2022年5月1日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/12444/
(2023年3月4日 修正2 ;追記)
2023年2月23日18時23分にYAHOOニュース(HTB)からは、事故2日前の救命訓練時にハッチの蓋が完全に閉まらないまま出航していた、事故の2日前、前日および当日に出航を止めるようアドバイスしていた観光船関係者がいたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
これは、事故の2日前に救命訓練が行われた時の写真です。
一見、ハッチのふたは閉まっているように見えますが、当時訓練に参加した観光船の関係者がカメラの前で初めて証言しました。
知床の観光船関係者:
「開いているのがね、これくらいは開いていたかな。ハッチのふたがね。
こうやって閉まるものが、多少これぐらい浮いていた」。
・・・
ハッチの不具合を、事故の2日前に行われた救命訓練の時に、豊田船長も認識していた可能性があると観光船の関係者がカメラの前で初めて証言しました。
知床の観光船関係者:
「ハッチからえい航に使うロープを出したんだけれど。豊田君が閉めようと思ったんだけど閉めにくそうにして、結局閉まらなかったんだ」。
この時も、ハッチのふたが完全に閉まらない状態で訓練を続行し、船を出航させていたといいます。
知床の観光船関係者:
「あれ(ハッチの留め具は)4点止めなんだけれど、前後ろってあるんだけれど、前の2点が留め金がガクガクして…」。
知床で観光船を運航する同業者も、ハッチのフタがしっかり閉まっていれば波の影響は受けにくいと話します。
知床ネイチャークルーズ・長谷川さん:
「(Q.波で開いてしまうことは?)ない、ない。聞いたことはないな。
通常、開けたままで走るのは世界中いない」。
関係者によると、運航管理者だった「知床遊覧船」の桂田社長は、船のメンテナンスなどほぼ全てのことを豊田船長1人に任せていたと言います。
知床の観光船関係者:
「そんなこと(ハッチ)が原因だとしたら、なぜそこをちゃんと閉めなかったのか。
豊田君も何もかも任せられていたから、そこまで気が回らなかったのかな。
21日から(事故当日の)23日の出るまでの間、スケジュールがギュッと詰まって忙しかったんだよね」。
他社に先駆けて、知床遊覧船が4月23日から運航するのを知っていた男性は、週間の天気予報などから23日は出航をやめるよう、数回、豊田船長にアドバイスしていたということです。
知床の観光船関係者:
「えい航訓練の21日の時も言ったけどね、俺はね『23日はおまえダメだぞ』と。
22日の航路確認の時も『やっぱりダメだな23日』と話して。
当日も最後のとどめと思って言った。『きょうはダメだぞ』って。
『あー、はい』って、どうしてダメなのかなという感じの返事だった。
なんで聞かないで…。
(桂田社長に)『行け』って言われたから行ったのかな」。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d389eeb8945da113b26215d3b42255d42f29a9fe
(2023年3月24日 修正3 ;追記)
2023年3月23日17時0分に朝日新聞からは、条件付き運航という社長の説明だったが、当時の受付け担当者は何も聞いていなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
桂田社長は事故4日後の昨年4月27日に開いた記者会見で、事故当日の午前8時、カズワンの豊田船長(故人)と打ち合わせて条件付き運航を決めたと説明していた。
この説明について、違和感を覚えたというのが、同社の従業員として事故当日に乗客の受け付けをしていた50代の男性だ。
男性は取材に対し、条件付き運航が決まった場合、豊田船長から指示を受けて、受け付け段階で乗客に説明するのが自らの役割だったと説明。
その上で、事故当日は豊田船長から指示はなかったと証言した。
また、男性は前のシーズン、条件付き運航の指示が出ると、事務所の入り口前に「条件付き運航」との貼り紙を出していたが、この貼り紙も事故当日は出さなかったという。
https://www.asahi.com/articles/ASR3R3GV8R3RIIPE001.html
3月23日19時32分にYAHOOニュース(北海道文化放送)からは、訓練時にハッチが閉まらなかった場面では船長は閉まりにくいからあきらめたという感じだった、普通は閉まらなければ客を乗せて走ることは絶対ない、船長は社長からメンテナンスは自分でやれと言われていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会が公表した報告書によりますと、船はハッチのふたが十分に閉まっていない状態で運航し、海水が流入したことで沈没した可能性が高いとしています。
