2015年5月25日5時0分に朝日新聞から、「薬漬け、処方されるまま、13種飲み副作用・・・86歳救急搬送 医師同士、情報共有せず」というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
医師が処方した多くの薬を患者が飲み続けた結果、具合が悪くなって救急搬送される例が後を絶たない。
薬の情報が、医師同士や薬剤師の間で共有されず、重複したり、飲み合わせが悪くなったりするからだ。
厚労省は、患者が飲む薬を一元的に管理する「かかりつけ薬局」の普及を進めるが、課題も多い。
水戸協同病院(水戸市)の救急外来には、薬の副作用で体調を崩した患者が多く運ばれてくる。特にお年寄りが多い。
同病院に今春まで勤めていた阿部医師らが、2013年末までの9カ月間に運ばれてきた85歳以上の高齢者381人を調べたところ、7%が薬の副作用が原因だったという。
服薬していた高齢者の7割が5種類以上飲んでおり、最も多い人で22種類飲んでいた。
めまいや嘔吐などの症状で運び込まれてきた女性(86)は、13種類の薬を飲んでいた。
そのうち、高血圧薬や利尿薬による副作用が原因とみられた。
尿が出なくなったという男性(87)は、不整脈を防ぐ薬の副作用が原因とみられ、12種類の薬を飲んでいた。
阿部医師は、「多くの病気を抱える高齢者は複数の診療科にかかるため、薬が増えやすい。体全体の機能が衰えており、薬の影響が強く出る。体の状態に応じ、常に薬の種類や量を見直す必要がある」と話す。
兵庫県の30代男性は、片頭痛、糖尿病、痛風、高血圧、肥満などの治療で、四つの医療機関に通っている。
3月、もらった処方箋を近所の薬局に出したところ、計36種類の薬を渡された。
精神安定剤、食欲抑制剤、睡眠剤、抗不安薬、痛風治療薬、胃薬……。
「効き目がない」と医師が処方をやめたはずの食欲抑制剤が、別の医療機関の医師によって処方されていた。
薬剤師は、薬が多すぎると思ったが、「一度体重を測ってみませんか」と助言することしかできなかった。
薬剤師は、「お薬手帳」で、患者がどんな薬を飲んでいるか把握する。
手帳の記録から、薬の重複がわかっても、薬の整理までは手が及ばないことが多い。
不要な薬の整理に取り組む薬剤師の福井さんは、「医療機関に問い合わせてもすぐに返事がもらえないこともある。患者を待たせないため、処方箋通りに薬を渡せばよいと考える薬剤師がまだ多い」と話す。
在宅患者らの減薬に取り組んでいる、長尾クリニック(兵庫県尼崎市)の長尾院長は、「ほかの医師の処方に口を出しづらい。『処方を勝手に変えないで』と、別の病院の専門医から苦情が来ることも珍しくない。患者の薬をまとめて整理する主治医が必要だ」と話す。
心臓病、糖尿病、認知症などを抱える、尼崎市の松田さん(82)は、以前、20種類の薬を飲んでいた。
長尾さんが主治医となり、治療に必要な薬の優先度を見極めた結果、今は12種類まで減らすことができた。
介護する長男(57)は、「薬を減らしても状態は変わらずに落ち着いている」と話す。
厚労省は、患者が不必要に多くの薬を飲む事態を引き起こす要因の一つが、医療機関の前に立ち並ぶ「門前薬局」にあるとみる。
患者が複数の病院で診療を受け、それぞれの門前薬局を利用すると、患者のすべての服薬状況を把握できない。
問題を解決するため、厚労省は、患者がなじみの薬剤師をもつ「かかりつけ薬局」の普及を進めている。
薬剤師が患者の服薬情報を一元管理して不必要な薬を減らせるよう、厚労省は来年度の診療報酬改定に向けて、検討を進めている。
いくつも病気を抱える高齢者が複数の医療機関にかかって重複する薬が処方されても、かかりつけ薬局なら、重複をチェックできる。
患者宅を訪ねて、薬の副作用や飲み残しがないかを確認する役割も求める。
だが、地域医療機能推進機構顧問で、総合診療医の徳田さんは、「医師と薬剤師が十分情報共有しない現状で、薬剤師だけに薬の調整役を担わせるには無理がある」と指摘する。
医師が出す院外処方箋には、通常、病名は書かれておらず、薬剤師は、薬から推測したり患者に聞いたりするしかない。
情報がないのに、薬剤師から医師に薬を減らすよう求めることは難しい。
徳田さんは、「医師同士が連絡を取り、必要なら処方の内容を変えるのが本来の姿。だが、薬を減らす訓練を受けていない医師が多く、教育が欠かせない」と話す。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/DA3S11772457.html?ref=nmail_20150525mo&ref=pcviewpage
(2015年6月12日 修正1 ;追記)
2015年6月11日16時45分に読売新聞から、「高齢者4割が服薬6種以上・・・体調不良招く恐れ」というタイトルで、同趣旨の記事がネット配信されていた。
自宅で暮らし日常的に薬を飲んでいる高齢者の約4割が、6種類以上の薬を併用しているとの調査の結果を、東京都健康長寿医療センター研究所のチームがまとめた。
高齢者に有害な副作用が出やすいとされる薬を飲んでいる人も、約3割いた。
横浜市で12日から始まる日本老年医学会で、発表する。
高齢者は複数の持病を抱えることが多く、薬の種類が増えがちだが、薬を分解する機能が低下しており、副作用が出やすい。
6種類以上の併用は、薬の組み合わせによる相互作用で、転倒しやすくなるなど、体調不良を招く恐れがさらに高まると指摘されている。
調査は2013年11~12月、東京都内の自宅で暮らす65歳以上の約1300人を看護師らが訪問して行い、服薬の内容が確認できた885人分を解析した。
その結果、36%の高齢者が6種類以上の薬を飲んでおり、10種類以上の人も9%いた。
中には、17種類を服用している人もいた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150611-OYT1T50137.html?from=ycont_top_txt
2015年5月8日22時18分にNHK前橋から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午前11時半ごろ、ブラジル国籍のアルバイト女性(58歳)が、沼田市の木材加工会社に健康診断のため来ていた検診車の中でレントゲンの撮影をしていたところ、診察台から落下した。
