2018年2月8日21時31分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
深夜勤務後の帰宅中にバイク事故で死亡した会社員の男性(当時24)の遺族が会社に損害賠償を求めた訴訟の和解が8日、横浜地裁川崎支部で成立した。
会社が遺族に謝罪し、約7600万円を支払う内容。
遺族側代理人の川岸弁護士によると、帰宅中の事故死で企業に安全配慮義務があると裁判所が認めた例は極めて珍しいという。
亡くなったのは、観葉植物などの装飾を手がける会社、Gディスプレイ(本社・東京)に勤めていたWさん。
長時間の深夜勤務を終え、横浜市の職場から都内の自宅にバイクで戻る途中の2014年4月24日午前9時過ぎ、電柱にぶつかる単独事故を起こして死亡した。
母淳子さんらが翌年、長時間労働が事故の原因だとして、約1億円の損害賠償を求めて提訴していた。
同支部の橋本裁判長は和解勧告で、通勤中の事故にも企業に安全配慮義務があると認めた。
事故の原因は居眠りだったとし、過労状態を認識していた会社側が公共交通機関を使うよう指示するなどして事故を避けるべきだったと指摘。
和解金の支払いに加え、
▽従業員の負担軽減
▽終業から次の始業までの休息(11時間)の確保
▽深夜のタクシー利用を促す
など、事故後に講じた再発防止策に引き続き取り組むことを和解条件とした。
過労による事故死が多数発生している可能性にも言及し、「本件を契機に『過労事故死』の労働災害の事故の類型が公になり、今後、過労死、過労自殺とともに、社会全体として防止に向けた対策が十分に推進されていくことが期待される」とも述べた。
橋本裁判長は、「過労死のない社会は社会全体の悲願である。(企業は)長時間労働の削減と労働環境の整備に努めることが求められている」と和解勧告の書面を読み上げ、事故死を含めた過労死の防止を訴える異例の言及もした。
正社員として働き始めた翌月に亡くなったWさんについて、「希望にあふれていたのに未来を絶たれた被害者の無念さ、遺族の悲痛な心情と喪失感に思いを致す」とも述べた。
龍谷大の脇田滋名誉教授(労働法)は、「会社の指揮命令下から外れる通勤中は、事故が起きても会社に責任はないとされるのが一般的。直前までの過重業務を裁判長が重視し、帰宅中の事故でも会社に安全配慮義務があるとしたのは画期的で、他企業にも警鐘となるケースだ」と指摘する。
淳子さんは8日に都内で記者会見し、「息子の無念な気持ちをくみ、過労事故死についても企業が十分な予防対策を講じることを期待します」と話した。
出典
『「過労事故死」で遺族と会社和解 裁判長が異例の言及』
https://digital.asahi.com/articles/ASL285QFFL28ULFA02P.html?rm=645
2月8日19時37分に時事通信からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
徹夜勤務明けにミニバイクで帰宅途中、事故死した新入社員の両親が、過労による睡眠不足が原因だとして勤務先に損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁川崎支部の橋本裁判長は8日、通勤方法にも会社側の安全配慮義務があるとして、「過労事故死」と認めた上で、和解勧告した。
遺族が厚労省で記者会見し、明らかにした。
和解条項には、解決金支払いのほか、既に実施している労働時間管理や勤務間インターバルなど再発防止状況の公表も含まれ、双方が受諾した。
死亡したのは、商業施設で植物の設営などを行う「Gディスプレイ」(東京都)の新入社員だった八王子市のWさん=当時(24)=。
アルバイトから社員登用されて間もない2014年4月、夜通しで勤務した後、単独事故を起こした。
居眠り運転だったとみられる。
橋本裁判長は勧告で、直前1カ月の残業が91時間余りに及んだとして、「顕著な睡眠不足」を認定。
バイク通勤は会社の指示だったと指摘した。
出典
『「過労事故死」認め和解勧告=通勤にも安全配慮義務-横浜地裁支部』
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018020801218&g=soc
(ブログ者コメント)
通勤途中(寄り道なし)の事故は労災対象。
今回の報道は、労災とは別の話しなのだろう。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。