2023年3月7日19時42分に千葉日報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県は7日、江崎グリコの関連会社「Gマニュファクチャリングジャパン」の千葉工場(野田市)で窒素とリンの排水基準等の超過があり、水質汚濁防止法に基づく水質測定などのデータを計97回改ざんしていたことが発覚したと明らかにした。
同社は県庁で記者会見し、「水質測定の担当者が改善に向けた指示を受けると業務量が増大すると懸念してデータを書き換えた」と弁明。
白石社長が謝罪した。
同社によると、2月に同工場の排水処理施設から未処理の水があふれ、外部に流出する事故が発生。
事故調査の過程で、元データと県への報告書などの数値に矛盾があるのを確認。
データ改ざんが発覚した。
基準超過と改ざんは、少なくとも同社にデータが残る2019年5月~22年12月で確認。
窒素は1リットルあたり20ミリグラムの排水基準に対し、最大で50ミリグラムの値が測定され、18回超過。
リンは4ミリグラムに対し、最大で9・96グラムを検出し、基準を8回上回った。
総量規制でも、窒素とリンが計24回、基準を超過。
超過時には事務所などでアラームが鳴るが、特段の対応はしていなかった。
改ざんは超過時以外も行われ、窒素は57回、リンは28回あったほか、「化学的酸素要求量(COD)」のデータも12回書き換えられた。
同社の白石社長は県の説明後に会見し、「県民にご迷惑をおかけし申し訳ない。再発防止策を何重も打っていく」と謝罪した。
県などによると、同工場は原料に窒素やリンが含まれるアイスクリームを製造。
製造時に発生する水を処理し、東京湾につながる河川に排出している。
大量に排出すると、東京湾で植物プランクトンなどが著しく増殖し、赤潮などを引き起こす可能性があるという。
水質汚濁防止法で濃度の排水基準と一日あたりの総量規制がかけられ、測定結果の記録、保存が義務づけられている。
データ改ざんの発覚などを受けて、県は7日に同工場に立ち入り検査し、事実関係の確認や再発防止策を聴取。
一般的に、超過量などから直ちに環境に影響を及ぼすことはないというが、今後、刑事告発や行政処分など必要な対応を検討する。
県水質保全課は、日鉄君津のシアン流出を念頭に、「水質汚濁防止法に関する問題意識が必ずしも十分でない。制度を再度しっかりと周知し、法令遵守に努めてもらう」と見解を述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fc7aa2dd3c5ec6ccbd03c4ae590f6f17c451acc8
3月7日20時43分に毎日新聞からは、業務量が増えることに抵抗があった担当者が改ざんした、流出事故に伴い会社が過去の分析結果を確認していて改竄を見つけたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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同社は、改ざんの理由を「担当者が社内で改善指示を受け、業務量が増えることに抵抗があったため」と説明。
県は基準内に収まっていたデータも改ざんしたのは、数値のつじつまを合わせるためだったとみている。
県によると、2月23日に同工場の排水処理施設から未処理水があふれる事故が発生。
同社が過去の水質分析結果を確認したところ、基準超過や改ざんが見つかり、今月6日に県に報告した。
https://mainichi.jp/articles/20230307/k00/00m/040/269000c
3月7日21時38分に産経新聞からは、担当者以外でアラームに接した人もいたが対応しなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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今年2月、同工場で未処理の水が外部に流出。
調査の過程で、県への報告に用いた記録と元データを突き合わせた結果、改竄が発覚した。
現場担当者は聞き取りに対し、「少数で多くの設備を保守点検しており、限られた時間で改善作業を指示されることに抵抗があった」などと回答。
担当者以外も基準超過で発せられたアラームに接していたが、対応しなかったという。
https://www.sankei.com/article/20230307-OUC3ZHI3PFMFXNXXSTDWC7CIGY/
3月7日付で江崎グリコからは、以下の情報が発信されていた。
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1.経緯
2019 年 5 月から 2022 年 12 月までの間、「総窒素(T-N 濃度・総量)」と「総リン(TP 濃度・総量)」の水質規制値を超過した状態で公共河川(座生川・ざおうがわ)に流出させておりました。
また、行政報告において記載内容を書き換えて提出しておりました。
なお、法定のデータ保管期限は 3 年分であるため、2019 年以前のデータが残っていませんが、社内でヒアリングした結果、新工場を立ち上げた 2017 年に、総量規制値の超過事象が発生していたことを確認しております。
2.原因
①規制値を超過した原因について
2017 年 8 月に千葉県東葛飾地域振興事務所による立ち入り検査があり、同年(2017 年)4 月の実績において窒素・リンの総量規制値を超過したことのご指摘を受け、恒久対策として 2018 年に加圧浮上装置を設置することで改善を図りました。
その後、2019 年にグリコ製品「アイスの実」の生産が始まり、流入水の水質が大幅に変化し、膜処理工程での詰まりが起こり、調整層の水位が高まってしまう状況が発生し、その際の適切な処置対応が不十分であったことが要因です。
②データを書き換えて、千葉県に記載報告した原因について
担当者が総量規制値を強く意識してしまい、本来ともに意識すべき処理水の濃度基準の超過を大きな問題として取り扱わずに、測定値を書き換えました。
また、工場長や上長への報告、連絡、相談も適切に実施できておらず、未然に確認、発見することができませんでした。
③施設管理の不備となった原因について
システムによる常時監視の測定項目のひとつである処理水の濃度について、規制値 超過時はアラームが発せられる仕組みとなっていますが、適切な処置対応にまで至りませんでした。
また、送水ポンプや脱水装置、膜処理装置などのメンテナンスや管理体制が不十分であったため、本来の性能が適切に維持できていないことも一因でした。
異常時などの緊急対応手順についても体制整備が十分ではありませんでした。
3.再発防止策
① 排水基準の遵守
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② 排水処理設備の安定稼働
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③コンプライアンスの重要性の再教育
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④管理体制
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https://www.glico.com/assets/files/NR20230307__3.pdf
(ブログ者コメント)
改竄理由は、担当者が現状の仕事だけで手いっぱいのところに、追加でさらに多くの仕事をこなさなければならなくなったためらしい。
過去にも数多くのデータ改ざんが報じられており、その一部は本ブログでも紹介しているが、おおよその理由は今回と同様だった。
同じような事案は、今後とも起きそうな気がしている。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。