女性は、診察台と壁の間に頭を挟まれて病院に運ばれたが、およそ3時間後に死亡した。
警察によると、女性は検診車の可動式の診察台でうつぶせになって胃のレントゲン撮影をしていて、頭が下になった状態のときに落下したという。
警察は、女性の死因を調べるとともに、レントゲンの撮影の方法に問題がなかったかなど、担当者に詳しく事情を聞くことにしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1064629531.html?t=1431119284789
5月8日22時29分に日テレNEWS24からは、「ずり落ちて」という表現で、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、沼田市恩田町の木材加工会社で8日、従業員の健康診断の最中に「女性が診察台からずり落ちて頭を挟まれた」と通報があった。
警察と消防が駆けつけたところ、アルバイトでブラジル国籍の女性(58)が、レントゲン撮影車の中でうつぶせの状態で、診察台と壁の間に頭を挟まれていたという。
出典URL
http://www.news24.jp/articles/2015/05/08/07274617.html
(2014年6月13日 修正1 ;追記)
2015年6月6日付で朝日新聞群馬全県版(聞蔵)から、撮影台の肩当てが外されていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
検診を実施した全日本労働福祉協会によると、撮影台の動かし方や安全性の確認などについては、ガイドラインに基づいて進めるという。
しかし今回の撮影では、撮影台に固定すると書かれている「肩当て」が外されていたことが、捜査関係者と協会への取材でわかった。
協会が事故後に設置した第三者らによる調査委員会は、今月中にも報告書をまとめ、提出する見通しだ。
胃の撮影は、日本消化器がん検診学会と協会独自のガイドラインに基づいて実施するという。
学会のガイドラインには、撮影時に「肩当てや手すりの固定を実施する」と書かれている。
しかし、学会によると、体を回転させる時に肩当てがあると、受診者によっては頭が当たるなどして、うまく回れないケースがあるという。
そのため、「ガイドラインに基づくと肩当ては設置したほうがいいが、患者の体形や回転のしやすさから、場合によっては外すこともある」と、学会の深尾理事長(山形大副学長)は説明する。
また、次から次へと素早い撮影が求められる胃の検査では、肩当ての着脱は大きな時間のロスにつながるため、外していることもあるという。
全日本労働福祉協会によると、死亡した女性は、これまでに健康診断を13回受診しており、事故が起きた胃のⅩ線撮影も7回受けていた。
(ブログ者コメント)
ブログ者も毎年、この撮影を受診しているが、手すりを強く握りしめた記憶はあるものの、肩当てがあったかどうかは記憶にない。
(2015年6月29日 修正2 ;追記)
2015年6月27日付で読売新聞群馬版から、報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故調査委員会は26日、診療放射線技師の注意不足や、落下防止の「肩当て」を撮影台に取り付けていなかったことなどが事故の要因とする報告書を公表した。
報告書によると、技師が、女性が横たわっていた撮影台を頭部が下になる形に動かした際、女性が何らかの原因で手すりから手を離し、撮影台から頭がはみ出した。
技師は気づかないまま台を水平に戻そうとし、頭部が台と内壁に挟まれたと結論づけた。
現場付近には技師しかおらず、女性への目視や、監視モニターによる確認が不十分だったとした。
さらに、撮影台の肩当てを外したまま検査を行っており、「肩当てがあれば滑落を防げたかもしれない」と指摘。
肩当ては、顔を打ったり、メガネが破損したりする事故が起きることがあり、外すことがあるという。
また、通常、胃のレントゲン撮影は技師と補助者で行うが、事故当時、補助者が別の胸部レントゲン撮影を補助していたため、監視が十分ではなかったとした。
調査委は、「技師らの注意不足、協会の安全教育の徹底不足などいくつかの要因が重なった」と総括した。
事故防止対策として、
〈1〉肩当ての設置を必ず確認する
〈2〉監視モニターによる受診者の監視を徹底する
〈3〉撮影台の傾斜角度を緩やかにする
などを提案した。
同協会の川口常務理事は取材に対し、「過失に関しては司法が判断すること。提案された再発防止策を着実に実施していく」と話した。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20150626-OYTNT50405.html
関連記事
6月28日 朝日新聞
X線検診で挟まれ事故死、その時何が 実施団体が報告書
http://www.asahi.com/articles/ASH6W2RZYH6WUHNB001.html
2015年4月15日17時49分にNHK横浜から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
15日午後、横浜市の医療施設で爆発のような事故があり、施設内で消防設備の点検をしていた男性作業員1人がけがをした。
横浜市消防局によると、15日午後3時半ごろ、横浜市西区のビルの3階にある「Yクリニック」で、爆発のような事故があった。
この事故で、クリニック内にいた男性作業員1人がけがをして病院に運ばれたが、意識はあり、命に別状はないという。
警察などによると、当時、この男性作業員は、同僚と数人で施設内の消防設備の点検をしていたが、近くにあったMRI検査に使用する機器に腰のベルトの金属がくっついてしまったため、機器の緊急停止ボタンを押したところ、事故が起こったという。
この機器は、強力な磁力を発するもので、機器を冷やす冷媒剤として中にヘリウムガスが入っているという。
ヘリウムガスは、気化すると体積が700倍に膨張するということで、現在、警察と消防が詳しい事故の状況を調べている。