「ロープを出してえい航訓練に行ったときには、ハッチのふたは閉まっていなかったんだよね」
こう語るのは、同業他社の関係者です。
事故を起こす2日前の訓練で、KAZU1のハッチのふたが閉まっていないのを目撃していました。
同業他社の関係者:
「ここがブリッジ、船首にハッチがあり、留め具があって、前の2つが閉められなかった。
この2つがダメだった。
(豊田船長は)閉めにくいからあきらめたなという感じだったね」
ハッチのふたが閉まらないまま訓練は続行。
その後、直したかどうかは分からないといいます。
同業他社の関係者:
「当然、営業日の2022年4月23日は必ず閉めたもんだと思っていたからね。
(普通、ハッチのふたが閉まらないまま)お客さんを乗せて走ることは絶対ないよ。
なぜかというと、出航前に必ず点検するから」
さらに男性は、エンジンオイルを長期間、取り換えていないなど、ずさんな安全管理をたびたび目撃し、船長に何度も注意していたといいます。
同業他社の関係者:
「(船のメンテナンスを)『専門業者に頼め』と豊田船長によく言っていたんだ。
そしたら『自分でやれって言われるんだ』って。
桂田社長から言われるんだ。
『業者に頼んでください』って言ったら、『そんなの自分で直せ』って。
エンジンのメンテナンスもしていないし、ペンキを塗っただけだからね。
だから、起こるべくして起こった事故なんだ」
一方、国側のチェック機能にも疑念が生じています。
事故の3日前のJCIによる船舶検査では、ハッチのふたの作動状況を確認していませんでした。
そして、国交省は2021年、2度の事故を起こした知床遊覧船に対し、改善報告書の文案を作って提出させるなどの指導をしていました。
運輸行政の専門家は…
関西大学 社会安全学部 安部 誠治教授:
「強い父親と子どもの関係。
事業を行う中小事業者が運輸局に頼るという関係が日本の運輸行政の中に残っているのではないか」
運航会社が国に頼る「もたれ合い」の関係がチェックの甘さにつながったのではないかと指摘します。
安部 誠治教授:
「運輸局が事業者を支援するというのは悪いことではないが、自立を促すような支援・指導をしないといけない。
規制する側と規制を受ける側という関係がないと、安全管理で隙間が生まれる」
国の検討委員会がまとめた再発防止策には、抜き打ちの監査を導入するなど、監督の強化が挙げられました。
実効性を高めるため、国と事業者の緊張感ある関係性が求められます。
未曽有の事故から2023年4月23日で1年。
運航会社の主張と、海上保安庁の捜査はどうなっているのでしょうか。
知床遊覧船の桂田社長は2022年6月、事業許可の取り消しの際、陳述書で「事故の責任を事業者にだけ押しつけ、監督官庁に対する世論からの批判が高まるのを回避する目的でなされた見せしめ的なもの」だと主張し、不服を述べています。
一方、海上保安庁は業務上過失致死の疑いで調べを進めています。
当日に悪天候が予想される中で出航をした際に"事故を予見できていたのかどうか"が捜査のポイントになります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bbecbba7436e47cb862ce5aaaade24dd573b33ab
(2023年9月8日 修正4 :追記)
2023年9月7日12時13分にYAHOOニュース(北海道放送)からは、最終報告書が公表されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。内容は既報と同じ。
国の運輸安全委員会が最終報告書をまとめました。
報告書によりますと、沈没事故の直接的な原因は、悪天候が見込まれた中で、船の甲板にあるハッチのふたが確実に閉まっていない状態で出航し、ハッチから大量の海水が流れ込んだこととされています。
さらに、出航後も運航中止などの判断を下さず、避難せずに航行を続けたことが事故の一因と結論付けました。
また、事故の背景には、船に関する知識や経験のない社長が安全統括管理者を務めるなど、会社の安全管理体制の不備があり、影響は重大だったとしています。
そのほかにも、国が行う検査の実効性に問題があったことを指摘し、検査体制の強化などの再発防止策も掲げています。
この事故をめぐっては、海上保安庁が業務上過失致死の疑いで捜査を続けています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/80c09a8b4b76693d0c8762852c4a4716a57b738d
9月7日22時33分に毎日新聞からは、調査官は「引き返すことを想定した出航は危険」だと業界に警鐘を鳴らしたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
