに法廷では通用しないだろうと思われる。
伊澤氏はこう言う。
「私たちはしばしば、物事を『国が結論を出したから』、『もう決まったことでしょう』と捉えがちです。
しかし、当たり前のことですが、専門家の叡智を集めたはずの結論であっても、間違いや納得のいかないことはある。
そして、『決まったこと』に対して疑問を持ったり、声を出したりする人を疎ましいと思いがち。
そこをどうするか、だと思います。
私が著書『黒い海』で問いたかったのも、まさにその点です。
第58寿和丸の事故に関しては、声は埋もれがちですが、疑問を持ち続ける人は何人もいる。
そういった問題はほかにもたくさんあるでしょう。
そこにこそ、ジャーナリストの活動の領域はあるはずです」
https://news.yahoo.co.jp/articles/1f2b4b773bcc27178225c728b0543302bebe6fbb
12月29日7時2分にYAHOOニュース(現代ビジネス)からは、報道陣の非常識な行動など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(内容は転載省略)
『「何を言っているんだ、こいつは…」転覆した漁船の仲間を懸命に捜す漁協幹部に、民放在京キー局の記者が放った「非常識すぎる一言」』
https://news.yahoo.co.jp/articles/3b930e6bbbdfe71a13b71ae6bc71296af47fce4b
2023年1月1日7時2分にYAHOOニュース(現代ビジネス)じゃらは、最初はドスーンという衝撃、7~8秒後には構造物が破損したような、より強い衝撃があったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『原因は、絶対に「波のせいじゃない」…漁船転覆事件の「謎」と深まる「疑惑」』
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a2826a8c820961043c11b43dd79603b5d96cfc9
(ブログ者コメント)
この報道に接し思い出したのが、昨年起きた潜水艦「そうりゅう」の事故。
本ブログでも紹介しているが、訓練浮上中に確認不足で貨物船に衝突した、あの事故だ。
まさか、どこかの国の潜水艦が急浮上して事故を起こした?
「黒い海」は読んでいないが、そんな可能性もゼロではなさそうな気がした。
2022年10月8日15時5分にYAHOOニュース(WJS)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【飲酒により5人が死傷した事故。飲酒運転でも船舶には刑事罰がない】
9月4日未明、パイロットボートが神戸港沖の防波堤に衝突し、男性5人が死傷した事故が起きた。
神戸港で、沖に停泊している外国船などに乗り込んで港内の誘導業務を担う水先人を運ぶため、船に向かう途中で発生したもので、この事故で船長と水先人1人が死亡し、50~70代の水先人ら3人が負傷した。
神戸海上保安部は、業務上過失致死傷などの疑いで事故原因の捜査や操船者の特定を進めていたが、ボートを運行していた運航会社は7日、死亡した船長と男性乗組員が、別のボートの男性乗組員2人と「乗船前に飲酒していた」と明らかにした。
乗船前の飲酒が常態化していた可能性があるという。
【3人乗りの“水上バイク”が“消波ブロック”に衝突】
アルコールによる重大事故は船だけではない。
水上バイクでも、痛ましい事故が起きている。
昨年の9月15日に、兵庫県で「3人乗りの“水上バイク”が“消波ブロック”に衝突し、男女3人が死亡」するという事故が起きた。
しかも、運転者は無免許だった。
事故後の調査で、死亡した男性の体内からアルコールが検出され、酒を飲んで水上バイクに乗っていたことが判明した。
さらに、消波ブロックに衝突する24秒前から“急加速”し、激突時の速度は時速約100キロに達していたという。
神戸海上保安部は、水上バイクを運転していた無免許の男性(当時28歳)を、容疑者死亡のまま重過失致死と過失往来危険の疑いで書類送検している。
【海には「刑事罰」がないのが一番の問題】
酒酔い状態で操船することは法律で禁止されているが、船舶免許の減点や事業停止などの行政処分のみで、「刑事罰」はない。
陸上と同じように、海でも飲酒運転は禁じられているが、未だに違反行為が後を絶たないのは、こういった理由もあるのだろう。
国土交通省は、海や湖、河川によって船舶の往来量などが異なるとして、「道路交通法のような全国一律の罰則は想定していない」としている。
そのため、一部の自治体では、プレジャーボートや水上バイクなど小型船舶の「飲酒操縦」に対して、独自に条例で罰則を設けている。
しかし、「条例による罰則」では、どこまでの「抑止力」があるのか疑問が残るところでもある。
前述の水上バイク事故のように、「時速100キロで加速しながら防波堤や消波ブロックに正面から激突する行為」は、普通では考えられない。
判断力が鈍った“飲酒”のせいであると思われる。
飲酒しての操船は、事故などが起きない限り、発覚しにくい。
今回の事故も、氷山の一角に過ぎないだろう。
各都道府県による条例の制定も大事だが、監視や取り締まりの強化にも際限がある。
このあたりで「船に対する明確な罰則規定」を作っても良いのではないだろうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/263c6d93a874dc8de5f4187799326ff3e8e71921
2023年5月25日12時44分にYAHOOニュース(読売テレビ)からは、船長は酩酊状態だった、他にも飲酒操船者多数、会社は業務前アルコール検査をほとんど実施していなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故について調査を行っていた国の運輸安全委員会は25日に調査報告書を公開し、「船長が飲酒して酩酊した状態で操船し、防波堤に向かって航行を続けたことから衝突し、その後堤防に衝突したものと推定される」とする分析を明らかにしました。
また「運行会社の神戸地区の乗組員の多数が過去に操船業務開始前に飲酒していたこと、アルコール検査を実施したことはほとんどなかったことから、操船業務開始前の飲酒禁止に関する意識が低下していたものと考えられる」と指摘しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9ff3221772fb7c370ff3e9de4063fd1ffb8b61e9
※ちょっと前、2023年3月8日付でラジオ関西からは、午前2時以降の出港予定があるのに前日の18時半以降に乗組員4人が待機所で飲酒していた、コロナ禍で業務量が減った2020年ごろから飲酒機会が増えたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
司法解剖で船長の体内からは基準値の7倍に相当するアルコールが検出された。
(道路交通法で酒気帯び運転の基準値となる呼気中アルコール濃度は1リットル当たり0.15ミリグラム)
捜査関係者によると、当時は(夜間であっても)見通しは良く、平均的な操船技術があれば、前方を見誤ることはあり得ないという。
こうしたことから、防波堤への衝突原因として、酒気帯び状態での操船で、船長が周囲への警戒を怠った可能性が高いとみられる。
N交通の内部調査では、事故前日(22年9月3日)の午後6時半以降に、死亡した船長と他の3人の計4人が、待機所で飲酒していたという。
いずれも翌4日の午前2時以降の出港予定があることを認識していた。
さらに、9人の乗組員が、業務開始前に飲酒したことが確認され、飲酒の常態化が明らかになった。
同社の安全管理規定では、出航前8時間の飲酒を禁じており、出勤時と出港直前のアルコール検査が定められている。
乗組員らは「新型コロナウイルス禍が始まった2020年ごろから業務量が減ったため、飲酒機会が増えた」と説明していたという。
https://jocr.jp/raditopi/2023/03/08/489800/
2021年12月14日17時21分にYAHOOニュース(福岡放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡市の博多港で11月、貨物船が防波堤に衝突し、乗り上げた事故について、福岡海上保安部は14日、船長が灯台の場所を見誤ったことが事故の原因と発表しました。
この事故は、11月28日の深夜、大型貨物船・LADY ROSEMARY号が博多港を出た直後に防波堤に衝突し、乗り上げたものです。
事故について調べていた福岡海上保安部は14日午後、原因について「船長が、本来横を通過する灯台と別の灯台を誤認」したと発表しました。
福岡海上保安部によりますと、貨物船は本来、防波堤の先にある赤い色の灯台の右側を通過するはずでしたが、この灯台の左側にもうひとつ赤い灯台があり、船長は、このもうひとつの灯台を本来の灯台と見誤ったということです。
船長は、これまでに十数回、博多港での操船の経験があり、当日はレーダーなどを十分に使わずに、目視で位置を確認していました。
福岡海上保安部の調べに対し、船長は「衝突前に目の前の防波堤に気が付いたが、間に合わなかった」と話しているということです。