現場は、JR横浜駅に近いビルなどが建ち並ぶ一角。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/1054058521.html?t=1429131270305
2015年3月28日16時56分に共同通信から、下記趣旨の記事が再現写真付きでネット配信されていた。
高齢者を車いすやベッドから介護リフトを使って移動する際に転落させてしまう事故が相次ぎ、2014年までの10年間に4人が死亡、24人が重軽傷を負っていたことが28日、消費者庁と独立行政法人製品評価技術基盤機構(東京)への取材で分かった。
誤った使用方法が原因で、リフトに固定するためのベルトが外れたり、車いすごと転落したりしたとみられ、業界団体は、正しい使い方をするよう注意を呼び掛けている。
介護リフトは、体が不自由な人をシートでくるんでつり上げ、ベッドや浴槽に移動するタイプや、車の後方に付けた昇降機で車いすごと出し入れするタイプなどがある。
出典URL
http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015032801001459.html
2014年9月29日付で埼玉新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月30日7時9分にmsn産経ニュース埼玉版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午後5時半ごろ、ふじみ野市の日帰り入浴施設「M店」から「減圧室の男女が息をしていない」と119番があった。
消防隊員が駆け付けると、男性(65)と女性(58)の利用客2人が倒れており、病院に運ばれたが死亡が確認された。
警察によると、2人は気圧を人工的に標高3500mと同程度まで下げられる減圧室に入っていた。
同室は高さ約2m、幅約2.2m、奥行き約3mのかまぼこ型で、定員8人分の椅子があり、着衣のまま、従業員が外で誘導して入室し、45分を経過すると自動的に扉が開く仕組み。
発見時の同日午後4時50分ごろ、扉は閉まった状態で、2人は入室から50分ほど過ぎていたとみられるが、気圧の差で外から容易に扉は開かず、助け出すまでにさらに約30分かかったという。
2人に外傷はなく、男性はおう吐していた。
室内外での気圧差が大きい場合は急に外に出ると危険なため、体調に異常があった際などはブザーでフロントに知らせるほか、インターホン越しに室外の従業員と会話ができる。
従業員によると、発見時、減圧室のドアは閉まった状態で、ブザーも鳴っていなかった。
警察は、施設側のブザーへの対応体制や従業員の見回りといった安全対策についても調べている。
同施設はホームページで、減圧室を「パスカル健康房」と紹介。富士山頂程度に気圧を下げることで健康に効果があるとうたっていた。
警察で、司法解剖して2人の詳しい死因を調べるとともに、業務上過失致死容疑もあるとみて、減圧室の操作方法や管理状況を調べている。
減圧室の利用客2人が死亡する事故から一夜、施設を訪れた利用客や従業員からは戸惑いの声が上がった。
施設内で働いているという女性は、「今までこんなことはなかった」と驚いた。女性も減圧室を利用したことがあり、「(減圧時は)だるくなって眠たくなる。続けていると肩こりや足の痛みが楽になった」と話した。
女性によると、減圧中は中からドアを開けることはできないが、室内にある非常ボタンを押すと、自動的にドアが開くという。
施設は、週末には営業時間前から並ぶ利用客も少なくなく、回数券を持っている男性(77)は「近所の人も多く来ている。早く解決してほしい」と話した。
施設の管理運営会社によると、事故のあった減圧室「パスカル健康房」は国内メーカーの製品で、同施設では2007年に導入。直近の修理・点検は13年末だった。
出典URL
http://www.saitama-np.co.jp/news/2014/09/30/01.html
http://sankei.jp.msn.com/region/news/140930/stm14093007090003-n1.htm
9月29日17時11分にNHKさいたまからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
入浴施設を運営する会社の大谷社長は、減圧室は7年ほど前に設置したもので、室内の気圧を下げて高山と同じ状態を作り出すことで血流が良くなることなどを売りにしていた。入室前には、ひとりひとり従業員が健康状態やアルコールを飲んでいないかなどを聞きとったあと、承諾書にサインをしてもらってから入室させていた。今回、2人が死亡した原因は分からない」と話している。
この減圧室を製造した会社によると、減圧室」はこれまでに全国に50台ほど出荷しているというが、今回のようなトラブルはなかったという。
室内の気圧を通常の3分の2ほどに下げることにより、体に負荷をかけて血の巡りを良くするなど、実際に運動をしたような効果を目指すとしている。
この減圧室は、7年前の平成19年から設置していたというが、去年5月、運営会社から「圧力が下がらない」という連絡があり、調べたところ特に不具合は見つからなかったという。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/saitama/1106764731.html?t=1412025750625
(ブログ者コメント)
○テレビのニュース番組では、他施設の関係者などが以下のようなコメントを発していた。
・この施設では客が機器の操作をしていたが、自社ではトレーナーが操作する。
・自社では1500mの状態まで気圧を下げ、その後、元通りにすることを5回繰り返す。この施設のように3000m程度の状態にまで下げることは考えられない。
○長年やってきたがこんな事故は初めてだ・・・という事例は結構多い。
そういった事故の原因は、
・管理方法が悪く、これまでは運がよかっただけ
・管理方法は問題なかったが、今回だけ従来とは違う、何らかの変化点があった
のいずれかのことが多いが、今回はどうだったのだろうか?
