2019年9月19日22時51分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
19日午後3時50分ごろ、福井県高浜町の関西電力高浜原発1、2号機敷地内のトンネル工事現場で「トンネル内で作業中に気分が悪くなり倒れた人がいる」と作業員から119番があった。
県警によると、10~60代の男性作業員9人が酸欠のような症状を訴えて病院に運ばれ、10代の1人が一酸化炭素中毒で重症、8人は軽症という。
関電によると、現場はテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」を建設するための作業用トンネルで長さ約700メートル。
協力会社の作業員ら10人が午前9時ごろから、内壁を補強するためアセチレンガスを使って溶接作業をしていた。
入り口から約20メートルの地点で10代の作業員ら2人が倒れて一時意識不明になり、他の7人も気分が悪くなったという。
https://mainichi.jp/articles/20190919/k00/00m/040/199000c
9月21日付で中日新聞からは、現場には発電機やフォークリフトなども持ち込まれていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
関西電力は二十日、当時はトンネル内に発電機やエンジン付き溶接機などを持ち込んで作業をしていたと明らかにした。
小浜署は排ガスがCO中毒の原因になった可能性もあるとみて調べている。
救急搬送された九人は同日午後までに全員が退院した。
関電によると、現場は本坑から枝分かれした幅五メートルほどのトンネルを、約百メートル進んだ突き当たり近くだった。
トンネルを仕切る鉄製の壁や扉を設けるために溶接作業をしていた。
現場には発電機とエンジン付き溶接機を各二台、フォークリスト一台を持ち込み、送風や排気のファンも一台ずつ設置していた。
当時の稼働状況などは不明で、関電は今後、換気に問題はなかったかなどを調べる。
https://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20190921/CK2019092102000009.html
(2019年10月28日 修正1 ;追記)
2019年10月25日19時22分に、本坑から分岐したトンネルで作業していたがそこには送気ダクトが設置されていなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
関西電力高浜原発(高浜町)のテロ対策施設建設用の作業トンネル(掘進中、延長700メートル)で9月、一酸化炭素中毒などで男性作業員9人が搬送された事故で、トンネルに外気を取り込む送気ダクトが設置されていなかったことが関電の調査で分かった。
関電によると、トンネルの県道側にある坑口を入ると、本坑には送気ダクトが設置されている。
しかし、原発建屋につながる分岐点以降には設置されないまま、鉄製の壁を溶接する作業が進められていたという。
小浜署は今月15日、現場の状況について下請け作業員から聴取した。
今後は作業環境に問題がなかったかどうかを調べ、業務上過失致傷容疑も視野に捜査を進める。
現在、関電は事故発生までの作業量も調査している。
一酸化炭素の発生源は発電機や溶接機、フォークリフトが有力とされている。
https://mainichi.jp/articles/20191025/k00/00m/040/171000c
(2019年11月10日 修正2 ;追記)
2019年11月8日19時40分にNHK福井からは、送風機の配置に問題があったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
事故を受けて、原子力事業本部の水田本部長代理が8日、県庁を訪れ、清水安全環境部長に調査結果を報告しました。
それによりますと、当時、溶接機のエンジンから一酸化炭素が発生していたうえ、送風機の配置に問題があり十分に換気ができなかった結果、トンネル内に一酸化炭素が充満したことが原因とみられるということです。
また、およそ5時間前から、作業員が体調不良を訴えていたにも関わらず、現場の判断で作業を続けていたことも明らかにしました。
関西電力は再発防止策として▼社員が現場を直接確認してリスクを洗い出したほか▼想定外の事態が起きた場合には安全のため作業を中断するよう呼びかけを行ったということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20191108/3050003365.html
11月9日15時18分に毎日新聞からは、作業員の頭痛訴えに対し作業中断後、排気方式を変えて作業を再開したが意識を失う作業員が出始めたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故は9月19日午後3時40分ごろ発生。
関電の調査によると、午前9時15分ごろ溶接作業を開始し、同10時ごろには溶接の煙で空気が白くよどんでいた。
まもなく頭痛を訴える作業員が出始め、作業は一時中断された。
この後、排気ファンの位置を変えるなどして午後2時に溶接を再開したが、1時間半後、意識を失うなどの症状を示す人が出始めたとした。
機器を使い作業工程を再現した結果、事故当時の現場のCO濃度は国の作業環境基準の6~10倍にあたる300~500㏙となっていたことが推定されたとしている。
主な原因はガソリンを使う溶接機の排ガスだという。
関電は8日、県に調査結果を報告。
対策として、トンネルに外気を取り込む送気ダクト、酸素吸入器、CO測定器を設置することを決め、溶接機を電気式に変更する。
https://mainichi.jp/articles/20191109/k00/00m/040/105000c
(ブログ者コメント)
調査報告書をネットで探してみたが、見つからなかった。
以下は、NHK放映の3コマ。
事故当時のトンネル内の換気状況を示している模様。
思うに、分岐トンネル内の本坑側に、本坑からどれぐらいの距離だったかは不明だが、送気ファンを置き、分岐トンネルの末端側には排気ファンを置いて、分岐トンネルの末端までフレッシュな空気を行き渡らせようとしたが、送気ファンの空気取り入れ口がフレッシュな空気を取り込めない場所に設置されていたため、換気不十分になったということかもしれない。
2021年3月16日付で毎日新聞福井版からは、作業責任者らが書類送検されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
敦賀労働基準監督署は15日、換気が不十分なのに溶接作業をさせたとして、美浜町河原市のWプラントサービスと同社の作業責任者の男性(66)を労働安全衛生法違反の疑いで福井地検に書類送検した。
労基署によると、同月19日、トンネル内で同社の作業員2人がガソリンエンジンで動く溶接機で作業していたところ、2人を含む10代~60代の作業員9人が一酸化炭素中毒となった。
労安法では、坑内など自然換気が不十分な所では、十分な換気をするとき以外は、内燃機関を持つ機械の使用を禁じているが、同社と作業責任者は十分な換気も排ガスによる健康障害の防止措置もせずに溶接作業をさせた疑いが持たれている。
当時、作業責任者は現場で中毒となった9人のうちの1人だったという。
https://mainichi.jp/articles/20210316/ddl/k18/040/245000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。