福岡海上保安部は、灯台の見間違えが事故につながったとみて、船長を業務上過失往来危険の疑いで書類送検する方針です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bea2ef1063de56453a1bfe27af23b6afd033e6f3
2021年4月28日7時46分にYAHOOニュース(沖縄タイムス)から、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
27日午前10時15分ごろ、沖縄県本部町山川の本部港渡久地地区の山川漁港で、出航しようとしたプレジャーボートが何らかの原因で爆発し炎上した。
乗っていた50~80代の男女5人が、やけどや骨折などの重傷を負ったが、命に別条はない。
■爆発したのは…
名護海上保安署などによると、観光のため来県していた静岡県の60代の男性船長と、知人の男女4人が乗ったボートが沖に出ようと約10メートル航行したところ、何らかの原因で船体後方部分の燃料庫付近が爆発したという。
船長の男性がドクターヘリで本島南部の病院へ、他の4人が本島北部の病院へ救急搬送された。
爆発したのはプレジャーボート「クマサン007」(最大搭載人員15人、3トン、長さ7・38メートル)。
衝撃で70代の男性2人が海上に飛ばされ、残された船長含む3人は、さらなる爆発を避けるため、船長の判断で海へ飛び込んだという。
5人はライフジャケットを着用していた。
同署は、付近にたばこや花火など燃焼物がないことから、電気系統のトラブルを視野に原因を詳しく調べている。
マリン事業者の有志らが同日夕、クレーンを使って沈没したボートを引き上げ、撤去した。
運輸安全委員会は同日、船舶事故調査官3人を沖縄に派遣することを決めた。
28日以降に現地調査する方針。
■目撃者の証言は…
「ドーン」。
本部町の山川漁港に、打ち上げ花火のような大きな爆発音が響いた。
釣りを楽しもうと同港を訪れていた比嘉さん(21)と崎原さん(21)=いずれも西原町=がすさまじい爆発音に振り返ると、海上の船体から炎と黒煙が立ち上っていた。
船の周囲には投げ出された乗員らが浮かんでおり、2人は近くにいた数人と救助に急いだ。
救助された乗員らはそれぞれ手や足、腰に痛みを訴え、船長の男性はやけどを負い、足の広範囲が赤く腫れていた。
消防車やドクターヘリ、警察車両などが駆け付け、辺りは一時騒然となった。
崎原さんは「原因が気になるが、全員の命に別条がなくてほっとした」と安心した様子だった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d21f444c7fd45cedfa0f79cf7ccc0ea26c78b137
4月27日20時0分にYAHOOニュース(沖縄テレビ)からは、岸壁から離れエンジンをかけたところ爆発したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
仲宗根記者
「本部町山川の港です。爆発したボートはこの船着き場からおよそ50メートルほど離れたところにあって、海面から船の底のみが見えている状態です」
27日午前10時過ぎ、本部町山川の港で「小型船が爆発した」と消防に通報がありました。
プレジャーボートには男女5人が乗っていて、やけどや骨折の疑いで全員病院に運ばれ、命に別条はないということです。
警察によりますと船の関係者は、「プレジャーボートが岸壁から離れてエンジンをかけたところ突然爆発した」などと話しているということです。
海上保安庁は今夜の満潮にあわせて船を引き揚げ、爆発の原因などを調べることにしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/becc11e52c8f08ca0e74a13a5fb9a5da5be43a01?source=rss
4月28日10時44分にYAHOOニュース(琉球新報)からは、ガソリンが漏れていた可能性も考えられるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5人は骨折や、やけどなどのけがを負い、うち4人は重傷。
全員意識があり、生命に別条はないという。
火災発生時に港にいた崎原さんは、「(出港前に船を)港から海に下ろした人は『エンジンをかけた時に爆発した。ガソリンが漏れていたのではないか』と言っていた」と話した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/143e4a4b09c5263c96b7d002470a6409b8aacd45
(2023年4月28日 修正1 ;追記)
2023年4月27日10時46分に産経新聞からは、前年に工事した燃料ホースの接続部分が固定不良で緩んだらしい、船長は事故前の点検で燃料タンク区画を確認していなかったなどとする調査報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
令和3年4月、プレジャーボートが爆発して5人が骨折ややけどの重傷を負った事故で、運輸安全委員会は27日、船底の区画に燃料のガソリンと可燃性ガスが漏れていたのに船長が気付かなかったと推定する調査報告書を公表した。
報告書によると、ボートは2年に燃料ホースを延伸する工事をしていた。
ホースを固定する支えがなく、航行中の振動などで接続部分が緩み、隙間ができた可能性がある。
一方で焼損が激しく、詳細は明らかにできなかった。
船長は事故前の点検で燃料タンクのある区画を確認していなかった。
https://www.sankei.com/article/20230427-47IAQWOVMRI25EQMBQUHANKAU4/
4月27日12時3分にYAHOOニュース(沖縄タイムス)からは、ホースとタンクを接続するクランプが緩んでいたらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船長が出航前に船首側の点検口を確認しておらず、ガス漏れに気付かなかったとみられる。
前方の船底区画にある耐油ホースと燃料油タンク接続部の「ホースクランプ」(接続部の固定に使うパーツ)が緩み、そこから漏れ出たと推定されるが、焼損の激しさから明らかにできなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/71ba0711c0580832a5b183c472acbd96fba03c11
4月27日10時29分にNHK沖縄からは、ボートを陸から海に降ろす際に船体が傾き、船底に漏れていた可燃性ガスが広がったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会が27日、調査報告書を公表しました。
それによりますと、当時、燃料タンクとつながるホースの接続部分が緩み、船底に燃料や可燃性ガスが漏れ出ていた可能性があるとしています。
その上で、陸上からボートを海に降ろす際、船体が傾いた影響で可燃性ガスが広がり、バッテリー付近で発生した火花が引火して爆発が起きた可能性が考えられると指摘しています。
一方、ホースの接続部分が緩んだことについては、焼損が著しく、詳細を明らかにすることができなかったということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20230427/5090022934.htm
2021年2月10日10時30分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がイメージ図付きでネット配信されていた。
小型旅客船の事故では、大けがをした乗客の約7割が腰や背中などが折れる「脊椎(せきつい)骨折」だった――。
船や飛行機、鉄道の事故原因を調べる国の運輸安全委員会の調査で、こんなデータが明らかになった。
脊椎骨折した人のほぼすべてが船首近くに座っていたこともわかり、運輸安全委は「波が高くなる冬場は揺れによる事故が起きやすい。小型船では、なるべく揺れない後ろの席に座ってほしい」と呼びかける。
国土交通省の調査によると、全国には約2200の旅客船があるが、このうち7割が20トン未満の小型船だ。
旅客の少ない近距離航路で多く使われている。
大きな船に比べて波の影響をうけやすいが、障害物に衝突して浸水した場合でもすぐに脱出できるように、シートベルトの設置義務がない。
そのため、高い波で船体が揺れて乗客が座席に尻もちをつき、脊椎を骨折する事故が後をたたない。
例えば、2019年12月に鹿児島県沖であった旅客船「なんきゅう」(19トン)の事故では、高波で船体が大きく揺れ、乗客55人のうち14人がけがをした。
このうち9人が座席に尻を強く打ち付けた脊椎骨折で、いずれも客席の3列目までに座っていたという。
運輸安全委が08~19年に起きた旅客船の死傷事故115件を調べたところ、重傷以上のけが人がいた小型船の事故は28件で、37人が大けがをしていた。
このうち、16件の25人は脊椎が折れる大けがをしていた。
重傷者の68%が脊椎骨折だったことになる。
【船首側の大けが、なぜ多い?】
報告書が公表されている事故をさらに詳しく見ると、軽傷と診断された人も含めて、脊椎(せきつい)を骨折していた29人のうち、28人が船首側の席に座っていたという。