2014年6月20日5時45分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
総務省消防庁は19日、スプリンクラーの設置を義務づける有床診療所(入院施設がある19床以下の医院)の基準を、現行の6000m2以上の施設から4床以上の施設に拡大する方針を決めた。
病院についても、面積基準を撤廃する。
入院患者ら10人が死亡した昨年10月の福岡市博多区の医院火災を受け、懸案となっていたスプリンクラー設置基準が確定した。
ただ、診療所や小規模病院は経営が苦しく、今後は国の補助制度が焦点になる。
同日の有床診療所・病院火災対策検討部会で新基準を盛り込んだ報告書案が了承された。
今後、消防法施行令が改正され、新基準は2016年4月にも適用される。
既存施設は25年6月末まで経過措置期間となる。
報告書案では、3床以下の診療所については、入院患者がほとんどいないため新基準の対象外とした。
病院については、当直職員が13床当たり1人以上いる施設は「夜間でも迅速に消防機関に通報し、初期消火に適切に従事できる」として、同様に対象外にした。
また、産婦人科や眼科など患者の避難が比較的容易な13診療科のみの診療所と病院も対象外。
病院は精神科専門なども除外した。
このほか、ボタンを押すと自動的に119番できる火災通報装置と施設内に火災を知らせる自動火災報知設備の連動システムや消火器についても、現行の面積基準などをなくし、すべての病院と有床診療所に設置を義務づけるとした。
スプリンクラー設置には多額の費用が必要で、同部会委員の葉梨・全国有床診療所連絡協議会会長は、「経営難の施設が自己負担なしでスプリンクラーを設置できるよう、厚生労働省は十分な補助金を確保してほしい」と話した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140620k0000m040151000c.html
(ブログ者コメント)
2014年1月25日に、火災報知器やスプリンクラーなどに関する今後の動向を以下のように伝えたが、今回はその続報。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3609/
2014年1月17日19時6分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡市博多区の整形外科で昨年10月、入院患者ら10人が死亡した火災を受け、総務省消防庁は16日、すべての病院・医院に火災報知設備の設置を義務づける方針を固めた。
これまでは、病院・医院のうち、延べ床面積が500m2未満の小規模施設に設置義務はなかった。
近く、消防法施行令を改正する。
火災報知設備は、電話回線を利用して最寄りの消防署に火災発生を知らせる機器。
ボタンを押すタイプのほか、煙や熱の感知器と連動し、ボタン操作が不要のものもある。
延べ床面積500m2以上の病院・医院、一定規模以上の集客施設と学校のほか、有料老人ホームや認知症高齢者グループホームに設置が義務づけられていた。
新たな設置義務づけの方針は、この日の有識者会議で消防庁が示した。
火災のあった整形外科で通報が遅れたことを重くみた。
火災報知設備がなく、火災に気付いた看護師は外に出て、通りかかったタクシー運転手に通報を頼んでいたという。
また、医院の職員らが初期消火をできなかったことから、小規模施設を対象にした防災訓練マニュアルを作成する。
有識者会議ではこのほか、小規模病院・医院へのスプリンクラー設置の義務化の是非についても話し合われた。
設置義務が新たに広がる火災報知設備は、火災報知機の一つ。
火災報知機は、消防機関だけでなく、設置施設内にいる人や警備会社などに火災の発生を知らせる設備の総称という。
火災は10月11日未明に起きた。入院患者8人と元院長夫妻が死亡した。夜間の当直勤務についていたのは、女性看護師1人。1~4階にあった防火扉のうち、少なくとも6枚が作動せず、火元とみられる1階から煙が階段を通って一気に上昇して被害を広げた。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG1H4VCFG1HUTIL02K.html
立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)で2011年9月、高濃度の酢酸を使った胃がん検査を受けた練馬区の女性(当時80歳)が死亡した医療過誤を巡り、警視庁は27日、当時、同病院の内科医だった男(35)を業務上過失致死容疑で書類送検した。
現在も、他の病院で医師を務めているという。
発表によると、医師は同9月22日、胃がん検査の際、本来は1.5~3%の濃度に薄めて内視鏡で胃粘膜に散布する酢酸を約25%の濃度で使用。女性は吐き気などを訴えたが、適切な処置をしなかったため翌月14日、入院先の別の病院で、腸管壊死で死亡させた疑い。
本来は酢酸と水を計量して検査液を作るが、医師はにおいの強弱で濃度を判断していた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130627-OYT1T00697.htm2013年6月27日15時31分にmsn産経ニュースからは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、女性に早期がんの疑いがあったことから、急きょ検査を実施。
検査用の酢酸は3~1.5%で使用するため、看護師に原液を薄めるよう指示したが、最終的に医師が臭いで濃度を判断して使用したという。
検査後、医師は女性の家族に「検査が長引いたため、吐き気を感じている」と説明。女性を帰宅させていた。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130627/crm13062715310008-n1.htm(ブログ者コメント)
医療事故は原則、本ブログの掲載対象外だが、濃度をにおいで判断するという、ちょっと信じられない事例だったので紹介する。
ちなみに、においで判断したという事例ではないが、高濃度酢酸による医療死亡事故は、今年4月に横浜でも起きている。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1304300024/
厚生労働省の医療事故の調査のあり方を議論する検討部会は18日、医療行為に関連した死亡事例の原因究明について、病院内の調査を原則とし、新たに設置する第三者機関への届け出を義務づける方針を示した。
厚労省は今夏までに意見をとりまとめ、今秋に予定している医療法改正に盛り込む考えだ。
検討部会では、医療事故の原因究明と再発防止に向け、昨年2月から議論を続けている。
18日までの議論では、原因究明は院内調査を先行させ、遺体の解剖や画像診断などを行った上で、結果を遺族に説明する。
院内に設置する事故調査委員会の中立性や透明性を高めるため、必要に応じて、医師など外部の専門家をメンバーに加えることができるとした。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130418-OYT1T01100.htm
滋賀県東近江市は20日、市の胃がん検診を受けていた市内の女性(57)がエックス線撮影中に意識不明の重体になり、同日死亡したと発表した。
死因は分かっておらず、検診との因果関係も不明という。
市は警察に連絡した。
