2021年10月10日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11980/
(2021年11月10日 修正1)
2021年11月3日10時7分にNHK和歌山からは、パイプ状の「つり材」の内部に水が入って腐食した可能性ありという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市は調査委員会を設置して原因を調べていて、これまでの調査で、橋のアーチと水道管をつなぐ「つり材」と呼ばれる部材の内部に水がたまっていた可能性があることがわかりました。
国土交通省が設置したカメラの映像では、崩落の瞬間、「つり材」の付近から水が噴き出ているように見えます。
和歌山市によりますと、「つり材」は鉄製のパイプのような形状で、本来は水は入らないということですが、何らかの原因で雨水などがたまり腐食が進んだ可能性もあるとみて、今後、崩落した部分を川から引きあげて詳しく調べることにしています。
和歌山市の調査委員会のメンバーで、和歌山大学システム工学部の江種伸之教授は、「水が噴出しているのであれば、アーチ部分のどこかに雨水などが入ってたまっていたとしか考えられない。崩落した部材の腐食状況を調べ、原因を特定したい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20211103/2040009895.html
(2022年2月3日 修正2 ;追記)
2022年2月1日19時40分に産経新聞からは、つり剤18本のうち10本が腐食破断していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市は1日、有識者らでつくる調査委員会を開催した。
市の担当者は、崩落部分などを調査した結果、橋下部の水道管をつり下げていた「つり材」18本中、10本が破断し、いずれも腐食していたと報告した。
また、橋全体の鋼材のさびを防止するための塗装も、平成5年以降、30年間近く未実施だったとした。
ただ、つり材の腐食の原因について市の担当者は、塗装の未実施以外にも鳥の糞害や潮風の塩害など「複数の要因が考えられる」と説明した。
市の担当者は、つり材18本中10本で確認された破断について、崩落前に破断していた本数と崩落後の衝撃で破断した本数の内訳は不明とした上で、いずれも破断部分が腐食していたとした。
想定される橋の崩落の過程についても説明。
まず、崩落前に数本のつり材が破断し、つり下げていた水道管の中心部の装置「空気弁」に負荷がかかり、さらに破断の本数が増加。
最終的にアーチの上部も引きずられて崩落したとした。
会合にオンラインで出席した江種(えぐさ)伸之・和歌山大学システム工学部教授は、「本復旧後は、ひとつの水管橋で新旧の部材が混じるため、メンテナンス方法も詳細に決めておく必要がある」と指摘。
鍬田泰子・神戸大学大学院工学研究科准教授は、「水管橋の構造物全体のバランスを考えた上で改修を進めてほしい」と要望した。
https://www.sankei.com/article/20220201-OW4ILVC34JICVGM6WP6TO3VDXI/
2月2日12時15分に毎日新聞からは、1980年(昭和55年)の風対策工事時に補強した鉄材との接続部分で破断と腐食が見つかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
※橋の建設は昭和50年。
市によると、橋は7区間ごと、水道管とアーチを計18本のつり材がつなぐ構造。
1980年に行われた風対策工事では、つり材のうち、区間の10本を筋交いのような鉄材で補強したが、今回落下した1区間では、10本全てに、後付けした鉄材との接続部分で破断と腐食が見つかったという。
市が行ったシミュレーションでは、つり材が4カ所以上破断すると、その区間が崩落する可能性があるという。
市は今後、腐食や落橋のメカニズムの解明を進め、年度内に第3回会合を開いて報告し、専門家の見解を求める方針。
https://mainichi.jp/articles/20220202/k00/00m/040/065000c