船首側の席で脊椎骨折が多いのは、エンジンがついている船尾側に船の重心があるからだ。
波に揺られると、重心から遠い方の船首側の座席の揺れがより大きくなるという。
船の速力が遅ければ揺れは小さくなるため、波が高い場合は、速度を落とすことが有効だ。
ただ、比較的低速とされる10ノット(時速18キロ)未満でも、脊椎骨折になる事故が4件あった。
運輸安全委による旅客船のシミュレーションでも、波の高さが2メートルの場合、8ノット(同15キロ)まで下げないと船首に座る客はけがをする可能性があるとの結果が出た。
新型コロナウイルスの影響で、昨春時点では旅客船の輸送人員が前年の半分以下に落ち込んだ事業者が多かったが、昨年末にかけて持ち直した。
運輸安全委は、「冬場は高い波が起きやすく、事業者は速度を下げたり、運航自体をやめたりすることも考えて欲しい。乗客も、小型船ではなるべく後ろの席に座るよう意識した方がいい」としている。
https://www.asahi.com/articles/ASP2B33XRP22UTIL033.html
(ブログ者コメント)
なんきゅう事例は本ブログでも紹介スミ。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10255/
当該記事中、負傷者が座っていた場所についての情報はなかったものの、ポーポイジングなる現象が解説図付きで説明されており、それが尻もちをつく原因の一つなのかもしれない。
2020年11月20日0時34分に読売新聞から、下記趣旨の記事が地図付きでネット配信されていた。
19日午後4時40分頃、香川県坂出市の与島沖の瀬戸内海を航行中の小型船「Shrimp of Art」(19トン)の船長から、「漂流物に衝突して船が浸水している」と118番があった。
高松海上保安部によると、修学旅行中の小学6年生52人を含む計62人が乗船しており、間もなく沈没。
全員が救助されたが、低体温症とみられる症状などがあった児童2人とバスガイドの計3人が、病院に搬送された。
坂出市立川津小学校の児童と教員5人、ガイドらが乗船。
同市教育委員会などによると、船体は衝突後、浸水が始まり、船長の指示で児童らは救命胴衣を身に着けて次々と海に飛び込んだという。
いずれも、近くの漁船の乗組員らに救助された。
高松海上保安部によると、現場は瀬戸大橋のすぐ近くで、事故の時、海水温は19度で平年並みだった。
波が穏やかで、漁船の素早い救助もあり、惨事を免れたとみられる。
同保安部は今後、船長らから事情を聞き、原因を調べる。
坂出市教育委員会などによると、修学旅行は18日から2日間の日程で、船は午後2時50分頃に高松港を出発して、瀬戸内海クルーズをしており、午後5時に坂出港に到着予定だった。
救助された児童らはバスで小学校に戻り、迎えに来た保護者と帰宅したという。
同校は当初、修学旅行で京都や大阪などを訪れる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で県内に変更していた。
【励まし合い、泳いで漁船へ】
漁船で救助した50歳代男性によると、到着時、船体は沈没寸前で、かろうじて一部が海面から出ている状態。
児童らは、その上で助けを待っていた。
男性は漁船で数メートルの距離まで近づき、マイクで呼びかけた。
「大丈夫や。絶対に助けるから、順番に泳いでこい」。
児童らは海に飛び込み、漁船まで泳いできた。
男性は児童らを引き上げた後、海に飛び込んで船に渡り、残った大人の乗客を助け出した。
先に救助された児童らは、泳いで渡ってくる他の児童らに「大丈夫」「頑張れ」と声をかけ続けていたという。
男性は「震えている子どももいたが、人を押しのけることもなく、立派だった。全員無事で本当に良かった」と話した。
学校に戻った男児の一人は、「『バコーン』と何かが割れるような大きい音がして、船の中にどんどん水が入ってきた。『船の底が割れている』と言われ、救命胴衣を着けたが、すぐに腰ぐらいまで水につかった。本当に怖かった」と語った。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201119-OYT1T50209/
11月20日6時36分にNHK香川からは、通報20分後に船体はほぼ沈んだ、現場は岩場が多い場所だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高松海上保安部は、この旅客船から「漂流物に衝突して浸水している」という通報を受けて、近くにいた漁船などとともに救助に駆けつけましたが、通報からおよそ20分後の午後5時すぎには、船体のほぼすべてが海に沈んだ状態で、海で浮きにつかまりながら救助を待つ人もいたということです。
海の中で10分ほど救助を待っていた児童もいたということです
旅客船が沈没した与島の周辺は岩場や浅瀬が多く、これまでにも船が座礁する事故が相次いでいます。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20201120/8030008540.html
11月19日22時49分に産経新聞westからは、乗組員の指示で救命胴衣を着用し、船長の指示で海に飛び込み船から離れたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
クルーズ船が坂出港に向かっていた際、「ドン」という衝撃音があった。
白川校長は、動揺する児童に「大丈夫」と声を掛けた。
乗組員が救命胴衣を着用するよう指示。
全員が着用した直後、海水が足元に迫ってきた。
船が沈む中、児童とともにデッキに移動。
さらに船の上に上らせ、救助を待った。
「飛び込んで船から離れるように」という船長の指示で、ほとんどの児童と教員が海に飛び込んだ。
校長は10人程度の児童と船上に残ったという。
救助の船が到着するまでの間に周囲は薄暗くなった。
救助作業中、漁船や貨物船が照明を当てた。
パニック状態になる児童もいたが、互いに声を掛け、救助を待ったという。
救助された児童も、船上から声援を送り勇気づけたという。
https://www.sankei.com/west/news/201119/wst2011190041-n1.html
11月20日18時54分にYAHOOニュース(岡山放送)からは、中には海に飛び込めない子もいた、船長はドアを閉めて空気を保つようにしていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「沈没時に吸い込まれる。船長の指示で大丈夫な子は飛び込んで船から離れなさい。ブイにしがみつきながら」
中には飛び込めない子供もいて、船体が沈み海面にわずかにのぞいた屋根の上で救助を待ちました。 (川津小学校 白川校長)
「船が下がっていく。力を合わせ(子供たちを)天井に上げ救助を待った。船長が出入り口のドア閉めて空気を保つようしていた。天井でも腰までつかる」
互いに声を掛け合いながら救助を待った子供たち。
11月19日の香川は統計開始以来最も遅い夏日となるなど、季節外れの暖かさも幸いしました。 (川津小学校 白川校長)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e7d2cc1c0e8a52892081702267e283731df15842
11月19日20時34分にNHK香川からは、沈没した船を運用する会社は定期便がない島への渡航などを主な業務にしているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
学校によりますと、児童らは19日午後3時ごろに旅客船に乗って高松港を出て、午後5時ごろまで高松市沖から坂出市沖をクルージングする予定だったということです。
事故があった船は高松市の「株式会社T海上タクシー」が運航する旅客船、「Shrimp of Art」19トンで、海に沈没したということです。
ホームページなどによりますと、この会社は定期便がない島への、旅客船を使った渡航などを主な業務としています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20201119/8030008534.html
11月20日11時52分にNHK香川からは、現場で救出活動にあたった漁師の体験談が、下記趣旨でネット配信されていた。
事故では、近くの岩黒島に住む漁業者が漁船4隻を出して児童らの救助にあたりました。
旅客船が沈没した海域の北にある岩黒島に住む与島漁協の組合員、中村さん(男性、69歳)も、先に漁船を出して救助にあたっていた息子から連絡を受け、自分の漁船を出して救助にあたりました。
中村さんが到着した際は、児童10人ほどが救命用の浮きにつかまって海に浮いていたということで、中村さんは「現場に到着したときは、こんなことが実際におこるのかと呆然としました」と話しています。
また、「下にいた児童が別の児童を船に押し上げるなどしていて、『われ先に』に救助を求める様子は見られなかった。落ち着いていて立派だと思った。全員が救助されたときにはほっとし、やれやれというような感じでした」と当時を振り返っていました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20201120/8030008544.html