市によると、女性は今月14日、市から委託を受けた滋賀県健康づくり財団の検診を受診。
肺がん検診の後、胃がん検診に移り、バリウムと胃を膨らませる発泡剤を飲んだ。
腹部エックス線写真を8枚撮る予定だったが、5枚撮影した後に気分が悪いと訴え、その後意識不明になったという。
すぐに病院に搬送されたが、20日に死亡した。
市側が女性の過去の受診記録を調べたところ、平成21年に市が実施した胃がん検診でも、エックス線撮影中に気分が悪くなったことがあったという。
ただ、今回の検診前の問診票には、このことは記載されていなかった。
同財団は「バリウムを飲みショック症状が出ることはあるが、死亡例はない。死因は分からない」と話した。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120621/waf12062108470005-n1.htm
高齢者に多いとされる入浴中の死亡事故について、厚生労働省は初の全国的な実態調査を実施することを決めた。
厚労省がん対策・健康増進課は「関係学会の要望などを踏まえ、年度内にも着手したい」としている。
入浴中に死亡する人は、東京都など一部地域の調査や死亡統計からの推計で年間約1万4000人と、交通事故の死者数(昨年4612人)を大幅に上回ると見られるが、実態は分かっていない。
東京都監察医務院などによる都内の調査や救急搬送患者の調査など、範囲を限定した研究はあるが、全国の事故を網羅した調査はなかった。
入浴は日本特有の習慣のため、世界的なデータもない。
入浴時の事故で多いのは、浴槽内で溺れるほか不整脈や心筋梗塞、くも膜下出血などを発症するケース。
救急搬送される人の大半は高齢者で冬場に増加。脱衣所から寒い浴室に移動した際、急激な温度変化で心臓に負担がかかる「サーマル・ショック」が原因と考えられるケースが多いという。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20120428k0000m040108000c.html
(ブログ者コメント)
本件、産業安全に関係のない話しではあるが、労災死者数(厚労白書によれば22年に1195人)に比べ、入浴中の死亡者数が格段に多いという、参考情報として掲載する。
京都市山科区の「愛生会山科病院」で今月20日、呼吸補助装置から酸素が供給されないミスがあり、直後に70歳代の女性患者が死亡していたことが26日、同病院などへの取材で分かった。
医師法に基づき24時間以内に警察に届ける義務がある「異状死」の可能性もあるが、病院は26日になって警察に事案を電話で相談した。
病院などによると、酸素ボンベの栓が閉まっており、病院に医療用酸素を納入する業者が、開栓しなかったという。
患者は肺炎を患い、18日に容体が悪化、呼吸補助装置を装着した。
院内では、酸素ボンベ室から管を通して各病室まで供給する仕組み。
20日午前3時半ごろ、ボンベの酸素残量が少ないことを示すアラームが鳴ったため業者を呼び、閉じてあったボンベの元栓を業者が開け、同4時35分に正常に戻った。
しかし女性は4時34分に死亡が確認された。
病院や業者の説明では、業者は19日にボンベの栓を閉め酸素漏れの修理したが、終了後の開栓を怠った。
病院側は業者から「不備があり迷惑をかけた」と謝罪する報告書を受け取ったという。
病院は「患者は重篤な状態で亡くなったことに違和感はなかった。明確な異状死とは判断していないが、弁護士から医師法に基づき報告した方がいいと言われた」としている。
業者は「患者の死亡との因果関係は不明だが、遺族には誠実に対応したい」としている。
出典URL
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20120327000016
(ブログ者コメント)
ブログ者が勤務していた工場では、ボンベの交換や修理は業者に依頼するが、管への接続ならびにボンベの栓の開け閉めは、工場側が担当していた。
それは、ボンベをちゃんと使える状態にすることは使う側の責任だ、という考えによるものだった。
この病院でも、そのようなシステムにしておけば、今回のトラブルは防げたのだろうが、多忙な医療現場では、とてもそのための人員は確保できないのかもしれない。
北九州市の市立夜間・休日急患センターで、1歳の男の子に処方された粉薬の中に、陶器の破片が混入していたことがわかった。
市によると、今月2日の夜、門司区に帰省していた1歳の男の子が、かぜの症状で同センターを受診し、せき止めの粉薬、2日分6袋を処方された。
男の子が4袋を服用したあとの今月4日に、白い陶器の破片が数個入っていることに父親が気づき、「薬に硬くて水に溶けない物が混入している」と来訪した。
未開封の1袋にも入っていた。
ほかの4袋はすでに哺乳瓶でミルクと混ぜて服用させており、同じように混入していた恐れがある。
この破片は、大きいもので直径が1cm、幅3mm、厚さ約2mmほどあったという。
市によると、破片は、薬を調剤する際に使う乳鉢のかけらで、薬剤師が乳鉢と乳棒で調剤しているときに乳鉢の底が壊れて混入したという。
薬剤師は、乳鉢が割れたのに気づいていたが、薬に破片は混入していないと思い込んだうえ、袋に入った薬を確認する「監査役」の別の薬剤師も、混入を見落としていたと市では説明している。
薬剤師はいずれも市薬剤師会が派遣していた。
男の子は受診後、下痢などの症状が出たが、市は、破片との因果関係はわからないとしている。
市は、きのう男の子の両親に謝罪したということで、今後再発防止に努めるとしている。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120114-OYT1T00186.htm
(ブログ者コメント)
乳鉢に厚さ2mmもの割れがあるのに気付いたのなら、それに見合うカケラを集め、確認してしかるべき。
なぜ確認しなかったのだろう?
薬には混入していないと思い込んだとの説明だが、それでは説得力がない。
「思い込んだ」のではなく、「自分に言い聞かせた」のではないか?
そうだとすれば、表には出ない大きな間接原因が潜んでいるのかもしれない。
血圧を下げる薬の「アルマール」と、血糖値を下げる薬の「アマリール」。
販売名が似ているため、医師や薬剤師が薬を取り違える事故が後を絶たないとして、アルマールを製造販売する大日本住友製薬は、名称の変更を厚労省に申請した。
早ければ6月に新しい名称で売り出される。
アルマールは1985年から、アマリールはフランスの製薬会社の日本法人サノフィ・アベンティスが2000年から販売している。
医師が処方する薬をコンピューターに入力する際に誤ったり、薬剤師が処方箋を読み違えたりして、患者に誤って処方された例が報告されている。
大日本住友製薬によると、把握しているだけでこれまでにのべ15人分。5人に健康被害があり、うち1人は低血糖や意識障害を起こして死亡した。
5人はいずれもアルマールを処方されるはずが、誤ってアマリールを渡されていた。
両社は、医療機関に注意を呼びかける文書を配布したり、箱のデザインを変えてきたりした。
しかし事故が無くならないため、厚労省は昨年8月、名称変更を両社に要請していた。
サノフィ・アベンティスは、大日本住友製薬がアルマールを変更するので、アマリールはそのままにするという。
(ブログ者コメント)
□本当によく似ている。これでは、間違えるなと言うほうが無理だ。
□しかし、最初にネーミングした大日本住友製薬のほうが名前を変えるのは何故だろう?