(2022年5月22日 修正3 ;追記)
2022年5月19日11時53分にNHK和歌山からは、2本の送水管のうち1本が復旧し送水を再開したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
和歌山市は、応急の対策として、近くの橋に仮設の水道管を設置して送水を行ってきましたが、去年11月から続けてきた本格的な復旧工事の結果、2本ある送水管のうち1本の工事が終わり、19日、水道用の橋での送水を再開しました。
市によりますと、事前に試験的な送水や水質検査を実施していたため、これまでのところトラブルの情報は入っていないということです。
また、もう1本の送水管についても、来月(6月)中旬をめどに復旧工事が完了する予定で、市は、その後、仮設の水道管を撤去し、水道用の橋の利用を本格的に再開することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20220519/2040011498.html
5月20日19時44分に産経新聞からは、鳥の糞害や塩害、塗装更新の遅れ、点検方法の不備など複数の要因が重なって崩落したとする調査結果がまとまったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
有識者らでつくる市の調査委員会は20日、崩落要因などの調査結果をまとめた。
崩落の原因として、鳥の糞害や塩害、塗装更新の遅れなど「複数の要因」を指摘。
補強のため事後に取り付けた斜材などの部材が風などで振動を起こすなどして「腐食が進んだ」と結論づけた。
調査結果によると、崩落したアーチでは、つり材18本中9本が腐食し、破断していた。
橋のある場所は紀の川河口から約7キロと海に近く、日常的に海鳥が飛んできて止まったり潮風を浴びたりしていたことを踏まえ、崩落の要因として鳥の糞や潮風などによる腐食を指摘。
また平成5年を最後にさび止めの全塗装をしていなかったなど、「複数の要因」を挙げた。
橋を現地調査した結果、大量の鳥の糞に覆われていたことも確認した。
さらに橋では、補強のため昭和55年までに鋼材の「斜材」や「水平材」を事後的に取り付け、後に一部交換もしていたが、接続部が長年、風雨にさらされて振動などを繰り返した影響などで「腐食が進んだ」と結論づけた。
会合では、これまでの市の点検方法について、水道管部分に漏水がないか確認する目視などに限られていた問題点も改めて委員から指摘された。
委員の江種(えぐさ)伸之・和歌山大学システム工学部教授は、「構造物はいずれ壊れるという視点が重要。水道管の漏水だけに注視しすぎて目が行き届いていなかった。(つり材なども含めた)俯瞰(ふかん)的な管理が必要」と提言した。
調査委は今回の調査結果を踏まえ、今後、最終報告を取りまとめる。
市側は今後、点検に小型無人機「ドローン」を活用するなどの改善策を報告した。
https://www.sankei.com/article/20220520-QL2CF6JNVBMHJE5DOATUDCPDUU/
5月21日10時34分に毎日新聞からは、突起物でうまく塗装できなかった部分に鳥の糞などがつき錆発生が促進されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
アーチ部分と水道管をつなぐ橋の「つり材」計18本のうち、9本に破断があり、このうちの7本は2カ所破断があったという。
また、水管橋は塗装により腐食対策をしていたが、突起物でうまく塗装できていない部分に、鳥のフンなどが付き、さびの発生が促進されたとの報告もあった。
(2022年9月4日 修正4 ;追記)
2022年9月2日7時0分に毎日新聞からは、水道橋周辺には餌場もあってカワウの大規模なねぐらになっているなど、下記趣旨の記事が、カワウのフンで真っ白になった橋脚などの写真付きでネット配信されていた。
水色に塗られた水管橋のアーチは、以前からカワウの群れで黒く染まっていた。
2021年10月、和歌山市の紀の川に架かる六十谷(むそた)水管橋(全長約550メートル)が崩落し、大規模な断水を引き起こした問題で、市の調査委員会は22年5月、衝撃の崩落原因を明らかにした。
