2023年1月25日23時47分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今季最強の寒波による大雪が各地で猛威を振るった。
立ち往生した列車の中では、最長で10時間近く乗客が閉じ込められ、JR西日本が25日、対応の不手際について謝罪した。
高速道路でも多数のトラックなどが動けなくなり、運転手らは疲れ切った表情を見せた。
「長時間、列車の運転を見合わせ、ご迷惑をお掛けしたことをおわびします」
JR西は25日午後、大阪市北区の本社で記者会見を開き、三津野・近畿統括本部長が頭を下げた。
24日夜から25日朝にかけて、東海道線の高槻(大阪府)―山科(京都府)間に、特急や新快速、普通列車など計15本の列車が駅間で立ち往生した。
乗客計約7000人が最長で10時間近く車内に閉じ込められた。
原因は、分岐器(ポイント)が計21か所で凍結したり、雪が挟まったりして故障したためだった。
ポイントには雪をとかす装置があり、社内規定では降雪が予想される場合は事前に点火する。
目安は「6時間の降雪量が10センチ」で、気象予報会社から提供された予報では8センチ程度とされ、点火させなかった。
24日午後6時以降に激しく雪が降り、短時間で15センチ積もった。
点火が間に合わず、次々と故障した。
その結果、各地で立ち往生が発生し、ガスバーナーなどでポイントの雪を除去する作業を行った。
修復したところから列車を最寄り駅へ動かして乗客を降ろしたが、山科駅近くのポイントは修復できなかった。
同駅近くで停車していた2本は約3時間半後にその場で乗客を降ろし始め、同駅へ徒歩などで移動してもらった。
15本の列車で、乗客が列車内に閉じ込められた時間は最短で1時間42分。
最長は湖西線の普通列車の9時間50分だった。
立ち往生していたある列車の車掌から「乗客を降ろした方がよい」と運転指令に進言があったが、「ポイントの修理を優先する」とされ、実現しなかったという。
湖西線の列車には約1400人が乗っており、24日午後7時40分に山科駅の手前で停車。
そのまま動けず、午後11時5分から乗客を降ろし始め、完了したのは翌25日午前5時半だった。
この列車に乗っていた大津市の高校2年男子生徒(17)が外に出たのは、25日午前1時30分頃。
家族の車で帰宅した。
「もう少し早く降ろすことはできなかったのか」と憤っていた。
乗客を長時間降車させなかった理由について、三津野本部長は「夜間でかなり雪が降る中、多数の乗客を安全に誘導できるか、 躊躇 した」と釈明した。
災害級の悪天候が予想される場合、事前に運転の取りやめを決める「計画運休」は、一部区間で実施したが、東海道線などの主要区間では未実施だった。
気象予測の数値が計画運休を行う基準を下回ったためという。
JR西によると、15本の列車で16人が体調不良で救急搬送された。
多くの乗客が帰宅難民となり、山科駅の構内などでは約1300人が一夜を過ごした。
同社は今後、雪をとかす装置を作動させる目安の設定や、乗客を降ろすタイミングが適切だったかどうかなどを検証するという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230125-OYT1T50327/
1月26日14時52分に産経新聞からは、閉じこめられた環境と情報量不足で救急搬送された16人を含め乗客には急激なストレスがかかっていた可能性ありなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大雪の影響でJR東海道線で複数の列車が立ち往生した問題では、長時間車内に閉じ込められた乗客が体調不良を訴え、少なくとも16人が救急搬送された。
いつまで続くか分からない車内での閉じ込めという過酷な環境に、JR西日本からの情報提供の不足も影響し、乗客に急激なストレスがかかっていた可能性がある。
どう対処すればいいのか、専門家に聞いた。
JR西の説明では、24日夜から立ち往生した15本の列車には計約7千人が乗っていた。
乗客によると、一部列車では車内に2つあるトイレの1つが使えなくなるトラブルも起きたという。