普通は、後から名前をつけたほうが変えるものだ。
しかも、健康被害があったのはフランス系のアマリールを渡されたケースだけ。それなら、なおのこと、危険を及ぼす方の名前を変えるのが筋だ。
それでも、大日本住友製薬のほうが名前を変えた。
フランス系企業相手に交渉しても時間が過ぎるだけなので、該社が事故防止のために大人の対応をしたということだろうか?
□フランス系企業のほうは名前を変えないということだが、事故防止の観点から、これは納得できない。
医療関係者の頭の中には、1985年から販売されているアルマールという名前が、強く残っているはずだ。よって、血圧を下げる薬を処方するのに、今後も、新しい名前ではなく、アルマールと書いてしまう可能性がある。
一方、今回の名称変更のいきさつを知らない特に新人は、その処方箋を見て、これはアマリールの書き間違いだろうと勝手に思い込んで、処方してしまうかもしれないからだ。
2011年11月15日付の読売新聞と毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都大病院は14日、脳死肝臓移植を受けた50歳代男性が手術後の人工透析治療の際、病院側のミスによって死亡したと発表した。
使用する器具を取り違えたのが原因で、病院は遺族に謝罪、13日に警察に届け出た。
警察は男性の司法解剖を行うとともに、病院から器具やカルテなどの任意提出を受け、業務上過失致死容疑で調べている。
記者会見した院長などによると、男性はC型肝炎による肝硬変に加え、腎不全を併発。今月4日に脳死と判定された男性から肝臓を提供され、5日に移植手術を受けた。
術後の経過は順調で、11日に集中治療室から一般病棟に移り、人工透析の治療を受けていた。
透析治療は、血液中の老廃物を濾過するフィルターを定期的に交換し、24時間連続で行っていた。
ミスが起きたのは12日午後7時30分頃の交換作業。
当直の医師が看護師に新しいフィルターに替えるよう依頼したが、看護師は老廃物濾過用ではなく、誤って血液から血漿を分離するフィルターを用意。 医師は間違いに気づかず、別の医師と透析装置に取り付けたという。
男性は約3時間後に血圧が低下。一時容体は回復したが、翌13日午前9時35分頃に意識を失い、約1時間後に死亡した。
医師らがフィルターの取り違いに気づいたのは、男性の死亡後の正午頃。血液データから誤装着が発覚した。
この2種類のフィルターは、ともに病棟の看護師詰め所の棚に保管。
血漿分離に使うのは長さ29cm、直径42mmでパイプの両端が青く塗られているが、老廃物濾過用は長さ22cm、直径35mmの透明で、区別できるようになっていた。
肝臓移植を担当する肝胆膵移植外科の教授は「準備を頼んだ医師は、透析治療に不慣れだったため、自分で用意しなかったと聞いている。一緒に装置に組み込んだ医師は経験はあったが『大きさに違和感がある』としか思わなかったようだ」としている。
遺族に対しては院長などがミスの経緯を説明。「民事上の責任を負う」と謝罪したが、遺族は納得していない様子だったという。
京大病院では10月にも、脳死肺移植を受けた女性に装着した人工心肺装置の管に空気が混入。女性が意識不明になっている。
出典URL■■■
■■■
(ブログ者コメント)
□違うフィルターを取り付けてしまったという単純ミス。読売新聞に現物の写真が写っているが、かなり大きく、両端の青色も目立つ代物だ。
何故これで間違ったのだろう?と、ついつい思ってしまうが、間違う時には間違ってしまう。そこがヒューマンエラーの恐ろしいところだ。
□そして看護師が間違え、医師も確認が不足していたという二重のヒューマンエラー。このようなことも、しばしば起こり得る話しだ。
□こういったミスが起きたからといって、他の業種、例えば製造業であれば品質不良とか運転異常になる程度で、人が死ぬようなことは滅多にないが、医療現場では死に直結する可能性が格段に高い。
現場第一線で働く方々が、日々、緊張の連続で激務に当たられていることを思うと頭が下がる。
□最近、医療現場でもヒューマンエラー防止のためのヒヤリハット発掘活動が行われ始めたという情報を本ブログでも何回か紹介したが、コトの重大さから考えると、そのような活動は、製造現場などよりも、むしろ医療現場のほうが先に実施すべきだったのではないだろうか?この事例に接し、そんな考えが頭をよぎった。
2011年11月2日6時57分に読売新聞から、1日17時49分にNHK高松から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
心身障害で入院していた男性(46)の介護服を誤って前後反対に着せ、窒息死させたとして、警察は1日、香川小児病院に勤務する男性看護師(23)を業務上過失致死の疑いで書類送検した。
発表によると、看護師は6月19日午後11時20分頃、男性が就寝前につなぎの介護服を着せる際、誤って前と後ろを反対に着せ、就寝中に窒息死させた疑い。
男性は正座して上半身を前屈させたまま寝る癖があり、のどが介護服の後ろ襟の部分で圧迫されたらしい。
翌朝、ぐったりしているのが見つかり、病院で蘇生処置したが、その後、死亡が確認された。
男性は自閉症や異物を口に入れる異食症などの治療のため1989年から同病院に入院しており、看護師は2009年から男性を担当。
男性が亡くなった際に着ていた介護服は、前に付いたファスナーで着脱させるようになっていた。
しかし、6月初めまで男性は後ろにファスナーが付いたタイプの介護服を使用していたため、看護師が勘違いしたらしい。
出典URL■■■
■■■
また、11月2日付の四国新聞紙面には、下記趣旨の記事が掲載されていた。
事故当時は、購入したばかりの前面にファスナーがついたタイプを着ていた。
(ブログ者コメント)
□この事例からは、思い違い、勘違いというヒューマンエラーと、介護服の管理方法という2つの問題が浮かび上がる。
□この看護師、何かちょっとしたことがトリガーとなって、6月始めまでの記憶にリンクしてしまったのではないだろうか?
