2021年9月8日18時13分にNHK信州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午後3時ごろ、飯田市の天竜川で川下りをしていた舟を後ろ側で操作していた船頭の60代の男性が川に転落しました。
舟には、この船頭のほかに乗客11人と前にも船頭が乗っていましたが、けがはなく、その後、目的地に到着したということです。
この舟は午後2時半ごろに港を出発し、船頭が転落したのは天竜橋から150メートルほど上流の地点だったということです。
その後、転落した船頭の男性が右岸に向かって泳ぐ姿が、一時、確認されていましたが、その後、男性の行方がわからなくなっているということです。
警察や消防などは転落した男性の行方を捜しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20210908/1010019818.html
9月9日6時4分に信濃毎日新聞からは、空櫂でバランスを崩した可能性があるなど下記趣旨の記事が、1969年から2003年までに起きた天竜下りの事故リスト付きでネット配信されていた。
天竜舟下りの舟から船頭が転落した8日の事故。
運航会社によると、降雨の影響で川の水位は7日まで高く運休したものの、8日は運航基準を満たしていた。
現場は波が立ちやすい場所ではあっても、この日の水流は渇水期よりやや速い程度。
船頭歴約40年のベテランに何があったのか。
船頭仲間らからは、操作中にバランスを崩した可能性を推測する声も出ている。
運航する信南交通によると、天竜川の水位は、飯田市松尾新井の弁天港近くを基準にしている。
8日朝は、この水位が社内運航基準を下回っていることを確認。
まず客を乗せずに運航して安全を確かめた後に、午前10時発の第1便から営業を再開した。
事故が起きたのは午後2時半発の第4便だった。
舟は木製で長さ約12メートル、幅約2メートル、定員は28人。
桜井さんは、船尾でかじを取る役割を担っていた。
現場は約6キロのコースのうち、波が立ちやすい最後の場所だが、流れの速さに大きな問題はなかったという。
「『空(から)がい』で、バランスを崩した可能性がある」。
桜井さんと同僚の船頭の男性は、転落を目撃した同乗の船頭らの話から、そう推測する。
「空がい」は水をかく「かい」が水の中に入らず、空振りすることだ。
別のベテラン船頭は、「波立つときには(空がいが)よく起きる」と話す。
事故後、木製の小型舟に乗って捜索に加わった同僚の男性は、川下りの目的地だった同市時又の時又港の川岸で、焦りをにじませた。
疲れ切った表情で「早く見つかってほしい」と願った。
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021090801023
9月9日12時12分にYAHOOニュース(長野放送)からは、転落した船頭は船頭歴44年のベテランだった、ヒモを引っ張って膨らませる救命具を装着していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
信南交通によりますと、「空櫂(からがい)」でバランスを崩し転落したとみられます。
信南交通・木下取締役:
「『空櫂(からがい)』って言うんですが、水の中に入っていない状態で櫂を操作し、その勢いで(バランス崩し)転落してしまう。一刻も早く見つかるよう祈っています」
「天竜舟下り」は飯田市の弁天港から時又港までの6キロを35分かけて下ります。
桜井さんは船頭歴44年のベテランで、ひもを引っ張って膨らませる救命具を装着していたということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/274505a06cf02c86c5e8060c8930059e4dcde661
(ブログ者コメント)
〇天竜下りの事故といえば、2011年8月に起きた浜松市での5人死亡事故を本ブログで紹介しているが、信濃毎日新聞掲載の事故リストには含まれていない。
浜松市は静岡県ゆえ、長野県の新聞ではリストは載せなかったということかもしれない。
〇救命胴衣は着用していたが行方不明になってしまったという件、大ベテランの船頭さんでも落水時、パニックになって救命胴衣のヒモを引っ張るのを忘れてしまった・・・ということだろうか?
ちなみに信州飯田の天竜下りHPを見てみると、「お客様には自動膨張式救命具を着用していただいています」という趣旨の記述があった。
2021年9月26日6時2分に信濃毎日新聞からは、対策としてベスト型救命具に切り替える、また空櫂時の転落防止板を取り付けたなど、下記趣旨の記事が対策後の写真付きでネット配信されていた。
飯田市の天竜川で「天竜舟下り」を運航する信南交通(飯田市)は25日、船頭で同社役員の桜井さん(63)=飯田市毛賀=が舟から転落して行方不明となった8日の事故後から運休していた舟下りの運航を28日に再開すると発表した。
船頭が着ける救命具を更新するなど、安全対策の改善点も明らかにした。
中島社長と木下・地域観光事業部長が同社で記者会見。
船頭による実演も交えて、改善点を説明した。
中島社長らによると、これまでの船頭用救命具は腰に着けるもので、水を感知するか、ひもを引くと膨らみ、首に掛けて使うタイプだった。
同乗していた船頭の話から、桜井さんが着けていた救命具が作動しなかった可能性があり、ひもを引く必要のないベスト型に変更することにした。
一方、桜井さんは舟の後方で、かいが水中に入らずに空振りしてしまう「空(から)がい」でバランスを崩したとみられており、船頭が転落する可能性が高い舟後方の左側のへりに高さ15センチ、長さ160センチの板を取り付けた。
船頭の太もも付近の高さで、誤ってバランスを崩しても板が支えになって転落しにくいという。
船頭任せだった船頭用救命具の点検は、毎朝2人で行う。
不定期だった乗客用救命具の点検は、チェック項目を設けて月1回実施し、記録も付ける。
救命具や舟の点検、転落を想定した訓練に充てる時間を増やすため、11月以降、1日5便の運航本数を減らす検討もしているという。
中島社長は記者会見で「安全管理に重大な不備があった」と陳謝。
舟下り事業継続の可否も考えたが、周囲から存続を求める声もあったとし、「二度と悲惨な事故がないよう改善し、安全と桜井さんの発見に尽力する」と話した。
同社は事故直後は1日約30人、その後も1日約20人態勢で桜井さんの捜索を続けている。
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動画がありますのでご覧ください。
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021092500594
(ブログ者コメント)
ヒモを引く以外、水を感知しても作動するタイプの救命胴衣を装着しており、不作動だった可能性もあるとのこと。
そこで、救命胴衣不作動に関する情報を調べてみた。
結果、以下の情報を見つけたので、参考までに紹介する。
情報①
ヨコタオートマリン(隠岐の船外機ショップ)のブログ
「水感知カートリッジ」に不具合があった場合、自動作動しない可能性があるので、基本的にはヒモを引くこと。自動膨張は補助的な位置づけ。
https://yktmarine.hatenablog.com/entry/2018/03/08/100234
情報②
オーシャンライフ(ライフジャケット製造販売会社)のHP
雨に濡れたぐらいでは作動しないよう、国交省の「不注意膨張試験」に合格したものだけが型式承認される。(試験時の写真あり)
https://www.lifejacket.jp/faq/f_lifejacket3/rain.html
情報③
ボーターズNE(ボート業界の広報紙?)
実際にバケツで水をかけてもシャワーを浴びても、作動しなかった。(映像あり)
https://www.news-boaters.com/special/51357
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。