2021年10月18日11時1分にYAHOOニュース(朝鮮日報)から下記趣旨の記事が、事故状況のイラスト付きでネット配信されていた。
14日午後、慶尚南道金海市の総合病院で磁気共鳴画像(MRI)検査を受けていた患者Aさん(60)が、突然、検査機器に吸い込まれた金属製の酸素ボンベに挟まれて死亡する事故が起きた。
警察は、MRI機器の作動で発生した強い磁力によって、横に置かれていた酸素ボンベが急に引き込まれたとみている。
医療関係者は、「今回の事故は、MRI室に金属製品を置いてはならないという基本的な安全ルールを守らなかったことで起きた、初歩的で異例の事故だ」と指摘した。
MRIは人体の内部の臓器、骨などの映像を撮影する医療機器で、強い磁場を発生させ、人体の断層映像を撮影する際に使われる。
X線を使用するCT(コンピューター断層撮影)に比べ、精密に状態を確認できる。
韓国国内に普及しているMRI機器は、2017年の1496台から、昨年には1775台に増えた。
本紙の取材を総合すると、14日午後8時半ごろ、同病院の集中治療室に入院していた内科患者Aさんが、けいれんを起こした。
病院側は、けいれんの原因を特定するため、AさんをMRI室に移送した。
集中治療室で酸素吸入器を使用していたAさんは、MRI室でも酸素供給が必要な状態だった。
病院関係者は、「MRI室の酸素吸入装置に問題が発生し、担当者が酸素ボンベを搬入させたと聞いている」と話した。
酸素ボンベは高さ128センチ、周囲76センチで、立てると大人の胸ほどの高さがあった。
警察は、AさんがMRI機器の中に入り、撮影のために強い磁場が発生し、2メートルほど離れたところに置かれていた金属製酸素ボンベがMRI機器の中に吸い込まれたとみている。
Aさんは頭部や胸を強く圧迫されたという。
病院側は119番通報し、Aさんは救急治療室で心肺蘇生術を受けたが、外傷性脳損傷などで死亡した。
病院関係者は、「患者の状態が重篤で、午後遅くにMRI撮影を行った。当時、酸素ボンベがある状況で、なぜMRI機器を作動させたのか確認している」と説明した。
病院は、患者のプライバシー保護のため、MRI室には監視カメラを設置していなかった。
警察関係者は、「死亡したAさんの胸に酸素ボンベで押された痕跡がみられる」とし、18日に国立科学捜査研究院での司法解剖を通じ、正確な死因を特定し、病院側の過失についても判断する方針だと説明した。
MRI機器が発生させる磁気は、大型の鉄製ベッドも瞬く間に引き寄せるほどの強さがあるという。
蔚山科学技術大学校(UNIST)バイオメディカル工学科のチョ・ヒョンジュン教授は、「最近、国内外のMRI機器は1.5~3テスラの強い磁場を発生させる。地球の磁場の3万-6万倍のに達する強さだ」と説明した。
食品医薬品安全処のMRI取扱時注意事項にも、MRI機器にくっついたり吸い込まれたりしたベッド、椅子による海外での事故例が記載されている。
大韓映像医学会のパク・ポムジン広報理事(高麗大教授)は、「韓国国内では、医療陣がガウンのポケットに挿していたはさみなどがMRI機器にくっついた程度の事例はあったが、酸素ボンベが飛んでいき患者を死亡させたケースは初めて見る」と話した。
保健福祉部は、MRIの管理・運用のため、「特殊医療設備の設置および運営に関する規則」を取りまとめ、専門知識を持つ医療陣が機器を安全に管理するよう定めている。
しかし、金属製酸素ボンベなど、磁力に引き寄せられる製品をMRI室に置いてはならないという具体的な条項はない。
医療関係者は、「MRI室に金属製の設備や機器を置いてはならないというのは、医療関係者であれば誰でも知っている常識だ。患者には検査前に装身具や時計など金属製品を外してもらい、ペースメーカーなどを体内に埋め込んでいないかも事前に確認している」と話した。
今回の事故は、それだけ理解が難しい例外的ケースと言える。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c02f0f141e3ac0f6bd8e5d4f220079b00d1357a8
10月19日8時14分にYAHOOニュース(Wow!Korea)からは、酸素ボンベとワゴンが吸い込まれたなど下記趣旨の記事が、事故機とみられるMRIの写真付きでネット配信されていた。
去る14日午後8時25分ごろ、金海市の総合病院にあるMRI室で頭部の撮影をしていた患者Aさん(60)が突然、吸い込まれた酸素ボンベに頭と胸を挟まれ死亡した。
これを見た医療関係者は、すぐに心肺蘇生法をおこなったが、外傷性脳損傷などにより死亡が確認された。
1週間前から同病院の内科で入院治療を受けていたAさんは、この日午後、「頭が痛い」と頭痛を訴え、当直医師が正確な診断を下すためMRI撮影を決定した。
現場にいた医療スタッフは、警察の調査で「MRI機器が作動し、近くにあった高さ1.3m、周囲76cmの酸素ボンベとワゴンが機器内に吸い込まれ、ぶつかる大きな音がした」と話しているという。
酸素ボンベの重さは10kgを超えていたことが分かった。
当時、MRI室にはCCTV(防犯カメラ)がなく、警察は現場映像を確保できずに捜査は難航している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a9c747dcb66c3d9acef8de314ecce6fd3152154