アーチと水管橋をつなぐ鋼鉄製のつり材が鳥のふんや雨水の作用で腐食し、崩落につながったというのだ。
県によると、県内にはカワウの大規模なねぐらが10カ所程度あり、水管橋周辺は有数の規模という。
調べてみると、一帯の環境はカワウにとって楽園だった――。
【驚きの崩落メカニズム】
水管橋は浄水場から市北部へ水道水を送る唯一のルートで、崩落から仮復旧までの1週間、市の人口の3分の1にあたる約6万世帯(約13万8000人)が断水、市民生活に大きな影響を与えた。
建築工学や水道の専門家らでつくる市の調査委員会が示した崩落のメカニズムはこうだ。
風などによる振動でつり材に物理的な損傷が生じ、塗装の劣化部分に鳥のふんや雨水が高濃度に堆積(たいせき)してさびの発生が促進、維持管理の不備も重なって18本のつり材のうち9本が破断した。
その結果、水管橋全体が大きく変形、アーチや水道管部分にも破断やたわみが連鎖し、崩れ落ちた。
「ふんの影響は当然あると思った」。
日本野鳥の会和歌山県支部の中川支部長(74)は、崩落直後から「カワウ関与説」を唱えていた。
中川さんによると、水管橋付近は少なくとも10年以上前からカワウのねぐらとなっており、近年は約200羽がすみ着いていた。
日中は餌を求めて離れるが、夕方になるとアーチ部分に集まり、水道管には白いふんの跡が散見されたという。
1級建築士でもある中川さんは、「ふんで金属が劣化するのは当然の話。原因は複合的で、ふんだけではないと思うが、定期点検などでしっかり管理していれば事故は防げたはず」と指摘する。
【敵もなく餌も豊富】
同支部や和歌山県によると、カワウは人や車の通りが少ない場所を好んでねぐらにする。
水管橋は点検時以外は人が近寄らず、付近は禁猟区のためハンターに狙われることもない。
さらに、水管橋の300メートル下流には、03年に本体工事が完了した「紀の川大堰(おおぜき)」がある。
堰の上流域には魚が比較的多く集まり、捕獲しやすい。
魚をえり好みしないカワウにとって、水管橋付近は絶好の狩猟場であり、安住の地だったのだ。
関西全域でカワウの生息動向を調査している関西広域連合によると、21年夏は6府県で過去10年で最多となる計2万8486羽が確認された。
県内では近年、冬に約2200羽、春先は約1200羽が確認されている。
カワウは餌を求めて季節移動を繰り返す。
国内有数の繁殖地・琵琶湖(滋賀県)で夏を過ごした集団は、冬になると中部地方や関東地方をはじめ各地へ移動。
冬場に和歌山で増えるのは、琵琶湖を離れた一部が南下すると考えられるという。
【ふん害に漁業被害、枯死も】
カワウは大食いでも知られ、アユなど川魚の捕食被害が全国で問題化している。
体重2キロほどにもかかわらず、1日300~500グラムの魚を食べるカワウは、放流されたばかりで川に慣れていないアユの稚魚を狙う。
紀ノ川漁協(和歌山県紀の川市)では、アユ釣りの解禁前に毎年5000~1万5000キロの稚魚を放流しているが、漁協で30年以上働く和田さん(63)は、「放流した途端、よってたかって食べられる」と嘆く。
紀の川では1990年代後半から被害が確認され、和田さんによると「近年の損害は年間2000万円近くに上るのではないか」という。
爆竹などで追い払うだけでは解決せず、最近は猟友会に駆除を依頼。
県全域で毎年700羽前後を駆除しているが、和田さんは「生態系のバランスもあるので、辛抱できるくらいにとどめている」と語る。
漁業被害だけでなく、カワウのふんによる樹木の枯死に悩まされている地域もある。
【一筋縄でいかぬ鳥対策】
六十谷水管橋は7月に復旧工事が完了し、送水も全面的に再開された。
和歌山市は新たに、鳥対策として獣の鳴き声やサイレン音が鳴るスピーカーを設置。
しかし、効果は限定的とみられ、夕方になると再びカワウが集まる様子が見られる。
市は水管橋の維持管理について、「下からの目視での漏水点検が主で、つり材など上部の状態を正しく認識できていなかった」としており、再発防止策として、定期点検にドローンやロボットカメラの導入を決めた。
約30年前からカワウを見守ってきた野鳥の会和歌山県支部の有本さん(57)は、「鳥にとってアーチに止まるのは自然なこと。調査に基づいた適切な駆除や追い払いと定期点検の徹底で、カワウと人が共存できるような対策を進めてほしい」と訴える。
