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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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203012301056分にYAHOOニュース(デイリー新潮)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

日本は海外に比べ入浴中の事故死が非常に多い。

 

これまでその原因は「ヒートショック」、つまり急激な温度変化が血圧の乱高下を招き、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすのだと考えられていた。

 

だが、最新の調査から衝撃の事実が判明。

思わぬ死因が浮かび上ってきたのだ。

 

寒さが厳しくなると、熱い湯船にゆっくりつかりたくなる。

世界を見渡しても、国内のほとんどの家に浴槽が設置され、毎日のように湯をためて入浴する習慣をもつ民族は珍しい。

 

豊富な水資源と温泉が身近にあったことで、日本人は風呂好きになったといわれている。  

 

しかし、日本は海外と比べて、入浴中に死亡するケースが非常に多い。

 

2018年に自宅で不慮の事故のために死亡した約15千件のうち、4割近い5374人が「浴槽における溺死」とされている。  

 

厚生労働省は2012年、入浴関連の事故について大規模な調査を行い、その結果が昨年、日本内科学会英文誌などに発表された。  

 

調査は201210月から133月の間に東京都、山形県、佐賀県で、脱衣所や浴槽、洗い場など入浴に関係した場所から119番を要請した4593件を対象に行われた。

 

そのうち死者は1528人。

男女ともに年齢が上がるほど死亡率が高かった。  

 

この調査対象区域の人口あたりの入浴関連の死亡率から、全国の年間推定死亡者数を計算すると、その数なんと約19千人にのぼる。

 

さらに、それを高齢者数が増加している2020年現在の人口にあてはめると、入浴中の急死は2万人を超えていると推計された。

 

「現場感覚としても、それくらいの数だと思います」と語るのは、実際に調査を実施した東京歯科大学市川総合病院教授で、救急科部長の鈴木昌(まさる)医師である。

 

「入浴できるのは、寝たきりでない自立した状態の方です。高齢者とはいえ、比較的健康な人が毎年2万人死亡するのは、1年間に数千人死亡する交通事故よりも、社会的には大きな問題といえます」  

 

さらに鈴木医師はこうも指摘する。

「海外で溺死というと子供が溺れるケースが多い。

しかし日本の場合は、圧倒的に高齢者が浴槽の中で死亡しています。

30年以上前から問題視されてきたものの、特別な対策はとられてきませんでした。

これは入浴中の死亡事故の死亡診断に明確な規定がなく、地域によっては心不全、溺死、異常死などといった状態で統計がとられ、正確な死者数が把握できなかったことや、解剖しても死因がはっきりわからなかったためです」  

 

これまで死因は、いわゆる「ヒートショック」と考えられ、注意が促されてきた。

 

ヒートショックとは“急激な温度変化に伴う体調不良”を指す造語で、正式な医学用語ではない。

暖かい居室から廊下、浴室と室温が下がっていく環境で服を脱ぐと、血管が収縮して血圧が上がる。

直後に風呂につかって体が温まると、今度は血管が拡張して血圧が低下する。  

そのような“血圧の乱高下”によって心筋梗塞や脳卒中などが引き起こされるといわれてきた。

 

今でも循環器を専門とする医師を中心に、このような指摘をする専門家が大勢を占める。  

 

しかしながら、鈴木医師らの大規模調査はそれを覆す結果となったのだ。

 

【意識障害と脱力感】

 

「私たち救急医療の現場では、入浴中の急死者に遭遇することはあるものの、入浴中の心筋梗塞や脳卒中で運ばれてくる患者さんに出会うことは稀です」(鈴木医師)  

 

では、その原因は何なのか。  

 

入浴事故4593件のうち死亡した1528人は、119番コール、すなわち救急車の要請があった時点で心停止であった。

 

発見された場所について、「(脱衣所などの)浴室外」、「浴室内」で分けると、1461人が浴室内。それも浴槽の中での死亡が1274人とほとんどを占めた。  

 