(ブログ者コメント)
そんなにも強力な磁場が発生するとは知らなかったブログ者。
調べてみたところ、同じような事故は結構起きている模様だった。
※以下はメーカーのHPに記載されている注意事項。
緊急対応時にボンベを持ち込む事例が数多く報告されていると書かれている。
『強力な磁場に対する注意のお願い ~医療(MR)検査に従事される先生方へ~』
(キャノンメディカルシステムズ社 HP)
MRI装置は磁石を用いて被ばく無しに人体の情報を得る装置です。
近年、MRI装置の普及に伴い、その強力な磁石に磁性体が引きつけられる事故が増えています。
MRI装置をご使用になられる皆様には、以下の点について必ずご注意ください。
( ※磁石に引き付けられるものを磁性体といい、磁石に引き付けられないものを非磁性体という)
ポイント1
磁石架台が設置され磁場が発生している部屋には、磁性体を持ち込むことのないように、検査を行う前に必ず磁性体を身につけていないか確認をお願いします。
身近な磁性体では、例えばシャープペンシル、ボールペン、ベルト、鍵、装身具(ネックレス、イヤリングなど)、ヘアピンなどがあります。
医療器具もMR室で使用できる専用の非磁性器具を必ずご使用ください。
引きつけられた磁性体は磁石架台に跳び込み、重大な事故を引き起こしたり、人を傷つけたりすることさえありますので、十分にご注意ください。
特に、患者さんへの緊急対応のため反射的に酸素ボンベを撮影室に持ち込んでしまう事例が多く報告されています。
ポイント2
磁場が発生している部屋には、磁場管理区域が設けられており、磁場に関する警告のサインが入口に掲示してあります。
この管理区域内では磁場に対して上記の注意をしてください。
なお、磁石架台の近くは磁場が強いので、部屋の入り口付近では引きつけられなくても、近くに寄ると突然強い力で引きつけられることがあります。
https://jp.medical.canon/products/magnetic-resonance/jiba
※以下はインドで起きた事例。
破損したボンベから漏れた液体酸素を吸い込んで死亡した可能性ありということだ。
『見舞いで病院訪れた男性、MRIの磁力に引き寄せられ死亡 インド』
(2018年1月29日 22:58 AFP)
インド経済の中心都市ムンバイで、親族の見舞いで病院を訪れた男性が、磁気共鳴画像装置(MRI)の強力な磁力に引き寄せられて死亡する事故が起きた。
警察が29日、発表した。
事故は27日夜、ムンバイにあるナイル(Nair)病院で発生。
市警察が出した声明によると、男性は酸素ボンベを抱えて室内に入った際、磁力により装置へ引き寄せられたという。
警察報道官はAFPに対し、「インド刑法第304条にのっとり、医師1人と職員1人を過失致死容疑で逮捕した」と明かした。
警察は初期情報に基づき、男性が運んでいた酸素ボンベが装置にぶつかって破損し、男性がボンベから漏れた液体酸素を吸い込んで死亡したとの見方を示している。
犠牲者のおじの話では、男性は職員からボンベを運ぶよう頼まれ、その際MRIの電源は落としていると説明されたという。
「そういった事故を防ぐべき職員が、装置の電源が入っている時に私の家族らに室内に入るよう促した。私たちはショックを受け、打ちのめされている」とおじはAFPに語った。
https://www.afpbb.com/articles/-/3160390
(2021年12月30日 修正1 ;追記)
2021年12月28日21時3分にYAHOOニュース(朝鮮日報)からは、当直医師がボンベを持ってくるよう職員に指示し、放射線技師も黙認していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は、病院側の過失による医療事故との結論を下した。
金海西部警察署は28日、MRI撮影を担当した同病院の医師と放射線技師の2人を、業務上過失致死の疑いで今週中に、起訴相当との意見を付して昌原地検に送致する予定だと発表した。
警察によると、Aさんはこの病院の集中治療室に入院していた。
事故当日にけいれんを起こしたため、医療陣は原因を調べるためにAさんをMRI室に移送した。
Aさんは集中治療室で酸素ボンベを使用していたため、MRI室でも酸素供給が必要だった。
しかし、事故当時、MRI室内にあった酸素供給装置に問題が発生したため、担当の医療スタッフが酸素ボンベを要請したことが調査で分かった。
警察は、事故当日に当直の医師が「MRI室に酸素ボンベを持ってくるように」と病院の職員に指示したことを確認し、業務上過失致死の疑いがあると判断したという。
また放射線技師は、MRI機器に強い磁力があり酸素ボンベなど金属製の医療機器を近くに置くことが禁じられているにもかかわらず、これを黙認した疑いがあると判断された。
当時、この事故を調査した国立科学捜査研究院は、Aさんが酸素ボンベによる圧迫で心臓と頭部に衝撃を受け、脳しんとうで死亡したと警察に報告した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/50ef15f4b4428bb38b72cc3c58869a4a00123f26
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。