11月20日12時26分にNHK香川からは、満潮3時間後ゆえ海中に隠れていた岩場に衝突したらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船長が海上保安部の調べに対し、衝撃音がして船が浸水する直前に瀬戸大橋のたもとにある岩場のある海域を航行したと説明していることや、現場周辺の岩に何かですったような痕があることが捜査関係者への取材で新たに分かりました。
事故当時、与島周辺は満潮時刻の3時間後だったため、岩場は海の中に隠れていた可能性があるということで、海上保安部は、船が岩に衝突した疑いもあるとみて、事故のいきさつを調べています。
香川県、岡山県の間の海域を行き来する船が安全に航行できるよう、情報提供や管制を行っている海上保安庁の備讃瀬戸海上交通センターによりますと、沈没船が航行していたとみられる与島と岩黒島の間の海域は岩場が多いことから、全長50メートル以上の船は法律で航行が禁じられているということです。
19日の事故で沈没した旅客船は全長が11メートル余りだったため、自由に航行できますが、海上保安部はこうした船にも、この海域を航行する場合は見張りを徹底し、海図をみて十分安全を確保するよう呼びかけていたということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20201120/8030008543.html
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
11月20日17時24分にNHK香川からは、全員助かったのは稀有なことなどという識者のコメントが下記趣旨でネット配信されていた。
瀬戸内海の船の安全対策に詳しい、松山市に住む海事補佐人の鈴木邦裕さんは、今回の事故について、「全員助かったというのは非常に稀有なことだと思う。本当だったら犠牲者が出てもおかしくない重大事故だ」と述べ、旅客船の運航会社などに安全対策を徹底してほしいと呼びかけました。
鈴木さんは、事故が起きた海域について、島と島との間隔が比較的狭い場所があるほか、暗礁が多いという特徴があるものの、事前に安全に通行できる航路を定めておけば事故は起きにくいとして、「前方の見張りを怠らず、事前に定めたとおりの航路を走ることが大切で、どういう進路で走っていくのかを考えてやれば暗礁への乗り上げを防げる」と指摘しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20201120/8030008552.html
11月21日10時36分にNHK香川からは、船長は逮捕され翌日に釈放された、現場海域を航行するのは初めてだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高松海上保安部は、岩場の存在などを十分に確認せずに旅客船を航行させ、浅瀬に乗り上げて沈没させたとして、高松市に住む45歳の船長を業務上過失往来危険の疑いで20日逮捕しましたが、逃亡や証拠隠滅のおそれがないなどとして21日午後に釈放しました。
釈放された船長はNHKなどの取材に対し、「あのコースは初めて通った」と話し、現場周辺の海域を船で航行したことは初めてだったことを明かしました。
海上保安部は、船長が現場周辺に岩場が多いことを十分認識しないまま船を航行していたとみて、今後、任意で捜査を続けるとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20201122/8030008565.html
(2020年12月19日 修正1 ;追記)
2020年12月18日18時1分にYAHOOニュース(東方新報)からは、中国では日本の体育教育を見習うべきという視点で報じられている、全員が助かったのは船長が低体温症を防ぐためギリギリまでデッキにいさせたことなども要因など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月に小学生52人が乗った修学旅行中の小型船が瀬戸内海で沈没し、全員が救助されたニュースに、中国で「中国の子どもなら泳げないし、団体行動が取れない」、「日本の体育教育を見習うべきだ」と驚きの声が上がっている。
事故は先月19日夕方、香川県県坂出市の沖合で発生。
小型船に漂流物が衝突して浸水した。
児童は船長たちの指示に従いライフジャケットを着用し、デッキに移動。
船の大半が沈むと海に飛び込んで浮きにつかまって救助を待ち、近くにいた漁船や高松海上保安部の巡視艇に救助された。
最初に駆けつけた漁船が児童に「順番に泳いでこい」と呼びかけた際、児童は互いに押しのけることなく、漁船まで泳いでたどりついた。
中国共産党の若手エリート組織・中国共産主義青年団の機関紙「中国青年報(China Youth Daily)」は今月8日、「日本で起きた沈没事故は半月たった今でも中国で注目を集めている」と報道。
「児童たちは海に飛び込んだ後、応援し合い、助け合いながら救助を待った」と称賛し、中国の子どもが同じ行動を取れるかどうか疑問を投げかけた。
「冷たい海水の中で長く持ちこたえる身体能力があるか、突然の事態に自分で自分の命を守る訓練が行われているか。いずれも教育と切り離すことはできない」と指摘している。
他の中国メディアも、日本の体育教育について取り上げている。
まずは「日本の小学校はプールの設置が法律で義務付けられており、世界でも珍しく、全児童が小さい頃から水泳の授業を受けている」という指摘が目立つ。
また、「日本の体育の授業は体力の強化だけが目的ではない。クラスを紅白に分けてチーム一丸となって勝利を目指すように、団体行動を学ぶことも目的としている」、「運動会でも綱引きや二人三脚など、協調性を重視する種目が多い」と分析している。
また、今回の沈没事故で、泳ぎが得意な児童が仲間たちに「僕が先に飛び込むから、君もがんばって」と呼びかけたことにも振れ、互いを助け合う精神が全員救助の結果につながったと、たたえている。
「日本では幼稚園から器械体操をしたり、はだしで走ったり基礎訓練を積んでいる。中国の幼稚園では見られない」と、小学校入学以前から日中で差があることも指摘されている。
実は、今回の沈没事故で犠牲者がゼロだったことには、さまざまな要因がある。
ライフジャケットが全員分用意されていたこと(小型船で乗員が12歳未満の場合、法的には2人に1着でも可)。
海中で低体温症になることを心配した船長らがすぐに児童を海に飛び込ませず、船が沈む寸前までデッキに移動させたこと。
また、海水温が約20度で、命に影響を与える目安の17度よりは高かったこと。
専門家は、これらの要因も大きいと指摘している。
それでも、この事故を巡り、中国で日本の体育教育や児童の体力、協調性が着目されるのは、中国の子どもの現状に問題があると感じているからだ。
中国では、この10年間で肥満の子どもは3倍に増え、約5300万人が肥満児とされる。
12歳から18歳までの子どものうち約2%が糖尿病に悩まされているというデータもある。
中国の子どもはほとんどが一人っ子で、日本以上に受験勉強が熾烈(しれつ)なため、小学生から猛勉強を余儀なくされている。
親や教師は運動を軽視する傾向があり、子どもたちは体を動かしながら団体行動や協調性を学ぶ機会が少ないのが実情だ。
中国の子どもをめぐる現状を見つめ直す機会として、日本の今回の事故に注目が集まっているといえる。
(c)東方新報/AFPBB News
※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/04df45f1e0fbd100bc2ac412b0daa7d98013491e
(2020年12月29日 修正2 ;追記)
2020年12月28日5時30分に朝日新聞からは、船長は船の5分遅れを取り戻そうとして近道したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船長の男性(45)が高松海上保安部の調べに、船の遅れを取り戻そうと近道をし、暗礁になっていた岩にぶつかったと説明していることが、捜査関係者への取材でわかった。
現場は海図に示されており、高松海保は水路の確認が不十分だったとみて、業務上過失往来危険の疑いで任意の捜査を続けている。
捜査関係者らによると、船は午後3時半ごろ、高松港(高松市)を出港。
瀬戸大橋付近を遊覧した後、坂出港(坂出市)をめざし、瀬戸大橋のうち岩黒島と羽佐島の間にかかる「岩黒島橋」(790メートル)の下を西から東へ通過しようとした。
船長は当時の状況について、「予定から5分ほど遅れていた」と説明。
いつもは岩黒島寄りの幅の広い橋脚間(420メートル)を通るが、近道をしようと、これまでに通ったことのない手前の羽佐島寄りの橋脚間(185メートル)に向かい、岩にぶつかったと話したという。
海保によると、現場の備讃(びさん)瀬戸海域を含む沿岸部では、全長50メートル以上の船舶は決まった航路があるが、「Shrimp」は全長約12メートルで対象外だった。
ただ、現場海域をよく知る岩黒島の漁師は、「あそこに岩があることは地元の漁師ならみんな知っているし、海図にもある。羽佐島寄りの橋脚間を通る場合でも、岩の近くを通ることは絶対にない」と話している。
沈没した船は今月7~9日に引き揚げられ、高松海保が船体の損傷状況などを調べている。
