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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2011628176分に、朝日新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
28日午前11時半ごろ、名古屋港を航行中のケミカルタンカー「日祥丸」(乗員5人、499トン)の船長(60)から「甲板で乗員3人が倒れている」と海保に通報があった。海保が巡視艇などを出して3人を救助したが、うち2人が搬送先の病院で死亡した。硫化水素とみられる有毒ガスを吸い込んだ可能性があり、海保が詳しい原因を調べている。
死亡したのは1等航海士(64)と1等機関士(62)。次席1等航海士(42)も病院に運ばれたが意識はあるという。その後、機関長(62)も体調不良を訴え、入院した。
海保によると、日祥丸は四日市港で積み込んだ硫化水素ナトリウム250トンを名古屋港で降ろした後、タンクを清掃中に有毒ガスが発生したとみられる。
運輸安全委員会は28日、船舶事故調査官3人を名古屋港に派遣した。 

[時事通信社]
 
 
 
(ブログ者コメント)
 
□添付のMSDSによれば、硫化水素ナトリウムからの有毒ガス発生は、以下の2ケースが考えられる。
 ・加熱されて分解し、Sox, Na2Oの有毒ガスを発生した
・酸類(空気中の二酸化炭素も)と反応して硫化水素を発生じた
□中毒発生時の様子が、メデイアによって微妙に違って報道されている。
タンク清掃中に中毒症状をきたしたので甲板に上がり、そこで倒れたということかもしれない。
同日147分 msn産経ニュース
 ・甲板に倒れていた3人を救助。3人はタンク内の清掃を終えたところだった
同日198分 NHK名古屋
 3人は当時、甲板でタンクの清掃作業をしていた。海保は3人がタンクから出たガスを吸い込んだとみて調べている
 http://www.nhk.or.jp/lnews/nagoya/3003816532.html
         (NHKオンラインの記事は、1日か2日でアクセスできなくなりますので、御承知おきください)



(2011年7月11日 修正1 ;追記)
 
2011630日付で朝日新聞名古屋版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
海保は、死因は硫化水素中毒だと判明したと発表した。



(2011年8月29日 修正2 ;追記)

2011年8月25日付で、朝日新聞(聞蔵)から下記趣旨の記事がネット配信されていた。

運輸安全委員会は、24日、「2種類の洗浄水を混合した結果、硫化水素が発生した可能性がある」とする調査経緯を明らかにした。
同委員会によると、乗組員らは、積荷の硫化水素ナトリウムを荷揚げ後、タンクを洗浄。洗浄水を貯留タンクに移したところ、排気管から白煙が上がり、倒れたという。
タンクにはアクリル酸を含む洗浄水が入っており、硫化水素ナトリウムを含む洗浄水を加えたため、化学反応して硫化水素が発生したとみられる。



(ブログ者コメント)

□原因は熱か酸のどちらかだろうと思っていたが、酸のほうだった。ただ、タンク洗浄廃液による混触までは思いつかなかった。
□本件、荷繰りを計画した部署が、洗浄廃液の混触危険にも注意しておくべきだったのではないか? 船側にもMSDSが渡されているだろうが、船側にそこまで求めるのは酷な話しだ。
□産業現場でも、これまで使ったことのない化学物質を使い始める前には、設備や器具を洗浄した後の廃液処理方法についても、混触危険がないかなど、検討を加えておくことが必要だ。




(2012年2月26日 修正3 ;追記)
 
2012年2月21日12時10分に中京テレビから、同日13時54分に中日新聞から、元船長が書類送検された旨、下記趣旨でネット配信されていた。
 
この事故で、安全管理を怠ったとして名古屋海保が21日、タンカーの元船長の男(61)を業務上過失致死傷の疑いで書類送検した。
硫化水素ナトリウムが入っていた貨物タンクの洗浄水を貯留用タンクに移す作業中、古い洗浄水との化学反応で大量の硫化水素が発生したが、避難誘導などの注意義務を怠ったとされる。
 
事故当日は気温が高く、普段より大量の硫化水素ガスがタンクから船外に放出されていて、死亡した2人はタンク内を確認しようとふたを開けたところ、硫化水素ガスを大量に吸い込んだという。
 
ガスは化学物質が入っていた複数のタンクを洗浄するために、使った水を1つのタンクに集める作業中に発生したとみられている。
 
事故を受け、国交省は「有害なガスが発生する危険がないか、確認するように」などと、全国の同業者に注意を呼びかけている。

 
出典URL
http://news24.jp/nnn/news8626905.html
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012022190135452.html
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魚田慎二
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男性
自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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