2018年3月8日2時34分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今年1月、京都市東山区の民泊施設で起きた1件の小さな火災が波紋を広げている。
「惨事になりかねなかった」と振り返る住民らに対し、「事業者が地域といい関係を築いていたからボヤで済んだ」と市当局。
得られた教訓とは・・・。
1月20日午後10時20分ごろ。
その日の家事を終え、居間でテレビを見ていた女性(48)は異変を感じた。
何か焦げ臭い。
あわてて台所に行って火元を確認したが、異常はなかった。
とっさに「隣の簡易宿所か」と思った。
昨年できた木造平屋建ての民泊施設だ。
庭や玄関前で外国人がたばこを吸っているのをたびたび目撃していた。
窓を開けると、施設の離れにあるトイレ付近からオレンジ色の炎が見えた。
「火事だ!」。
隣にいた夫が家の外に飛び出した。
中にいる宿泊客に知らせようとしたが、玄関にインターホンがない。
ドアを必死でたたくと、中からまだあどけなさの残るアジア系の若い男性3人が出てきた。
「ファイア! ファイア!」。
片言の英語で叫ぶと、察した彼らは離れに回り、1人が布のようなもので火元をはたいた。
午後10時21分、女性が119番通報。
約5分後に消防車2台が現場に駆けつけると、火はすでに消えていた。
施設のオーナーは別の区に住み、東山区の管理会社に運営を委託していた。
妻からの連絡で管理会社の代表が現場に来たのは火災発生から約40分後。
オーナーが姿を見せたのは、さらに約30分後だった。
市消防局や地元住民によると、泊まっていたのは、いずれも韓国から来た10代の男子高校生。
大学進学を控えた卒業旅行で、日本に来るのは初めてだった。
出火原因はたばこではなく、トイレの白熱灯(裸電球)に彼らがかぶせたタオルが熱せられたため燃えたとみられる。
白熱灯は、暗くなると自動的につくタイプ。
就寝前、部屋に明かりが差してまぶしいため消そうとしたが、スイッチが見当たらず、仕方なくタオルをかぶせたという。
学生たちは、「(裸電球は)生まれて初めて見た」「危ないとは知らなかった」と、青ざめた様子で話したという。
幸い、けが人はなかったが、このボヤ騒ぎは民泊条例案を審議していた市議会に「飛び火」した。
2月16日の予算特別委員会。
山根委員(共産)が「今回の火事で得た最大の教訓は何か」と聞くと、市消防局の山村予防部長は「白熱灯とタオルの組み合わせでも出火することを踏まえ、各消防署にそうした点も見るように言った」と答えた。
それ以前の質疑で、市側が、近隣住民の通報で火災を防げた点から「地域との調和の具体例」と答弁したことも踏まえ、山根委員は、「住民の命が危険にさらされたのに、調和の具体例とはひどい」。
市に認識を改めるよう迫ったが、中谷・医療衛生推進室長は、「(事業者が)事業計画や連絡先の周知をしっかりやっていたことで住民に通報いただき、ボヤで済んだ。我々の取り組みが役に立った」と譲らず。
議論は最後までかみ合わなかった。
この施設は昨年6月、市から旅館業法の許可を得て営業を始めた。
住民らによると、開業時、管理会社の代表が営業開始を近隣に報告し、その際、緊急時の連絡先もあわせて伝えていた。
オーナーは町内会に入っていない。
同じ学区には、同法の許可を得て正規に営業する民泊が、他に43施設ある。
ボヤがあったのは土曜の夜。
週明け、東山消防署員が注意喚起のチラシを配って歩いたが、すぐに管理者やオーナーに会えたのは3施設だけ。
実際は、管理者不在で営業している施設が多いとみられる。
署員たちは、その後も訪問を続けた。
地元住民の不安は消えない。
第一発見者の女性は、「たまたま、寝る少し前だったから気づいた。深夜に起きていたらと思うとぞっとする」。
住民有志が再発防止策や施設運営の改善を申し入れ、施設は、現在、営業を休止している。
一方、市は6月の住宅宿泊事業法の施行に合わせ、「消防検査済表示制度」を新たに導入する。
自動火災報知設備など、消防法令を満たした民泊施設にステッカーを交付。
目立つ場所に掲げさせ、宿泊者に示す。
事業者に防火意識を促す狙いもある。
民泊施設向けの講習会も開き、防火対策をさらに強化するという。
出典
『民泊ボヤの波紋 あわや惨事か、鎮火の成功例か』
https://digital.asahi.com/articles/ASL2R4K13L2RPLZB014.html?rm=295
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。