2019年2月16日14時26分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京電力が福島第一原発で働く作業員を対象に実施した2018年度のアンケートで、「東電社員に対して感じること」という質問に対し、前回、113件で最多だった「横柄な態度」という回答は72件に減少したものの、代わりに「業務への姿勢」(95件)、「あいさつ」(81件)で批判的な回答が相次いだ。
アンケートは、東電が労働環境の状況を知るため、原発事故後から実施。
9回目の今回は、第一原発で働く全作業員5347人に昨年9月に配布。
5031人から回答を得た。
「東電社員に対して感じること」(自由記述)は2016年度から質問項目に追加。
3回目の今回は361人の回答があった。
回答が最も多かった「業務への姿勢」では、「縦割りの作業で無駄、無理が多い」。
2番目の「あいさつ」では、「返事がない」「スマホをいじりながらのあいさつは失礼」などだった。
わずかに減少した「横柄な態度」だが、「高圧的な態度で接してくる」、「震災直後の謙虚さがない」などの意見が寄せられた。
そのほか、「みだしなみ」「モラル」など、批判的な回答が304件だった一方、「現場によく来る」「安全な廃炉に向け一体感を感じる」など、評価する回答は57件にとどまった。
東電は、「廃炉事業は、お互いが『パートナー』として認識し合い進めなければ成し遂げられない事業」としており、「今回の意見を真摯に受け止め、姿勢・態度を正すよう、いま一度、社員に周知徹底していきたい」としている。
出典
『東電の「横柄さ」改善? 作業員調査「無理多い」の声も』
https://www.asahi.com/articles/ASM266584M26UGTB023.html
(ブログ者コメント)
過去のアンケートに関する報道がないか調べたところ、5年前の報道が見つかった。
併せて紹介する。
(2014年2月12日 東京新聞)
東京電力が、福島第一原発で働く作業員の待遇面など労働環境改善のために実施しているアンケートを、元請け企業を通じて回収していることが分かった。
作業員たちの話では、下請け企業の中には、作業員の回答を提出前にチェックしたり、回答の内容を指示したりするところもある。
作業員からは、「こんなやり方では実態は分からず、改善につながらない」という声が上がっている。
【作業員から直接回収する「回収箱」を設置せよ】
アンケートは、東電が事故後に福島第一原発で働く作業員を対象に始めた。
作業員の立場は弱いため、回答者が特定されないよう、匿名で、通常は所属会社や元請け、年齢なども記載しなくていい。
東電はアンケートの記載内容に配慮しながら、回収する段階では元請け任せに。
回答用紙は「作業員→所属する下請け→上位下請け→元請け」というように会社を通して回収。
東電へは元請けからまとめて郵送されるという。
作業員が特定される恐れを小さくするためには、作業員が線量計を借りに立ち寄る東電の管理施設に回収箱を置くなどして、直接回収をする方法も考えられる。
ある作業員は、「(上位下請けから)下手なことを書くなというプレッシャーがある。従業員の書いた内容を全部確認してから封筒に入れ、提出させられた」と話す。
線量計の不正使用を目撃しても見なかったと書くよう指示された作業員もいたという。
東電の担当者は、「回答用紙は作業員が記入して封筒の封をする。中身は(元請けなどに)見えないようになっている」と、回収方法は適切だとする。
東電は作業員を安定的に確保するため、昨年12月の契約分から元請けへの支払いを増やし、日当をかさ上げすると発表。
作業員に適切に行き渡っているかどうか、今後、アンケートで確かめるという。
だが作業員からは、「会社にチェックされているかもしれないと思うと、変なことは書けない」との声も上がっている。
【その後…。東電は回収箱を設置】
外部の意見にあまり耳を傾けようとしない東京電力だが、本紙のこの記事には素早く対応した。
多重下請け構造の中で、アンケートは、偽装請負がないか、給料はきちんと支払われているかなど、現場の声を東電が吸い上げようという趣旨で始まった。
そうであるなら、元請けが取りまとめる方式はおかしい。
指摘を受け、東電は回収箱を、作業員らが積算線量計を借りる管理棟内に設置。
作業員が直接書いて投入できる方式に改めた。
東電には、こういう姿勢を貫いていってほしい。
出典
『福島第一作業員「本音書けない」 東電アンケート元請け経由回収』
http://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/429
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。