報告書は、こうしたハード面の欠陥に加え、運航会社「知床遊覧船」のずさんな管理などソフト面からの要因分析にも重きを置いた。
着目したのは、「風速8メートル以上、波高1メートル以上」になる可能性がある場合は出航中止にするとした同社の運航基準だ。
桂田社長(60)は事故後の記者会見で、海が荒れるようなら引き返す「条件付き運航」だったと主張し、事故で死亡した豊田船長(当時54歳)も同様の考えだったとみられる。
しかし、出航時点で強風・波浪注意報が出ていたことを踏まえ、報告書は「基準を超える悪天候となることは明らかで出航してはならなかった」と指摘。
森調査官は「引き返すことを想定した出航は、航行中に高度な判断を伴うため危険だ」として、実施しないように業界に警鐘を鳴らした。
【「知識と経験不足」船長らの資質指摘】
そもそも、桂田社長や豊田船長には24人の乗客の命を預かる資質があったのか。
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【国側のチェック体制実効性も指摘】
ずさんな安全管理体制が見直される機会はなかったのか。
報告書は、運航会社の実態を見抜けなかった国側の監査や検査の実効性に問題があったとし、「セーフティーネットが機能しなかった」と指摘した。
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https://mainichi.jp/articles/20230907/k00/00m/040/366000c
(2023年12月25日 修正5 ;追記)
2023年12月21日19時24分にYAHOOニュース(北海道放送)からは、カズワンが事故の前年に起こしていた2件の事故の調査報告書が公表された、5月には椅子破損で3人軽傷、6月には浅瀬乗り上げなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会は、沈没の前の年に起きた2件の船舶事故の調査報告書を公表しました。
報告書によりますと、「KAZUⅠ」は沈没する1年前の21年5月、知床沖を航行中に定置網のロープに接触してスピードが急に落ち、その衝撃で船内の椅子の取り付け部分が壊れ、乗客3人が軽傷を負う事故を起こしました。
報告書では、この事故の1か月前の定期検査で、JCI=日本小型船舶検査機構から、椅子や柵の固定が不十分として改善の指示を受けていたにも関わらず、運航会社は事故当日までに是正措置をとらず、船舶検査証書の交付を受けないまま、船を出港させたと指摘。
さらに、「KAZUⅠ」はこの約1か月後にも浅瀬に乗り上げる事故を起こしていて、いずれの事故も操縦していたのは沈没事故とは別の船長でしたが、船長の経験の浅さが事故につながった可能性も指摘しています。
今回の報告書で、2件の事故と沈没事故との関連性についての言及はありませんが、後に大事故を起こす運航会社の安全管理に対する意識の低さが浮き彫りになりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0f60372ba6cff89e47403e21cfc48b64879b4c5
12月21日16時40分にYAHOOニュース(HTB)からは、5月の事故では椅子が外れた、6月の事故では運行時間を短くしようと基準航路より陸側に寄って座礁したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「KAZU I」は、おととし5月と6月にも相次いで事故を起こしていて、原因調査を行ってきた国の運輸安全委員会が21日に報告書を公表しました。
このうち、おととし5月の事故では、航行中に船が定置網のロープに接触してスピードが急激に落ちた際に客室のイスが外れ、座っていた乗客3人が軽傷を負いました。
また、おととし6月には、遊覧時間を確保するために運航する時間を短くしようと、基準の航路よりも陸側に寄ったことで、浅瀬で座礁しました。
この事故によるけが人はいませんでした。
これらの事故では、去年4月の沈没事故当時とは別の2人の船長が乗船していましたが、報告書では、いずれの事故についても、原因や背景として、船長が正確な地形を把握していないなど、経験不足を指摘しました。
去年4月の「KAZU I」の沈没事故については、ことし9月に報告書が公表されていますが、この事故についても、死亡した船長の経験不足が指摘されていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1dc2a1e07198067d3395d21f366ca107425480af
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。