2018年2月10日付で信濃毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日午後2時43分ごろ、下高井郡山ノ内町志賀高原の「志賀高原ホテルI」の男性浴室で人が倒れていると119番通報があった。
消防などによると、浴室には高濃度の硫化水素が充満し、いずれもホテルが契約しているスキースクールのインストラクターで30〜60代の男性5人を中野市と長野市の病院に搬送した。命に別条はないという。
警察が原因を調べている。
警察によると、入浴中の男性2人が浴室内で裸で倒れているのが見つかり、救助のため浴室内に入った別の3人が体調不良を訴えた。
消防によると、60代の男性1人が中等症、ほかの4人は軽症。
ホテルによると、当時、宿泊客は滞在していなかった。
県薬事管理課やホテルによると、浴室の換気扇に不具合があった可能性がある。
消防隊員が現場に駆け付けた際に計測した浴室の硫化水素濃度は120ppm。
環境省の温泉施設の構造に関する基準は「硫化水素濃度は浴槽の湯面から上方10cmで上限20ppm」などと定めており、これを大きく上回っていた可能性がある。
保健所によると、2016年12月に実施したホテルの立ち入り検査で、硫化水素濃度が浴槽の上方10cmで男湯40ppm、女湯29ppmを計測し、ともに環境省の基準を超えた。
保健所は、源泉から浴室までの間でガスを抜くよう施設構造の改善と、十分な換気を指導した。
ホテルは17年に浴室の換気扇を交換していたという。
硫化水素は火山ガスの一種で、温度や地下の状態などによって濃度が変化する。
県薬事管理課によると、濃度100〜300ppmのガスを吸い込んだ場合、8時間から48時間後に気管支炎や肺炎、肺水腫で窒息死する可能性がある。
ホテルは9日、浴場の利用を中止した。
一山社長(50)は取材に、「関係者と宿泊客の皆さまにご迷惑をお掛けして申し訳ありません。同じことが起きないよう早急に対応したい」と述べた。
出典
『志賀高原のホテル浴室から5人搬送 高濃度の硫化水素』
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180210/KT180209FTI090038000.php
2月10日20時50分にNHK首都圏からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
9日午後、山ノ内町にある「志賀高原ホテルI」の大浴場で入浴していた68歳の男性が倒れているのを別の男性が見つけ、後から助けに来たほかの男性3人も体調不良を訴えて、あわせて5人が病院に運ばれた。
5人はホテル専属のスキースクールのインストラクターで、警察によると、いずれも症状は軽く、命に別状はないという。
大浴場は硫黄泉の温泉で硫化水素が充満していたということで、5人は硫化水素による中毒とみられるという。
ホテル側によると、9日は大浴場の換気扇の1つに不具合があり、消防が調べたところ、現場から検出された硫化水素濃度は人体に影響を及ぼす可能性のある高い濃度だったという。
このため警察は、当時、大浴場の中で十分な換気が行われていたかなど、原因を調べている。
出典
『温泉で硫化水素中毒か 5人搬送』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180210/0007861.html
2月10日9時10分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日午後2時45分ごろ、長野県山ノ内町平穏の「志賀高原ホテルI」の従業員から、ホテルの男性浴室で人が倒れていると119番があった。
警察によると、倒れていたのは男性1人で、救助のため浴室に入った別の男性4人も体調不良を訴え、計5人が病院に運ばれた。
いずれも意識があり、命に別条はない。
警察は当初、浴室で倒れていたのを男性2人としていたが、10日未明、男性1人と発表、訂正した。
救助のため浴室に入ったのは男性3人としていたが、男性4人だった。
訂正は、現場からの情報伝達の中で誤りが生じたためという。
地元消防によると、現場で体に悪影響を及ぼす濃度の硫化水素が検出された。
警察によると、体調不良を訴えた3人は、「頭が痛い」「気持ちが悪い」と話していたという。
出典
『ホテル浴室で倒れ5人搬送 長野、現場に硫化水素か』
http://www.sankei.com/affairs/news/180210/afr1802100005-n1.html
(2018年3月11日 修正1 ;追記)
2018年2月11日付で信濃毎日新聞紙面に、排気ダクトが水でシールされていたという、下記趣旨の記事が掲載されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
関係者によると、男性浴室は天井と壁の2カ所に換気口があり、天井の換気口に不具合があった。
上部へ排気する一方、空気から出た水分をダクト下部の「水受け」で集め、通水パイプで浴室に戻す仕組みだが、事故当時、何らかの理由で「水受け」に水がたまり、十分に換気ができなくなっていた。
関係者は、通水パイプ内で温泉成分が固まり、水が通らなくなっていた可能性を指摘している。
(ブログ者コメント)
信濃毎日新聞に以下のような感じの図が掲載されていた。
「水受け」が水で満杯になっても排気ダクトへの流出口は水面上にある・・・そんな設備だとよかったのかもしれない。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。