https://digital.asahi.com/articles/ASNDW7GPCNDQPTLC00G.html?pn=5
(2021年2月11日 修正3 ;追記)
2021年2月10日10時17分にYAHOOニュース(瀬戸内海放送)からは、元船長が書類送検された、船の中で話題になった景色を見せようと事故の1分前にルートを変更したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
坂出海上保安署は当時船を操縦していた元船長を書類送検しました。
坂出海上保安署は事故の翌日に元船長を逮捕。
次の日に釈放し、任意で捜査を進めていました。
坂出海上保安署によると、船は当初、瀬戸大橋の橋脚がある櫃石島(ひついしじま)の北側を通る予定でした。
ところが、船の中で岩黒島の東沿岸にある建物の話になり、元船長はその景色を見せてあげようと、事故の1分前に独断でルートを変更したということです。
海上保安署では、その際、元船長がGPSなどで航路を確認せず、他の船の存在や暗礁などの障害物がないと思い込んだのが事故の原因とみています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/935c2eae4bbe69345c5196cfaf3406f5ddd120e4
(2021年2月27日 修正4 ;追記)
2021年2月26日14時57分にNHK香川からは、安全管理規程を守っていなかった会社に対し安全確保命令が出たという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
四国運輸局によりますと、船を運航していた高松市の「T海上タクシー」は、国に届け出ている安全管理規程で
▼客を船に乗せる際はあらかじめ運航計画を作り
▼社員に対する安全教育を行う
としていましたが、事故の前には運航計画を作らず、関係する法令についての教育も定期的に実施していなかったということです。
このため、四国運輸局は26日、会社に対して輸送の安全確保を命じる行政処分を行いました。
具体的には、船長に対して
▼船の性能や航路の特徴を踏まえた運航計画を作り
▼船の運航中はGPS機能などを活用して水路の状況を把握する
よう命じ、社長に対しては
▼安全教育を定期的に行い
▼事故を想定した訓練も年に1回以上行うこと
などを命じたということです。
会社はNHKの取材に対し、「命令を真摯に受け止め、再発防止に努めたい」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20210226/8030009372.html
(2021年3月25日 修正5 ;追記)
2021年3月24日12時3分にNHK香川からは、船長に罰金命令が出たという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高松簡易裁判所は今月18日付けで船長に罰金40万円の略式命令を出しました。
罰金はまだ納付されていないということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/20210324/8030009604.html
2020年8月24日14時9分にNHK新潟から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
24日午前5時ごろ、新潟市のターミナルに停泊していた佐渡汽船のフェリー「おけさ丸」の甲板から、作業員が岸壁に転落したと消防などに通報がありました。
転落したのは佐渡汽船の関連会社「佐渡汽船シップマネジメント」に所属する24歳の男性作業員で、新潟海上保安部によりますと、病院に運ばれましたが、頭を強く打って意識不明の状態だということです。
男性は転落する直前にフェリーの4階部分にいたのを同僚が目撃しているということです。
新潟海上保安部は、関係者から話を聞くなどして当時の状況を詳しく調べています。
佐渡汽船によりますと、船の運航に影響は出ていないということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20200824/1030013373.html
8月24日19時41分にYAHOOニュース(テレビ新潟)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟海上保安部などによると24日午前5時前、新潟西港に着岸していた佐渡汽船のカーフェリー「おけさ丸」の甲板から作業員が岸壁に転落したと通報があった。
転落したのは佐渡汽船の関連会社「佐渡汽船シップマネジメント」の社員で、佐渡市に住む24歳の男性作業員だ。
男性作業員は市内の病院に搬送されたが、頭がい骨やろっ骨を折るなどして意識はないという。
当時、船では出港前の準備作業が行われていて、男性作業員がヘルメットを持って4階に向かったところが目撃されている。
また、別の作業員が「物が落ちる音がして振り向いたら人が倒れていた」と話しているが、どこから転落したかはわかっていないという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bdfa55625d6c747202771b46621429b683cf439f
(ブログ者コメント)
以下は、テレビ新潟映像の2コマ。
2019年4月14日に掲載した第2報がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第3報修正5として掲載します。
第2報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9538/
(2020年4月4日 修正5 ;追記)
2020年3月26日12時3分にNHK新潟から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、新潟県の佐渡沖でジェット高速船がくじらの可能性がある物体に衝突し、乗客100人余りがけがをした事故で、運輸安全委員会は報告書をまとめました。
報告書によりますと、船長が衝突した物体を目で確認して、回避する操作を始めたときの船からの距離はおよそ30メートルで、衝突の1.4秒前だったと推定されるということです。
その上で、物体が海の中にあったため船長は近づくまで確認できず、この距離では事故を避けるのは難しかったと考えられると結論づけました。
この事故では、38人が腰の骨を折る大けがをしましたが、物体が衝突した場所が船の後部の「水中翼」で、船尾が海面に打ち付けられたため乗客が強い衝撃を受け、多くの人の大けがにつながったとみられるとしています。
このため、運輸安全委員会は、衝突事故が起きても乗客のけがを減らせる対策が必要だとして、国土交通省に勧告を行い、ジェット高速船の所有者に船の座席を衝撃を吸収しやすいシートにするなどの対策を指導するよう求めました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20200326/1030011657.html
3月26日10時0分に日本経済新聞からは、高齢者には客室前方に座ってもらう配慮が必要など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故では、後ろ側の翼に物体がぶつかって船尾が海面にたたき付けられた衝撃で、後方座席の乗客を中心に腰の骨折38人など、けが人は計109人に上った。
報告書によると、現場付近ではクジラの目撃が3~5月に多く、同社はハザードマップの作成や減速して航行する区間を設定。
クジラが嫌がる音を出す装置を搭載し、事故当時も使っていたが、防げなかった。
安全委は、ジェットフォイルでは、前方に比べ後ろ側の翼に物体がぶつかった場合により衝撃が強くなるとして、十分な衝撃吸収機能がある座席、クッションの配備や、高齢者には客室前方に座ってもらう配慮が必要だと指摘。
国土交通相にも対策の徹底を勧告した。
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGXMZO57242780W0A320C2CE0000&scode=9176
3月26日10時16分に時事ドットコムからは、改良型クッションなら衝撃を2割ほど軽減できるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
客室は1、2階にあり、後方に座っていた乗客が重傷を負うケースが多かった。
運輸安全委は、衝突の弾みで船体後部が持ち上げられた後、海面にぶつかったことで大きな衝撃を受けたとみている。
座席のクッションが改良型なら、衝撃は2割程度軽減されると指摘。
衝撃を吸収する座席やクッションの導入について、再発防止策として事業者に指導するよう、国土交通相に勧告した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032600391&g=soc
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の4コマ。
2019年12月3日19時51分にYAHOOニュース(南日本放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
