2020年7月24日付で労働新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京・池袋労働基準監督署は、墜落防止措置を怠ったとして、剪定業のF社(東京都墨田区)と同社作業責任者を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反などの疑いで東京地検に書類送検した。
入社1年目だった28歳の労働者1人が高さ7.2メートルから墜落し、死亡している。
災害は平成29年11月15日、東京都練馬区の施設敷地内で発生した。
高さが2メートル以上の箇所で作業を行う場合、足場の組立てや高所作業車を使用させなければならないが、同社はスライド式の脚立を使用させていた疑い。
労働者は樹木の剪定作業中、脚立上を移動していたところ足を滑らせて墜落し、脳挫傷により死亡した。
https://www.rodo.co.jp/column/92815/
(ブログ者コメント)
関連情報調査中、脚立からの転落事故は東京だけで年間300件程度発生しているなど、以下の情報も見つかった。
ご参考まで。
『脚立からの転落事故の発生状況 ―東京消防庁管内の実態分析』
(東京都生活文化局消費生活部生活安全課 2019 年 12 月 調査報告)
1 はじめに
脚立の転倒、脚立からの転落による事故が発生しており、死亡例や重症例も確認されて いる。
本調査では、「脚立」は専用脚立、三脚脚立及び脚立状態のはしご兼用脚立を指し、作業台、踏み台及びはしご状態のはしご兼用脚立は含まないこととし、上っていた脚立が転倒したり、脚立から転落することにより受傷した事案を「脚立からの転落事故」と呼ぶ。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下「NITE」という。)の報告によると、日本国内で発生し NITE に通知された製品事故情報(就労中、就労外の両者を含む)のうち、2006 年度から 2010 年度の 5 年間に脚立による事故(転落以外の事故も含む)で 5 人の死亡例があり 1)、2011 年度から 2015 年度の 5 年間では、脚立による事故(作業台による事故を含む。転落以外の事故が含まれている可能性がある)は 162 件あり、このうち人的被害が重傷であったのは 80 件(49.4%)であった 2)。
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脚立からの転落事故では受傷部位は四肢に多いが、死亡や重症事例では頭部に多かった 3)、4)。
一方で、消費者の脚立からの転落事故の総数は把握されておらず、就労外の脚立からの転落事故を調査する必要がある。
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3 結果
傷者及び事故の属性を表 3 に、発生月と事故発生時の作業内容を図 2 に示す。
東京消防庁管内で就労外の脚立からの転落事故は年間 300 件程度発生していた。
傷者の男女比はおよそ 2:1 であり、年齢は 70 歳代が最も多かった。
事故のおよそ半数である 303 件は「23 区内その他」地域で発生しており、事故発生時の作業内容は「剪定・果実収穫」が約半数 を占めていた。
転落時の高さは 100 ㎝以上200 ㎝未満が38.6%と最も多かった。
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5 結語
東京消防庁の救急活動記録を用い、救急搬送された就労外の脚立からの転落事故の総数や、受傷した消費者の属性、受傷時の作業内容等を明らかにした。
東京消防庁管内における脚立からの転落事故は年間 300 件程度発生しており、事故は男性、70 歳代、多摩東部、多摩西部、剪定・果実収穫作業中に多く発生していた。
被害軽減のため、このような属性を持つ消費者や剪定・果実収穫作業を多く行う消費者を重点対象とした脚立の正しい使用方法の普及が求められる。
http://www.kokusen.go.jp/research/pdf/kk-201912_7.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。