死亡はしなかったが、一人で風呂から出られず救助が必要だった人は935人で、こちらもそのうち854人が浴槽内の事故である。  

 

鈴木医師らを中心とした調査チームは、入浴事故の「生存者の体にどのようなことが起きていたのか」を調べれば、死因が推測できると考えた。

 

もし心筋梗塞や脳卒中が原因で死亡する人が多いなら、生存者にはその数以上に、そのような病気が起きているはずである。

 

ところが、 「心電図の異常、心筋梗塞の兆候は、1%未満だったのです。

 

頭部のCT検査を行っても、脳出血などの脳卒中は10%未満。

ということは、心臓や脳血管の病気によって入浴中にこれだけの死者が発生した可能性は非常に少ない。

 

それでは何が起こったのかというと、助けだされた人の半数以上に“意識障害や脱力感”がみられたのです」(鈴木医師)  

 

入浴中に救急搬送されてきた患者は、「体温が高い人ほど意識の状態が悪い」こともわかった。

 

そして体温が平熱に下がるに伴って、意識障害が回復していったという。

 

「そうであれば、入浴という高温の中に身を置くことで体温が上昇し、熱射病、熱失神、あるいは熱疲労などが進行した、すなわち浴槽内で“熱中症”を発症したと考えられるのではないでしょうか。

意識障害や脱力感が起こると、浴槽から外に出られなくなってしまいます。

そうするとさらに体温が上がる。

そのまま誰も助けてくれなかったら、最後には湯の中に沈んで、死に至ってしまうと推察されます。

実際に、多くの人が顔を湯につけて死亡しているのです」(鈴木医師)  

 

入浴時間と湯温によって、どの程度体温が上昇するかをシミュレーションした研究がある。

 

長年、住宅と健康について調査研究を続けてきた慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授らが中心となって行ったもので、それによると42度のお湯に10分つかれば、36度だった体温が38度近くまで上がるという。

 

42度のお湯に10分つかっていると、汗がだらだら流れますね。

汗が流れるというのは、体温が上がっているということ。

それも運動によってではなく、周りから温められたために汗が出るのです。

私たちは常に熱を産生し、放熱しながら生きています。

放熱しすぎれば体温が下がって生命の危機となりますが、放熱ができない状態でも熱中症になって危なくなってしまうのです」(鈴木医師)  

 

たとえると、高温全身浴は“ゆでたまご”を作る時のように、お湯の中で人の体がゆでられている状態という。

 

お湯の中に入ると、体は放熱できず熱を吸収するのみで、急速に体温は上昇する。

そして最終的には湯温よりも体温が高くなるという。  

 

いわれてみれば、夏場は熱中症を避けるため、高温環境にいないように私たちは気をつけている。

そして夏は、38度程度の高温でない湯につかり、短時間で済ませる人が多いだろう。

しかし冬の寒い日は、42度~44度に至る高温湯で長風呂をする人も少なくないのではないか。

 

実際に入浴事故は、最低気温の低下とともに増加することもわかっている。  

特に「寒い家に住む人」は、“熱い湯に長くつかる”傾向があるのだとか。

 

「冬に居間14度、脱衣所10度程度の家に住んでいた人が、家の断熱改修工事を行い、それぞれ3度程度室温が上昇(居間174度、脱衣所136度)すると、熱め・長めの危険入浴をする頻度が明らかに減少することがわかっています」(伊香賀教授)  

 

WHO2年前に「冬の室内温度は18度以上にすること」を強く勧告している。

 

全世界の中でも高所得国は、一般市民が一日のうち約7割を自宅などの屋内で過ごすとされ、重度の熱中症や低体温症の多くは自宅で発生している。

 

熱い湯が恋しくならないようにするためには、室内を暖かく保つ工夫が必要なのだ

 

 

(2/2へ続く)

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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