指宿根占航路では2日、「高速船なんきゅう10号」の船体が波で大きく揺らされ、乗客9人がけがをしました。
国の運輸安全委員会は「重大な船舶事故」と認定して調査官2人を鹿児島に派遣し、事故原因の調査を始めました。
指宿海上保安署によりますと、2日午後4時半ごろ、南大隅町根占港発・指宿港行きの「高速船なんきゅう10号」が波を受け、大きく揺れました。
このため、乗客55人のうち男女9人が転倒するなどしてけがをし、このうち60代から70代の女性、少なくとも4人が、腰の骨を折るなどの大けがをしました。
2日夜、事故の後に撮影された船内の様子です。
カーテンの一部が外れていて、船が揺れた際の衝撃によるとみられます。
事故から一夜明けた3日も、海保による船体の調査が行われました。
一方、国の運輸安全委員会は、今回の事故を「重大な船舶事故」と認定。
事故調査官2人が午後に鹿児島入りし、船の運航会社での調査を始めました。
なんきゅう10号は、全長17メートル、総トン数19トンの小型船で、南大隅町根占港と指宿港を20分で結びます。
事故が起きたのは、根占港を出て5分後、港から300メートルほど進んだ場所でした。
海保では、当時、海上の波は高さが最大で3メートルでうねりを伴っていたとみています。
一方、運航会社によりますと、船長の男性は「波は高さ1メートルくらいで、運航基準ギリギリだが、大丈夫だと思った」と話しているということです。
専門家は、仮に低い波であっても、向かい波を乗り越える際に船体が大きく上下するポーポイジングと呼ばれる現象が起こる可能性があると指摘します。
小型船には座席のベルトの設置義務がないため、今回の船ではひじ掛けが設置されているだけでした。
N社は、「ベルトの設置や運航判断を厳しくすることも含めて検討し、再発防止に努めたい」としています。
運輸安全委員会は4日以降、船長ら関係者への聞き取りなどを行う予定で、指宿海上保安署も引き続き、詳しい事故原因を調べています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191203-00039456-mbcnewsv-l46
12月2日22時38分に朝日新聞からは、うねりを伴う3mの波を受け船体が大きく揺れたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海上保安庁指宿海上保安署によると、2日午後4時25分ごろ、鹿児島県の錦江湾で高速船なんきゅう10号が高波を受けて船体が大きく揺れ、乗客5人が腰や首を圧迫骨折するなど計9人が負傷したという。
署によると、船は同県南大隅町の根占港を出港した約5分後、湾の沖合約300メートル付近でうねりを伴う約3メートルの波を受けたという。
いずれも同県指宿市の70代女性の4人が腰椎(ようつい)を、愛知県の60代女性が頸椎(けいつい)を、それぞれ圧迫骨折したほか、ほかの乗客4人も軽い打撲を負った。
船にシートベルトの設置義務はないという。
船は指宿港に向かっていた。
当時、周辺海域には強風・波浪注意報が出ていたという。
https://www.asahi.com/articles/ASMD27484MD2TLTB00V.html
12月3日21時4分に日テレNEWS24からは、船体は海面に強く落下したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海保の聞き取りによると、船長は「根占港を出てすぐに高波を越えて海面に強く落下した」と話している。
http://www.news24.jp/nnn/news16344298.html
(ブログ者コメント)
以下は、南日本放送の映像の10コマ。
ポーポイジング現象解説図からすると、一旦、船体が海面に浮きあがり、そのまま落下した可能性も考えられる。
(2020年2月21日 修正1 ;追記)
2020年2月19日17時43分にNHK鹿児島からは、運航基準を超える強い風が吹いていたのに船長が経験則で出港判断したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州運輸局は、高速船の運航会社の安全管理に問題があったとして、適切な対応を行うよう命令書を交付しました。
この事故は、去年12月2日の午後4時すぎ、南大隅町の根占港を出港した「高速船なんきゅう10号」が、およそ300メートル沖で高波を受けて大きく揺れ、14人がけがをしたものです。
この事故を受けて九州運輸局は、安全管理に問題がなかったかなどを調べるため、特別監査を実施していました。
19日は九州運輸局が、「高速船なんきゅう10号」の運航会社のN社に対し、安全な運航の徹底を求めて命令書を交付しました。
九州運輸局によりますと、根占港から船が出港する際、会社側が定めていた運航中止基準を超える強い風が吹いていたにもかかわらず、船長の経験則で出港を判断していたことがわかりました。
このため九州運輸局は、運航会社に対して、運航中止基準に達するおそれがある場合は、気象情報や波の状況などをもとに、運航管理者や船長で協議を行うよう求めています。
また、協議した内容を記録として残すことや、社内の安全教育を実施することも求めています。
命令書の交付を受けてN社の今村社長は、「これまでの甘かった対応を反省しています。事故を2度と起こさないよう、安全管理に努めていきたいです」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20200219/5050009381.html
2月19日19時23分に南日本放送からは、日ごろから運航管理者と船長は気象情報を共有していなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州運輸局の調査で、当時、港では運航中止の基準である風速15メートル以上の風が吹いていたにも関わらず、船長の判断で出港していたことが分かりました。
また、船を運航するN社では、日ごろから、運航管理者と船長が気象に関する情報を共有していなかったことも明らかになりました。
九州運輸局はN社に対し、19日付で「輸送の安全確保に関する命令書」を出し、再発防止策を文書で提出するよう求めました。
なお、指宿海上保安署は事故原因を調べるとともに、船長の男性について業務上過失傷害の疑いも視野に捜査しています。
https://www.mbc.co.jp/news/mbc_news.php?ibocd=2020021900040633
(2020年8月21日 修正2 ;追記)
2020年8月20日20時15分にYAHOOニュース(鹿児島読売テレビ)からは、会社は安全管理を怠っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
指宿海上保安署は20日、船長と運航会社の代表を業務上過失傷害の疑いなどで書類送検した。
船長は、「悪天候でも運航できるだろうと思った」と容疑を認めているという。
また代表も、「船長に一任して安全管理を怠っていた」と容疑を認めている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/edff0f088399b7b4d41e846590ee17f66acc8942
8月20日17時10分にYAHOOニュース(鹿児島放送)からは、会社は天候などを船長に伝えず運航を一任していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
指宿海上保安署によりますと、運航する「なんきゅうドック」は風速10メートル未満で運航すると国に届け出ていましたが、当時、それを超える風速のなかで運航したとして、船長の男性を業務上過失傷害などの疑いで書類送検しました。
また、「なんきゅうドック」も天候などを船長に伝えず運航を一任していたとして、海上運送法違反の疑いで書類送検されていて、船長とともに容疑を認めているということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/61ded1cdfe7d1ecb1bb5271b5e8aae751c32299e
(2020年11月28日 修正3 ;追記)
2020年11月26日19時46分に鹿児島テレビから、船長は運航中止条件を誤って認識していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
国の運輸安全委員会は、この事故を「重大事故」と認定し、調査を続けていましたが、26日、事故調査報告書を公表しました。
報告書では、出港時に、港の中の風速が10メートル以上か、あるいは波の高さが0.5メートル以上なら、出港を中止するよう定めた社内基準について触れた上で、「風速が会社の定める出航の中止条件の基準に達していたが、船長は風速、波の高さともに基準を超えた時に出航を中止すべきという認識だった」と、船長が出港の中止条件を誤って認識していたことを指摘しました。
その上で、「出航の可否判断が船長に一任されていたこと」が事故につながった可能性があるとしました。
報告書では再発防止策として、出港を中止する条件などについて船長や乗組員に定期的に指導するよう勧告しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7bcb1c2c8659103ababfc6d798c56fdb193a41f2