「今後の見通しが分からない中、(列車が)長時間動かない。情報も不足し、不安になっただろう」と指摘するのは、危機管理教育研究所の国崎信江代表。
不安や不満が募ると息苦しさを覚える人もおり、「(乗客は)どう対処していいか分からず、ストレスが大きくなっていったのではないか」と推測する。
こうしたトラブルは悪天候時に限らず、いつ、どこで起きるか分からない。
「日頃からカバンの中に最小限の防災用品を入れておいてほしい」と国崎代表。
トイレが使えない状況も予測されることから、利尿作用が弱いゼリー飲料などを常備しておくのも手だとする。
モバイルバッテリーのほか、冬場はカイロも心強い。
所持しているだけで気持ちにゆとりも生まれるという。
複数人が巻き込まれた状況では、「隣の人に声をかけるなどし、つらいのは自分だけではないと共有することも大切」(国崎代表)。
また、現場では多くの人が同様の情報を知りたがる傾向があるとして、国崎代表は「情報を共有すればバッテリーの消費も抑えられる」と話した。
今回立ち往生した車内では20~30分おきに同じ内容のアナウンスが繰り返されるだけだったといい、JR西の情報発信に強い不満を抱く乗客もいた。
国崎代表は、「30分間隔で情報を流す」とアナウンスするだけでも乗客の不安を緩和する効果はあったと指摘。
「乗客の心をつなぐ情報は大切。それだけで救われる人もいる」と述べた。
https://www.sankei.com/article/20230126-T3RBZ6QOUJOWZKBWIN4GAJWBD4/
1月27日3時41分に毎日新聞からは、JR西のルールでは停車が1時間経過したら乗客に降りてもらうか判断することになっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西では停車が1時間経過したら乗客に降りてもらうか判断するとのルールがあった。
しかし、雪で転倒する危険などを考慮し、分岐器を復旧して列車を動かすことを優先したという。
https://mainichi.jp/articles/20230126/k00/00m/040/157000c
1月27日7時0分に読売新聞からは、阪急京阪近鉄の3社は融雪装置を作動させる目安はないが事前に作動させていた、JR西の社長は「最悪の事態を想定して物事を決めるスタンスが重要だが・・・」と述べたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
阪急、京阪、近鉄の鉄道3社が今回の寒波に備えて、京都を通る路線で分岐器(ポイント)の雪をとかす装置を事前に作動させて故障を防いでいたことが、各社への取材で分かった。
・・・
阪急、京阪、近鉄はいずれも装置を作動させる予想降雪量の目安はないが、「今季最強の寒波」を警戒し、京都を通る路線で23日夜~24日未明に装置を作動。3社ともポイントの故障は起きなかった。
JR西の長谷川社長は26日、東京での定例記者会見で立ち往生に触れ、「多大な迷惑をかけて申し訳ない」と陳謝。
「最悪の事態を想定して物事を決めるスタンスが重要だが、その点で私たちの考えが不十分だった。これだけの輸送障害を起こす雪になると判断できなかったことに問題があった。(他の)私鉄に学ぶべきことは学びたい」と述べた。
今後について「京阪神エリアでの雪への対応の見直しが必要と考えている」とし、具体的な検討を進めていく考えを示した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230127-OYT1T50078/
(ブログ者コメント)
〇数日前から、10年に1度あるかないかの強烈な寒波が24日~25日に襲来すると報じられていた。
(例;2023年01月23日16:26 tenki.jp)
『10年に一度の強烈寒波で考えられる影響は? 日本海側ドカ雪 太平洋側も積雪・低温』
https://tenki.jp/forecaster/t_yoshida/2023/01/23/21529.html
そのような状況下、「予報会社の8cm積雪予報はあくまで予報、トーチ点火基準目安の10cmを2cmしか下回っていないので、10年に1度の寒波下、安全サイドに点火しておいたほうがいいのでは?」といった話しは出なかったのだろうか?