記憶の検索間違いというもの、誰にでも起こり得るが、今回は最悪のタイミングで起きてしまった。
□こういったヒューマンエラーを完全に防ぐことはできない。
よって対策として、今回のケースでは、介護服の管理方法が重要なポイントとなる。
□その、介護服の管理方法だが、この病院では6月始めに「前」タイプの服に統一したのか、それともファスナー取り付け位置が異なる2種類の服を併用しているのか、それによって問題は違ってくる。
□ここで、四国新聞の「購入したばかり」という表現は、6月始めに「前」タイプの服に統一したことを示唆しているようだ。
とすれば、まだ変更後、日が経っていない。
ちょっと前の記憶にリンクしてしまったというのなら、それはしばしば起きる話しだ。
こういったヒューマンエラーは、管理方法をいくら厳格化しても防ぎきれるものではない。本人の意識に任せるしか手はないと、ブログ者は考える。
□一方、2種類の服を併用していたとなると、これは管理方法の厳格化で、ある程度防げた可能性がある。
□対策として考えられるのは、服に「前」とか「後」とか表示することだ。そうすれば、間違うことはない。
しかし、よくよく考えてみれば、今回は、たまたま男性が正座して寝る癖があったために起きた事故。
他の人であれば、ちょっと窮屈というだけで済んだ話しだろう。
実際、顕在化していない事例も、過去にあったかもしれない。
「前」「後」の表示は、「MUST」で対応が求められることではなかったのかもしれない。
□仮に、今回のような事態が危険予知できていれば、服に「前」「後」表示したのだろうが、はたして普段の介護業務の中で、このような危険が予知できただろうか?
ブログ者が、この介護師の立場だったとして、危険予知できていた自信はない。
□一方、「前」タイプと「後」タイプの服を、誰がどのように患者のもとに届けるようなシステムになっていたのか、その点も検証する必要があるだろう。
(2011年12月1日 修正1 ;本文追記とコメント一部修正)
2011年11月2日付の四国新聞紙面に「購入したばかり」という記事が掲載されていたため、その内容追記と、それに伴い、コメント要旨を一部修正した。
国立国際医療研究センター(新宿区)は24日、看護師3人の連携ミスにより、男性患者(63)の点滴に本来使えない薬剤を誤って注入した事故があったと発表した。
男性は一時、動悸や目まいを訴え、脈拍数も上がったが、5時間後には落ち着いた状態になったという。
同センターによると、男性は腰の骨が炎症を起こす腰椎化膿性脊椎炎で7月末に入院。点滴で抗生剤を投与する治療を受けていた。
事故は9月10日に発生。
看護師が男性患者の点滴に注入する生理食塩水の置き場所を、点滴準備室から隣の部屋に変更したのに、別の看護師への引き継ぎを忘れた。
別の看護師は、点滴準備室にあったぜんそくや結核に使われる薬剤を生理食塩水と思い込み、3人目の看護師に投与を指示。
3人目の看護師が薬剤の入れ物の色から疑いを持ったが、指示に従って点滴に注入した。
出典URL■■■
(ブログ者コメント)
1人目は「引継ぎ忘れ」、2人目は「思い込み(確認不足?)」、3人目は「疑ったが指示どおりに行動」。
3人それぞれのヒューマンエラーが1本につながった結果、医療ミスが起きたが、このうち一人さえ踏みとどまることができていれば医療ミスは起きなかったという、事故のドミノ理論を説明するのに分りやすい事例だ。
2011年10月5日17時39分にmsn産経ニュース静岡から、また6日付で毎日新聞静岡版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
浜松医療センターは5日、手術室内に保管されていた毒薬に指定されている筋弛緩剤「エスラックス」1本(50mg入り)を紛失したと発表した。
同センターによると、先月28日午前8時ごろ、女性看護師が筋弛緩剤の残数を確認して手術などの業務を開始。術後に別の女性看護師が残数を確認したところ、46本あるはずが1本不足していた。
出庫簿や使用本数を確認し院内を探したが、発見できなかった。紛失した筋弛緩剤は3人分の致死量に相当するという。
同センターは筋弛緩剤は手術室の鍵付きの冷蔵庫に保管し、鍵は手術室内の管理室の引き出しに保管していた。カメラで人の出入りは常時監視されている。
外部からの盗難の可能性は低く、未使用の筋弛緩剤を誤って廃棄した可能性があるという。
同センターは今月3日、浜松中央署に遺失物届を出している。
出典URL■■■
(ブログ者コメント)
毒物については厳重な管理が求められている。
今回の場合、1本出し入れするたびに帳簿に記入し、かつ施錠するシステムであれば、紛失事故は防げた筈。
もし一日中、鍵を開けたままにしていたとすれば、それは管理していることにはならない。
(2011年10月21日 修正1 ;追記)
2011年10月5日付の静岡新聞夕刊紙面に、下記趣旨の記事が掲載されていた。
業務中は看護長が保管冷蔵庫の鍵を携帯していた。
毎日、業務開始前と終了後に残数を点検していた。
(ブログ者コメント)
鍵の保管方法が前報記事と違っている。どちらが正かは不明。
2011年8月30日19時7分に、読売新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
医療事故防止などに取り組む日本医療機能評価機構は、30日、医療事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」の報告が、昨年1年間分で529医療機関から56万24件あったと発表した。
機構では、より多くの医療機関の参加を促そうと、昨年から報告形式を一部簡易化したため、医療機関数、報告件数とも前年比で倍増した。事故につながれば死亡や重篤状態に至ったと考えられる事例も2676件あった。
事例の内訳では、薬の種類や量を間違えた「薬剤」関連が18万6424件で最多。
次いで、リハビリ中の転倒など「療養上の世話」が12万7918件、栄養補給チューブの接続ミスといった「ドレーン・チューブ」が9万797件など。
出典URL■■■
(ブログ者コメント)