11月26日10時0分に朝日新聞からは、事故当時の速度12ノットを8ノットにまで減速していれば乗客が負傷する可能性は低かったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書などによると、旅客船は根占港を出港した4分後、北北西に約12ノット(時速約22キロ)で航行中に、高さ約1・5~2メートルの高波を受けた。
運航会社では、港内で風速毎秒10メートル以上または波高が0・5メートル以上ある時は運航を中止するとの安全管理規定を設定していた。
出港時の風速は平均で毎秒10メートルあったが、船長は波高が基準を満たしていれば出港が可能と勘違いしていたという。
また、運輸安全委の解析によれば、もしこの船が8ノット(時速約15キロ)まで減速していれば、乗客がけがをする可能性は低かったという。
安全委は、波の影響で船が揺れる時は十分減速することや、出発の判断の基準を船長に守らせることを運航業者に指導するよう、国土交通相に勧告した。
https://www.asahi.com/articles/ASNCV31LNNCSUTIL02V.html
2019年8月26日8時15分にNHK千葉から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし5月、千葉県銚子市の沖合で貨物船どうしが衝突し、3人が死亡、1人が行方不明になっている事故で、このうち2人は船の上部の操だ室に救命胴衣がなく、下の階に取りに向かって逃げ遅れた可能性があることが、捜査関係者などへの取材でわかった。
日本の沿岸を主に航行する船は、操だ室など勤務場所への救命胴衣の整備が義務づけられておらず、専門家は対応が必要だと指摘している。
3か月前の5月26日、千葉県銚子市の沖合で、いずれも貨物船の「千勝丸(499トン)」と「すみほう丸(499トン)」が衝突した事故では、千勝丸が沈没して、乗っていた5人のうち3人が死亡、1人が行方不明となり、海保が事故の原因を調べている。
その後の調べで、このうち2人は「千勝丸」の上部にある操だ室にいたが、救命胴衣がなかったため、下の階の保管場所に取りに向かい逃げ遅れた可能性があることが、捜査関係者などへの取材でわかった。
国交省によると、千勝丸のような「内航船」と呼ばれる日本の沿岸を主に航行する船は、国際航海をする旅客船などと違い、操だ室など乗組員の勤務場所への救命胴衣の整備が法律などで義務づけられていないという。
【救命胴衣の備え付けは】
日本の領海を航行する船や日本船籍の船については、船舶安全法などで救命胴衣の数などが定められている。
国交省によると、船の種類ごとに、乗る人の数に応じた救命胴衣を備え付けることが求められていることに加え、国際航海をする旅客船と500トン以上の貨物船などは、国際的な基準にあわせて、操だ室など乗組員の勤務する場所に救命胴衣を備え付けることが義務づけられている。
一方、日本の沿岸を主に航行する「内航船」や、国際航海をするものの500トン未満の貨物船などは、乗組員の勤務する場所に救命胴衣を備え付けることは義務づけられていないという。
国交省によると、義務づけられていない理由として、こうした船は事故が起きても大型の船に比べて救命胴衣の保管場所に比較的、戻りやすいことや、沿岸部を航行することが多く、早い段階で他の船からの救助が期待できることなどが挙げられているという。
船の事故に詳しい東京海洋大学の國枝佳明教授は、「今回の事故は、救命胴衣が操だ室にあれば状況が変わっていたのではないかと思う。法律で義務づけるのがベストだが、事故を受けて、まずは、それぞれの船で乗組員が勤務する場所に救命胴衣を備え付ける対応が必要だ」と指摘している。
【運航会社が対応検討】
事故を受けて、沈没した「千勝丸」をチャーターしていた運航会社や関係する複数の船主は、救命胴衣を追加で整備する対応を検討している。
具体的には、今回の事故で、衝突後に乗組員が救命胴衣を取りに向かった直後に船が傾きだしたことから、乗組員が勤務する操だ室にも3つから5つの救命胴衣を備え付けることを検討しているという。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20190826/1080006844.html
2019年7月5日18時17分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
兵庫県姫路市沖で2016年、貨物船と石材運搬船が衝突して2人が死亡した事故で、業務上過失致死などの罪に問われた貨物船船長の冨田被告(58)に対し、神戸地裁姫路支部は5日、禁錮3年執行猶予5年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した。
伊藤裁判官は、冨田被告が衝突直前にスマートフォンを操作していたと認定し、事故との因果関係を指摘した。
判決によると、冨田被告は16年7月15日、貨物船を操船中、前方500mの石材運搬船に気付くのが遅れ、回避しようとして誤って操舵レバーの電源を切り、舵がきかない状態で衝突。
運搬船は転覆し、船長(当時50)と機関士(同28)が死亡した。
伊藤裁判官は、衝突直前に冨田被告がスマホでニュースを見たり、パズルゲームで遊んだりしていたと認定。
「(スマホ操作は)限られた視界に極めて高い集中力を生じさせ、注意力を奪う。特にゲームは画面に没頭しやすい」とし、前方の船に気付くのが遅れる原因になったと指摘した。
一方、検察側の起訴内容は、スマホの操作をやめた後の回避行動の過失を問うており、スマホ操作を量刑の上で過度には重視できないとも言及し、刑を猶予した。
亡くなった機関士の母親は、法廷で判決を聞いた後、「法律のことはよくわかりませんが、亡くなった息子は帰ってきません」と話した。
出典
『ながらスマホで死亡事故、船長に有罪判決 地裁姫路支部』
https://www.asahi.com/articles/ASM754Q19M75PIHB00H.html
※事故当時の報道は下記参照。
(2016年7月15日19時30分 産経フォト)
15日午前11時45分ごろ、兵庫県姫路市家島町の上島の西約4kmの瀬戸内海で、航行中の貨物船から「船が衝突して、1隻が転覆している」と118番があった。
姫路海保によると、神戸市東灘区の会社が所有する貨物船、第8大和丸(499トン)が転覆し、船長の男性(50)=徳島県松茂町=が病院に運ばれたが死亡、機関士の男性(28)=同町=が心肺停止状態で船内から見つかり、死亡が確認された。
男性乗組員1人(63)=徳島県鳴門市=が軽傷を負った。
もう1隻は、愛媛県今治市の海運業者が所有する貨物船豊昌丸(499トン)。
5人が乗船していたが、けが人はなく、事故後に自力で姫路港に入った。
当時、現場付近の海域は晴れ、波の高さは約50cmだった。
出典
『貨物船衝突し船員2人死亡 兵庫・姫路沖、1隻転覆』
https://www.sankei.com/photo/story/news/160715/sty1607150016-n1.html
2019年3月17日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
(1/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9452/
(2/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9463/
(2019年4月14日 修正2 ;追記)
2019年4月8日20時30分に新潟日報から、衝突した可能性のあるクジラの死骸が見つかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟県佐渡市片野尾沖約40mの浅瀬で8日までに、クジラとみられる生物の死骸が見つかった。
現場から約5km離れた海域では3月に佐渡汽船のジェットフォイルが水中浮遊物と衝突する事故を起こしており、この生物とぶつかった可能性もある。
佐渡海保は、今後、死骸が海岸に漂着すれば調査するとしている。
同海保によると、6日昼ごろ、住民から「白っぽい物が浮いている」と通報を受け、約3~4mの死骸を発見。
引き揚げを試みたが岩が多く、船が接近できずに断念した。
新潟市水族館マリンピア日本海によると、写真から死骸は小型のクジラとみられる。
同館の野村展示課長は、「腐敗の状況から、死んだのは事故があった3月上旬の可能性もあるが、調べてみないと分からない」と話す。
発見現場近くに住む漁師の男性(68)は、「この辺ではイルカはいるが、クジラはまず見ない。潮の流れからすると、事故に遭った死骸が流れ着いてもおかしくない」と話した。
出典
『佐渡で海洋生物の死骸漂着 ジェットフォイルと衝突の個体か』
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20190408462068.html
4月9日11時57分にNHK新潟からは、安全対策の一つとしてクッション性の高いシートに順次取り換えていくなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月9日、新潟港から佐渡の両津港に向かっていたジェット高速船「ぎんが」は海洋生物とみられる物体と衝突して、80人が重軽傷を負った。