〇一方、阪急など3社の対応から考えると、基準となる予報積雪量の目安があったばかりに、それに判断が縛られてしまった、という可能性も考えられなくはない。
※トラブルのあった翌日1月26日には山科駅で融雪装置を作動させていたにもかかわらず分岐器に詰まった雪が解けずダイヤが乱れたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
(2023年1月26日22時54分 毎日新聞)
東海道線は26日、始発から通常通り運行。
しかし、午前6時45分ごろ、山科駅で特急や新快速などが走る下り線の信号が赤色から変わらなくなった。
担当者が調べたところ、車両をホームに引き込むレールの分岐器に雪が詰まり、動かなくなっていた。
特急などは山科駅を通過させ、詰まった雪を取り除くなどして、約2時間後に復旧した。
山科駅と高槻駅(大阪府高槻市)の間では24日、雪の影響で複数の分岐器が動かなくなり、列車15本が立ち往生。
乗客約7000人が最大10時間閉じ込められる問題が起きたばかりだった。
JR西によると、今回トラブルがあった分岐器は、24日に故障した計21個とは別の分岐器。
熱で雪を溶かす装置を作動させていたが、十分に機能しなかったという。
一方、ダイヤの乱れを修正するシステムは午前8時ごろ、一部が何らかの原因で停止した。
東海道線など各路線で計330本が運休。計892本が最大約3時間50分遅れた。
https://mainichi.jp/articles/20230126/k00/00m/040/178000c
※その翌日1月27日にも、また同じ山科駅で特急などから落ちた雪で?分岐器が動かなくなるトラブルがあった。
これも、事故は起きる時には続けて起きるという一例か?
(2023年1月27日17時31分 毎日新聞)
27日午前7時55分ごろ、JR東海道線の山科駅(京都市)で、下り線の信号が赤色から変わらなくなった。
JR西日本によると、車両をホームに引き込むレールの分岐器が動かなくなったためで、雪が原因とみている。
26日も同じ分岐器に雪が詰まり、同様のトラブルが起きたばかりで、連日ダイヤが乱れる事態となっている。
大阪指令所の職員が遠隔で分岐器を動かす作業を続け、約20分後に復旧。
この影響で4本が運休、24本が最大約30分遅れ、約1万6000人に影響が出た。
トラブル時に降雪はなく、JR西は走行中の特急などから分岐器付近に雪が落ちた可能性があるとしている。
https://mainichi.jp/articles/20230127/k00/00m/040/169000c
※溶雪装置の一つであるカンテラについては、乗客がその火を火災と間違えたトラブルも発生している。
(2023年1月30日11時36分 朝日新聞 ;カンテラの写真付き)
『火災と見間違えたカンテラの炎 列車の運行を止めた「二重の勘違い」』
https://www.asahi.com/articles/ASR1Z3QMTR1ZOXIE00K.html
2023年2月17日17時31分にNHK京都からは、融雪装置稼働基準を変更し、駅長にはそれを目安として柔軟に判断させるなどとした報告書が運輸局に提出されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本は一連の対応の検証結果や再発防止策を盛り込んだ報告書をまとめ、近畿運輸局に提出しました。
この中では、気象会社からの予測をもとに大規模な輸送障害は発生しないと判断し、対策本部を設置しなかったことが事態を悪化させたとしたうえで、今後、気象庁から特別な注意が呼びかけられている場合には対策本部を設置するとしています。
そのうえで、雪をとかす装置を稼働させる際の目安となる予想降雪量について、これまで「6時間で10センチ」としていましたが、寒さによってポイントで雪が固まり作業に時間がかかったことを踏まえて、気温が0度以下で、降雪などが見込まれる場合に装置を稼働させることになりました。
この基準をあくまで目安として駅長が現地の状況を踏まえて稼働させるかどうかを柔軟に判断するとしています。
また、ポイントの雪をとかす装置については、京都駅などでは多くが列車の運行前に設置する「手動式」でしたが、今回の事態を踏まえて、京阪神エリアを対象におおむね1年以内に、遠隔で稼働できる「電気式」や「手動式」でも稼働時間がより長いタイプに切り替えていく方針を示しました。
こうした設備投資には、40億円程度の費用を見込んでいるということです。
一方、乗客が長時間、車内に閉じ込められたことを踏まえて、駅の間で列車が止まっているときは復旧作業と乗客の救護準備を並行して行うほか、1時間以内に乗客を降ろすかどうか判断することを徹底するなどとしています。
・・・
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20230217/2010016713.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。