ヒヤリハット発掘活用運動の拡がりを示す事例として、情報提供します。
2011年8月20日付の埼玉新聞、19日付の毎日新聞夕刊、ならびに20日15時5分にmsn産経ニュース埼玉から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
調剤ミスで女性患者を死亡させたとして、警察は19日、越谷市の女性薬剤師(65)を業務上過失致死容疑で、薬局の経営者(76)を業務上過失傷害容疑で、それぞれ書類送検した。
女性薬剤師は、昨年3月25日、脳梗塞の後遺症の女性患者(75)に自動錠剤包装機を使って「胃酸中和剤」を調剤した際、厚労省から毒薬指定されている「コリンエステラーゼ阻害薬」を調剤。同年4月1日、別の薬剤師から指摘され誤調剤に気付いたが服用中止の指示や薬剤の回収をせず、同月7日に女性患者を臭化ジスチグミン中毒で死亡させた疑い。
女性薬剤師は「失敗を叱責されるのが嫌で、回収の指示や報告をしなかった」と話している。
一方、経営者は、薬局開設者として注意義務を怠り、同中毒の傷害を負わせた疑い。
自動錠剤包装機での誤調剤による死亡事故は全国初という。
警察によると、昨年2月下旬ごろ、別の薬剤師がパソコンで自動錠剤包装機に「胃酸中和剤」の番号を登録した時、既に登録されている「コリンエステラーゼ阻害薬」と同じ番号を打ち込み二重登録。
「胃酸中和剤」を選択しても、実際には先に登録されていた「コリンエステラーゼ阻害薬」が調剤されていたという。
誤調剤は2月下旬ごろから、ミスが発覚した4月1日まで行われ、死亡した女性患者を含む約20人に計約2700錠が処方されたとみられる。
同薬局では、調剤用の薬を番号管理したパソコンを操作すると、連動した自動調剤梱包機が患者が1回に服用する薬を1袋ずつに分けられていた。
この機械は多くの種類の薬を使っている患者が薬を服用し忘れたり、誤飲するのを防ぐために開発、普及してきたもの。だが、どれほど技術が進歩しても、人為的ミスが原因の事故は完全に防げるわけではない。
自動錠剤包装機は、数百個に分けられた「引き出し」に、薬を種類ごとに収納。そこから、1回に服用する薬を、処方せんに基づいて数百種類の中から必要な種類と分量だけ選び出し、1包みごと袋に小分けしていく装置だ。
「引き出し」には番号を割り当て、管理用のパソコンで薬剤名を登録。今回の死亡事故は「胃酸中和剤」と「コリンエステラーゼ阻害薬」の「引き出し」に、同じ番号をつけてしまったために起きた。
正しく使えば患者が医師の処方した通り薬を服用でき、治療の効果が上がる。さらに、患者側の誤飲防止にも役立つ。だが、「引き出し」に違う薬を補充してしまったりした場合は、大規模な誤飲事故を招きかねない。そこで不可欠となるのが、「監査」と呼ばれる確認作業だ。
さいたま市内の中規模病院では、1日約600人以上に約500種類の薬を処方。新しく番号を割り当てて登録する場合は2人で確認するか、試しに動かしてみて正しいものが出てくるのを確かめるという。調剤するときも、処方せんと実際に小分けした薬が一致するかを毎回チェック。
薬局長は「どんなに忙しくても、確認は欠かさない。調剤薬局は千種類以上の薬を扱うはずだから、チェックはさらに重要だ」と指摘した。
このように、誤調剤がないか、患者に薬を渡す前に薬剤師が中身を確認するのが通例だが、同薬局ではこの手順を踏んでいなかった。
その理由について経営者は、「患者を待たせるのが嫌だった」と供述しているという。
メーカーによると、一部の小規模施設を除けば、自動錠剤包装機はほとんどの病院や調剤薬局に導入されているという。
県薬務課は事故の報告を受けて昨年4月23日、県薬剤師会や県内の保健所を通じて、県内2488薬局に機械の適正管理と「監査」の徹底を注意喚起。同課は「自動錠剤包装機による誤調剤事故は、年に数件報告されていたが、昨春に対策を強化してからはない。今後も指導を継続していく」としている。
出典URL■■■
■■■
■■■
(ブログ者コメント)
パソコン入力間違いは誰にでも起こり得る。よって、入力間違いしても、それを事故につなげない対策をとっておくことが大切だ。
その方法は、いろいろ考えられるが、今回、ブログ者が不思議に思うのは、なぜ、自動錠剤包装機に同じ番号が二重登録できたのだろうか?ということだ。
二重登録できないようにしておくことは、対策の基本中の基本の筈。包装機メーカーと薬局、どちらの問題なのだろうか?
(2012年4月2日 修正1 ;追記)
2012年4月1日10時45分にNHK埼玉から、経営者は不起訴になったという趣旨の記事がネット配信されていた。
書類送検されていた経営者について、さいたま地検は、嫌疑が不十分だとして不起訴にした。
一方、残る薬剤師の女については業務上過失致死の罪で起訴した。
女は、これまでの警察の調べに対して「誤って薬を調剤したことを叱られるのが嫌で薬の回収など必要な報告をしなかった」と供述しているという。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/saitama/1006614663.html
(2012年6月16日 修正2 ;追記)
2012年6月15日19時45分に読売新聞から、薬剤師の女性には有罪判決がでたという記事がネット配信されていた。
業務上過失致死罪に問われた元管理薬剤師の女性(65)の判決が15日、さいたま地裁であった。
裁判官は「誤投薬を知ったのに必要な措置を講じず放置した。薬剤師の使命を放棄したに等しい」として、禁錮1年、執行猶予3年(求刑・禁錮1年)の有罪判決を言い渡した。
判決によると、被告は医師から胃酸中和剤を処方されていたのに、誤って毒薬指定のウブレチド錠を自動錠剤包装機で分包して処方。ミスに気付いた後も患者に連絡せず、約2週間後に死亡させた。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120615-OYT1T00986.htm
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。