衝突事故から1か月の9日、運営会社の佐渡汽船の尾崎社長らは県庁を訪れ、花角知事に「多数の負傷者を出して申しわけございません」と陳謝した。
このあと、花角知事がけが人の状況などをたずねたのに対し、入院している人は当初の29人から10人となり、回復に向かっているなどと答えた。
また、安全対策について、会社で独自の調査委員会を立ちあげたほか、船の減速する区間を拡大して海上の監視を強化したことなどを報告した。
これに対し花角知事は、「できることから少しでも安全性の向上につながるような対策を講じて頂きたい」と話していた。
面会のあと尾崎社長は、安全対策として、今後、高速船の座席シートを、より衝撃を吸収しやすいクッション性の高いシートに順次取り替えていくことを明らかにした。
尾崎社長は、「事故からちょうど1か月経ちますが、ジェット高速船が1隻体制になって、去年に比べて4000人ほど乗客が減っています。最盛期の夏場のダイヤには影響はないと思っています」と話していた。
出典
『佐渡汽船社長が安全対策など報告』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20190409/1030007392.html
4月11日19時55分に新潟日報からは、見つかったクジラと衝突事故との関連は不明だったという下記趣旨の記事が、写真付きでネット配信されていた。
佐渡海保は11日、新潟県佐渡市片野尾の浅瀬で6日に見つかった海洋生物の死骸を引き揚げて調査し、クジラと特定した。
頭部の欠損や体の傷が確認されたが、3月に付近で起きた佐渡汽船のジェットフォイル衝突事故との関連は明らかにならなかった。
この日は、朝からクレーン車を使って波打ち際から死骸を引き揚げ、同海保署員が傷口の大きさを計測したり、佐渡市が体の一部を採取したりした。
同海保によると、死骸は頭部を除き、長さ約4.2m。
複数箇所に外傷があったが腐敗が進み、ジェットフォイルの衝突によるものかは分からないという。
新潟市水族館マリンピア日本海などによると、死骸は日本海に生息するオウギハクジラと推測される。
頭部の欠損について野村展示課長は、「自然に死んで頭だけがきれいになくなるのは考えにくい。何らかの外傷があったのではないか」と話した。
出典
『海洋生物の死骸はクジラと特定 佐渡海保が引き揚げ、Jフォイル事故との関連は不明』
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20190411462679.html
(2019年4月20日 修正3 ;追記)
2019年4月18日22時16分に産経新聞から、衝撃軽減用新型クッションが公開されたという下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
佐渡汽船は18日、新潟市中央区の自社ドックで、事故があった船「ぎんが」の外観と、衝撃軽減のために座席に取り付ける新型クッションを公開した。
海保は海洋生物とみられる物体と衝突する事故が起きた際、船体の下から上に強い力が加わったとみている。
佐渡汽船によると、新型クッションは従来の製品と比べ、垂直方向の衝撃を約25%軽減できるという。
ぎんがを含む同社の高速船3隻の全席で交換を進め、シートベルトの改良も検討する。
出典
『衝突事故の高速船で安全対策を公開 佐渡汽船』
https://www.sankei.com/affairs/news/190418/afr1904180035-n1.html
(2019年12月15日 修正4 ;追記)
2019年12月14日11時7分に新潟日報から、過失は認められないとの意見付きで船長らが書類送検された、3点式ベルトの取り付けは船体の強度上困難など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
佐渡海上保安署は13日、同船の男性船長(41)と運航管理責任者の男性(54)について、「業務上の過失は認められない」と意見を付して新潟地検に書類送付した。
同保安署は、3月9日の事故後、乗客からの聴取や、船に設置したカメラの映像をもとに、船長らについて業務上過失往来危険と業務上過失傷害を視野に捜査した。
その結果、船は時速71キロで航行し、船長が船の約10メートル先に白っぽい物体を発見したのは衝突の1・7秒前だったことが判明した。
船は即座にかじを切ったが、衝突。
これに対し、「人間の反射速度と船の運動性能から、到底回避できるものではない」(永田署長)と判断した。
乗客にシートベルトの着用を促すアナウンスをしたり、クジラなどに船の接近を知らせる水中スピーカーが作動したりしていたことから、運航管理責任者の男性にも過失はないとした。
佐渡汽船の土屋総務部長は、「まだ通院している方もいるので、誠意を持って対応したい。再発防止と安全運航に努める」と話した。
同保安署は、最終的に事故の負傷者は85人、うち重傷者は51人だったと発表した。「
精密検査の結果、骨折などが新たに判明した乗客がいた」という。
【予防の切り札なく、安全対策を模索】
佐渡汽船のジェットフォイルの衝突事故を巡り、佐渡海上保安署の阿保次長は、推測としながら、「ぎりぎりの速度まで減速していても、避けられなかったと思う」と説明した。
海洋生物との衝突事故を防ぐ難しさを踏まえ、佐渡汽船には、乗客の被害軽減策など継続的な安全対策が求められる。
3月の事故では、浮遊物は直前まで海面上に確認できなかった。
水中スピーカーは作動していたが、「研究中の段階の技術」で、現段階では事故予防の切り札にはなり得ないという。
同社は事故以降、通常の時速74キロより6キロ遅く航行する減速区間を拡大。
2020年の新ダイヤは、その前提で運航時間を以前より2分長い設定とした。
航行中の見張りも強化した。
被害を抑える対策も進めている。
衝撃吸収性の高い座席への交換作業などは、3隻のジェットフォイル全てで終えた。
ただ、腰だけでなく肩まで押さえる、より安全な3点式シートベルトの導入は、船体を含めた補強が必要という。
同社の土屋総務部長は、「船の更新時など、長期的に検討する」と説明。
「事故の可能性をゼロにはできない前提で、考えられる限りの対応をしていきたい」としている。
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20191214513269.html
(2020年7月1日 修正5 ;追記)
2020年6月30日17時53分にYAHOOニュース(新潟放送)からは、船長らは不起訴になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
佐渡海上保安署は当時の船長と運航管理責任者について、業務上過失往来危険と業務上過失傷害の疑いで捜査を進めてきましたが、「業務上の過失は認められなかった」と去年12月に書類送検していました。
これを受けて新潟地検も捜査を続けてきましたが、30日付で不起訴処分としました。
「理由は回答しない」としています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d295815807e86c9268b3013f83ae955bb48830eb
2018年8月2日に掲載した第3報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第4報として掲載します。
第3報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8646/
2019年3月29日19時26分に北海道新聞から、ネジレ配線した整備士は不起訴になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
火元となったトラックの整備を怠り火災を誘発させ、乗組員を死亡させたとして、業務上過失致死と業務上失火の容疑で書類送検された男性整備士(53)=渡島管内森町=について、札幌地検は29日、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
整備作業には複数人が携わっており、整備士個人の過失と裏付ける証拠が得られなかったほか、整備士が適切な整備を怠ったとしても、火災の誘発を具体的に予見するのは難しかったと判断した。
整備士は11年2月ごろ、勤務する自動車整備工場で、トラックに搭載された冷凍機のモーターと電源部の配線をねじって接続。
フェリーの車両甲板で接続部分から火災を発生させ、広島県東広島市の2等航海士=当時(44)=を一酸化炭素中毒で死亡させたとして、昨年7月、室蘭海保に書類送検された。
国交省運輸安全委員会の報告書によると、モーターの配線3本が一度切った後にねじって接続され、ショートや断線が確認された。
この方法は発火の恐れがあり、冷凍機のマニュアルで禁じられていた。
報告書は再発防止策で、トラックを持つ運送事業者に対し、冷凍機の定期点検や有資格者による整備を求めた。
出典
『苫小牧沖フェリー火災、整備士不起訴 札幌地検』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/291354/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。