2024年2月9日17時43分にCBCから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中部空港にある警察署が来年、移転することになりました。
築19年と、愛知県警では比較的新しい庁舎ですが、建物が傾いてきたというのです。
(高阪記者):
「地盤が沈んだことによって、門は左に傾き、排水溝にもズレが生じています」
2005年、セントレアの開港にあわせて完成した中部空港警察署の庁舎。
飛行機の翼をイメージした鉄筋4階建ての建物で、総工費は約21億円。
当時「最新の設備」が話題となりました。
ところが、まもなくして駐車場の陥没などが度々みられるようになり、3年前には「不同沈下」が確認されたのです。
「不同沈下」とは、全体が同じように沈んでいく「地盤沈下」とは違い、地面の一部だけが沈む現象。
場所によって沈み方が異なるため、建物が傾いてしまうことがあります。
埋立地に建てられた中部空港署。
不同沈下が起きた原因はわかっていませんが、庁舎は今、北東方向に0.16度傾いています。
建物同士のつなぎ目には大きな隙間が。
敷地内の地面は至るところにゆがみが生じています。
スライド式の門は左側だけが沈下し、大きく傾いています。
警察署の副署長は…
(中部空港警察署・皆川副署長):
「(中部空港警察署に)去年の春に着任したが、この1年を通して(勤務していて)今まで不具合を感じたことはない」
0.16度の傾きはビー玉も転がらない程度で、愛知県警は、震度6強の地震が起きても建物は倒壊しないとしていますが、来年引っ越しすることに。
(愛知県警・施設課 金原次長):
「地震が発生しても、人命の確保に問題はなく、直ちに倒壊するとは考えていない。
来庁者の方々や警察署で勤務する職員に対する危険を可能な限り回避するため、より安全な場所に移転する」
愛知の警察署は老朽化が深刻で、築56年の昭和警察署、築57年の半田警察署、築59年の岡崎警察署は、ようやく建て替えが決まったばかり。
築52年の常滑警察署は、まだ建て替えが決まっていません。
そんな中、築19年で「移転」することになった中部空港警察署。
新しい場所は中部空港の第2ターミナル。
航空会社が使っていた出発ロビー付近のオフィス部屋の跡地です。
愛知県警は、新年度、移転にかかる費用として調査費を含めて総額約3億7000万円を見込んでいます。
「今回の移転は、ひとまず一時的なものと考えている。
詳細な調査を実施し、現在地や空港の余剰地に建て替えが可能か、組織的に検討していく」
引っ越した後の庁舎はどうなるのか。
愛知県警は「建て替えも含め、総合的に検討する」としています。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/991029?display=1
2月10日10時12分に読売新聞からは、ターミナルビルや滑走路に目立った損傷はないなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
愛知県警は9日、中部空港(常滑市)に隣接する中部空港署について、地盤沈下が原因とみられる建物の損傷や傾きなどが確認されたため、来年春をめどに空港ターミナルビルに一時移転すると明らかにした。
地盤改良工事ができるかどうか不明で、県警は庁舎の建て替えも検討している。
同署は2005年に約21億円をかけて整備され、06年以降に庁舎外壁や給水管の破損、周辺の段差などが相次いで見つかった。
専門機関の調査で、庁舎が立つ地盤が沈下した影響とみられることが判明。
わずかに庁舎の傾きも確認され、県警施設課は「南海トラフ地震などが起きれば傾きが大きくなる恐れもあり、災害時の拠点活用は困難」と移転理由を説明する。
中部空港島は埋め立てで整備されたが、中部国際空港会社によると、空港のターミナルビルや滑走路などでは目立った損傷などは確認されていない。
県警は、来年春に同署を空港第2ターミナルビルの空きスペースに一時移転させ、今後の対応を検討するとしている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240210-OYT1T50050/
2月12日18時3分にNHK東海からは、建設当時、軟弱地盤対策を検討したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現状、業務に大きな支障は無いものの、地震などに備えて、中部空港第2ターミナル2階の空きスペースに一時移転することになりました。
移転先の広さは1千平方メートル余りで、移転後もこれまでと同じように業務を続けますが、留置施設は設けないということです。
来年度内に移転する予定で、移転にかかる費用は、調査費などを含め3億6000万円余りを見込んでいます。
愛知県警は「警察署の建設当時は埋め立て地の軟弱な地盤に対しても建物が倒壊しないような地盤対策を検討していました。今後、建て替えなども含めて検討を進めていきたい」としています。
https://xn--www3-zf5fj90on8rp64b.nhk.or.jp/tokai-news/20240212/3000034179.html
(ブログ者コメント)
〇軟弱地盤に対しどのような対策をしていたのか調べていたところ、関西空港地盤沈下問題の教訓から、地盤調査は念入りに行ってきたなど、以下のような情報が見つかった。
(2009 年度都市環境プロジェクト実習最終報告書 大同大学)
・・・
6.2 中部国際空港の改善点
関西国際空港の地盤沈下を目の当たりにしていたこともあり、中部国際空港は地盤調査を念入りに行い、それほど沈下しないような場所を選び、なおかつ環境的にもいい場所を選んだ。
水深も浅いため、埋め立て用の土も関西国際空港よりも少なくて済んだ。
6.3 中部国際空港の現状
工事開始から地盤沈下が一番進んでいるところは空港の南東部であり、最大 3m沈下している。
しかし、関西国際空港の二の舞にならないように念入りに地質調査を行った結果、開港後はほとんど沈下し ていない。
そのため、今のところは地盤沈下の対策は行われていない。
したがって、関西国際空港のような地盤沈下は起こらないと予想される。
7.関西国際空港と中部国際空港の地盤 (地質)の違い
関西国際空港は水深約20m。
地層としては沖積層が18m。その下に洪積層が堆積している。
水深約20mという、かなり深い場所を指定したため、沖積層がかなり多くなってしまい、結果、地盤沈下が深刻なものになってしまった。
その点を反省した中部国際空港は水深約 6m。
地層としては、沖積層が約7m存在し、その下に洪積層は存在しないという場所を指定した。
そのため、地盤沈下はほとんど起こっていない。
・・・
http://www.daido-it.ac.jp/~t-sumi/poroj/last-rep/02.pdf
〇空港南東部の地盤沈下が大きかったということだが、警察署はターミナルビルの北側にある。(マピオンによる)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。