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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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201177日付の朝日新聞備後版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
 
6日正午ごろ、三原市のK船渠の造船所内の塗装工場で、同社の協力会社の塗装作業員(65)が、入口の鉄扉に頭を挟まれて死亡した。
警察によると、鉄扉(高さ約20m、幅約17m、厚さ約45cm、重さ約27トン)は4枚あり、電動で横に開閉する。扉ごとに、人の出入りするドア(高さ約190cm、幅約90cm)が付いている。
別の作業員がフォークリフトを入れようと鉄扉を動かしたところ、被災者が外に出ようと開けたドアごと圧迫される形になったという。
警察によると、鉄扉を動かす際は、ライトやサイレンが作動するという。会社によると、スイッチを切れば、すぐに止まる仕組み。
 
工場は6月に運用を始めたばかりだったという。
日本海事協会尾道支部によると、船の塗装について、安全のための新基準が条約で決められ、最終期限の来年7月を前に、専用工場の新設が相次いでいるという。
 
 
 
(ブログ者コメント)
 
□K船渠は、今治造船グループの中核企業として大型コンテナ船などの建造、修理を行っており、協力会社を入れると3000名近くの人が働いている、結構大きなドックだ。
ただ、2006年から2年半あまりで8人の死亡事故が発生しており、2008年9月には広島労働局から、以下などの行政指導を受けている。
 ・経営トップが安全第一の経営を行うことを宣言すること
 ・安全大会を毎年開催すること
 ・過去3年間の死亡災害を背景まで検証し、防止策を報告すること
http://zosen.blog70.fc2.com/blog-entry-131.html
 
□当時の事故概要は下記。
2006810日、200886日、20081114日、20081115日の朝日新聞(聞蔵)広島版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
  2006年5月19日 関連会社社員(19)が溶接作業中、頭上から落ちてきた鉄板(約700kg)と一緒に落下し、死亡した
  2006年8月9日 溶接機の吊り上げ作業を手伝っていた関連企業の従業員2人が、約23m下のコンクリートに落下し、死亡した。溶接機の入った格納箱を、足場となる架台(約2トン)からクレーンで引き揚げる途中で起きた。2人は架台の上で格納箱にクレーンのフックを架ける作業をしていたが、格納箱が架台に溶接されていたため、クレーンで引き揚げたはずみに架台が船体から外れ、架台ごと転落した
  2007年3月5日 台船に工具を取りに行った関連会社社員が行方不明になり、その後、岸壁近くの海底から水死体で発見された
  2008年5月8日 関連会社社員(59)が多目的木工機械の部品とテーブルの間に挟まれて死亡した
  2008年6月21日 関連会社社員(47)が塗装工程に関連する清掃作業を終え熱中症に。6日後に死亡した
  2008年8月4日 下請け会社員(38)が重さ約640kgの鉄板をクレーンで操作して積み上げる作業中、落ちてきた鉄板の下敷きになり死亡。リモコン操作で一人で作業していたという
以下は広島労働局からのプレスリリースらしき記事からの引用。
 2008年8月24日 移動式クレーンによる走行レール撤去作業中、吊りクランプで吊りあげていた長さ約6mの走行レールが外れ、下にいた玉掛け作業者に当たって死亡した
 
□造船業は危険と隣り合わせの作業が多いことは想像に難くないが、これだけ事故が多発すると、労基局ならずとも、安全管理体制、安全文化に問題があるのでは?と思ってしまう。
ただ、個別事例をみると、それぞれ原因は違うようだ。
全体を通してここが共通の問題だと言えなければ、対策も個別対応にならざるを得ない。
そこが、事故が続いた場合の対策の取り方として非常に難しいところだ。
 
20081221日付の朝日新聞広島版(聞蔵)に、「08年記者は見た」というタイトルで、以下の記事が掲載されていた。
言い旧された内容ではあるが、「関係者の証言から」という言葉に、意味深なところを感じた。
 ・「安全管理や意識の欠如」。原因を一言でこう言い切るだけで済まない背景があることが関係者の証言から推測できた。
「業界では過去の不況期のリストラなどが熟練社員を減らし、安全管理のもろさを招いた」という指摘だった。
アメリカ発金融不況で急激に不況感が高まる今、大企業を中心に派遣切り、コストカットが進む。だが、経営優先の人員削減と経費節減が「やる気」をなくし、安全を守る基盤まで壊す危険性が見え隠れするようで不安を覚える。
 
 
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魚田慎二
性別:
男性
自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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