【「益鳥」の一面も】
環境省によると、カワウは日本の在来種で、1960年代以降、有害化学物質による環境汚染などで個体数が減少、70年代には全国で約3000羽と絶滅の危機にひんした。
その後、河川環境の改善などに伴って増加に転じたが、今度は漁業被害が深刻化。
2007年に「狩猟鳥獣」に指定され、駆除の対象となった。
人間の都合で害鳥とみなされることもある一方、メリットをもたらす鳥として、時に必要とされてきた。
愛知県美浜町上野間地区にある繁殖地「鵜(う)の山」では、江戸時代末期から60年代半ばごろまでカワウのふんを肥料として採取してきた。
魚食性のカワウのふんにはリンや窒素が含まれ、化学肥料が流通するまで重宝された。
町によると、地元ではふんを採取する権利を入札にかけ、収益を地域の学校建設や災害復旧、生活困窮者支援などに活用してきたという。
鵜の山は34年に国の天然記念物に指定、エリア内ではカワウを駆除できないことから、事実上保護してきた。
地元ではカワウをモチーフにしたキャラクターも誕生するなど親しまれているといい、町生涯学習課の磯部係長は、「町民にとっては害鳥のイメージはなく、朝夕に隊列を組んで飛ぶ姿はなじみの風景の一つ」と話す。
https://mainichi.jp/articles/20220831/k00/00m/040/226000c
(2022年10月5日 修正5 ;追記)
2022年10月3日16時18分にNHK和歌山からは、市はカワウが嫌う音を30分ごとに流したり、職員が1日に2回カワウを追っ払う対策を始めているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
水道用の橋の崩落から今月3日で1年です。
市は、ことし7月に復旧工事を終えて水管橋での送水を再開していますが、腐食を防ぐ塗装工事を行うほか、カワウが嫌がる音を出すなどの対策を始めました。
具体的には、カワウが嫌うタカなどの猛きん類の鳴き声や犬の鳴き声、それにサイレンを出すスピーカーをあわせて9か所に取り付け、30分ごとに流しています。
また、一日に2回、職員が橋を訪れて、直接、カワウを追い払う作業も続けているということです。
和歌山市の前野水道工務部長は、「多くの市民にご迷惑をおかけしたことを改めておわびします。再びこのようなことがあってはならず、常に疑いの目を持って水道施設の維持管理に努めていきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20221003/2040012791.html
(2023年1月7日 修正6 ;追記)
2023年1月6日15時51分にNHK和歌山からは、市は反省点などを盛り込んだ点検マニュアルを作成し公開したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
おととし(令和3年)10月に大規模な断水を引き起こした送水用の橋が崩落した原因について、和歌山市は、風の振動をふせぐために設置した補強用の部材に鳥のふんが付着し、腐食が進んだことなどから部材の一部が破断したためと結論づけました。
そのうえで、市が行っていた点検では破断を見つけることができなかったとして、独自の点検マニュアルを作成し、ホームページで公開しました。
マニュアルでは、アーチ材や吊材といった25の部材について、半年ごとに現地で目視で確認し、劣化の度合いを把握することや、5年ごとにドローンやロボットカメラなど最新の機器を使った細かな点検を行うとしています。
また、写真や図を用いて、点検のポイントや付着した鳥のふんが及ぼす影響などについてもわかりやすく説明しています。
和歌山市企業局は、「市民に維持管理の方法を知ってもらうとともに、水道施設の老朽化に悩む全国各地の自治体にも教訓として活用してもらいたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20230106/2040013519.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。