2019年9月17日11時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北アルプスで山岳救助中だった岐阜県の防災ヘリ「若鮎Ⅱ」が墜落し、乗員3人が死亡した事故から10年。
事故後の調査で、北アルプスでの救助訓練の経験がなかったことが判明。
事故で亡くなった後藤さん(男性、当時34歳)の遺族は「なぜ、出動を止めることができなかったのか」と問い続けている。
同県笠松町の救急隊員だった後藤さんは事故当時、県防災航空隊に出向。
防災ヘリで空からの救助や消防活動にあたっていた。
事故があった2009年9月11日。
県防災航空センターは、北アルプス奥穂高岳の難所・ジャンダルムで「男性が登山中に倒れた」と119番通報を受けた高山市消防本部から、救急要請を受けた。
防災ヘリは現場付近で活動中に機体の一部が岩壁に接触して墜落したとみられる。
切り立った尾根が続く複雑な地形は気流の変化も激しく、難所として知られていた。
岐阜県の山岳救助は通常、110番で要請があれば県警航空隊のヘリ、119番なら県の防災ヘリという分担だった。
ただし、北アルプスでの救助は高度な操縦技術が必要とされ、練度が高い県警のヘリが担当していた。
この日は隊長らが不在ですぐに出動できず、防災ヘリが出動した。
事故後、驚くべき事実が次々と発覚した。
防災ヘリのパイロットは、2500メートル超の北アルプスで訓練をしたことが一度もなかったのだ。
一方の県警のヘリは過去12年間で、314回もの訓練をしていた。
なぜ、経験のない場所へ出動したのか――。
防災ヘリの出動は、何人もの管理職がいながら、実際にはパイロット1人の判断で決まっていた。
出動の可否を最終決定する県防災航空センター長は、ヘリに関する専門知識を持たない県の一般職員で、パイロットの判断を追認するだけ。
県警は、県に北アルプスへの飛行をやめるよう求めたが、離陸後のパイロットに伝えられないままだった。
いくつものミスが重なった末の惨事だった。
【ダブルパイロット制を義務化】
度重なるヘリの事故を受けて、総務省消防庁は10月から、自治体に防災ヘリの運用に関する順守義務を初めて課す。
操縦士を2人搭乗させるダブルパイロット制を義務化するほか、新たに導入する機体には、飛行状況を記録するフライトレコーダーや、操縦士の交信を記録するボイスレコーダーを搭載。
安全対策を徹底するほか、事故が起きても原因究明ができることを目指す。
岐阜県は事故後、マニュアルを見直し、ダブルパイロット制を徹底。
運航の可否についてセンター長に助言できる立場の専門職員を配置するなどした。
「若鮎Ⅱ」の事故後も、全国で防災ヘリの墜落は相次いだ。
10~18年に埼玉、長野、群馬県の防災ヘリが飛行中に墜落し、操縦士や隊員ら計23人が亡くなった。
【近年の防災ヘリの墜落事故】
2010年7月
埼玉県の防災ヘリ「あらかわⅠ」が同県秩父市の山中で救助活動中に墜落。乗員5人が死亡
2017年3月
長野県の防災ヘリ「アルプス」が山岳救助訓練のため飛行中に同県松本市の山中に墜落。乗員9人が死亡
2018年8月
群馬県の防災ヘリ「はるな」が登山道の視察のため飛行中に同県中之条町の山林に墜落。乗員9人が死亡
【補記】
奥穂高岳のジャンダルム(標高3163メートル)で、岐阜県の防災ヘリが墜落し、県防災航空隊に所属していた機長で操縦士の朝倉さん、整備士の三好さん、副隊長の後藤さんが亡くなった。
岐阜県警は2011年3月、機長ら4人を業務上過失致死の疑いで書類送検し、岐阜地検が不起訴処分とした。
https://digital.asahi.com/articles/ASM9B2TJZM9BOHGB001.html?rm=593https://digital.asahi.com/articles/ASM9B2TJZM9BOHGB001.html?rm=593
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。