2023年3月29日11時36分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区、病床数865床)がサイバー攻撃を受けた問題で、情報セキュリティーの専門家らでつくる調査委員会が28日、報告書を公表した。
調査委は、センターでは電子カルテシステムに接続するためのものと同じパスワードが別のシステムでも使い回され、サイバー攻撃に対して脆弱な状態だったと指摘。
「システム業者を含めて危機管理意識が不足していた」と批判した。
センターは昨年10月31日、サイバー攻撃を受け、電子カルテシステムに障害が発生。
「ランサム(身代金)ウェア」と呼ばれる、データを復旧するために金銭を要求するコンピューターウイルスに感染し、外来や救急患者の受け入れが制限された。
サイバー犯罪集団によるものとみられ、今年1月の完全復旧まで約2か月を要した。
報告書によると、センターでは、基幹システムの一つである電子カルテシステムと、給食などのシステムに接続するために使うパスワードが同じだった。
また、取引先の給食委託業者とセンターのシステムは常時接続しており、給食業者側のシステムで、外部からの侵入を防ぐファイアウォール(防護壁)が最新のものに更新されていなかった。
そのため、給食業者側のシステムを介して、センターの電子カルテシステムに侵入され、その後、パスワードを使ってシステムを書き換えられるなどしたとみられるという。
また、電子カルテシステムのサーバーには、負荷を軽くするため、ウイルス対策ソフトが設定されていなかったという。
調査委は、「医療機関には『システムは外部とつながっていないから安心』という認識がある。そのあしき慣行が、問題を発生させる要因になった」と指摘。
システム業者の役割も、契約上、あいまいだったとした。
委員長を務めた猪俣敦夫・大阪大教授(情報セキュリティー)は記者会見で、「今回の問題はどこの病院でも起こりうる。各病院でもセキュリティーの向上が必要だ」と述べた。
センターは、使い回されていたパスワードを全て異なるものに変更し、ウイルス対策ソフトを設定した。
患者の受け入れ制限などによるセンターの損害額は十数億円に上るとみられ、センターの嶋津総長は「ITガバナンスの確立に向けて、真摯に取り組んでいきたい」と述べた。
( 森井昌克・神戸大教授(情報通信工学)の話)
「過去の医療機関を対象としたサイバー被害は、いずれもセキュリティー対策のずさんさが原因だ。
今回も同じで、当事者に危機意識がないことが改めて浮き彫りになった。
国は、大病院ですらこうした問題が起きたことを深刻に受け止め、対応を病院任せにせず、必要な法整備などを進めるべきだ」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230329-OYT1T50114/
3月28日19時51分に毎日新聞からは、攻撃者はウイルス対策ソフトをアンインストールしたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書によると、攻撃者は2022年10月31日、ネットワーク接続する配食事業者経由でセンターの給食管理サーバーに侵入。
ウイルス対策ソフトをアンインストールし、電子カルテシステムにも侵入して暗号化したため、カルテが閲覧できなくなった。
センターは、外部接続の利用状況を確認していなかった上、給食管理サーバーのパスワードが他のサーバーと共通だったことなど、内部のセキュリティーが不適切な状態で、電子カルテなど基幹システムへの侵入も許した。
被害額は診療制限に伴い十数億円以上を見込む。
調査・復旧費用にも別に数億円かかるという。
https://mainichi.jp/articles/20230328/k00/00m/040/314000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。