2016年3月27日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第3報修正4として掲載します。
第2報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5767/
(2021年5月13日 修正4 ;追記)
2021年5月12日付で毎日新聞東京版からは、会社がMSDSを入手し副工場長が目をとおしていたことが重視され、裁判では会社側に安全配慮義務違反があったと認められたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
がんを発症したのは同社が安全配慮義務に違反したためだとして従業員ら4人が計3630万円の賠償を求めた訴訟の判決で、福井地裁は11日、同社に計1155万円の賠償を命じた。
健康被害を予見できたのに防止措置を怠ったと認定した。
厚生労働省によると2018年、全国で107事業所の計1168人が、この物質を現在または過去に扱ったとして健康診断を受診した。
発症までの潜伏期間が長いため、今後、被害が拡大する可能性がある。
原告は福井県内に住む50~60代の従業員と元従業員。
この工場では15年12月まで、染料などの原料製造に、この物質を使っていた。
4人は1988~97年に働き始め、2015~16年にぼうこうがんを発症。
厚労省は16年7月、この物質が付着したゴム手袋を使うなどして長期間、皮膚から吸収したことが主な発症原因とする調査結果を公表した。
判決は、同社が01年までに、この物質の有害性が記載された「安全データシート」を入手し、副工場長が目を通していた点を重視。
シートには、皮膚が物質にさらされることによる健康被害や発がん可能性が記されており、同社には01年時点で「被害の予見可能性があった」と認定した。
その上で、皮膚などに浸透しない作業服の着用や体に付着した場合の洗浄などを従業員に守らせる義務があったのに徹底されなかったと指摘。
安全配慮義務違反があったと結論付けた。
一方で、発症から4~5年が経過後もがんが再発したとは認められないことなどから、賠償額を1人あたり275万~330万円と算定した。
訴訟で、同社側は皮膚吸収による発がん性は国や専門家も知らなかったとして、「会社が具体的な対策を講じることは困難だった」と主張していた。
同社では原告4人を含む計13人がぼうこうがんを発症し、12人が労災認定を受けた。
同社は取材に「判決文を精査しないとコメントできない」としている。
【オルト―トルイジン】
染料などの合成原料に用いられる無色の液体。
国際がん研究機関(IARC)は2012年、人に対する発がん性の十分な証拠がある「グループ1」に分類した。
体内に取り込むと代謝生成物が尿に蓄積し、ぼうこうがんを発症すると指摘されている。
厚生労働省は17年、「特定化学物質」に指定し、従業員の健康診断などを事業者に義務づけた。
https://mainichi.jp/articles/20210512/ddm/001/040/079000c
5月11日21時28分に毎日新聞からは、危険性を知っているだけで安全配慮義務が生じると認められた点が画期的だとする原告側弁護士のコメントなどが、下記趣旨でネット配信されていた。
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発がん性のある化学物質「オルト―トルイジン」を巡っては、1980年代以降、化学工場の労働者らを対象にした海外の研究でぼうこうがんとの関係が繰り返し指摘され、国内外の専門機関が発がん性への評価を強めてきた。
従業員らは訴訟で「(会社は)遅くとも90年代後半には発がん性を予見できた」と訴えたが、会社側は国の厳しい規制がなかったことなどを理由に、賠償責任を否定し続けた。
会見に同席した原告側の池田直樹弁護士らは、「規制がなくても、会社が発がんの恐れがあることを知っているだけで安全配慮義務が生じると認めたことが今回の判決の画期的な点だ」と評価。
この物質を取り扱い、健康に不安を感じる他の労働者らの救済につながる可能性があると指摘した。
https://mainichi.jp/articles/20210511/k00/00m/040/310000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。